佐久間悠 / 建築再構企画が、法適合調査・耐震補強・権利調整・設計を行った、東京・文京区の、既存銭湯の複合施設への改修プロジェクト「宮の湯」です。施設に入居しているギャラリーの公式サイトはこちら。
第二次世界大戦の、戦後復興の必要性から建てられた銭湯を複合施設に用途変更するプロジェクトです。その背景にあるのは、当時施工した工事会社の想いを継承すること建物を取り壊さずに事業性を確保すること、「銭湯らしさ」を残すことでした。
本記事は、作品写真と文章を交互に掲載するエッセイ形式で構成されています。
スクロールしてご覧ください。
第二次世界大戦の、戦後復興の必要性から建てられた銭湯を複合施設に用途変更するプロジェクトです。その背景にあるのは、当時施工した工事会社の想いを継承すること建物を取り壊さずに事業性を確保すること、「銭湯らしさ」を残すことでした。
以下の写真はクリックで拡大します
クライアント・鈴和地所の想いである「銭湯を末永く人に喜んでもらえること」を大切にし銭湯から複合施設への用途変更を行いました。、手を加えるのは用途変更をする上での必要な最低限の整備に留め、その思いを形にすることをハード面からサポートしました。それとともに、法適合調査や耐震補強などを行い、土地所有者との権利調整も行いました。
以下の写真はクリックで拡大します
本建物は、昭和27年に竣工した木造建築の銭湯ですが、年代不明な増築箇所があるなど既存不適格な状態であり、地主との関係で取り壊せない事情がありました。そのため、取り壊さずに事業性を確保することが重要なプロジェクトでした。
以下の写真はクリックで拡大します
今回(耐震補強・用途変更)の改修工事を、新築時に工事を行った施工者である鈴和建設が再び担当した。また、本工事の大工の棟梁は、竣工後の改修工事の担当者であるなど、銭湯「宮の湯」を人々が集まる場として街に残したいというクライアントはじめ関係者の方々の思いを形にすることが重要なプロジェクトでした。
以下の写真はクリックで拡大します
プロジェクトの途中で核テナントであるギャラリーが決定したため、それに合わせて実施設計を行っていますが、「元の銭湯らしさを活かす」というクライアントの思いにテナントも共感し、双方の想いを踏まえて設計しました。
以下の写真はクリックで拡大します
耐震改修/用途変更設計のポイント
・既存の構造形式は浴槽/脱衣場の木造大スパン架構部分と、銭湯のバックヤードとなる窯場と住込み人の下宿部分の在来木造部分に大きく分かれていました。大スパン架構部分は既存の柱の傾斜も大きく木造での補強が困難であったため、鉄骨造の柱・梁架構とブレースを新設することで水平力を負担させました。在来木造部分は基礎コンクリートの増し打ちと、在来木造に構造用合板の耐震壁と筋交いを追加することで対応しました。
・もともと天井高の低かった既存の住込み人の下宿部分の床をコンクリートスラブにて補強することでさらに天井高が低くなることが決まっていました。それならいっそ天井高さを1.4m以下に抑え、法的に階数に算入されないロフト階とすることで、3階建てから2階建てに縮小しました。これにより、耐火規制が緩和されました。
・また、ロフトを設けることで延べ面積も300㎡以下に抑えられ、消防法上の自動火災報知設備の不要な計画としました。
・増築や大規模の模様替えに該当しない、かつ用途変更の確認申請の必要な用途の面積を200㎡以下に抑える範囲での改修としました。
■建築概要
意匠・設備設計:建築再構企画
構造設計:川村構造設計室
植栽設計:en景観設計
施工:鈴和建設
ロゴデザイン:SKG
撮影:山本康平
場所:東京都文京区
竣工:2020年5月
※現在ギャラリー以外のテナントは随時入居募集中のため、入居希望の方はクライアント(鈴和地所(株)TEL:03-6424-5215)まで問合せください。
建材情報種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) | 外装・壁 | 外壁 | 既存外壁(一部デラクリート)の上ジョリパットローラー塗り(アイカ工業)
|
内装・床 | 既存浴槽部分 | 既存タイルまま、一部コンクリート金ゴテ押え
|
内装・床 | 脱衣室部分 | 既存フローリングまま、一部類似フローリングにて復旧同色塗装
|
内装・床 | 窯場床・二階部分床 | ベニヤ下地の上無垢フローリングオーク:ワイルド無垢ナラ(ボード株式会社)
|
内装・壁 | 壁 | 既存内壁のAEP塗装、一部既存タイル張り
|
内装・天井 | 天井 | 既存天井補修の上AEP塗装、天井裏グラスウール24k_t-50敷き込み
|
内装・造作家具 | ギャラリー共用部カウンター | 立上り=既存下駄箱加工、天板=既存窯場足場板t-60加工
|
外構・床 | 床 | 土間コンクリート櫛引き
|
※企業様による建材情報についてのご意見や「PR」のご相談はこちらから
※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません