木村浩一 / フォルム・木村浩一建築研究所が設計した、滋賀・大津市の住宅「視線が抜ける家」です。
この住宅は、郊外の幹線道路から入った区画分譲地の中に位置し、間口が狭く奥行のある細長い敷地に計画された。
周辺には、ハウスメーカーや地元の工務店によって建てられた住宅が建ち並んでいる。
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以下、建築家によるテキストです。
視線が抜ける家
この住宅は、郊外の幹線道路から入った区画分譲地の中に位置し、間口が狭く奥行のある細長い敷地に計画された。
周辺には、ハウスメーカーや地元の工務店によって建てられた住宅が建ち並んでいる。
そこで、雑然とした街並みに凛とした存在感を放つ、デザイン性と居心地を両立した住宅を目指した。外部は、プロポーション、窓の配置、素材を慎重に検討したボリュームで構成されており、高さのある窓とオーバーハングのポーチが、垂直・水平ラインを強調し、均質になり過ぎないファザードを創り出している。
エントランスは、ポーチの両サイドに配置し、左右に振り分けた駐車スペースからの利便性を高めた。これにより、道路側からの視線を適度に遮ることができ、プライバシーも確保された。
1階内部では、奥行きのある敷地形状に沿って、エントランスから最奥に配置した洗面室までを一直線の細長い通路で繋いでいる。小上がり、階段、造作家具をリズミカルに配置した通路空間は、日々の生活を潤すフレキシブルなコミュニケーション空間として活用される。
2階は、外からの視線を制御し、内部から外部へと視線が抜けていく解放感のある空間になっている。周囲は建物が近接しているが、北側の道路面では、近景の山の尾根を望むことができる。
そこで、この環境を最大限に活かすため、道路面に天井高のあるリビングを配置し、周囲の風景を切り取る 大きな開口部を設けた。内部に取り込んだ自然の風景と光によって、室内の表情が刻々と変化し、視線の抜けと広がりが生み出される。さらに、艶のある腰壁からの光の映り込みが、目の前に広がる空間をより美しく演出する。
敷地の持っている可能性や特性を検討し、建築家しか持ち得ない感覚を加味することで、印象的な外観の建物の中に心地よい空間が生み出されている。
■建築概要
所在地:滋賀県大津市
主要用途:専用住宅
家族構成:夫婦+子供1人
設計:木村浩一/フォルム・木村浩一建築研究所
施工年:2019年4月
構造:木造軸組
規模:地上2階
敷地面積:125.24㎡
建築面積:53.81㎡
延床面積:112.28㎡
1階:53.81㎡
2階:58.37㎡