SHARE フォルム・木村浩一建築研究所による「普通の家」
photo©MOVE
フォルム・木村浩一建築研究所が設計した滋賀県大津市の住宅「普通の家」です。
以下、建築家によるテキストです。
『普通の家』
新興住宅街に建つ住宅である。
区画された敷地に際立った特徴があるわけではなく、周りの住宅の大半がハウスメーカーによって建てられている。
このような状況に出くわすと、現実を否応なく意識させられる。
多くの人は住宅に特別なものを望んでいるわけではなく、「普通」の敷地に「普通」の住宅を建てること求めているのではないか、と。
この社会状況の中で建築家はどのように振る舞えば良いのか。私なりの答えがこの住宅に込められている。
外部は、シンプルなヴォリュームに既製サッシをレイアウトしたものとしている。
特別な素材や特注サッシを使わないことは、コストを抑えるという側面もあるが、
周囲の環境にこの住宅を馴染ませるためという意味合いもある。
但しプロポーションや窓の配置などは慎重に検討し決定している。
結果として周囲と馴染みながらも、この住宅にしかない特別な感覚を外観に与えることができたと思う。
外部のシンプルさとは異なり、内部では生活の豊かさを実現するため様々な試みを行っている。
「普通」の感覚をベースとし、そこに建築家しか持ちえない感覚を加味し、良質な住宅を作ること。
それが、現代社会における建築家の信頼につながり、建築家の活動する場所を広げることになるのではないだろうか。
■建築概要
設計;フォルム・木村浩一建築研究所
所在地;滋賀県大津市
構造・規模;木造・地上2階
敷地面積:127.8m2
延床面積:102.67m2