SHARE 藤田雄介 / Camp Design inc.による、岐阜の「恵那の軒並」
藤田雄介 / Camp Design inc.が設計した、岐阜の「恵那の軒並」です。
外観では、既存瓦・ガルバリウム鋼板・FRPの3つの屋根仕上げが混在し、バラバラな屋根たちを統合するものとして、建物を囲うように軒が回っている。また、一部屋根を欠き取り中庭を設けたり、雨仕舞いのために入母屋を切り妻に変更するなどブリコラージュをしている。少し勾配のある敷地に沿うように、建物のレベルと同時に軒のレベルも段々と変化している。これらの操作により、一つの住宅でありながらどこか集落のような佇まいを持った建築に更新されている。内部は、屋根形状に沿った天井をつくり、気積の変化に富んだ空間の連なりが生まれている。また天井は時間の界面として、屋根裏に隠れてた梁を所々で表しにし、現在と過去が交錯する部分となっている。
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以下、建築家によるテキストです。
雑多さを許容する大らかな建築
増改築を繰り返してきた200㎡程の木造住宅を、2世帯住宅へ改修した計画である。既存建物は最も古い部分で築70年程、その後4回程増築されてきたことが読み取れた。そのため基礎や構造は年代ごとにバラバラであり、仕上げも同様であった。また親世帯と子世帯それぞれのインテリアの趣向もバラバラであったため、全体の統一感をつくり出すことは諦めつつ、それでも一つの住宅に繋ぎとめる要素として軒・天井を設定した。
外観では、既存瓦・ガルバリウム鋼板・FRPの3つの屋根仕上げが混在し、バラバラな屋根たちを統合するものとして、建物を囲うように軒が回っている。また、一部屋根を欠き取り中庭を設けたり、雨仕舞いのために入母屋を切り妻に変更するなどブリコラージュをしている。少し勾配のある敷地に沿うように、建物のレベルと同時に軒のレベルも段々と変化している。これらの操作により、一つの住宅でありながらどこか集落のような佇まいを持った建築に更新されている。内部は、屋根形状に沿った天井をつくり、気積の変化に富んだ空間の連なりが生まれている。また天井は時間の界面として、屋根裏に隠れてた梁を所々で表しにし、現在と過去が交錯する部分となっている。
既存の要素を外部では軒、内部では天井が、それぞれに関わるバラバラな要素を統合し、雑多さを受け止める存在となっている。このような、全体性を追い求めるのではなく雑多さを許容するおおらかな建築は、リノベーションだからこそ生み出し得る建築の形式ではないかと考えている。
■建築概要
設計:藤田雄介 / Camp Design inc. 担当|荒巻菜生子
構造:金田泰裕 / yasuhirokaneda STRUCTURE
施工:足立住建
写真:長谷川健太
建築面積:167.69㎡
延床面積:211.17㎡
主要構造:木造2階建て
設計期間:2016年2月-2016年10月
施工期間:2016年11月-2017年6月