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末光弘和+末光陽子 / SUEP.による、ギャラリー・間での建築展「自然を受け入れるかたち」の予告動画

末光弘和+末光陽子 / SUEP.による、TOTOギャラリー・間での建築展「自然を受け入れるかたち」の予告動画が公開されています。会期は、2022年6月8日(水)~9月11日(日)。

以下、展覧会公式の概要です。

SUEP.の特徴は、建築を地球環境における生命活動を促す媒体として位置づけようとする思想にあります。
彼らは地勢、水脈、植生、生態系などに着目し、自然環境にある風・熱・水などの働きをシミュレーションして設計の起点とすることで、建築を媒介した資源の循環システムを構築しています。自然に対して建築が寛容なアプローチをすることで、自然の恵みを得るとともに、それが持続できる社会を目指しています。また建物の居住性能を上げるという機能面はもちろん、住まう人、使う人たち、地域の人たちが、その循環の一員として参加する喜びを分かち合えることも大切にしています。

本展のタイトル「Harvest in Architecture」には、私たちが日々地球の恵みを受け取れることへの感謝と、それを継続するために行う努力への決意が込められています。展覧会では、彼らが行ってきたリサーチや検証と、それらがどのようなかたちで建築の循環システムに結実してきたかが明かされます。

彼らの取り組みは、建築が地球とつながり、未来を拓くためのチャレンジの連続といえます。人間が地球の恵みを一方的に搾取するのではなく、自然との共生により豊かな恵みが続いていく、そのために建築家として果たすべき役割は何か。本展覧会を通して、彼らの思考と試行の全貌をご覧いただきます。

大西麻貴+百田有希 / o+hによる、山形市の児童遊戯施設「シェルターインクルーシブプレイス コパル」の完成見学会が開催。加えて、設計者や館長が参加する特別座談会もオンラインで公開
大西麻貴+百田有希 / o+hによる、山形市の児童遊戯施設「シェルターインクルーシブプレイス コパル」の完成見学会が開催。加えて、設計者や館長が参加する特別座談会もオンラインで公開外観写真
大西麻貴+百田有希 / o+hによる、山形市の児童遊戯施設「シェルターインクルーシブプレイス コパル」の完成見学会が開催。加えて、設計者や館長が参加する特別座談会もオンラインで公開特別座談会の参加者

大西麻貴+百田有希 / o+hが設計した、山形市の児童遊戯施設「シェルターインクルーシブプレイス コパル」の完成見学会がシェルターの主催で開催されます。開催日は2022年6月14日(火)と7月12日(火)参加費は無料で、要事前申し込み(※締切は、各開催日の1週間前)。
また、設計者や館長が参加する特別座談会もオンラインで公開されます(※特別座談会ご視聴のみのお申込みも可能)。参加の申込はこちらからどうぞ。【ap・ad】

山形市内にオープンしたシェルターインクルーシブプレイスコパル(山形市南部児童遊戯施設)の完成見学会を開催致します。

美しい山並みに呼応する雲のような屋根が特徴的な本施設は、「障がいの有無や、人種、言語、家庭環境に関わらず、多様な個性や背景を持った全ての子どもたちの遊びと学びの場」という基本方針を持つ、全国的にも事例の少ないインクルーシブ施設です。

この機会に是非ご覧下さい。

以下に、建物の写真も掲載します

藤原徹平が総合ディレクションを、フジワラボが会場構成を手掛けた「Gマークの住まいデザイン」展の会場写真。グッドデザイン賞を受賞した住宅の中から、“個からのアクション・希求”等の独自の四つの視点に沿って28作品を選出し展示、模型や図面等も多数
藤原徹平が総合ディレクションを、フジワラボが会場構成を手掛けた「Gマークの住まいデザイン」展の会場写真。グッドデザイン賞を受賞した住宅の中から、“個からのアクション・希求”等の独自の四つの視点に沿って28作品を選出し展示、模型や図面等も多数木村松本建築設計事務所による「houseS / shopB」 photo©architecturephoto
藤原徹平が総合ディレクションを、フジワラボが会場構成を手掛けた「Gマークの住まいデザイン」展の会場写真。グッドデザイン賞を受賞した住宅の中から、“個からのアクション・希求”等の独自の四つの視点に沿って28作品を選出し展示、模型や図面等も多数松浦荘太建築設計事務所による「住居と園庭」 photo©architecturephoto
藤原徹平が総合ディレクションを、フジワラボが会場構成を手掛けた「Gマークの住まいデザイン」展の会場写真。グッドデザイン賞を受賞した住宅の中から、“個からのアクション・希求”等の独自の四つの視点に沿って28作品を選出し展示、模型や図面等も多数沖田による「風花山本」 photo©architecturephoto
藤原徹平が総合ディレクションを、フジワラボが会場構成を手掛けた「Gマークの住まいデザイン」展の会場写真。グッドデザイン賞を受賞した住宅の中から、“個からのアクション・希求”等の独自の四つの視点に沿って28作品を選出し展示、模型や図面等も多数ワークヴィジョンズ+竹味佑人建築設計室+黒岩構造設計事ム所による「神水公衆浴場」 photo©architecturephoto

藤原徹平が総合ディレクションを、フジワラテッペイアーキテクツラボが会場構成を手掛けた「Gマークの住まいデザイン」展の会場写真です。
グッドデザイン賞を受賞した住宅の中から、“個からのアクション・希求”等の独自の四つの視点に沿って28作品を選出し展示、模型や図面等も多数閲覧可能です。会場は、東京ミッドタウン・デザインハブです。会期は、2022年4月7日(木)~6月12日(日)11:00-19:00 会期中無休・入場無料。

藤原徹平によるメッセージ

グッドデザイン賞を住宅が初めて受賞してから32年になります。

その後グッドデザイン賞に住宅部門ができ、ものとしての住宅、つまり建物の性能や品質や空間についてのさまざまなチャレンジを社会的に評価し、その試みを推進してきました。

近年では、ものとしての住宅ということにとどまらず、住宅という対象を通じて、私たちがどう生き、どう暮らすのか、未来の住まい方に向けてその本質的な問題を提起するプロジェクトが増えてきました。

これらの素晴らしいチャレンジをグッドデザイン賞から振り返り、未来への道標として社会へ紹介するとともに、そのチャレンジの担い手たちの交流・応答・思考の場として、この展覧会を実施することになりました。

建築家が遊具等のデザインを手掛けた「PLAY EARTH PARK」の会場写真。中村竜治・noiz・大野友資・Sawada Hashimura・山田紗子・佐藤研吾・platが参加して東京ミッドタウンで開催
建築家が遊具等のデザインを手掛けた「PLAY EARTH PARK」の会場写真。中村竜治・noiz・大野友資・Sawada Hashimura・山田紗子・佐藤研吾・platが参加して東京ミッドタウンで開催中村竜治建築設計事務所による「風の遊具」 photo©architecturephoto
建築家が遊具等のデザインを手掛けた「PLAY EARTH PARK」の会場写真。中村竜治・noiz・大野友資・Sawada Hashimura・山田紗子・佐藤研吾・platが参加して東京ミッドタウンで開催noizによる「火の遊具」 photo©architecturephoto
建築家が遊具等のデザインを手掛けた「PLAY EARTH PARK」の会場写真。中村竜治・noiz・大野友資・Sawada Hashimura・山田紗子・佐藤研吾・platが参加して東京ミッドタウンで開催大野友資 / DOMINO ARCHITECTSによる「空の遊具」 photo©architecturephoto

建築家が遊具等のデザインを手掛けた「PLAY EARTH PARK」の会場写真です。中村竜治noiz大野友資Sawada Hashimura山田紗子が、地球を構成する5つのエレメントをテーマに、それぞれ遊具をデザインしています。また、会場に設置されるベンチのデザインを佐藤研吾、インフォメーションセンターのデザインをplatが手掛けています。会場は、東京ミッドタウン芝生広場で、開催期間は、2022年4月23日~5月29日。参加費は無料です。イベントの公式ページはこちら


東京ミッドタウンの芝生広場で、イベント「PLAY EARTH PARK」が始まる。
主に子ども達を対象にしたもので、そのコンセプトは「未来を担う子どもたちに、地球の持つ不思議なテクノロジーに触れ、自然とのつながりを深める体験の場」。その趣旨を具現化すべく7組の建築家が選ばれた。

会場には、彼らがデザインした遊具、ベンチ、インフォメーションセンターが配置されており、自由に遊ぶことができる。遊具のデザインを手掛けたのは、中村竜治・noiz・大野友資・Sawada Hashimura・山田紗子の5組の建築家で、佐藤研吾が会場内のベンチを、platがインフォメーションセンターを手掛けている。

建築家がデザインした遊具のテーマになっているのは、地球を構成する5つのエレメント「地」・「水」・「火」・「風」・「空」である。これは、本イベントを主催するゴールドウインが掲げる「PLAY EARTH(地球と遊ぶ)」から導かれたもので、プリミティブな遊びをつくりだすという意図も込められている。


各建築家による作品の写真は以下に掲載します。

TAKT PROJECTによる、静岡・浜松市の、イベント会場構成「SOUND DESIGN FESTIVAL in Hamamatsu 2021」。ユネスコ音楽都市である同市の企画展の為にデザイン、“音”特有の物理的特徴に着目して糸電話で空間を構成、最長30mの42本の糸が空中に幾何的模様を描き来場者を迎える風景をつくる
TAKT PROJECTによる、静岡・浜松市の、イベント会場構成「SOUND DESIGN FESTIVAL in Hamamatsu 2021」。ユネスコ音楽都市である同市の企画展の為にデザイン、“音”特有の物理的特徴に着目して糸電話で空間を構成、最長30mの42本の糸が空中に幾何的模様を描き来場者を迎える風景をつくる photo©大木大輔
TAKT PROJECTによる、静岡・浜松市の、イベント会場構成「SOUND DESIGN FESTIVAL in Hamamatsu 2021」。ユネスコ音楽都市である同市の企画展の為にデザイン、“音”特有の物理的特徴に着目して糸電話で空間を構成、最長30mの42本の糸が空中に幾何的模様を描き来場者を迎える風景をつくる photo©大木大輔
TAKT PROJECTによる、静岡・浜松市の、イベント会場構成「SOUND DESIGN FESTIVAL in Hamamatsu 2021」。ユネスコ音楽都市である同市の企画展の為にデザイン、“音”特有の物理的特徴に着目して糸電話で空間を構成、最長30mの42本の糸が空中に幾何的模様を描き来場者を迎える風景をつくる photo©大木大輔

TAKT PROJECTによる、静岡・浜松市の、イベント会場構成「SOUND DESIGN FESTIVAL in Hamamatsu 2021」です。ユネスコ音楽都市である同市の企画展の為にデザイン、“音”特有の物理的特徴に着目して糸電話で空間を構成、最長30mの42本の糸が空中に幾何的模様を描き来場者を迎える風景をつくる事が意図されました。展覧会の公式サイトはこちら(会期は終了しています)。

ユネスコ音楽都市である浜松市のイベント「SOUND DESIGN FESTIVAL in Hamamatsu 2021」の会場構成を担当した。

楽器・音楽の街として知られる浜松市は、2014年12月にユネスコ創造都市ネットワークの音楽分野へ加盟している。これを契機に、音の多様性と創造性の新たな可能性を求め「サウンドデザイン」の可能性に着目した活動を行ってきた。その活動の象徴が「SOUND DESIGN FESTIVAL」である。

建築家によるテキストより

2021年のテーマは“音と創るコミュニケーションのカタチ”である。
一見、コミュニケーションは可視化されない事の様だが、「音」のコミュニケーションには、フィジカルな媒介の振動が必ず伴う。同じくフィジカルな展覧会の意味を最大化するため、この「音」特有の物理的な特徴に着目し、糸電話で構成する空間を考えた。

会場を円状に囲む7つの階段什器を用意し、最上階に6つずつ糸電話を設置した。それぞれの糸電話をつなぐ最長30mにもなるカラフルな糸は、展示会場のルーフとして幾何的な模様を空中に描き、来場者を迎えるカラフルな風景となっている。

建築家によるテキストより

音を楽しむ人々の様々な風景が、糸電話で生まれた円状の会場構成によって、さながらアリーナの様な雰囲気で1つになっていく。
それはまさに“音と創るコミュニケーションのカタチ”が空間化したものであり、「音の伝搬」で創られた空間である。

建築家によるテキストより
佐藤研吾による、“ときの忘れもの”での建築展「群空洞と囲い」の会場写真 / 石村大輔によるレビュー「見たことのないカタチの捉え方」。現場に滞在しての建築施工等のアプローチで知られる建築家の彫刻作品等を展示
佐藤研吾による、“ときの忘れもの”での建築展「群空洞と囲い」の会場写真 / 石村大輔によるレビュー「見たことのないカタチの捉え方」。現場に滞在しての建築施工等のアプローチで知られる建築家の彫刻作品等を展示吹き抜けから1階展示を見下ろす 撮影:塩野哲也(Colla:j)提供:ときの忘れもの
佐藤研吾による、“ときの忘れもの”での建築展「群空洞と囲い」の会場写真 / 石村大輔によるレビュー「見たことのないカタチの捉え方」。現場に滞在しての建築施工等のアプローチで知られる建築家の彫刻作品等を展示2階の展示空間 撮影:塩野哲也(Colla:j)提供:ときの忘れもの
佐藤研吾による、“ときの忘れもの”での建築展「群空洞と囲い」の会場写真 / 石村大輔によるレビュー「見たことのないカタチの捉え方」。現場に滞在しての建築施工等のアプローチで知られる建築家の彫刻作品等を展示ドローイング<複数の空洞>(左)、<空洞で描く>(右) 撮影:塩野哲也(Colla:j)提供:ときの忘れもの

建築家の佐藤研吾による、東京・本駒込のギャラリー“ときの忘れもの”での建築展「群空洞と囲い」の会場写真です。本記事では会場を訪問した、建築家の石村大輔によるレビュー「見たことのないカタチの捉え方」も掲載します。
現場に滞在しての建築施工や什器製作等のアプローチで知られる建築家の彫刻やドローイングの作品が展示されています。会期は2022年4月3日(日)まで。展示の公式ページはこちら作品の写真は、こちらのページでも紹介しています。

佐藤研吾によるステートメント「群空洞と囲い」

空海による教風が確立された密教を純密と呼ぶのに対して、それ以前の有象無象の密教を雑部密教、雑密と呼ぶことがある。雑密は、地場の神信仰と結合し、体系化されずに断片的かつ同時多発的に生まれ出た、私度の僧による信仰であった。

雑密の内で制作された一木彫の仏像には、当時の腐敗した仏教界、社会全体に怒りの念を表明する、屹立とした荒々しさがあった。おそらくは木彫でないと表現できないような、ドップリと大らかに構えた量感ある異様な造型感覚が注入されていた。

歴史の中では古代から中世への転形と言える束の間の造型であったのかもしれないが、正統に対する異端、中心に対する外縁が担わざるを得ない先鋭性がそこにはあった。造型の極北として、外縁から生まれ出た必然として、雑密仏は再考される必要がある。

そんな、夢想に近い、1000年前の制作への思考を、私は東北地方の片田舎で巡らせている。地域圏は違うが、自分自身が在地社会に身を置いたことで、雑密仏に込められたような外縁としての造型感覚を突き詰めて考えることができるかもしれないと考えた。それは、移動が制限されていた昨今のコンディションによってさらに強く思うに至った。

東北では比較的容易にクリの丸太が手に入る。寒冷地の利であるとも言える。そしてクリの丸太に空洞を彫り抜く。空洞を彫るのは、これが同時に建築の縮減模型の役割も果たすからだ。そして、彫った空洞に鉄をまとわり付かせ、自立させる。自立した空洞は、家具、あるいは何かを囲い込むための道具として、ヒトの生活圏のどこかに位置付けられる。鉄とクリの取り合いは重要な関心事である。なぜならばこの空洞は、ある種の開口部にまつわる実験でもあるからだ。入口と出口。空洞はその形式故に必ずある方向性が定められる。そして方向を持った複数の空洞が、古寺に集結する雑密仏の如く群居し、揺蕩う煙のように微かに連続する風景を企てる。
(佐藤研吾 2021年12月)

建築家の大松俊紀による、実験家具の展覧会の会場写真とレポート。菊川工業とコラボした椅子を含む計7点が公開
建築家の大松俊紀による、実験家具の展覧会の会場写真とレポート。菊川工業とコラボした椅子を含む計7点が公開元印刷工場を改修したギャラリーが会場になっている。 photo©architecturephoto
建築家の大松俊紀による、実験家具の展覧会の会場写真とレポート。菊川工業とコラボした椅子を含む計7点が公開2011年からの7作品が展示される。 photo©architecturephoto
建築家の大松俊紀による、実験家具の展覧会の会場写真とレポート。菊川工業とコラボした椅子を含む計7点が公開 photo©architecturephoto

建築家の大松俊紀による、実験家具の展覧会の会場写真とレポートです。菊川工業とコラボした椅子を含む計7点が公開されています。会場は、東京・新宿区のBOOTLEG GALLERYで、2022年3月27日まで開催。展示作品の一部は、アーキテクチャーフォトのアーカイブからも閲覧可能です。

こちらはアーキテクチャーフォトによるレポートです

建築家の大松俊紀がライフワーク的に手掛けている実験家具の展覧会が、東京・新宿区のBOOTLEG GALLERYにて行われている。

まず、大松の経歴を見てみよう。京都工芸繊維大学を卒業の後、ベルラーヘ建築都市研究所を修了、OMA ASIA〜RAD Ltd等に勤務したのち独立し自身の設計事務所を設立、桑沢デザイン研究所でも教鞭をとる建築家である。これまでに手掛けた建築には「四本柱建物」等があり、日本の古建築を参照したような造形が特徴的だ。

その大松が10年以上前から手掛けているのが本会場で展示されている実験家具だ。
大松はこれらの家具を説明するテキストで「クライアントも条件もない」と語る。そして「デザイナーとして生きることの根源的な意味を問い続けるために、つくり続けているのかもしれない」と続ける。

会場を歩き回りながら、実際に展示されている作品を見ていくと、我々が普段見たり使ったりしている量産品の椅子とは異なるものだということが分かる。座るという機能は保っているものの、座り心地のよさを追求している訳ではないし、生産効率を求めている訳でもない。機能的な側面というより、素材の特性や、部材と部材が接する部分のディテール、微細な表面の仕上げのアイデア等に大松のこだわりが垣間見える。

会場では、椅子のディテールを撮影し拡大した写真が展示されているのも印象的だ。実物より大きく引き伸ばされたこれらの写真は、実際の作品を特定の角度から切り取ったものであるが、これによって実際の作品の見るべきポイントが示唆されているように感じた。3次元の立体作品として実物の椅子を見ていると、そのスケール感から「座る」という機能が否が応でも想像されてしまうのだが、2次元に変換され更に拡大された写真を見ていると、先に書いたような作品の実験的側面が浮かび上がってくるような感覚を覚えた。

展示会場の半分は、2019年から作られている菊川工業とのコラボレーションによるアルミ製の椅子の展示に割かれている。最初に手掛けられた「Shades of Michelangelo」(2019)では、アルミ部分は座面と背の部分だけであるが、以降の作品では、アルミのみが素材として使用されるようになり、その形状、接合方法、厚みなどが検討され、その素材が持つ可能性の探求が始まっていることが良く分かる。

大松はこれまでに年に1作品のペースでこの実験家具を作り続けてきたのだと言う。それを通してみていくと、大松という一人の建築家の思考を追体験するような感覚を覚える。最初に紹介したように大松は会場で配られるブックレットの冒頭に、これらの実験家具には「クライアントも条件もない」と書いている。しかし、これらの作品を見ていると、何もないところから大松が自身の興味を発見し、自身によって「条件」を設定し、固有の探求を深めていく過程が見て取れるのである。特に菊川工業との出会いの後はそれが加速しているように思う。

佐藤研吾による建築展「群空洞と囲い」が、ときの忘れもので開催。現場に滞在しての建築施工や什器製作等のアプローチで知られる建築家の彫刻やドローイングの作品を展示
佐藤研吾による建築展「群空洞と囲い」が、ときの忘れもので開催。現場に滞在しての建築施工や什器製作等のアプローチで知られる建築家の彫刻やドローイングの作品を展示 photo©comuramai
佐藤研吾による建築展「群空洞と囲い」が、ときの忘れもので開催。現場に滞在しての建築施工や什器製作等のアプローチで知られる建築家の彫刻やドローイングの作品を展示 photo©comuramai
佐藤研吾による建築展「群空洞と囲い」が、ときの忘れもので開催。現場に滞在しての建築施工や什器製作等のアプローチで知られる建築家の彫刻やドローイングの作品を展示 photo©comuramai

佐藤研吾による建築展「群空洞と囲い」が、東京・本駒込のギャラリー“ときの忘れもの”で開催されます。現場に滞在しての建築施工や什器製作等のアプローチで知られる建築家の彫刻やドローイングの作品を展示します。開催期間は2022年3月25日~4月3日。展覧会の公式ページはこちら佐藤の建築作品はアーキテクチャーフォトでも度々特集記事として紹介しています。

群空洞と囲い

空海による教風が確立された密教を純密と呼ぶのに対して、それ以前の有象無象の密教を雑部密教、雑密と呼ぶことがある。雑密は、地場の神信仰と結合し、体系化されずに断片的かつ同時多発的に生まれ出た、私度の僧による信仰であった。

雑密の内で制作された一木彫の仏像には、当時の腐敗した仏教界、社会全体に怒りの念を表明する、屹立とした荒々しさがあった。おそらくは木彫でないと表現できないような、ドップリと大らかに構えた量感ある異様な造型感覚が注入されていた。

歴史の中では古代から中世への転形と言える束の間の造型であったのかもしれないが、正統に対する異端、中心に対する外縁が担わざるを得ない先鋭性がそこにはあった。造型の極北として、外縁から生まれ出た必然として、雑密仏は再考される必要がある。

そんな、夢想に近い、1000年前の制作への思考を、私は東北地方の片田舎で巡らせている。地域圏は違うが、自分自身が在地社会に身を置いたことで、雑密仏に込められたような外縁としての造型感覚を突き詰めて考えることができるかもしれないと考えた。それは、移動が制限されていた昨今のコンディションによってさらに強く思うに至った。

東北では比較的容易にクリの丸太が手に入る。寒冷地の利であるとも言える。そしてクリの丸太に空洞を彫り抜く。空洞を彫るのは、これが同時に建築の縮減模型の役割も果たすからだ。そして、彫った空洞に鉄をまとわり付かせ、自立させる。自立した空洞は、家具、あるいは何かを囲い込むための道具として、ヒトの生活圏のどこかに位置付けられる。鉄とクリの取り合いは重要な関心事である。なぜならばこの空洞は、ある種の開口部にまつわる実験でもあるからだ。入口と出口。空洞はその形式故に必ずある方向性が定められる。そして方向を持った複数の空洞が、古寺に集結する雑密仏の如く群居し、揺蕩う煙のように微かに連続する風景を企てる。
(佐藤研吾 2021年12月)

以下に、展示される佐藤の作品の一部をプレビューします。

スイスを拠点とする建築設計事務所 E2Aの展覧会「スイス建築の方法論」の会場写真
スイスを拠点とする建築設計事務所 E2Aの展覧会「スイス建築の方法論」の会場写真 photo©ToLoLo studio
スイスを拠点とする建築設計事務所 E2Aの展覧会「スイス建築の方法論」の会場写真 photo©ToLoLo studio
スイスを拠点とする建築設計事務所 E2Aの展覧会「スイス建築の方法論」の会場写真 photo©ToLoLo studio

スイスを拠点とする建築設計事務所 E2Aの展覧会「スイス建築の方法論」の会場1(丸の内)会場写真です。東京都内の4カ所の会場で分散開催されます。会期は2022年3月18日~4月7日。入場料は無料です。福岡と京都への巡回展やオンライン講演会も企画されており、その情報はこちらに掲載されています。主催は日瑞建築文化協会です。

E2Aとは、実の兄弟であるピート・エッカートとヴィム・エッカートによって2001年に設立されたスイス、チューリヒを拠点とする建築設計事務所です。

彼らの仕事の舞台はヨーロッパ全域に及び、その内容も公共建築や文化的活動、企業との共同や商業活動、さらに住宅設計と多岐にわたります。2001年の設立以降、ピートとヴィムのエッカート兄弟が手がけた建物はこれまでに40件以上が実現されています。

初期の主要プロジェクトとしては、キルヒベルクのブロエルベルク住宅地(2003年)やマイレンのテラスハウス(2005年)など、チューリヒ周辺の住宅作品が挙げられます。事務所では設立以降常に国内外のコンペティションやスタディで成功を収めてきました。

近年では複数の公共プロジェクトが竣工しており、中でも最近の物としてはベルリンのtazNeubau(ターゲスツァイトゥング新聞社)編集本部が挙げられます。今後では、直近のコンペ優勝作であるブレーメン大学の講堂及び会議場が2027年に竣工予定です。

また、2022年にはチューリヒにおいて水上警察署とホーファッカー小中学校が完成します。

ピート・エッカートは1994年、ヴィム・エッカートは1995年にスイス連邦工科大学チューリヒ校を卒業後、1994年から97年にかけてロッテルダム、ロサンゼルス、ソウルにおいてオランダの建築設計事務所OMAと協働しました。兄弟はこれまで、ハンブルグ・ハーフェンシティ大学(HCU)、アカデミア・ディ・アーキテトゥーラ、メンドリーシオのスイス・イタリア大学(USI)、ドイツのドルトムント工科大学などの複数の学校や大学において教鞭をとっています。

リリーステキストより
元木大輔 / DDAA LABによる展覧会「Hackability of the Stool」が、京都市京セラ美術館で開催。定番的スツールを改変する様々なアイデアを提示
元木大輔 / DDAA LABによる展覧会「Hackability of the Stool」が、京都市京セラ美術館で開催。定番的スツールを改変する様々なアイデアを提示

元木大輔 / DDAA LABによる展覧会「Hackability of the Stool」が、京都市京セラ美術館で開催されます。定番的スツールを改変する様々なアイデアを提示します。会期は2022年3月15日~20日。入場無料です。

「元木 大輔 / DDAA LAB Hackability of the Stool」展は、中国・杭州につづき、2022年3月15日(火)~3月20日(日)の6日間、京都市京セラ美術館に於いて開催されます。今回の京都展で展示されるスツールは全てアルテックのStool 60を使用して作成されています。

リリーステキストより

Hackability of the Stoolのコンセプト

Stool 60は、アルテックより発売されている、20世紀を代表する名作スツールです。デザインはシンプルで美しく、曲げ木の技術を使った製造技術を引き合い出すまでもなく、流通やパッケージに至るまで細部までデザインしつくされたモダニズムの考え方を代表するプロダクトです。そればかりか、大量に生産されているリプロダクト品にいたっては、生産コスト、メンテナンスコスト、クレーム対応や輸送の合理性などを徹底的に考えることで、なんと1脚1000円程度で販売されており、同じ量の木材を買うより安い値段で手に入れることができます。

Stool 60は、誰もが見たことがあるマスターピースがゆえに「典型的なスタッキングスツール」というステレオタイプな形をしています。そして、Stool 60に代表されるモダニズムのデザインは、最大公約数的にできているけれど万能ではありません。シンプルであるということは、逆説的にあらゆるものを削ぎ落としている、と言い換えることもできます。

「Hackability of the Stool」 (スツールの改変可能性)は、最大公約数なデザインの過程で削ぎ落とされてしまった、多様で、ニッチで、ささやかな機能を付加していくプロジェクトです。モダニズムや大量生産品の良いところはキープしたまま、大量生産品を下敷きに、多品種小ロットで、少しだけ便利で、多様なプロダクトをできるだけ簡単に作るためのリサーチとアイデア集です。

以下に、中国展の様子や作品写真を掲載します。

漫画家で美術家の横山裕一による、広島市でのアートプロジェクト「『実施しろ』『何をだ』」のダイジェスト動画。市内の様々な場所で作品が展開される様子を紹介

漫画家で美術家の横山裕一による、広島市でのアートプロジェクト「renovation2023.hiroshima-moca.jp”>『実施しろ』『何をだ』」のダイジェスト動画です。市内の様々な場所で作品が展開される様子を紹介しています。2010年にはトラフの会場構成で美術館での個展を行っていたりもします。

疾走感のある描線や独特なキャラクターたちの繰り広げるナンセンスな会話等で「ネオ漫画」とも称される横山裕一の作品が、比治山公園に点在する看板や工事のための通行止めフェンスなどに登場。さらに、比治山を飛び出して市内の様々な場所に展開していく。作品は今回のプロジェクトのための描き下ろし。比治山やゲンビにまつわることがらをテーマに、登場人物たちによる不思議な会話が繰り広げられます。

広島市現代美術館で展開中の休館中プロジェクト、横山裕一:「実施しろ」「何をだ」。
https://renovation2023.hiroshima-moca…
2021年5月~2022年3月にかけ、広島市内の様々な場所で展開されている本プロジェクトの様子をダイジェストでお届けします。

横山裕一「実施しろ」「何をだ」ダイジェスト動画
撮影・編集:越智正洋

ザハ・ハディド・アーキテクツによる、中国・成都市の建築展「Future Cities」の会場写真。現在6大陸で60のプロジェクトを進めるファームの個展で、デジタル設計手法と持続可能な建設手法の融合を進める特徴や、多分野にわたるアプローチからの建築への探究心を紹介
ザハ・ハディド・アーキテクツによる、中国・成都市の建築展「Future Cities」の会場写真。現在6大陸で60のプロジェクトを進めるファームの個展で、デジタル設計手法と持続可能な建設手法の融合を進める特徴や、多分野にわたるアプローチからの建築への探究心を紹介 photo©Liang Xue
ザハ・ハディド・アーキテクツによる、中国・成都市の建築展「Future Cities」の会場写真。現在6大陸で60のプロジェクトを進めるファームの個展で、デジタル設計手法と持続可能な建設手法の融合を進める特徴や、多分野にわたるアプローチからの建築への探究心を紹介 photo©Liang Xue
ザハ・ハディド・アーキテクツによる、中国・成都市の建築展「Future Cities」の会場写真。現在6大陸で60のプロジェクトを進めるファームの個展で、デジタル設計手法と持続可能な建設手法の融合を進める特徴や、多分野にわたるアプローチからの建築への探究心を紹介 photo©Liang Xue

ザハ・ハディド・アーキテクツによる、中国・成都市の建築展「Future Cities」の会場写真です。現在6大陸で60のプロジェクトを進めるファームの個展で、デジタル設計手法と持続可能な建設手法の融合を進める特徴や、多分野にわたるアプローチからの建築への探究心を紹介しています。2022年5月8日までの開催。

こちらはリリーステキストの翻訳

「Future Cities」展は、21世紀のアーバニズムを形成する革新的な技術を検証し、世界中の都市景観を再定義するザハ・ハディド・アーキテクツ(ZHA)のプロジェクトを追跡するモノグラフィック・エキシビションです。

この展覧会では、建築業界の設計・施工方法を改善するための新しいアイデアやコンセプトを開発するZHAの多分野にわたるアプローチを描き、彼らの建築における探究心を紹介しています。

ZHAは、これまでに70以上の建築賞を受賞し、現在6大陸で60のプロジェクトを開発中で、世界で最も一貫して創意に富む建築スタジオのひとつとなっています。世界中の先見性のあるクライアント、コミュニティ、業界の専門家とコラボレーションしています。

ZHAの建築は、自然界の有機的な組織と構造システムの研究から発展してきました。これらのシステムは、40年以上前に故ザハ・ハディドが初めて中国を旅した際に探求した、中国の歴史的な建築の伝統の中に見て取ることができます。

ZHAは、先駆的なデジタル設計手法と環境に配慮した素材や持続可能な建設手法を融合させ、バラバラの部分を見るのではなく、全体として理解し、現代の決定的な課題に対する実用的なソリューションを提供します。

技術の進歩が私たちの生活、仕事、交流のあり方を急速に変化させるなか、ZHAの建築における創造性と革新の精神は、都市社会の繁栄を可能にする無数の可能性によって定義されています。

求道学舎再生等を手掛け学会賞も受賞する実践者で教育者 田村誠邦と、創造系 高橋寿太郎による「建築サバイバル塾 KSJ」が、無料オンライン説明会を開催。KSJは、設計事務所が“サバイバル力”を身につける為、経営・マーケティング・不動産等のスキルを高める実践的な学びの場
求道学舎再生等を手掛け学会賞も受賞する実践者で教育者 田村誠邦と、創造系 高橋寿太郎による「建築サバイバル塾 KSJ」が、無料オンライン説明会を開催。KSJは、設計事務所が“サバイバル力”を身につける為、経営・マーケティング・不動産等のスキルを高める実践的な学びの場

求道学舎再生や同潤会江戸川アパートメント建替え事業等を手掛け日本建築学会賞も受賞する実践者で教育者の田村誠邦と、創造系不動産の高橋寿太郎による「建築サバイバル塾 KSJ」が、無料オンライン説明会を開催しています。KSJは、設計事務所が“サバイバル力”を身につける為、経営・マーケティング・不動産等のスキルを高め、また志を同じくする仲間を見つけることができる、実践的な学びの場です。オンランセミナー&説明会&個別相談会の参加費は無料です。【ap・ad】

はじめまして。建築サバイバル塾KSJ塾長の田村誠邦です。

私はこれまで30年余りにわたり、延べ15,000人以上のプロの方々に建築・不動産の実務ノウハウを教えてきました。そうした中で、多くの設計事務所が安定的に仕事が取れずに、将来に対して漠然とした不安を抱いていることに気づかされました。設計事務所の経営者や建築士は、建築のデザインや建築技術を磨いて、仕事を受注しようとしています。もちろん、建築のデザインや建築技術を磨くことは、設計事務所として、建築士として当然だし素晴らしいことですが、それだけで仕事が取れて、堅実な経営を行うことは難しいのです。

まして、超高齢社会、人口減少時代を迎え、新築の需要は急激に減少しつつあります。昨年度の新築住宅着工戸数は、昨今の厳しい状況で、81.25万戸にまで落ち込みましたが、野村総研の予測では、20年後の2040年度には、41万戸と昨年度の約半分にまで落ち込むものと予測されています。急激な人口減少がつづく我が国では、新築については、住宅に限らず非住宅についても、同様の傾向をたどるものと考えられます。いま、順調な経営状況にある設計事務所においても、根元的な「サバイバル力」を身につけることが、これからの新築減少時代を生き抜くために不可欠となるのです。

こうした状況の中で、私は創造系不動産の代表である高橋寿太郎さんと共に、新築減少時代を逞しく生き残る「建築サバイバル力」を身につけられるような実践的な学びの場として、「建築サバイバル塾KSJ」を2021年1月に開設いたしました。「お客様から選ばれ、仕事を継続的に創り出し、経営を成功させたい!」「新築減少時代を逞しく、クリエイティブに生き抜きたい!」と思われる方、ぜひ建築サバイバル塾KSJの仲間になりませんか?

田村誠邦

株式会社アークブレイン 代表取締役
2021年3月まで明治大学理工学部 特任教授
一級建築士、不動産鑑定士、博士(工学)
東京大学工学部建築学科卒業。
三井建設株式会社、シグマ開発計画研究所を経て、1997年株式会社アークブレインを設立。

【主な業務実績】
同潤会江戸川アパートメント建替事業(1977年~2005年)
求道学舎再生事業(2004年~2006年)
六本木ヒルズ地権者権利床民事再生スキーム(2000年~2002年)
国際文化会館再生事業(2006年改修工事完成)
2008年日本建築学会賞(業績)
2010年日本建築学会賞(論文)受賞

長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図
長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図IONIQ 5とモバイルハウス「旅する住まい」 photo©architecturephoto
長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図 photo©architecturephoto
長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図 photo©architecturephoto

長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポートします。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図されました。東京・原宿のHyundai House Harajukuにて展示されています。長坂の展示の会期は2022年3月8日まで(同企画は別の建築家やデザイナー達により2022年5月28日まで続く)。

こちらは会場レポートです

建築家でスキーマ建築計画を主宰する長坂常と自動車メーカーHyundaiとコラボレーションしたモバイルハウス「旅する住まい」が公開中だ。この展示で、長坂はHyundaiのIONIQ 5で牽引するモバイルハウスをデザインした。

長坂は、Hyundai のバッテリー式電気自動車IONIQ 5の特徴である2日分の蓄電池を保有していることが構想の出発点になっているのだと言う。蓄電池があれば、週末に都市生活をそのまま持ちだす事が出来ると考えこの作品を構想したのだ。

そして、会場でも公開されているインタビューで語られているのだが、このモバイルハウスは、木で骨格をつくりナイロンの布地を張り、そこに薄く樹脂を塗布することで出来ている。より詳しく構法について聞くと、木製の骨格に、ナイロンの布地を水に浸透させて骨組みに張り、乾燥すると布地が縮んでピンと張れる水張りという方法を採用しているとのこと。それによって、たわみないが布の特徴でもある光の透過性、柔らかさ、軽さを実現させたのだそうだ。

長坂は、出かけることの気軽さを実現するために、物理的な“軽さ”にもこだわったのだと説明する。
実際にこのモバイルハウスを目の前にしても、非常に軽い構築物と言った印象を覚える。

筆者が、この会場を訪れて実物を見て気づいたことは、このモバイルハウス「旅する住まい」がキャンプにおけるテントとキャンピングカーの中間に位置するような存在であるということだ。テントは折り畳みが出来てコンパクトに持ち運びが可能であるが、「旅する住まい」のような環境から守られている感覚はないだろう。またキャンピングカーには様々な設備が整っているが、「旅する住まい」のような軽さは持ち合わせていない。

末光弘和+末光陽子 / SUEP.の、TOTO・ギャラリー間での建築展「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」
末光弘和+末光陽子 / SUEP.の、TOTO・ギャラリー間での建築展「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」淡路島の住宅 兵庫県(2018年) photo©Shinkenchiku-sha

末光弘和+末光陽子 / SUEP.の、TOTO・ギャラリー間での建築展「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」が開催されます。建築を地球環境における生命活動を促す媒体として位置づけ、自然環境の働きをシミュレーションして設計の起点とし、建築を媒介した資源の循環システムを構築する活動を行う設計事務所です。

TOTOギャラリー・間では、末光弘和+末光陽子 / SUEP.(スープ)の展覧会「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」を開催します。

SUEP.の特徴は、建築を地球環境における生命活動を促す媒体として位置づけようとする思想にあります。

彼らは地勢、水脈、植生、生態系などに着目し、自然環境にある風・熱・水などの働きをシミュレーションして設計の起点とすることで、建築を媒介した資源の循環システムを構築しています。自然に対して建築が寛容なアプローチをすることで、自然の恵みを得るとともに、それが持続できる社会を目指しています。また建物の居住性能を上げるという機能面はもちろん、住まう人、使う人たち、地域の人たちが、その循環の一員として参加する喜びを分かち合えることも大切にしています。

本展のタイトル「Harvest in Architecture」には、私たちが日々地球の恵みを受け取れることへの感謝と、それを継続するために行う努力への決意が込められています。展覧会では、彼らが行ってきたリサーチや検証と、それらがどのようなかたちで建築の循環システムに結実してきたかが明かされます。

彼らの取り組みは、建築が地球とつながり、未来を拓くためのチャレンジの連続といえます。人間が地球の恵みを一方的に搾取するのではなく、自然との共生により豊かな恵みが続いていく、そのために建築家として果たすべき役割は何か。本展覧会を通して、彼らの思考と試行の全貌をご覧いただきます。
(TOTOギャラリー・間)

リリーステキストより
スイスを拠点とする建築設計事務所 E2Aの展覧会「スイス建築の方法論」が、東京都内の4カ所の会場で分散開催
スイスを拠点とする建築設計事務所 E2Aの展覧会「スイス建築の方法論」が、東京都内の4カ所の会場で分散開催University of Bremen, Germany Image: ArtefactoryLab
スイスを拠点とする建築設計事務所 E2Aの展覧会「スイス建築の方法論」が、東京都内の4カ所の会場で分散開催Deaconry Bethanien, Zurich, Switzerland Photo©Rasmus Norlander
スイスを拠点とする建築設計事務所 E2Aの展覧会「スイス建築の方法論」が、東京都内の4カ所の会場で分散開催Atelier Housing, Ruschlikon, Switzerland Image©E2A

スイスを拠点とする建築設計事務所 E2Aの展覧会「スイス建築の方法論」が、東京都内の4カ所の会場で分散開催されます。会期は2022年3月18日~4月7日。入場料は無料です。福岡と京都への巡回展やオンライン講演会も企画されており、その情報はこちらに掲載されています。主催は日瑞建築文化協会です。

E2Aとは、実の兄弟であるピート・エッカートとヴィム・エッカートによって2001年に設立されたスイス、チューリヒを拠点とする建築設計事務所です。

彼らの仕事の舞台はヨーロッパ全域に及び、その内容も公共建築や文化的活動、企業との共同や商業活動、さらに住宅設計と多岐にわたります。2001年の設立以降、ピートとヴィムのエッカート兄弟が手がけた建物はこれまでに40件以上が実現されています。

初期の主要プロジェクトとしては、キルヒベルクのブロエルベルク住宅地(2003年)やマイレンのテラスハウス(2005年)など、チューリヒ周辺の住宅作品が挙げられます。事務所では設立以降常に国内外のコンペティションやスタディで成功を収めてきました。

近年では複数の公共プロジェクトが竣工しており、中でも最近の物としてはベルリンのtazNeubau(ターゲスツァイトゥング新聞社)編集本部が挙げられます。今後では、直近のコンペ優勝作であるブレーメン大学の講堂及び会議場が2027年に竣工予定です。

また、2022年にはチューリヒにおいて水上警察署とホーファッカー小中学校が完成します。

ピート・エッカートは1994年、ヴィム・エッカートは1995年にスイス連邦工科大学チューリヒ校を卒業後、1994年から97年にかけてロッテルダム、ロサンゼルス、ソウルにおいてオランダの建築設計事務所OMAと協働しました。兄弟はこれまで、ハンブルグ・ハーフェンシティ大学(HCU)、アカデミア・ディ・アーキテトゥーラ、メンドリーシオのスイス・イタリア大学(USI)、ドイツのドルトムント工科大学などの複数の学校や大学において教鞭をとっています。

リリーステキストより

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