原広司が設計した、神奈川・多摩区の“粟津潔邸”(1972年竣工)を会場にした展覧会「吉國元展 『根拠地』粟津邸ではじまる」が開催されます。会期は、2023年9月9日~10月29日の土曜・日曜の11時~17時です。入場料、1000円。
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畝森泰行による、愛知淑徳大学での建築展「ゆっくり庭をつくるように」の会場写真です。
建築家と学生が協働して作る展覧会です。建築家と学生は、“総体的な建築体験”を与える会場を目指し、8つの木造フレームを用いて空間と展示物が緩やかに一体化する構成を考案しました。また、代表作の一部を再現した“原寸”モックアップ等も展示されています。会期は、2023年9月17日まで。展覧会の公式ページはこちら。
畝森泰行によるステートメント
私たちは建築の全てを把握できません。その物理的な大きさや複雑さゆえに、一度に全体を眺めるのは難しく、また設計中に模型や図面を使ってどんなに想像しても、どこか理解できない余白が残ります。また建築はたくさんの人が時間をかけてつくります。その過程で個人の考えや当初のイメージから変わっていくことがあり、それらの理由で建築は、強く固定的な存在でありながらも、曖昧で他律的な側面をもつと言えます。
私はそういう建築の不確かな部分に惹かれます。朧げで変わりうるところがあるからこそ、緩やかに動く自然や異なる他者と結びつく可能性をもつのであり、それがいま、バラバラな個人をつなぎ、早すぎる時間を緩め、閉じた世界をほぐすことになるのではないだろうか、そう期待するのです。この不確かで曖昧な存在を今回私は「庭」と呼ぼうと思いました。
会場は愛知淑徳大学の学生と協働して考えました。その試行錯誤も私たちが思う庭となってそこに現れることを期待しています。



ピーター・ズントーの建築展「Architectural Models from the Atelier Peter Zumthor」です。
自身が設計した建築を会場で開催されています。40個の模型が建物の内外に展示されました。また、模型群は、建築に“アトモスフィア”を与える為の接合と組み合わせの論理を示しています。会期は2023年9月16日まで。展覧会の公式ページはこちら。
こちらはリリーステキストの翻訳です
この展覧会では、スイスの建築家ピーター・ズントーによる建築模型が、アンデルスブーフにあるヴェルクラウムハウスという、彼自身が計画した建物の中に展示されています。ズントーは、模型を使って空間を作り上げることで、素材、構造、形が一体となった状態に到達します。モデルたちは、この統一への探求を物語っています。クラフトマンシップを視覚化し、雰囲気を作り出す作品として、それらはデザイナーや建築家の世界で特別な評価を得ています。ヴェルクラウムハウスでの展示は、ツムトールの姿勢を2つの方法で同時に示しています。それは、展示された様々な模型と、それらを収容する建物です。
ブレゲンツァーヴァルト工房は2013年、ブレゲンツの森のアンデルスブッフにヴェルクラウムハウスをオープンしました。スイス人建築家ペーター・ツムトールによって計画されたこの建物は、地元の職人たちとともに構想され建設されました。そして、クラフトマンシップの象徴として、世界的な称賛を集めています。3月18日から9月16日まで開催されるこの建築模型の展覧会にとって、建築文化と熟練工に捧げられたセンターは、まさに相応しい場所です。アトリエ・ピーター・ズントーの40の模型が、700㎡の屋内外のスペースに、個々に、あるいは群で展示されています。その中には、ごく最近のものや、これまで公開されたことのない模型も含まれています。この展覧会は、フィンランドの建築家であり展覧会デザイナーでもあるハンネレ・グレンルンドとピーター・ズントーとのコラボレーションにより企画されました。
アトリエ・ピーター・ズントーの模型は、デザイナーや建築家の世界で特別な評価を得ています。素材から手がかりを得る建設的な考え方、強い視覚的アピール、素材、構造、形が一体となった姿勢を示しています。ズントーの模型は、この統一の探求を物語っています。それらは、建築手法と素材が重要な要素であるアトモスフィアを彼の建築空間に与えるために、接合と組合せの論理を探求する彼の姿を示しています。



磯崎新の中国・上海での回顧展「Arata Isozaki: In Formation」の会場写真です。
発電所を改修したパワーステーション・オブ・アートを会場に開催されました。磯崎の実践を9つの重要なコンセプトで編成して紹介しています。また、会場構成は日埜直彦が手掛けました。会期は2023年11月19日まで。展覧会の公式ページはこちら。
こちらはリリーステキストの翻訳です
磯崎新:イン・フォーメーション
2023年8月26日から11月19日まで、プリツカー賞を受賞した磯崎新の最も包括的な回顧展「Arata Isozaki: In Formation」がパワー・ステーション・オブ・アート(PSA)で開催されます。磯崎新の建築と芸術のキャリアを包括する大回顧展として、この展覧会は、さまざまな時代における彼の思想の軌跡を多角的にたどります。
展覧会の、同済大学建築都市計画学院のディーンであるLi Xiangningと、ニユーエ・インスティトゥートのジェネラル・ディレクター兼アーティスティック・ディレクターであるAric Chenの共同キュレーションによるものです。20世紀で最も創造的かつ先駆的な建築家の一人である磯崎新は、その実践を日本文化に根ざしつつも、国際的な視点を備えています。彼は歴史的な考察を独創性の高い建築表現に吹き込んできました。建築とアートを横断する彼の実践は、独自の文化的視点を形成し、建築の実践を孤立した空間形態から社会的文脈におけるマルチメディア作品へと拡張してきました。PSAでの展覧会では、模型、スケッチ、インスタレーション、絵画、映像などの豊富なメディアを組み合わせ、磯崎新のキャリアのさまざまな段階における建築的血統と、建築を超えた文化的・思想的実践をミクロな物語として紹介する。
本展では、磯崎新の実践を9つの極めて重要なコンセプトによって編成し、文化、分野、時代を超えた磯崎新の思考の系統を紹介します。
キーコンセプト1:廃墟
10代の磯崎新が体験した第二次世界大戦中の空襲で瓦礫と化した街の姿に端を発する廃墟のイメージは、彼のキャリアの出発点となった。建築概念、テキスト、インスタレーションなどの形態を通して、磯崎は「空中都市」、「都市破壊業」、「孵化過程」などのプロジェクトを展開し、近代建築や都市計画が想定する直線的な時間概念を批判した。

SHARE 東京建築士会が主催する「住宅建築賞2023入賞作品展」をレポート。“東京のローカリティ”をテーマに作品を募集。受賞者は、齋藤隆太郎+井手駿(金賞)、服部大祐、古谷俊一、溝部礼士+坪井宏嗣、工藤浩平+宮崎侑也
- 日程
- 2023年8月22日(火)–8月30日(水)



東京建築士会が主催する「住宅建築賞2023入賞作品展」をレポートします。会場は建築会館ギャラリーです。
住宅建築賞金賞を、齋藤隆太郎(DOG)+井手駿が受賞。住宅建築賞を、服部大祐(Schenk Hattori)、古谷俊一(古谷デザイン建築設計事務所)、溝部礼士(溝部礼士建築設計事務所)+坪井宏嗣(坪井宏嗣構造設計事務所)、工藤浩平+宮崎侑也(工藤浩平建築設計事務所)が受賞しています。審査したのは吉村靖孝、大野博史、倉方俊輔、中川エリカ、西沢大良でした。また、各作品の資料や審査講評がこちらのPDFにまとまっています。開催情報は、記事の末尾に掲載します。
住宅建築賞について
「住宅建築賞」はすでに新人建築家の登竜門として定着しており、その入賞作品を通して住宅建築に対する理解をさらに深め、近年多様化している「すまい」の新しい可能性を見出そうとするものです。 この住宅建築賞の入賞作品を公開展示することにより、建築に携わる方々への新鮮な刺激とし、より多くの人々に建築文化を広げる機会となればと考えています。
応募作品は原則として最近3年以内に竣工し、東京圏に建つ一戸建住宅、集合住宅及び併用住宅等(大幅な増改築*、公共の建築も含む)の作品を募集しています。書類による第一次審査と現地審査による第二次審査により受賞作品を決定します。 *確認申請不要物件の場合遵法であること。
住宅建築賞2023の主旨「東京のローカリティ」
本賞は「新人建築家の登竜門」を謳う賞で、過去の受賞者のその後の活躍を見れば看板に偽りなしと言える。ただ、昔から気がかりだった事がひとつあって、それは、東京周辺以外の住宅作品を審査対象から除外して来た事だ。もちろん、大前提が”東京”建築士会の顕彰活動であるし、現地審査を一日で終えるなどの条件から考えても東京周辺限定は致し方ないのだが、一方で、新人建築家にとって東京に作品があることは単なる偶然でしかないし、仮に東京在住かつ東京建築士会会員であっても東京に作品がなければ応募できないといった矛盾もある。登竜門として全国的知名度を得た今となっては、東京限定の募集はどこかちぐはぐで、東京一極集中に対し無批評かつ無責任にも映るし、ともすれば東京=全国と吹聴しているかのような誤解を与えかねない。
であるならば逆に、今回はいっそのことこの住宅建築賞を「東京のローカリティ」を考える機会と捉えてみたい。localの語源はラテン語のlocus(~の場所)で、つまり特定の場所に根ざすことこそが肝心で、必ずしも「地方の~」を意味しない。世界随一のメガシティであることとローカルであることは矛盾しないのである。また特に近年は、感染症や戦争が各地のローカリティを蹂躙する様を目の当たりにし、私自身もローカリティについて考える機会が増えている。はたして「東京のローカリティ」は可能か。もし可能ならばそれはどのようなものなのか。「場所」としての東京の可能性を押し広げるような作品の応募を期待している。
(審査員長 吉村靖孝)
手塚建築研究所が設計した、東京・町田市の「鶴川シオン幼稚園・多目的棟」の内覧会が開催されます。開催日は2023年9月9日。リンク先にスケッチと写真が1枚掲載されています。
この度、東京都町田市に幼稚園・多目的棟が完成いたしました。
6月に実施延期をした内覧会を、お施主様のご厚意により9月9日に開催いたします。(仮称) 帽子の小屋 Hut of Hat
広大な森の中に建つ子供の為の施設です。多くの牧師を輩出してきた農村伝道神学校に属するので、礼拝堂を意識した空間となっています。プリズムで分光された光が煌めく空間です。

建築家の青木淳と写真家の鈴木理策の対談「穴が開くほど見る―建築写真から読み解く暮らしとその先 第8回」の動画がLIXILのサイトで期間限定で無料配信されています。
其々が選んだ、セザンヌのアトリエ、桂離宮、ファニャーノ・オローナの小学校、テルメ・ヴァルスの写真を題材に、建築と写真の関係性や可能性を議論しています。申込期間は、2023年9月15日(金)まで。また、本記事では、テーマとなった写真と語られた内容のキーワードも掲載します。【ap・ad】
LIXILと「新建築住宅特集」は、これまで「穴が開くほど見る──建築写真から読み解く暮らしとその先」と題し、名作住宅の建築写真を隅々まで掘り下げて読み取る企画を展開してきました。
1枚の写真から時代背景、社会状況、暮らし、建築家の思いなど、読み取る側の想像も交えながら細部まで紐解くことで、時代を超えた大切なものを見つめ直し、未来に向けた建築のあり方を探ります。
今回は、「新建築住宅特集」23年8月号に掲載された、本企画 第8回目の青木淳氏と鈴木理策氏の対談動画を、期間限定で配信いたします。ぜひご登録のうえ、ご視聴ください。
(2023年5月25日 東京都港区 堀ビルにて収録)
青木淳が冒頭に語ったキーワード(アーキテクチャーフォト編集部が抜粋)
自身が若い頃、建築写真をどう見て来たか / 多木浩二の写真を見た衝撃 / 建築作品は写真を通して見ることの方が多い / 自分が手掛けた建築を撮ってもらう時に考えること / 写真で捉えやすいように自分の設計内容を変えるのか撮り方を変えてもらうのか / 近代建築は1枚の写真で本質がわかるように建物自体が作られている / 近代建築の写真との関係は共犯関係とも言える / 建築は1枚の写真でわかるようにつくるべきか? / わがままを言えるのは自分の作品集をつくるとき / その他
鈴木理策が冒頭に語ったキーワード(アーキテクチャーフォト編集部が抜粋)
記録と作品の境界 / 写真には記録として残る部分がある / 記録だけを目指すか、そうではないものを目指すか / 建築と写真だと写真の方が長生きする / 建築写真には場所や対象に撮らされるという側面がある / 建築の経験を伝える写真があるのではないか / その他

自然環境を取り入れた“居心地のよい空間づくり”を解説する「“バイオフィリア”オンライン特別セミナー」がパナソニックの主催で開催されます。
森林環境の研究者で心身健康科学の専門家の高山範理と、同社の照明研究・開発部門リーダーの山内健太郎が登壇します。開催日時は、2023年8月24日(木)16:00~17:00。参加費無料です。イベントの申込ページはこちら。【ap・ad】
自然環境を取り入れた心地よい空間づくりとは?
バイオフィリア研究のスペシャリストとパナソニックの研究開発リーダーが、快適で心地よい空間づくりについて講演します。
バイオフィリアとは
自然環境下で進化してきたヒトには、先天的に自然や森林を「好ましい」と感じる性質があるとした仮説です。
自然を感じるデザインを生活圏や働く環境に取り込むことで「リラックスしやすい」「開放的な」といった印象を与え、空間の魅力の向上につながることが期待されます。
以下に、詳細な情報を掲載します。

SHARE 畝森泰行による建築展「ゆっくり庭をつくるように」が、愛知淑徳大学で開催。新建築賞も受賞した初期代表作の一部を再現する“原寸”モックアップ等を展示。学生と建築家が協働して展覧会を作り上げる事も特徴。会期中には講演会も開催
- 日程
- 2023年9月2日(土)–9月17日(日)


畝森泰行による建築展「ゆっくり庭をつくるように」が、愛知淑徳大学で開催されます。
新建築賞を受賞した初期代表作“Small House”の一部を再現する“原寸”モックアップ等が展示されます。また、学生と建築家が協働して展覧会を作り上げる事も特徴となっています。開館期間は、2023年9月2日(土)~9月17日(日)。入場無料です。また、畝森泰行の講演会が、2023年9月2日(日)に開催されます(参加は当日先着順です)。【ap・ad】
畝森泰行/畝森泰行建築設計事務所による畝森泰行展「ゆっくり庭をつくるように」を開催致します。
この展覧会は、日本を代表する建築家を愛知淑徳大学に招聘し、その建築家の作品や思想を反映した展覧会を、本学 建築・インテリアデザイン専攻の学生が建築家と協働して作り上げるものです。学部3年生を対象とした授業「デザインワークショップ」の受講生が会場計画・施工から運営まで行います。
日本を代表する建築家と学生とのコラボレーションを是非ご覧ください。
畝森泰行によるステートメント
私たちは建築の全てを把握できません。その物理的な大きさや複雑さゆえに、一度に全体を眺めるのは難しく、また設計中に模型や図面を使ってどんなに想像しても、どこか理解できない余白が残ります。また建築はたくさんの人が時間をかけてつくります。その過程で個人の考えや当初のイメージから変わっていくことがあり、それらの理由で建築は、強く固定的な存在でありながらも、曖昧で他律的な側面をもつと言えます。
私はそういう建築の不確かな部分に惹かれます。朧げで変わりうるところがあるからこそ、緩やかに動く自然や異なる他者と結びつく可能性をもつのであり、それがいま、バラバラな個人をつなぎ、早すぎる時間を緩め、閉じた世界をほぐすことになるのではないだろうか、そう期待するのです。この不確かで曖昧な存在を今回私は「庭」と呼ぼうと思いました。
会場は愛知淑徳大学の学生と協働して考えました。その試行錯誤も私たちが思う庭となってそこに現れることを期待しています。
以下に、建築作品の写真と詳細な情報を掲載します。




藤本壮介による、ドイツ・ベルリンのアエデスでの建築展「Primitive Future ─ Everything Is Circulating」です。
現地のアワード受賞を記念して開催されました。建築家は、自身の建築哲学を表現する、12個のワイヤー製のオブジェによるインスタレーションを制作しました。そして、視点により見え方が変わる“立体的なドローイング”が空間に様々なシーンを描きます。展覧会の公式ページはこちら。
こちらはリリーステキストの翻訳
藤本壮介は自然環境と建築環境の関係を再考する先見的な建築家です。彼の詩的なプロジェクトにおいて、日本人建築家は秩序と無秩序、単純さと複雑さのバランスを目指しています。それは、彼の建築では、物理的な境界は視覚的に溶解することになっているからです。藤本がAWアーキテクト・オブ・ザ・イヤー2023に選ばれたことを記念して、アエデスでの展覧会は彼の実験的なアプローチに捧げられます。広大なインスタレーションは、山を連想させる「積み重ね」の家、木の形に沿った構造、小さな森が生い茂る屋根など、プロジェクトのセレクションを表しています。これらは共に、藤本壮介自身が「プリミティブ・フューチャー」と表現する建築哲学、すなわち人や自然と調和する建築を反映しています。
日本の島、北海道で生まれ育った藤本壮介は、子供の頃から自然に強い関心を抱いていました。これとは対照的に、彼は日本で最も人口の多い大都市である東京という、正反対の人工的な都市状況で建築を学びました。これは、藤本が建築と自然との関係を、彼の作品に不可欠な要素として取り上げるという結果につながっている。藤本は説明します。「今日、私たちは地球規模の問題に直面しています。それは、自然災害、地震、気候変動、そしてパンデミックです。私は、建築は今後よりいっそう自然と結びついていくと考えています。つまり、私たちは自然としての建築を考察し、同時に自然を建築と見なすのです」
すべてがつながっている
藤本壮介が建築を構想するとき、彼は「プリミティブ」と呼ぶ基礎から出発します。つまり、人間と自然が本来持っている多層的な関係です。自然と建築は二律背反するものであるにもかかわらず、彼は自分のプロジェクトに両者を等しく組み込もうと努力している。こうして彼は、違いを中和させるだけでなく、互いに拡散的に共鳴させることで、新たな「場」を生み出すことができるのだと言います。藤本壮介はこう説明します。 「すべてが違っていて、でもつながっているます。ひとつであると同時に多数です。シンプルでありながら複雑。私は、自然、都市、そして人々と真に調和する建築に興味があります」
この建築哲学に基づき、藤本壮介は過去20年にわたり、主に日本と中国で、またヨーロッパでも、幅広く魅力的なポートフォリオを展開してきました。例えば、モンペリエにある樹木のような住宅タワー「L’Arbre Blanc」(2019年)では、機能性と折り紙のような軽さを特徴とするデザインを見事に融合させることに成功し、驚くべき詩的な建築を生み出しました。ブダペストの「ザ・ハウス・オブ・ミュージック」(2022年)も同様で、藤本は、ハンガリーの首都にある市立公園の周囲の自然と融合した、有機的な形をした一部透明の建物と利用者との間に、遊び心のある相互作用や関係を生み出しています。都市空間の狭さへのミニマルで痛烈なデザイン介入によって、藤本は自然と人間とのバランスを創造し、その場所への肯定的な同一性を最大限に刺激し、官能的な空間体験を促進しています。
展覧会
「プリミティブ・フューチャー─すべてが循環する」では、藤本壮介建築設計事務所が手がけた、実現または計画中の12のプロジェクトを紹介します。展覧会の最初の部屋では、12本のフィルムが、多面的なタイポロジーとフォルムをデザインする過程についての洞察を提供します。藤本の建築哲学への言及は、展覧会の第2展示室で紹介されます。広々としたインスタレーションでは、12個のワイヤーでできたオブジェが浮遊し、つながった世界の概念を表現します。それらは、人、自然、地理、建築として一列に並び、メタモフォーシスとして循環しているように読むことができます。視点によって、空間の中にさまざまなスケールやシーンが立体的なドローイングとして現れ、様々なものとつながり、調和してたたずんでいます。

SHARE ヘルツォーグ&ド・ムーロンによる、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツでの建築展「Herzog & de Meuron」。建築家と密接に協働して企画された展覧会。建築の制作過程と体験におけるアイデアを探求する3つの空間で構成。カビネットから移設した模型等・建築作品での日常を主題とする映画・最新作の病院のモックアップ等を展示
- 日程
- 2023年7月14日(金)–10月15日(日)



ヘルツォーグ&ド・ムーロンによる、イギリス・ロンドンの、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツでの建築展「Herzog & de Meuron」です。
建築家と密接に協働して企画された展覧会です。会場は、建築の制作過程と体験におけるアイデアを探求する3つの空間で構成されています。カビネットから移設した模型等・建築作品での日常を主題とする映画・最新作の病院のモックアップ等を展示しています。展覧会の公式ページはこちら。
こちらはリリーステキストの翻訳です
ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツは、批評的に高い評価を得ているスイスの建築事務所ヘルツォーグ&ド・ムーロン(H&dM)の展覧会を、ロンドンで約20年ぶりに開催します。ジャック・ヘルツォークとピエール・ド・ムーロンによって1978年にバーゼルで設立されたこの建築事務所は、建築の性質を再考することによって世界中の都市を形作ってきました。建築家たちとの密接なコラボレーションによって企画されたこの展覧会では、彼らのプロジェクトに適用された考え方や アプローチについての洞察を来場者に提供します。幅広い制作方法、素材、技術が展示され、H&dMの建築とその周辺のコンテクストを体験できる機会となっています。
テート・モダン(ロンドン、2000年と2016年)、ラバン・ダンス・センター(ロンドン、2003年)、北京国家体育場(鳥の巣)(2008年)、エルプフィルハーモニー・ハンブルク(2016年)、REHABバーゼル(2002年と2020年)、M+(香港、2021年)、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(ロンドン、2022年)、ユニバーシティテッツ・キンデルスピタル・チューリッヒ(2024年完成予定)を含む、美術館、病院、スタジアム、民間および公共建築物など、最近および現在の注目すべきプロジェクトがあります。
展覧会は、建築の制作過程と体験におけるアイデアとプロセスを探求する3つのスペースのシークエンスで構成されています。最初の部屋は、H&dMのオープンな倉庫であり研究スペースであるカビネットの一部をバーゼルからロンドンに移したものです。背の高い木製の棚には、幅広い模型、素材、プリント、写真、フィルムクリップ、AR体験など、約400点の品々が展示されており、多様でありながら具体的なプロジェクトの数々を表現しています。これらのカビネットのショーケースの傍らには、H&dMの建築の知覚への関心と、アーティストとの長年のコラボレーションを示す9点の大型写真作品が展示されています。それは、アーティストのトーマス・ルフの作品6点と、ドイツの写真家アンドレアス・グルスキーの作品3点です。拡張現実(AR)を通じて、来場者はデジタル3Dモデルやアニメーションによって展示に命を吹き込まれたプロジェクトをさらに掘り下げることができます。
2つ目の部屋は映画スペース。中央の大型スクリーンでは、スイスのバーゼルにあるH&dMのプロジェクト「REHAB Clinic for Neurorehabilitation and Paraplegiology」での日常生活を描いた、著名な映像作家ベカ&ルモワンヌによる新作映画の編集版が上映されています。スクリーンの反対側には、スクリーンの反対側には、H&DMのプロジェクトを占めて探索する人々の観察に基づいたフィルム・インスタレーションがあります。
最後の部屋はヒーリング・アーキテクチャーに焦点を当て、現在建設中のプロジェクト、スイスのチューリッヒ・キンダースピタル(Universitats- Kinderspital Zurich)、ひとつを取り上げます。このプロジェクトは2012年、先駆的な病院建築による新施設を求める国際コンペで勝利しています。この展示では、来場者がH&dMの癒しの空間のデザインに取り組むプロセスや、自問自答を知ることができます。この部屋には、病室の断面の1:1の内装のモックアップがあり、H&dMの病室とデザインのヒューマニゼーションが表現されています。訪問者は、ARを使用して実物大の部屋を探索することができます。
ノーマン・フォスターが、ポンピドゥー・センターでの自身の建築展「Norman Foster」を解説している動画です。2023年7月に公開されたもの。展覧会の会期は、2023年8月7日まで。展覧会の公式ページはこちら。



塩塚隆生アトリエの会場構成による、大分県美術館での展覧会「朝倉文夫生誕140周年記念 猫と巡る140年、そして現在」です。
近代彫刻家の作品を中心とする展示です。建築家は、作品を引立てる“デザインの一歩手前”の状態を求め、床パネルの割付に着目して個々が隆起し“台座”になる空間を考案しました。また、街並を想起させる台座の配置は地域の作品との連携も意図されました。
本展覧会では、朝倉文夫の作品と、大分を拠点とする安部泰輔とザ・キャビンカンパニーが競演しています。会期は、2023年6月9日~8月15日まで。展覧会の公式サイトはこちら。
彫刻家・朝倉文夫(大分県朝地町生まれ・1883-1964)は、自然主義的写実を貫き、日本の彫塑会をリードする中心的な存在として活躍し、大きな足跡を残した。一方で、無類の愛猫家としても知られ、数十体にのぼる猫の作品を残している。
本展は、朝倉文夫の創作を振り返るとともに、生誕から140年を経た今、大分を拠点に活動を展開する2組の美術家の視点で朝倉文夫を捉え直し、競演する。また、美術館での展示をひとつの「入口=プロローグ」と位置づけ、大分市内に点在する朝倉作品を、さらに朝地町の朝倉文夫記念館や台東区谷中の朝倉文夫彫塑館への循環と広がりを促す展示でもある。
坂茂氏設計の大分県立美術館には、独自のモデュールを床の割付にみることができる。
展示室は、空調の吹き出しスリットを兼ねた5mmの目地を介して470mmx470mmの可動式の床パネルが並ぶ均質な空間である。そこで、この床が1枚1枚持ち上がってそれがそのまま作品の台座にできないかと考えた。手数の少ない操作で、台座にも床にもみえるデザインの一歩手前のような展示空間にできれば、朝倉の強い作品がより際立つと考えた。
また、展示のコンセプトでもある美術館の外との循環や連携がこの展示空間からもみてとれるよう、庭園のような展示空間というのもテーマだった。これらの台座は、主に展示室の両壁際に配置し、街並みや地形を感じられるような位置や高さで構成した。そこに猫の作品を、時系列に関係なく時空を飛び越えて、それぞれのコンディションにあった居場所を探して置いていった。

隈研吾が校長を務める「高知県立林業大学校」が、2023年度のオープンキャンパスの申込を受付中です。
CLTを活用した木造校舎や、林業機械の本格的な実演などが見学可能なイベントです。2023年8月5日(土)の午前・午後の計2回の開催で、定員は各回50名(先着順)です。こちらのページからの事前申込制で2023年8月1日(火)必着となっています。また事前にご連絡すれば、いつでも見学・説明OKな「エブリデイオープンキャンパス(要予約)」も実施中。【ap・ad】
校長を務める世界的な建築家 隈研吾氏からのメッセージ
「木の時代」をリードする志ある人材を育成
森林が県土の84%を占め、林業の中心地とも言える高知県で学ぶということは、非常に意味のあることだと思っています。周囲の森と一体になったこの素晴らしい環境に立地する本校は、高知県が林業・木材産業をいかに重要視しているかの象徴です。私が校長就任時に掲げた「林業を再生し、活性化するプラットフォーム」というビジョンは、すでに形になりつつあります。木に関する多様な領域を合わせるプラットフォームは、世界から見ても非常に貴重な存在であり、本校から巣立った人材は、高知県のみならず、日本全国、そして世界の「木の産業」にとって、重要な人材となります。21世紀は木の世紀・木の時代が来ると、私は予測してきました。本校で学ぶ人は木の時代のリーダーになれる人だと思っています。木の時代を担っていく人材という自覚を持って、互いに切磋琢磨していただきたい。志を持った皆さん、日本一の高知県の森で、共に学び、成長していきましょう。
詳細は以下でどうぞ。




川原達也+エレン・クリスティナ・クラウゼ / KAWAHARA KRAUSE ARCHITECTSによる、ドイツでの建築展の会場構成「The Entire City」です。
ハンブルク市主催の5年半200以上のコンペを扱う展示です。建築家たちは、応募作を“すべて”見せる方針を考案し、膨大な図面の中でアイデアを“身体的”に経験する空間を志向しました。また、浮遊する“アーカイブ”の間にテーマ展示も設けて議論を促す事が意図されました。展覧会の公式サイトはこちら。会期は2023年7月14日まで。
ハンブルク市は2017年末よりFranz-Josef Hoing氏を新しい都市・建築監督官(Oberbaudirektor)として迎えてから2023年までの5年半の間に大小200以上のコンペに関与しまた主催もしてきました。しかし新型コロナウィルスの影響で通常のような展覧会が開催できずにいたところ、設計競技に参加したアーキテクトをはじめ様々な方面から結果発表や議論の場を設けてほしいとの声が上がり、これを受けてハンブルク市は今年のハンブルク建築トリエンナーレにおいて設計競技をテーマに大きな展覧会を開催することを決定しました。
この展覧会のキュレーションおよび会場構成が公募され、われわれKAWAHARA KRAUSE ARCHITECTSと元Bauwelt副編集長のKaye Geipel氏をキュレーターとし、さらにグラフィックデザイナーのstrobo B M、コミュニケーションエイジェンシーのBUREAU Nを加えたチームが2段階の設計競技の末に選定されました。
200もの設計競技の中から、どれをどんな基準で選び出し、それらをどのようにグルーピングし、いかなるテーマを設けて展覧会を構成するのかという問いかけに、われわれは「すべて」を見せますという回答を提出しました。
200の設計競技に提出されたアイデアの総数は1500におよび、図面の数にして6000枚以上になります。この図面そのものを,展覧会を構成する主要なマテリアルとして使用することにし、その膨大な量の図面の中を歩くことで圧倒的な数のアイデアをフィジカルに経験してもらうことをアイデアの主要な軸としました。
すべての図面を展示するということは、言い換えるとアーカイブを構築する作業であることに思い至り、それからはグラフィックデザイナーとともに、それぞれのコンペに、参加チームに、そして提出図面の一枚一枚に固有のコードを与え、勝者敗者に関わらず、年代順、アルファベット順にひたすらドライに並べていくという作業に徹しました。
市が会場として用意したのはハーフェンシティーに残る最後の古い倉庫で、その圧倒的なスケールと、床がどこまでも続くようなこの広大な空間の特徴を生かせるよう、床を区切らずに足元を浮かせた、浮遊するアーカイブを構築することにしました。コードが与えられ整然と図面がレイアウトされた幅90センチ高さ3メートルの細長い垂れ幕は、その総数1100以上におよび、それらが集合して幅54メートル奥行き60メートルの巨大な浮遊するアーカイブを形成しています。

※リンク先のフォームからの応募はgoogleアカウントが必須です(所有されていない方はメールでの応募方法をご確認ください)
磯崎新の初期代表作(旧大分県立大分図書館、現アートプラザ)で開催される追悼展覧会の“展示物”を募集しています。磯崎の言葉「architectureとは何か?」への“返答”を公募し、アートプラザ(旧大分県立大分図書館)に展示する試みです。応募1次締切は2023年7月10日(月) ※但し会期中も継続して募集。本展覧会は、同施設の25周年記念として行われ、関連企画として青木淳の講演会や磯崎建築を巡るバスツアーも企画されています。
展覧会期は2023年7月26日~8月15日。入場料は無料です。展覧会の主催は、アートプラザ共同事業体、アートプラザ開館25周年事業実行委員会。共催は、公益社団法人 大分県建築士会大分支部です。イベント全体の公式ページはこちらです。【ap・ad】
Arata Isozakiからの問い “architectureとは何か?”
“architectureとは何か?”は磯崎新氏が2019 年のプリツカー賞受賞時のスピーチの中で放った一言です。
一昔前はarchitecture as the Art(芸術としての建築)で大体説明できたものが、時代と共に意味が変わり続け、architectureは私たちの社会全体を貫くような存在になってきた。と磯崎氏は語っています。
氏にとってとても重要なこの問いを今一度問われたとしたら、あなたは何と答えますか?
皆さんの自由な返答をここに募集し、氏の設計した建築、アートプラザ(旧・大分県立大分図書館)に展示することで、現在における“architecture” の輪郭を浮かび上がらせようという狙いです。氏への哀悼の意も込めて、たくさんのご応募をお待ちしています。
より詳しい募集情報と関連企画の情報を以下に掲載します。
















