SHARE 宮晶子による、埼玉・深谷の食堂「食堂の壁|wall behavior」
宮晶子 / miya akiko architecture atelierが設計した、埼玉・深谷の食堂「食堂の壁|wall behavior」です。店舗の情報ページはこちらにあります。
「森の中、大きな倒木の中に分け入ったような包まれた安心感、奥へ奥へと進むと差し込む緑の光。倒木の周りには光が注ぎ若木の芽が育ち始める。」
埼玉県深谷市のロードサイドに設計した20席ほどの小さな食堂。「那須の山荘」を見て依頼してくださったオーナーシェフは、田園風景の残るその場所に山荘のイメージを重ねて上述のように語ってくださいました。
食堂ではしかし、住宅(山荘)のように自由に動きまわりながら自分の居場所を探すことができません。そこで、ここではテーブルごとに違った時間が流れるように、壁を異なる角度と大きさとし、内部では日中の直射をテーブルに落とさず、外部では車で通りすぎる際に建物を通して北側の田園風景へ視線が抜ける位置を探していきました。
壁の端部は在来工法の910mmグリッドにのせ、1スパンまたはその対角スパンの2種類の隙間を保つルールを隠しもち、わずかに傾斜させた屋根がパースを内外に揺らがせながら、簇生する壁をつかみどころない固まりとしていきます。バウムクーヘンに蜂蜜をコーティングしたように、ラーチ合板にFRP防水を施した木の固まりは道端に無造作に佇み、中に分け入れば、人々のざわめきに包まれて、席につけば木立のような風景が壁の先に見えてきます。
以下の写真はクリックで拡大します
■建築概要
所在地:埼玉県深谷市
設計:宮晶子/miya akiko architecture atelier
構造:Alan Burden/Structured Environment
設備:柿沼整三/ZO設計室
施工:藤建設工房
竣工:2014年3月
建築面積:101.86㎡
延床面積:120.67㎡
主な仕上げ
外壁:ラーチ構造用合板サンダー掛け FRP防水 ウレタントップコート
内壁・天井:ラーチ構造用合板サンダー掛け オスモフロアクリアーナチュラル
床:システムラーチフローリング オスモフロアクリアーナチュラル
撮影:新建築社写真部,橋本純
店舗情報:黒んぼ食堂
( https://tabelog.com/saitama/A1105/A110503/11016099/ )