SHARE 向山博 / 向山建築設計事務所による、東京・世田谷区の集合住宅「パティオ梅ヶ丘E/パティオ梅ヶ丘W」
向山博 / 向山建築設計事務所が設計した、東京・世田谷区の集合住宅「パティオ梅ヶ丘E/パティオ梅ヶ丘W」です。
木造3階建て16〜30㎡、平均20㎡程の住戸が計26戸はいる共同住宅である。住戸面積が20㎡程の共同住宅の多くは、広さと快適さは比例するかの如く豊かさがないがしろにされてきた。敷地に無理に納めることで住戸と近隣の窓は近く、見合いが生じ、近隣住民と良好な関係が築きづらい。「パティオ梅ヶ丘」ではあえて敷地と建物を分割し、アプローチの余白を向い合せてパティオ(中庭)をつくった。住戸は緑豊かなパティオを囲むように配置されることで豊さを獲得しつつ、隣地へのストレスを低減させた。
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以下、建築家によるテキストです。
木造3階建て16〜30㎡、平均20㎡程の住戸が計26戸はいる共同住宅である。住戸面積が20㎡程の共同住宅の多くは、広さと快適さは比例するかの如く豊かさがないがしろにされてきた。敷地に無理に納めることで住戸と近隣の窓は近く、見合いが生じ、近隣住民と良好な関係が築きづらい。「パティオ梅ヶ丘」ではあえて敷地と建物を分割し、アプローチの余白を向い合せてパティオ(中庭)をつくった。住戸は緑豊かなパティオを囲むように配置されることで豊さを獲得しつつ、隣地へのストレスを低減させた。
向きあう2棟の住戸同士も2棟分の離隔がある上、バルコニーや建物を雁行させたことで、さらに離隔が確保され、視線が制御された。バルコニーや雁行させた建物は外観に陰影を与え、堅牢で彫りの深い豊かな街並みのような表情を創りだしている。外壁の色は日干し煉瓦のような地面の土を連想させる。屋外階段、バルコニーの壁天井まで土の色は連続し、屋外空間がひだ状に建物に入り込む様子が室内外から感じられる。上階住戸にはパティオからアクセスして、スリット状に抜けた階段を上っていく。階段は光や風、その先に見える隣地の緑、空などの自然環境をパティオに届けてくれる。
法的にパティオは各棟1階の長屋の敷地内通路の幅員2m、2,3階の共同住宅の窓先空地の幅員2mを兼ねている。各住戸に避難上有効なバルコニーを設けることなどで準耐火建築物の木造3階建 共同住宅が可能となる。1階住戸の採光のため建物を雁行させているが、無駄な余白を減らすために敷地分割線も建物にあわせて雁行させた。
■建築概要
建物名称:パティオ梅ヶ丘E/パティオ梅ヶ丘W
所在地:東京都世田谷区梅丘
企画:シマダアセットパートナーズ株式会社
設計監理:向山建築設計事務所
施工会社:大九建設株式会社
竣工:2019年5月
敷地面積:E棟179.50㎡(54.29坪) / W棟178.20㎡(53.90坪)
建築面積:E棟107.10㎡(32.39坪) / W棟106.85㎡(32.32坪)
建ペイ率:E棟59.67%<60% / W棟59.96%<60%
延床面積:E棟298.35㎡(90.25坪) / W棟295.97㎡ (89.53坪)
容積率:E棟149.55%<150% / W棟149.66%<150%
構造規模:木造3階建
地域地区:第一種低層住居専用地域、準防火地域、第一種高度地区
撮影:小出薫