SHARE 大村聡一朗+中村園香 / OHMURA NAKAMURA ATELIERによる、埼玉・さいたま市の住宅「三室の家 / 対の器」
大村聡一朗+中村園香 / OHMURA NAKAMURA ATELIERが設計した、埼玉・さいたま市の住宅「三室の家 / 対の器」です。
大村はアーキテクテン・デ・ヴィルダー・ヴィンク・タユーでの勤務経験を持ち、東京理科大学坂牛研究室助手も務める建築家。中村は東京理科大学坂牛研究室卒業後、チリのマックス・ヌニェス・アルキテクトスに勤務する建築家。
この住宅の原型は長辺5.5m、短辺5.0mである二つの長方形平面の7寸勾配の家型が25.7度の角度で接合した形である。それぞれの二つの家型の中心に柱が置かれている。そして、それぞれの家型の端には間仕切りによって分割可能な室を設けている。駐輪スペース、アプローチに必要な庇を設けるために南東側の壁は後退し、倉庫を設けるために北西の壁の一部は外側へと伸びる。内部空間には、この二つの家型と相似形を持つ太陽光で満たされた天井の低い細長い空間と、主室に対して閉ざされた個室、風呂場、便所が矩形の箱として付与される。
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以下、建築家によるテキストです。
さいたま市の住宅街の敷地に建つ小さな平屋の住宅である。この住宅は4人家族が状況に応じて住み変わることになっており、想定する住民は1~3人と流動的である。最終的には夫婦の終の住処になることも想定している。そのような状況の施主の要望はおおまかに次のようなものだった。
まず、老後のことを考えて平屋にしてほしいということ。次に3人が眠れる場所を設けること、そのうち1つは完全に閉ざされた場所にしてほしいということ。倉庫を一室設けること。日当たりの良い場所を設けること。駐輪スペース、小さな駐車スペースを設けること。
このような条件で設計を行うことになった。住まう人数が流動的なこと、そして平屋で15坪ということもあり、可能な限り一室空間とし、間仕切りによって室を分割可能な構成とした。
この住宅の原型は長辺5.5m、短辺5.0mである二つの長方形平面の7寸勾配の家型が25.7度の角度で接合した形である。それぞれの二つの家型の中心に柱が置かれている。そして、それぞれの家型の端には間仕切りによって分割可能な室を設けている。駐輪スペース、アプローチに必要な庇を設けるために南東側の壁は後退し、倉庫を設けるために北西の壁の一部は外側へと伸びる。内部空間には、この二つの家型と相似形を持つ太陽光で満たされた天井の低い細長い空間と、主室に対して閉ざされた個室、風呂場、便所が矩形の箱として付与される。
二つの家型が角度を振って接合していることは、この台形敷地の環境に対応する。この台形敷地そのものは二つの環境の狭間に存在していることを意味しており、敷地の北西側と北東側に広がる建物は南東側と南西側に広がる建物とは異なる軸線の上に建っている。よって、一方の家型は表の環境に対峙し、他方の家型は裏の環境に対峙する。
この世界に、当たり前に何処にでも存在している、これらの些細な事物に対して各々に形を与えた。その結果として、事物同士は時には曖昧に交わり、時には事物同士にズレが生じる。それぞれの事物と環境との意味の結びつきが弱まり、事物や空間そのものが見慣れないものとして人々の意識に現れてくることを期待する。
■建築概要
作品タイトル:三室の家 / 対の器
設計:大村聡一朗+中村園香 / OHMURA NAKAMURA ATELIER
施工:山口工務店
構造設計:足立徹郎構造設計事務所
主要用途:専用住宅
竣工年月:2020年2月
構造:木造
階数:地上1階
敷地面積:115.66㎡
建築面積:49.559㎡
延べ床面積:48.920㎡
住所:埼玉県さいたま市
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・壁 | 外壁 | |
外装・屋根 | 屋根 | ガルバリウム鋼板t=0.4立平葺 X819 マットシルバー(日新製鋼建材) |
内装・床 | フローリング箇所 | |
内装・床 | カーペット箇所 | |
内装・床 | キッチン床 | |
内装・壁 | MAIN ROOM他 | |
内装・壁 | ENTRANCE他 | |
内装・天井 | MAIN ROOM他 | |
内装・天井 | ENTRANCE他 |
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大村聡一朗
現在、東京理科大学坂牛研究室助手。
2020年、東京理科大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程単位取得満期退学。(篠原一男に関する博士論文を執筆し、現在審査段階。)
2015年、ベルギーの設計事務所architecten de vylder vinck taillieuに勤務。
1990年生まれ(現在30歳)。
中村園香
現在、チリの設計事務所Max Núñez Arquitectosに勤務。
2016-18年、アーキヴィジョン 広谷スタジオ 勤務
2018年、東京理科大学工学部第二部建築学科坂牛研究室卒業。
1990年生まれ(現在29歳)。