SHARE 吉田裕一建築設計事務所による、栃木・宇都宮の住宅「西の宮・HOUSE・D」
吉田裕一建築設計事務所が設計した、栃木・宇都宮の住宅「西の宮・HOUSE・D」です。
敷地は高度成長期に地方都市郊外の山を切り崩して作られた、ひな壇造成地です。周辺には分譲された当時から建っている家もあれば、世代交代で建て替えや改修もしくは新たに移り住んできて建てた家など、古い住宅地であるがゆえの少しいびつな風景が広がっていました。私たちはここに建つ住宅として、そんないびつさを引き受けたかのような住宅がふさわしいのではないかと考えました。
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以下、建築家によるテキストです。
西の宮・HOUSE・D
敷地は高度成長期に地方都市郊外の山を切り崩して作られた、ひな壇造成地です。周辺には分譲された当時から建っている家もあれば、世代交代で建て替えや改修もしくは新たに移り住んできて建てた家など、古い住宅地であるがゆえの少しいびつな風景が広がっていました。私たちはここに建つ住宅として、そんないびつさを引き受けたかのような住宅がふさわしいのではないかと考えました。まず建ち方としては、周辺のように斜路となっている前面道路に対してセットバックして住宅を建てるのではなく、斜路と敷地をつなぐ切り開き部分からまっすぐ敷地を横断するように空白のスペースを取り、西側にボリュームを寄せました。そうすることで前面道路からは離れすぎず街とほどよい距離感を保ち、東側にはささやかながら明るい庭と駐車場を確保でき、北側の隣家に対してはこちらの影を落としすぎず、かつ気持ち良い風の通り抜ける場所ができ、西側には建物が寄っているので不要な西日をコントロールすることができます。その上で西側に寄せたボリュームに対して、頂点の偏心した切妻屋根をかけ、軒の出を変えたり、切り欠いたりして内外の環境に反応しています。内部は長辺いっぱいに広がったワンルームのビッグスペースに対して、寝室、浴室、クローゼットといったスモールスペースを隣り合うように配し、スモールスペースから他の場所へ行くには必ずビッグスペースを通るようになっています。広くて高く明るい場所、狭くて低い落ち着く場所、狭いけど高い高揚感のある場所、など、空気の量を増やしたり減らしたりしながら、塗装、合板、クロス等、それぞれの場所に異なるマテリアルを割り当て、プログラムに関係なくさまざまな居場所をつくりました。1年を通じて寒暖の差が大きい内陸性気候であるこの地域での暮らしに、このいびつさが彩りをあたえます。
■建築概要
所在地:栃木県宇都宮市西の宮
建物規模:平屋建て(一部ロフト有り)
構造:木造(木造在来構法)
敷地面積:256.60㎡
建築面積:91.93㎡
延べ床面積:86.75㎡
設計期間:2016年 7月〜2017年 1月
施工期間:2017年 2月〜2016年 6月
設計:吉田裕一建築設計事務所(吉田裕一、安藤聖)
構造設計:ASD(田畑孝幸、田畠隆志)
不動産コンサル:創造系不動産(高橋寿太郎、須永則明)
施工:株式会社マスケン
写真:長谷川健太