SHARE 今治市伊東豊雄建築ミュージアムでの展覧会「日本一美しい島・大三島をつくろうプロジェクト2014」の会場写真
photo©中村絵
今治市伊東豊雄建築ミュージアムでの展覧会「日本一美しい島・大三島をつくろうプロジェクト2014」の会場写真です。会期は、2015年6月14日まで。展示に合わせて様々なイベントも企画されています。
大三島には13の集落があります。今でこそ陸路が整備され、集落間の往来は容易になりましたが、かつては海上交通が中心で、島内よりも周辺の島々との交易が盛んだったこと、また、海や山の間の限られた土地に集落を築いてきた結果、集落ごとに少しずつ異なる文化や生活習慣が形成されてきました。本展では、13の集落の紹介に始まり、プロジェクトルームでは「盛」「瀬戸」「宮浦」「宗方」の4つの集落における“人びとが集える小さな場所”を提案します。集落に点在する空き家など、現存の建物を生かしながら、島内外の人びとがゆるやかに交わる場所づくりを考えます。
以下、伊東豊雄による展示についてのテキストです。
瀬戸内の美しい多島海の中央に位置する大三島は、人口約6,300人を有する、瀬戸内海で5番目に大きな島です。温暖な気候に恵まれ、みかんを中心とした農業が盛んで、冬から春にかけては様々な種類の柑橘が景色を彩ります。また、島の中心部には日本総鎮守と呼ばれる大山祇神社が鎮座し、歴史ある「神の島」としても知られています。
この地に日本初の建築ミュージアムとして開館した今治市伊東豊雄建築ミュージアムでは、2014年7月26日より開館3周年を記念した展覧会「日本一美しい島・大三島をつくろうプロジェクト」を開催します。私が塾長を務める伊東建築塾の塾生有志が、2012年より取り組んできた「日本一美しい島・大三島で暮らすプロジェクト」をベースに、新たな提案をいたします。
私たちは、これまで幾度も大三島に足を運び、島の歴史や民俗についての調査を行い、住民との対話を重ねる中で、海と山に囲まれた美しい風景、潮風を浴びて育った柑橘、そして自然に抗わない人びとの暮らしに魅了されてきました。島に住む多くの人は、「ないものを求めるのではなく、あるものを生かす」という理念を持っています。太陽と海の恵みを享受しながら長い歴史を刻んできたこの島には、利便性を追いがちな都会にはない豊かな風土が、今もなお脈々と受け継がれています。
本展では、これまでの常設展示を全面的にリニューアルし、島の景色や人びとの営みを伝える写真や映像と共に、「日本一美しい島・大三島」をつくるためのプロセスを展示します。今後、長期的に取り組んでいくプロジェクトの幕開けとなる今年度は、大三島の魅力を最大限に引き出すための提案を示し、島に暮らす人びとと共に大三島の将来像を考えます。
伊東豊雄
■展覧会概要
今治市伊東豊雄建築ミュージアム開館3周年記念展日本一美しい島・大三島をつくろうプロジェクト2014
2014年7月26日(土)〜2015年6月14日(日)