SHARE 八木佐千子 / NASCA+partnersによる、大阪・寝屋川市の、既存校舎を繋ぐ「同志社香里中学校・高等学校 メディアセンター 繋真館」。既存樹木を生かすことで中庭と共生し、実空間だからこその直接の出会いを尊重した、将来の変化にも対応できる“知の拠点”としてのワンボックス空間
八木佐千子 / NASCA+partnersが設計した、大阪・寝屋川市の、隣接する既存校舎を繋ぐ「同志社香里中学校・高等学校 メディアセンター 繋真館」です。既存樹木を生かすことで中庭と共生し、実空間だからこその直接の出会いを尊重した、将来の変化にも対応できる“知の拠点”としてのワンボックス空間が計画されました。
繋真館(=メディアセンター)は中庭の「香里の森」と共生し、隣接する既存校舎を繋ぐことでできた建築です。
中庭の既存樹木をできるだけ残し、館内のいたるところから窓先には緑を望むことができます。また、既存校舎の壁をリフレクタとし柔らかな間接光として利用することで随所に内外が溶け合う空間が生まれています。この繋真館が事実上ハードもソフトもハブとなって、人々が一日を過ごすキャンパス全体の生活空間を緩やかに繋いでいきます。
ICTやバーチャルな情報伝達が発達し、コミュニケーションツールが急速に変化していく今だからこそ、中学校・高校生の生徒たちには人と人が直接出会い、直に啓発されることの意義は重要だと思います。登下校時に通り抜けに利用した生徒が、特別な目的がなくてもここを訪れ、思い思いの時を過ごし、各々が、お気に入りの居場所を見つけ出し、自分自身の将来や夢を発見する場となることを期待しています。
メディアセンターは時代とともに社会や教育環境の要請に応えて質的にも量的にも大きく変化します。ここでは、時間や季節に応じて変化を楽しめる将来可変可能なワンボックス空間をつくり、その都度ニーズに応じたしつらえを家具でつくることで将来の教育空間に柔軟に対応します。
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以下、建築家によるテキストです。
■つなぐ(繋ぐ)
繋真館(=メディアセンター)は中庭の「香里の森」と共生し、隣接する既存校舎を繋ぐことでできた建築です。
ここは生活、交流の十字路として生徒や教職員たちが日常に出会い、様々なもの、自然、光、風、時間、空間、風景、本、メディアなどに遭遇できる生活の舞台としての学校空間の中心を担います。
中庭の既存樹木をできるだけ残し、館内のいたるところから窓先には緑を望むことができます。また、既存校舎の壁をリフレクタとし柔らかな間接光として利用することで随所に内外が溶け合う空間が生まれています。この繋真館が事実上ハードもソフトもハブとなって、人々が一日を過ごすキャンパス全体の生活空間を緩やかに繋いでいきます。
ICTやバーチャルな情報伝達が発達し、コミュニケーションツールが急速に変化していく今だからこそ、中学校・高校生の生徒たちには人と人が直接出会い、直に啓発されることの意義は重要だと思います。登下校時に通り抜けに利用した生徒が、特別な目的がなくてもここを訪れ、思い思いの時を過ごし、各々が、お気に入りの居場所を見つけ出し、自分自身の将来や夢を発見する場となることを期待しています。
■全ての場所が「知の拠点」となるワンボックス
これからの図書室はただ本を読むための場所ではなく「学習」「研究」「発表」「交流」「鑑賞」「創作」の場となります。これらが全館にシャッフルされ全ての場所が開かれた「知の拠点」となりうる計画です。
メディアセンターは時代とともに社会や教育環境の要請に応えて質的にも量的にも大きく変化します。ここでは、時間や季節に応じて変化を楽しめる将来可変可能なワンボックス空間をつくり、その都度ニーズに応じたしつらえを家具でつくることで将来の教育空間に柔軟に対応します。
■建築概要
発注者:学校法人同志社 理事長 八田英二
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建設運営:同志社香里中学校・高等学校 建設委員会
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設計監理:八木佐千子/NASCA+partners
総括・意匠
設計:八木佐千子 上垣内伸一 後藤直也 笹尾徹 忍足知彦 金城杏璃
監理:八木佐千子 金城杏璃
構造設計監理:満田衛資構造計画研究所 満田衛資 江畑和弘
設備設計監理:阪田設備事務所 阪田浩一
空調設備計画アドバイザー:高間三郎 渡辺忍
照明デザイン:S. L. D. A 澤田隆一 牧角苑佳
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施工:竹中工務店大阪本店
中野達男 中川英樹 大崎博司 諌山開 諸岡俊祐 鶴田良一 松本徹也 田中伸和
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所在地:大阪府寝屋川市三井南町15-1
主要用途:中学・高等学校 図書室
主体構造:鉄骨造一部鉄筋コンクリート造
敷地面積:79,910.95㎡
建築面積:1,440.41㎡
延床面積:877.48㎡ (今回増築を含む一棟扱いの合計延床面積21,977.16m2)
階数:地上2階
地域地区:第一種中高層住居専用地域/第一種住居地域/準防火地域
道路幅員:9.270m
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設計者選定プロポーザル:2018年4月~6月
設計期間:2018年9月~2020年2月
施工期間:2020年3月~2021年4月
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施設概要
席数:
閲覧ハイカウンター 36席
自習コーナー 19席
レファレンスカウンター 2席
ラーニングコモンズ 48席
メディアラウンジ 48席
収蔵能力:
開架書庫 58,000冊
閉架書庫 12,000冊
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撮影:淺川敏
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
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外装・床 | 外部デッキ床 | |
外装・壁 | 外壁 | St銅縁下地+金属断熱サンドイッチパネル[ヨドファインパネルHypert=35](淀川製鋼所) |
外装・屋根 | 屋根 | 歩行部分:RC+超速硬化ウレタン防水[クイックスプレー](ダイフレックス)+断熱材+シンダーコン金ゴテ仕上(防滑のため刷毛引き仕上) |
外装・その他 | 柱 | |
外装・建具 | 外部建具 | アルミサッシュ:ARM-S MTG、ブレス[アルミ横軸回転自然換気窓](三協立山アルミ) |
内装・床 | ライブラリー床 | |
内装・壁 | ライブラリー壁 | GB-R+EP |
内装・天井 | ライブラリー天井 | RC打放し+水性アクリルシリコン樹脂クリア塗装[アクアプリズム](関西ペイント) |
内装・建具 | ライブラリー建具 | |
内装・造作家具 | ライブラリー製作家具 | 赤松集成材 |
内装・床 | 風除室床 | |
内装・壁 | 風除室壁 | Stパネル(t=1.6)+焼付塗装(製作:トロイム) |
内装・天井 | 風除室天井 | GB-R+DR |
内装・床 | インフォメーション床 | OAフロア+タイルカーペット |
内装・壁 | インフォメーション壁 | RC打ち放し、FGBの上一部マグネット塗装[マグネットペイント](ターナー)+内装用水性特殊多彩意匠仕上[ニッペパーフェクトインテリアEMO フロー樹氷](日本ペイント) |
内装・天井 | インフォメーション天井 | GB-R+DR |
内装・床 | スタッフルーム床 | タイルカーペット |
内装・壁 | スタッフルーム壁 | FGB+EP |
内装・天井 | スタッフルーム天井 | RC打放し+水性アクリルシリコン樹脂クリア塗装[アクアプリズム](関西ペイント) |
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※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません
Doshisha Kori junior high school・high school Media Center- Keishinkan
■Connecting
KEISHINKAN (=Media Center) is a building that coexists with the courtyard’s “Kori no mori” and connects the adjacent existing school buildings.
This place is the crossroads of life and social interaction where students and faculty meet everyday. It takes on the central role of the school space as a stage of life where one can encounter various things such as nature, light, wind, time, space, scenery, books, media, etc. Keeping the existing trees in the courtyard as much as possible, one can see the greenery from anywhere inside the building. In addition, using the existing school building walls as reflectors for soft indirect light a space that blends the inside and outside is created. This KEISHINKAN will in effect become the hub for both hardware and software, and a living space, where people spend their days, that will gently connect the entire campus.
Because now the ICT and virtual information transmission are developing and communication tools are changing rapidly, I think it is essental for middle and high schoolers to meet and develop with people directly. I hope it becomes a place where students passing through when going to and from school visit without a special purpose, spending time as they like, each one finding their own favorite place, discovering their own future and dreams.
■One box for all ‘knowledge base’ places
From now on the library will be not just a place for reading books but also a place for ‘study’, ‘research’, ‘interaction’, ‘appreciation’ and ‘creation’. It is a plan where all open spaces shuffled throughout the building can become ‘knowledge base’ places.
Media centers change greatly both qualitatively and quantitatively with the times in response to the demand of society and educational environment. Here we will create a flexible ‘one box’ space where you can enjoy the changes according to time and season and make furniture that meets the needs of each time to be able adapt to future educational spaces.
Client: The Doshisha School juridical Person
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Architect: Sachiko Yagi/NASCA+partners
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Structural Design: Mitsuda Structural Consultants
Mechanical engineering: Saburo Takama Shinobu Watanabe
Equipment Planning: Sakata Equipment Office
Lighting Consultant: S.L.D.A
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Contractor: architecture: Takenaka Corporation
Farniture: CELIA
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Location: Neyagawa city,Osaka,Japan
Main use: Library in junior high school・high school
Main structure: Steel frame and Reinforced concrete construction
Site area: 79,910.95㎡
Built area: 1,440.41㎡
Total floor area: 877.48㎡
Number of foors: 2 aboveground floors
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Design period (competition): – February-June 2018
Design period: September 2018 – February 2020
Construction period: March 2020 – April 2021
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Photo: Satoshi Asakawa