田辺雄之建築設計事務所が設計した、神奈川・逗子の住宅「LL house」です。
敷地は山間の住宅地で南側にはこんもりとした山がそびえる。冬季は暗くなりがちなこの環境に対して、建物の南側壁面を山とは反対の勾配にすることで、山の上の空と繋がる建物とした。また建物東西においては金太郎飴のように同断面としながらも、高さ方向をズラすことにより(屋上では1750mm、2FLでは550mm)周囲からの光と用途に適した豊かな内部空間を構築した。南側の山は西に向かうほど高くなるため、建物の東側にメインの空間を配して西側より高くする計画とした。2D及び3Dにおいて屋根と斜面の角度、ズレの大きさを全体のボリュームや太陽光の入り方、動線におけるズレ部分の高さ(直立で頭がぶつからない。屈んで通れる。座って落ち着く。)を考慮しながら幾通りものスタディを行った。
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以下、建築家によるテキストです。
神奈川県逗子市の夫婦+子供のための住宅。敷地は山間の住宅地で南側にはこんもりとした山がそびえる。冬季は暗くなりがちなこの環境に対して、建物の南側壁面を山とは反対の勾配にすることで、山の上の空と繋がる建物とした。また建物東西においては金太郎飴のように同断面としながらも、高さ方向をズラすことにより(屋上では1750mm、2FLでは550mm)周囲からの光と用途に適した豊かな内部空間を構築した。南側の山は西に向かうほど高くなるため、建物の東側にメインの空間を配して西側より高くする計画とした。2D及び3Dにおいて屋根と斜面の角度、ズレの大きさを全体のボリュームや太陽光の入り方、動線におけるズレ部分の高さ(直立で頭がぶつからない。屈んで通れる。座って落ち着く。)を考慮しながら幾通りものスタディを行った。このスキップフロアのように繋がる空間は平面的、断面的にも広がるシークエンスを意識したアリの巣のような動線で屋上まで続く。外構は玄関からの高低差と距離をコントロールすることで庭とのつながりも持たせた。構造上の特徴は2階に載る2つの大きなボリュームが南に向かって迫り出していることと、その迫り出した外壁面が斜めになっていることであるが、通常の在来軸組工法で対応している。2階に設けられた一室空間のリビングは天井高が高く取られた開放的な空間である。そこで外周に耐力壁を配置して、室内に壁がないこの大きな箱のような空間を2階の片持ち梁に合わせ梁を用いることで架構を保つ工夫をしている。施工的にも尺寸モジュールと金太郎飴のような同断面架構によって合理化がなされている。熱環境においては、湿気の多い地域であることから1F床にヒートポンプを熱源とした、蓄熱式の床暖涼房用のパイプが敷き詰められている。そのため1Fの床仕上の大半が蓄熱層となるコンクリートである。冬季においてはこの暖められた空気が、階段部分の大きな吹き抜けを通過して2F部分も暖める。また開閉可能なハイサイドライトと正逆回転可能なシーリングファンがこれらの空気の上下動を助ける。
■建築概要
プロジェクト名: LL house
建築用途:個人住宅
所在地:神奈川県逗子市
設計監理:株式会社田辺雄之建築設計事務所
施工:川口建築有限会社
キッチン:アトリエ・エムフォオ株式会社
敷地面積:175.98㎡(53.23坪)
建築面積: 66.24㎡(20.04坪)
延床面積:114.71㎡(34.70坪)
1F床面積: 56.31㎡(17.03坪)
2F床面積: 58.40㎡(17.67坪)
主構造形式:木造在来工法2階建て
外装仕上
屋根/ガルバリウム鋼板縦ハゼ葺き
外壁/ガルバリウム鋼板横葺き
内装仕上
天井,壁/PB+AEP塗装
床/2Fカラマツフローリング
1Fコンクリート金コテ仕上
一部カラマツフローリング
設備
蓄熱式床涼暖房(ヒートポンプ)