園田慎二 / SSAが設計した、群馬・高崎市の二世帯住宅「T / K邸」です。物の多い賑やかな生活の想定に、予めの計画で空間の質が決定的になるのではない、彩色建具等の細やかな設計が集積し家具類と連なり部屋内に充満し一体となる建築が目指されました。
群馬県高崎市にて計画した2世帯住宅である。
敷地向かいに広がる稲穂と連続して緑が広がるように、まとまった庭を南側に設けた。親子両世帯は、この庭に沿って並んで配置される。各世帯が庭を眺めることはできるが、各々の世帯は見合うことがない配置関係によって、常にお互いの生活が意識されてしまうのではなく、選択的につながることができる。同時に、庭は両世帯が共有する景色となる。庭を介して繋がる関係性が、世帯を結ぶ距離感として丁度良いと考えた。
このようなプランニングと併せて、各部屋の空間の彩りといったことも重要なテーマとなった。部屋に持ち込まれる家具や飾られるモノも多く、賑やかな生活空間が想定されていた。なので、あらかじめの建築計画で空間の質が決定的になるのではなく、細やかな設計が集積し、それらが家具と連なり、部屋の中に充満し建築と一体となった、まぜこぜの状態をつくることを思い描いた。
いくつもの色に塗られた建具や、装飾的な図柄のタイルを空間の各所にちりばめた。色は建具から棚板や家具へと、その塗られる箇所を増やし、色が空間の中に増殖していく。タイルの絵柄に見えてくる図形を抽出し、洗面所の鏡の輪郭や、三角形の小窓や手摺断面の形状に転用する。結果、バラバラとしたモノ決めの断片のようなものが集まった空間になった。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
群馬県高崎市にて計画した2世帯住宅である。
敷地向かいに広がる稲穂と連続して緑が広がるように、まとまった庭を南側に設けた。親子両世帯は、この庭に沿って並んで配置される。各世帯が庭を眺めることはできるが、各々の世帯は見合うことがない配置関係によって、常にお互いの生活が意識されてしまうのではなく、選択的につながることができる。同時に、庭は両世帯が共有する景色となる。庭を介して繋がる関係性が、世帯を結ぶ距離感として丁度良いと考えた。
このようなプランニングと併せて、各部屋の空間の彩りといったことも重要なテーマとなった。部屋に持ち込まれる家具や飾られるモノも多く、賑やかな生活空間が想定されていた。なので、あらかじめの建築計画で空間の質が決定的になるのではなく、細やかな設計が集積し、それらが家具と連なり、部屋の中に充満し建築と一体となった、まぜこぜの状態をつくることを思い描いた。
いくつもの色に塗られた建具や、装飾的な図柄のタイルを空間の各所にちりばめた。色は建具から棚板や家具へと、その塗られる箇所を増やし、色が空間の中に増殖していく。タイルの絵柄に見えてくる図形を抽出し、洗面所の鏡の輪郭や、三角形の小窓や手摺断面の形状に転用する。結果、バラバラとしたモノ決めの断片のようなものが集まった空間になった。
それらは、生活の側から持ち込まれる家具や食器、部屋を飾る絵画やオブジェといった、非建築な、でも空間の質感をしっかりと作り上げるモノと混じり合い、どこからが建物で、どこからがモノなのか定まらない宙に浮いた状態を作り上げる。
窓の障子や棚に加えたオレンジやサファイアブルー色の色ガラスは、外光を受けて鮮やかな色彩を空間の中に落とす。季節や時刻、天候に応じて、その様子は変化し、空間の中を掻き乱す。アクリルゴールドミラーの天井飾りは、光の図形として外光を室内へ反射させる。これらの、透過する光や、フィルタリングされた像、反射した像が、より一層、空間の見え方を撹拌する。
そのような、建物と家具やモノがそれら属性を超えて、色や図像として軽やかに漂うような状況。それは、表層的で装飾的で現象的な、そのような物事の混成品のような空間とも言えるかもしれない。
■建築概要
作品名:T / K邸
所在地:群馬県高崎市
主要用途:専用住宅(2世帯)
家族構成:
親世帯/夫婦
子世帯/夫婦+子ども1人
設計・デザイン監修:園田慎二建築設計事務所
設計施工:四季の住まい株式会社
設計協力:DN-Archi (構造検討)
構造・構法
主体構造・構法:木造在来工法
基礎:べた基礎
───
規模
階数:地上2階
軒高:6,560mm
最高高さ:9,295mm
敷地面積:738.68㎡
建築面積:233.10㎡
延床面積:294.66㎡
───
工程
設計期間:2018年12月~2019年12月
工事期間:2020年1月~2020年11月
外構植栽工事期間:2021年1月~2021年6月
写真:木暮伸也、園田慎二建築設計事務所