SHARE 荒谷省午建築研究所による、奈良の「登美ケ丘の住宅」
荒谷省午建築研究所が設計した、奈良の「登美ケ丘の住宅」です。
郊外の閑静な住宅地に建つ若い世代のための住宅である。
家族が大きなワンルームの中に住むことを意識してプランニングを検討した。
全体を4つのエリアに区分し、敷地と道路との間にある高低差を利用してそれぞれのエリアを序列的にスキップさせ、各フロアを中央の階段でつないでいくような構成としている。その結果、それぞれのスペースの独立性を確保しながらシームレスな居住空間となることを意図した。
それぞれのエリアは居住スペースも水廻りも等価に扱われ、占める面積も似たようなスケールとなっているが、螺旋状に重なることで必然的に生まれてくる天井高さの違いが、気積に変化をもたらし、それぞれのエリアの性格を特徴づけている。
以下、建築家によるテキストです。
郊外の閑静な住宅地に建つ若い世代のための住宅である。
家族が大きなワンルームの中に住むことを意識してプランニングを検討した。
全体を4つのエリアに区分し、敷地と道路との間にある高低差を利用してそれぞれのエリアを序列的にスキップさせ、各フロアを中央の階段でつないでいくような構成としている。その結果、それぞれのスペースの独立性を確保しながらシームレスな居住空間となることを意図した。
それぞれのエリアは居住スペースも水廻りも等価に扱われ、占める面積も似たようなスケールとなっているが、螺旋状に重なることで必然的に生まれてくる天井高さの違いが、気積に変化をもたらし、それぞれのエリアの性格を特徴づけている。
また、階段の中央には薪ストーブが置かれ、文字通り火を取り囲むようなプランとなっている。
4つのエリアがスキップしてつながり、各スペースからの意識は求心的に内側に向かい、多様なシークエンスを見せる。
南側の庭に面して大きな開口部を設けた主室では軒を深くし、天井の低い食堂ではその視線の高さに合わせた開口部とする。また、北側では大きなハイサイドライトからの採光やプライバシーの確保されたテラスに面した大開口部など、それぞれのボリュームに適した採光が得られるようにコントロールした。
空間を構成する素材は限られたものとし、4つのエリアの床・天井や造作家具、構造壁ではない間仕切壁などはラワンベニヤで仕上げ、それ以外の部分は珪砂を混ぜたペンキ塗というラフな仕上げとして、柔らかく光を吸収するようなプリミティブな素材感を出すことを目指した。
■建築概要
名称:登美ケ丘の住宅
竣工:2017年3月
所在地:奈良市
主要用途:専用住宅
主体構造:木造在来工法
面積:建築面積56.10㎡/延べ床面積96.68㎡
設計:荒谷省午建築研究所
構造:エス・キューブ・アソシエイツ
施工:株式会社創建
写真:小川重雄