ファラのフィリップ・マガリャインシュとアナ・ルイサ・ソアレスによる、中銀カプセルタワーでの生活を回顧するエッセイ「Fala finds a home in Ginza: Remembering the Nakagin Capsule Tower」が、The Architects’s Newspaperに掲載されています。
architecture archive
ザハ・ハディド・アーキテクツがコンペで勝利した、中国の「精河新城文化芸術センター」の動画です。
科学技術ハブとして発展する都市に計画されました。建築家は、地域の蛇行する渓谷を想起させる形態を考案しました。建築が街を繕うように異なる用途の地区を結び付け人々を集める事も意図されました。アーキテクチャーフォトの特集ページに、画像や文章を掲載しています。
ザハ・ハディド・アーキテクツがコンペに勝利した、中国の「精河新城文化芸術センター」です。
科学技術ハブとして発展する都市に計画されました。建築家は、地域の蛇行する渓谷を想起させる形態を考案しました。建築が街を繕うように異なる用途の地区を結び付け人々を集める事も意図されました。
こちらはリリーステキストの翻訳
ザハ・ハディド・アーキテクツが精河新城文化芸術センターを設計
ザハ・ハディド・アーキテクツ(ZHA)は、精河新城文化芸術センターのデザインコンペティションで勝利しました。
精河新城は、中国陝西省西安の北に位置する科学技術ハブとして発展しています。新しい科学研究機関に支えられ、環境への配慮から、新エネルギーや新素材、人工知能、航空宇宙を中心とした産業開発の中心地となりつつあります。
陝西省の山々と風景の中を流れる精河の蛇行した渓谷をイメージした精河新城文化芸術センターは、市の精河湾学術科学技術革新地区に位置しています。
このセンターのデザインは、市の既存の都市マスタープランと絡み合い、精河大通りの北側にある新しいマルチメディアライブラリーと、南側にある新しい舞台芸術劇場、多機能ホール、スタジオ、展示ギャラリーを、8車線の大通りの下にある高架の中庭、庭園、小道でつないでいます。
なだらかなスロープは、この地区の高架歩道のネットワークへのゲートウェイとなり、センターは街を縫うように商業・住宅地区と南の公園や川を結び、同時に街の人々をビルの中心に集め、地下鉄の計画駅に直接アクセスすることができます。
この設計は、中庭や風景と相互接続する一連の流れるようなヴォリューム、層、表面として構成され、地域社会のための一連の内部および外部の文化・レクリエーション空間を定義しています。
田中健一郎+山下優子 / 三省設計事務所が設計した、長崎・対馬市の「神話の里トイレ」です。
近年観光客が増加する国定公園内に計画された公共トイレです。建築家は、敷地に“建築が溶け込む”事を目指して、山々の傾斜に沿う屋根と木々の色と調和する外壁を考案しました。また、外壁上部に抜けを作り自然換気や快適性と防犯性にも配慮しました。施設の場所はこちら(Google Map)。
本計画は壱岐対馬国定公園和多都美園地の中にある、神話の里自然公園に建つパブリックトイレです。
和多都美園地の中心である和多都美神社は古くから竜宮伝説が残されている神社であり、近年観光客が増加していることから、近隣の神話の里自然公園内に計画整備された建物です。
計画地の神話の里自然公園は、道路に面して広い駐車場があり、その奥に管理建物、キャンプ用コテージ、ビーチと続いており、それを囲むように山々がある緑豊かな公園です。本建物は駐車場の一角に計画され、また国定公園内であることから、屋根形状や建物の配色といった修景に対し十分に配慮しながら計画しました。
「自然公園の中に建築が溶け込む」ことが大切だと捉え、特に屋根形状や素材に対して配慮した建物です。屋根形状は周囲の山々の稜線を崩さないよう山の傾斜に沿った形にし、建物の高さを抑えています。
建築設計の世界では、建築が竣工するとオープンハウスを開く習慣がある。
オープンハウスとは、簡単に言えば、竣工した建物を施主に引き渡す前の段階で、様々な人たちにお披露目するイベントだ。建築設計者の多くは、施主に開催の許可を貰い、自身が主催する形で、この機会を積極的に作っている。
多くの人々を招くことになるので、その運営は決して楽なものではない。では、何故設計者達は、オープンハウスを行うのだろうか。理由はいくつか考えられるだろう。
第一に、一般的に、建築の中でも住宅は、完成して住まわれた後は、簡単に内部を見せることが出来ない。引渡し前の一瞬が最初で最後の完成した建築を見てもらう機会になる可能性もある。第二に、設計者にとっての貴重な営業の機会と捉える事も出来るだろう。自身の施主になってくれる可能性のある人たちに実際に完成した空間を見てもらう事で、自身の設計の特徴を知ってもらう機会になり、次なる仕事に繋がる場合もある。第三に、同業の建築関係者が集うことで、実際の建築を前にして設計についての意見交換をする機会が生れる。
特に、この三つ目の理由を、特に建築家と呼ばれる人たちは重要視していて、非常に大切にしている印象がある。
2022年1月、建築家の湯浅良介が自身が設計した住宅『FLASH』を公開するイベントを行った。
建築作品を訪問者にお披露目する為のものであったが、通常の竣工直後に行われるオープンハウスとは異なる形式で行われたのが特徴的であった。建築の内部を公開するだけでなく、住宅の公開と共に、様々なアーティストによるこの建築に関する作品の展示も同時に行われたのである。
このイベントは「HOUSEPLAYING」と名付けられて行われ、実際に訪れた多くの人々を魅了した。建築のオープンハウスは設計業界で仕事をしていると馴染み深いものであるが、このイベントは通常のそれとは違っていて、その形式自体も建築家が考案したという事実にも非常に興味を惹かれた。
そこで、この住宅を設計し、また「HOUSEPLAYING」を企画した湯浅に、何を考えて開催に至ったのかをエッセイの形式で綴ってもらった。本稿が今一度内覧会という仕組みを再考する機会になれば幸いである。
(アーキテクチャーフォト編集部)
HOUSEPLAYING───これまでのオープンハウスと異なる、建築の複数の語り方とその可能性
Out of the water
建築が竣工するとオープンハウスが開かれ建築関係者が集いその場で意見交換をする。大切な情報交換の場であり、自身が設計したものを開示して同業者の意見や批評を仰ぐ機会は、建築というプラットフォームの上に自らを差し出すような献身的な態度ともとれ、建築という言葉の中での研鑽として貴重な機会だと思う。
意見の中で良いところがあれば設計に取り入れようと思うし、悪いところがあれば反面教師的に心に刻む。そして、そういうやりとりを基本的には開催する側も嫌がることなく臨んでいる空気感があり、訪れた方は主催者に対して、自身の感想や批評を伝えることで招いてくれたことに対する感謝の意を表している。それは、暗黙の了解にも感じられ、そんなところに建築の世界の献身さがあるように思う。
僕は元々建築とは畑違いの大学に進んだが、写真や絵画、美術への興味が日に日に増し、通っていた大学を中退して美術大学に進学した。そこでは広く浅くデザインや美術について学んだがその中でも建築についてもっと学びたいと思い大学院で建築科に進んだ。
それだからか、建築を側からみている傍観者的な感覚がどこかにあり、それを払拭したくて建築家のもとで修行しようと内藤廣さんのところで建築を文字通り一から叩き込んでもらった。
それでもやはり“建築”というものに対して少し引いて見てしまうところがある。“建築”という言葉のもつ意味の広さや曖昧さ故のマジックワード感に、その言葉自体に身を委ねることに危うささえ感じてしまう。もちろん建築は好きだが、その言葉の背後に潜む全能感のようなものを垣間見る時に距離を感じるのかもしれない。
僕にとって建築は、写真や絵画が好きだという気持ちの延長線上にある。ひき込まれるような写真や絵画を観るたびに、これを撮った人、描いた人はどんなふうに世界を見ているのだろうと気になる。自分自身も写真を撮ったり絵を描いたりしたこともあるが、見られる側の世界を作ろうと思って建築に携わっている。
だから今でも人が“見ているもの”に興味がある。
そんな僕にとって、写真家の方々に設計した空間を撮ってもらう時間や出来上がった写真を見る瞬間は特別なものだ。
僕は、普段竣工写真を建築写真家ではない写真家やカメラマンに依頼するのだけれど、それは対象が“建築”かどうかを意識から外して撮ってもらいたいからだと思う。つまり、建築を建築の言葉だけで話すことに僕自身が違和感を感じる、ということかもしれない。
独立後初めて設計した新築の住宅ができた時、人に見てもらいたいという想いがふつふつと湧き、天邪鬼にインスタグラムのストーリーに場所も日にちも載せず興味のある人は連絡をくださいとだけ打ち込み、1日でそのストーリーは消えた。(インスタグラムのストーリー機能は、その投稿が24時間で消える仕組み*編集部補足)
そんな投稿を発見して見に来てくれた人達はとても真摯な人ばかりで、感想と言ってテキストや自身の博士論文を送ってくれたり、参考になると思いますと本を教えてくれたり、建築をお披露目するというよりも、設計者に来訪者が情報や知見を与えてくれた有難い機会だった。
僕は普段一人で設計をしている。
基本的には施主と構造設計者以外誰かに相談することもなく、ひたすらその時興味のある本を読みながらスケッチや設計図を描いている。事務所勤めの頃の経験から考えてみてもとても閉じたバランスのわるいやり方だと思うが、今はこのやり方だから捉えられるだろうものに興味がある。
アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2022/6/13-6/19)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。
- 井上雄貴による、千葉・流山市の、設計者の自邸「風光棲家」。閑静な住宅街に建つ二世帯住宅。隣家や世帯間の距離感の調整と独立性を求めて、中庭を核とする構成と中東伝統建築を参照した風光を取り込む環境装置を考案。内部でも時の移ろいを感じとれる住環境をつくる
- 篠原一男による「から傘の家」が、ドイツ ヴァイル・アム・ラインの「ヴィトラ キャンパス」に移築完了。1961年に完成した日本の木造住宅を、スイスの家具メーカー“ヴィトラ”が継承。バックミンスター・フラーとジャン・プルーヴェの作品に続いて同敷地内に移設された歴史的建築物
- スノヘッタによる、ノルウェーの水中レストラン「アンダー」の現在の写真。竣工3年で建築が自然に包まれた様子を撮影。海中の様子を眺望できる窓を備えた全長34mのコンクリートの建築物。時間と共に環境に溶け込むよう意図して設計
- 山口陽登 / YAPによる、大阪市の、書道の為の空間「幸星菴」。都心の公園に面するビルに計画された書家のアトリエ兼書道教室。環境を活かした“書”に相応しい場を目指して、考案した様々な素材が調和し響き合う空間を構築。用途に必要な“張り”と“寛容さ”の同居も意図
- 竹中工務店による、大阪の「Innovation Garden Osaka Center」。開発と事業創出の中核となる施設。現代オフィスに必要な“非均質”を目指して、平面をずらし積層させ動線機能を散逸配置し偶発性のある空間を構築。短工期で理想実現を求め“改修するように新築する”方法を実践
- 北川原温建築都市研究所による、大阪・吹田市の「大阪学院大学高等学校新校舎」。高大連携の為に大学隣地に移転する高校の新校舎。フラッグシップの役割を目指し、未来を探求する“船”を想起させる外観を考案。特徴的なバルコニーは生徒の交流を促し環境との調停も担う
- 富永哲史+小野里紗+名畑碧哉 / n o t architects studioによる、東京・大田区の住宅「風景を掬う小さなイエ」。周囲が建て込む都心の住宅街に計画。街に散らばる些細な風景を取込み共に過ごす生活を志向して、“シルバーの谷”が建築を貫く構成を考案。“谷”は開口の操作で外とも繋がり多彩な役割も担う
- 徳田直之 / tokudactionによる、千葉の、住宅改修「四街道の住宅」。生活変化で在宅時間が増えた施主の為に計画。子達が家を出た後に生まれた広さへの対処を求めて、様々な要素を整理し関連付け心理的距離を縮める空間を考案。最小限の操作で最大限の効果も目指す
- 長坂常 / スキーマ建築計画による、中国・上海の店舗「ブルーボトル コーヒー上海」。上海市が保存する歴史的建造物に計画。既存の保存された外観と構造現しの内観のギャップを特徴と捉えて、“近代”と“現代”をテーマに空間の要素を設計。各階の異なる利用目的に応じる家具を選択
- 牧野研造建築設計事務所による、京都市の「花園の家」。住宅街の木造二階建住宅。らしさを持つ不変性と柔軟な可変性の共存を目指して、機能的平面の下階と複数のフロアが自由に振舞う上階を組み合わせる構成を考案。空間における“線”量が用途の補助線としても機能
- 桐山啓一 / Airhouseによる、岐阜の住宅「関ヶ原の家」。木々が生茂る自然豊かな環境に計画。恵まれた自然を取り入れる生活を求め、居住空間の周りに余白となるテラスを設けて全体を大屋根で覆う構成を考案。内部は掘り下げる事で周りの視線も制御
- ピーター ・ズントーの家具コレクション展をフォトレポート。半世紀に渡り自らの建築の為にデザインした家具が製品化され公開。綿密なやり取りを行い、日本の素材と技術を取り入れTime & Styleが制作。実物に加えインタビューや製造工程の動画等も展示
- 武田慎太良デザイン事務所による、愛知・春日井市の美容室「Shin enom」。美容師のもつ世界観を尊重する計画。個性を表現できる空間を目指して、茶室に見立てた2m角のキューブを其々が編集する仕組みを考案。可変性を活かして用途を越えた活用の方法も模索
- 古家俊介 / DESIGN NETWORK ASSOCIATESのランドスケープデザインによる、宮崎市の、商業施設「アミュプラザみやざき」。斜線制限から生まれた階段状の屋上に計画。地域の棚田を想起させる形態から“だんだん”をテーマに設定し、様々な特徴の場を配置して移動の中で高揚感が生まれる空間を構築
- スノヘッタによる、ノルウェー代表サッカーチームの競技場の改修「Ullevaal Stadion」。選手用ロッカールームと入場トンネルを刷新。選手の感情のサポートを目指して、強い一体感を生み出す為の平面計画や気持ちを高める空間演出を構想。様々な設備も備え活力を取り戻す為の機能性も考慮
- クリストとジャンヌ=クロードの「包まれた凱旋門」に関する展覧会の会場写真。21_21 DESIGN SIGHTでの2021年9月にパリで実現した作品に関する展示。二人の作家の制作背景と実現に向けた長い道のりに焦点をあて企画。豊富な記録画像や映像を用いて作品の“新たな体験”を生み出す事を意図
- 今津康夫 / ninkipen!による、兵庫・神戸市の住戸改修「∠六甲」。安藤忠雄の“六甲の集合住宅III”の住戸を改修する計画。恵まれた眺望を活かす事を求めて、風景に意識を向ける役割も担う“掛込天井”やキッチン等の配置を考案。既存RC壁を象徴として捉え現し仕上げも採用
- 長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・渋谷区の、ブルーボトルコーヒーの仮設店舗。コロナ禍に期間限定で開かれた間接接客を行う店舗。非対面状態で温もりの伝達を目指して、開閉で半透明アクリルから光が漏れる“蜂の巣”の様な木製什器を考案。技術連携でのスムーズな体験も想定
- 伊瀬和裕 / テトラワークスによる、広島・福山市の「中野の家」。住宅街にあり河川にも面する細長い敷地に計画。周辺との調和と敷地形状の援用を目指して、低く抑えた切妻屋根と3つの庭を持つ建築を考案。其々の庭が異なる役割を担い快適な住環境を構築
- 日本建築設計学会賞の受賞記念作品展が、東京・丸の内で開催。芦澤竜一+陶器浩一、神谷勇机+石川翔一、高野洋平+森田祥子、畑友洋、平瀬有人+平瀬祐子、藤貴彰+藤悠子の作品を展示。オンラインでのクロストークも会期中に実施
MVRDVが設計した、ドイツ・アウクスブルクのパヴィリオン「Fuggerei NEXT500 Pavilion」の新しい写真です。
世界最古のソーシャルハウジング“フッゲライ”の500周年を記念して建設、5週間に渡り行われる学術的な議論や展示の為に使われ、8.5mのキャンティレバーは未来のフッゲライを見渡す事を想起させます。オープン時の写真はこちらの特集記事で紹介しています。
こちらは、パヴィリオンのオープン時に公開されたリリーステキストの翻訳
MVRDVとフッガー財団が、ソーシャルハウジング「フッゲライ」の500周年を記念し、祝賀パビリオンと「未来のフッゲライ」のための3つの提案を実施
ドイツ・アウクスブルクにある世界最古のソーシャルハウジング「フッゲライ」は、今週末から500周年を迎え、ソーシャルハウジングと現在のグローバルな課題に関する学際的な議論やイベントを5週間にわたって開催します。この記念行事の中心となるのが、MVRDVが設計したNEXT500パヴィリオンで、多数の要人やフッガー家の創設者が出席する中、本日オープンしました(※2022年5月6日)。明日2022年5月7日には、欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長が、パビリオン内の展示で、MVRDVによる「未来のフュッゲライ」についての研究、新しいフュッゲライコードと世界中の新しい複合施設の3つの提案などを見学される予定です。
欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は述べます。
「500年にわたるフッゲライは、アウクスブルクの人々が何世紀にもわたって共に成し遂げてきた成功を象徴しています」
「この背景には、立派な市民意識と、企業家としての先見性があります。常に自分自身のことよりも社会の幸福を優先させ、その結果、歴史的な挑戦だけでなく日常生活の苦難にも共通の強さを持って立ち向かうことが有効であることが証明されたのです。ヨーロッパは、この偉業に心からの祝福を贈ります」
パヴィリオンは、細長い切妻屋根の建物で、その形はフッゲライの長い段々畑をイメージしています。しかし、一直線のブロックではなく、パヴィリオンの一端はカーブして持ち上げられており、アウグスブルクと世界の未来にフッゲライになるものを見渡す役割を連想させています。この持ち上げられた端は8.5mのキャンティレバーとなり、講演会、討論会、ワークショップ、その他の文化的イベントのための演台が設置されています。この構造体はすべてクロスラミネート・ティンバーでできており、8mのキャンティレバーとダブルカーブのエレメントによって、現代のCLT技術の限界を押し広げています。またCLTは、パヴィリオンを簡単に取り外すことができるモジュールシステムとなる事を可能にし、社会的、持続可能な文脈の中でパヴィリオンが第二の人生を歩むことを可能にしています。木材はフッゲライの森から調達し、木製のインテリアは地元の大工が制作しました。
パヴィリオン内では、「未来のフッゲライ」をテーマにした展示を体験することができます。フッゲライは1521年にドイツの商人ヤコブ・フッガーによって設立されましたが、住宅不足、気候危機、社会的不平等、孤立化が進むこの時代において、フッゲライのサステナビリティ志向で人を中心としたコンセプトは、現代においても模範となるものです。この展覧会のために、MVRDVとフッガー財団はアウクスブルクの既存団地を調査し、フッゲライが新たに書いた「フッゲライ・コード」に沿って、団地が成功するための方程式を抽出しました。その結果、8つのシンプルな「構成要素」が生まれ、世界中のさまざまな状況に適応できる新しいフッゲライのためのシステムの基礎となりました。また、パヴィリオンの内部レイアウトにもこの「構成要素」が採用されており、8つの「構成要素」から着想を得た展示・イベント用のスペースが8つ設けられています。
MVRDVによる、オランダ・アペルドールンのヘルマン・ヘルツベルガーの代表作を含むエリアの開発プロジェクトが始動。
構造主義の象徴“セントラル・ビヘーア”を含む一帯を開発します。建築家は、歴史的建築の保存と持続可能性を求めて、設計原理を踏襲してエリア全体に広げるヴィジョンを構想しています。また、既存建物自体にも新たな用途を与え再生する予定です。
こちらはリリーステキストの翻訳
MVRDV、構造主義の象徴であるヘルマン・ヘルツベルガーのセントラル・ビヘーア・ビルディングを新しい住宅地として再生へ
アペルドールンのヘルマン・ヘルツベルガーによるセントラル・ビヘーア・ビルディングは、世界中の建築家の間でよく知られたプロジェクトです。保険会社のために設計されたこのオフィスは、構造主義運動の最高峰の1つとして広く知られています。現在、MVRDVはヘルマン・ヘルツベルガーの事務所AHHとの協議の上、この有名な建物を変化させ、その構造を尊重しながら、既存建物の設計原理を反映した持続可能で環境に優しい住宅地の中心的存在にすることを目指しているのです。サーティトゥード・キャピタルの委託を受け、市内の駅に近い3ヘクタールの敷地に、大きなエリアヴィジョンの一部として行われるもので、MVRDVのデザインは遺産保存、緑化、イノベーションを優先させ、約650~800戸の住宅を新たに導入します。
セントラール・ベヘールビルは、1972年の開業当時、オフィスデザインに革命をもたらしました。ヘルツベルガーのデザインは、4つの象限で構成され、中央の2つの「通り」が建物の社会的な中心を形成しています。9メートルの立方体という基本要素を一貫して反復・調整することで、この建物は独特のフォルムと傑出したインテリアを獲得しました。半世紀を経た今、この建物は建築家や建築史家の間で世界的な名声を博しています。
2015年、サーティトゥード・キャピタルは、今は使われていないこの建物とその周辺の敷地を、多機能な住宅地にすることを目的に購入しました。MVRDVは、建物の構造主義的な原理を住宅地全体に広げるエリアビジョンを策定しました。建物内の中央通りの軸は、アペルドール市民の集いの場となるだけでなく、この地域を通る最も重要なルートの一部となり、建物と街や駅をより良く結びつけ、ヘルツバーガーの当初の設計ヴィジョンを強化することになります。
敷地の一部であるセントラル・ビヘーア・ビルディングとPakhoedtorensには、さまざまな住宅が入る予定です。オリジナルの構造体は可能な限り再利用し、サステイナブルな材料で再仕上げをする予定です。このプロジェクトの目標は、できるだけ多様な住宅供給を行うだけでなく、この建物を公共プログラムを完備した目的地に変え、公園を魅力的な場所にすることです。既存の建物を改造することは、オランダの建築遺産を保護するために重要なだけでなく、環境にとっても重要です。この住宅地の建設に伴うCO2排出量は、通常の住宅よりも大幅に少なくなっています。
MVRDVの設立パートナーであるヴィニー・マースは言います。
「超クールな仕事だ」
「ヘルマン・ヘルツベルガーは、私にとって重要なロールモデルです。デルフト工科大学で学んでいたとき、彼はアルド・ヴァン・アイク、レム・コールハースとともに私の教授のひとりでしたから、素晴らしいトリオです。彼が主催する国際デザインセミナー『InDeSem』でも、2度ほど一緒に仕事をしました。ハーマンが70年代前半にまったく新しいオフィス風景を作り出したように、MVRDVも90年代前半に『ヴィラ VPRO』で同じことをしました。私たちは、クライアントにセントラル・ビヘーア・ビルディングを案内し、彼らの心を開き、私たち自身の仕事のインスピレーションとしました。私たちは、変革の基盤として必ずや保持するつもりです」
桐山啓一 / Airhouseが設計した、岐阜の住宅「関ヶ原の家」です。
木々が生茂る自然豊かな環境に計画されました。建築家は、恵まれた自然を取り入れる生活を求め、居住空間の周りに余白となるテラスを設けて全体を大屋根で覆う構成を考案しました。そして、内部は掘り下げる事で周りの視線も制御したのです。
岐阜県関ヶ原町における夫婦のための住宅の計画。
敷地は南北に長く隣地には木々が生茂る自然豊かな環境である。
ここでは中央に最低限の居住空間を設け、南北にそれぞれ余白となるテラスを添えて、全体に大きな屋根を架けることにした。
居住空間の南側はエントランス兼テラス。
居住空間に入っていくエントランスである共に、リビングに接するテラスとなる。居住空間の北側は仏間やゲストルームにアクセスする通路兼テラス。
離れにアクセスするための通路であると同時にリビングや寝室に接するテラスとなる。
中央の居住空間は半地下のような空間とした。南北のテラスより床レベルを下げることで天井高を確保しつつ、起伏による腰壁が四方向ガラス張りの空間でありながらも、周囲からの視線を遮り居住の寛ぎを生むことを意図している。
古家俊介 / DESIGN NETWORK ASSOCIATESがランドスケープデザインを手掛けた、宮崎市の商業施設「アミュプラザみやざき」です。
斜線制限から生まれた階段状の屋上をデザインする計画です。デザイナーは、地域の棚田を想起させる形態から“だんだん”をテーマに設定し、様々な特徴の場を配置して移動の中で高揚感が生まれる空間を構築しました。また、街に開かれた公園のような存在となる事も志向しました。建築本体の設計は、久米設計九州支社が手掛けています。
施設の公式サイトはこちら。
アミュプラザみやざきはJR宮崎駅前に建設された大型複合商業施設である。
本計画はアミュプラザみやざきだけでなく、宮崎駅西口広場やその周辺も含めた再整備により新たな「にぎわい」を創出し、集客力の高い橘通エリアとの相乗効果によって、街全体の活性化を促すことを目的としている。また宮崎県や宮崎市も駅前広場等の再整備に積極的に参画しており、民間と行政が一体となった「まちづくり」が行われた。
厳しい斜線制限を緩和することによって生まれた階段状の建築のボリュームは、日本有数の美しい棚田が存在する宮崎の風土を連想させることから、ランドスケープのデザインキーワードを「だんだん」と設定した。「だんだん」は棚田を表す「段」、「日本のひなた宮崎県」とも呼ばれるように宮崎の温暖な気候を表す「暖」、そして利用者が上階へと歩を進めるにつれて、だんだんと空が近づいてくる、だんだんと海が見えてくるといった湧き上がる期待感や高揚感も表現している。
利用者は宮崎の海や山、街の風景を楽しみながら、小高い山をハイキングするように「山頂」の交通神社まで、つづら折りの路を登っていく。路沿いには宮崎の環境に適した色とりどりの植栽を施し、利用者が様々な過ごし方ができるスペースを融合させている。
スノヘッタが設計した、ノルウェー代表サッカーチームの競技場の改修「Ullevaal Stadion」です。
選手用ロッカールームと入場トンネルを刷新するプロジェクトです。建築家は、選手の感情面のサポートを目指して、強い一体感を生み出す為の平面計画や気持ちを高める空間演出を構想しました。また、様々な設備も備え活力を取り戻す為の機能性も考慮しています。
こちらはリリーステキストの翻訳
スノヘッタが、ノルウェー代表フットボールチームのホームを改修
スノヘッタは、ノルウェー最大のサッカースタジアムであり、サッカー代表チームのホームグラウンドであるウレヴォール・スタディオンのロッカー設備と選手用トンネルを改修し、ホームチームとビジターチームに、熱意とチームスピリットと回復を促進する環境を提供します。
1926年にオープンしたウレヴォール・スタディオンは、現在約2万8千人のファンを収容します。ナショナルチームのホームグラウンドとして、また歴史的に、首都のいくつかの地元クラブのホームグラウンドとして、このスタジアムはノルウェーのサッカーシーンにおける中心的存在となってきました。長年にわたって何度かアップグレードが行われたものの、スタジアムの荒れ果てたロッカールームや、窮屈で入り組んだ選手用トンネルはアップグレードが必要でした。
新しい施設は、サッカー選手の感情が旅をするように設計されています。選手がホワイエとプレスエリアに入ると、ノルウェーのサッカーの歴史を物語るトロフィーやアートワークが展示され、選手たちが過去の思い出を振り返ることができます。これは、ホームチームの自信を高めると同時に、ビジターチームに尊敬の念を抱かせるために考えられています。
選手たちがフィールドに近づくにつれ、アドレナリンが出てきます。ロッカールームは、機能的かつ視覚的にデザインされており、選手たちがこれから始まる試合に向けて準備するのに役立つようになっています。監督を中心としたアリーナをイメージした部屋は、チームスピリットを高め、強い一体感を生み出すために作られました。この一体感は、試合の後、勝利を祝う時も、悔しい敗戦から立ち直る時も、同様に重要です。また、シャワーや冷水槽、浴室、治療用ベンチなど、選手が回復し、活力を取り戻せるような設備がロッカールームには備わっています。
試合開始の数分前、チームは何千人ものファンが待つ緑のフィールドに行くために整列します。このインテリアの旅の最終段階である選手用トンネルは、短いながらも広々としていて、緊張と興奮の両方を味わうことができます。壁面には白樺の薄板を使用し、一部の薄板を引き出して壁と天井をつなぐ独特のアーチを作り、トンネルをモチーフにしながら天井に照明などのインスタレーションを隠せるようにしています。この薄板の端面はすべて磨き上げられたステンレスでコーティングされ、トンネル全体に日の光を反射させます。
牧野研造建築設計事務所が設計した、京都市の「花園の家」です。
住宅街の木造二階建住宅です。建築家は、らしさを持つ不変性と柔軟な可変性の共存を目指して、機能的平面の下階と複数のフロアが自由に振舞う上階を組み合わせる構成を考案しました。また、空間における“線”の量が用途の補助線としても機能するように意図しました。
リビングらしい空間、キッチンらしい空間、和室らしい空間といった、様式を感じさせる空間を受動し生活することも、何にでも使えそうな空間を、使い方を変化させながら能動的に楽しむことも、相反するようでどちらも魅力的なことであり、住まい手はそのどちらも求めているように思われた。
100㎡に満たない空間の中に、双方の豊かさを共存させられないかと考えた。
また、らしさを持った変わらない空間と、ライフステージに合わせて変化させる可能性に満ちた空間を、違和感なくつなぎたい。
2階床、ロフト階床は、3畳のスペース9マスを基本段位とし、それぞれを上げ下げして出来上がるスキップフロアの構成としている。
3畳のスペースはそれぞれが完結しないよう、隣り合う3畳のマスをつないで使えるように、建具の設置可能な位置と、段差を調整している。概念上、完結した6畳の個室が4室ある状態より、未完結な3畳が8マスあることが、この家の使い方を自由にすると考えた。
京都を拠点とし、“コミュニケーション”を大切にする「みらくる設計室」の、設計スタッフ(2023年新卒・既卒・経験者)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
■私たちの紹介
京都・四条烏丸の設計事務所「みらくる設計室」は、設計スタッフを募集いたします。私たちはいわゆる「アトリエ設計事務所」ではありません。
世の中には様々な建物や空間があり、それが全て拘りをたくさん持っていたり、カッコいいわけではありません。
それでも私たちが関わることで、少しでも「意味」があり、「カッコ」よく、「誰か」のための空間となり、そこにいる方々の人生や気持ちを「Good」な方向に持っていくために、活動しています。まだ開業して日の浅い事務所ではありますが、住宅、共同住宅、商業店舗、施設など幅広い分野の民間の建築プロジェクトに関わり、小さい木造からRC・S造の大きな建築物、デザイン監修や古い建屋の再生プロジェクトまで、多種多様な業務をこなしています。
その中で強みである3DCGや動画などのテクノロジーを多用しながらも、色々な業種の方々との活発なコミュニケーションを心がけています。映える「テクノロジー」と、様々な積み重ねで創り上げる「信頼」の双方を最も大切に考えています。
■私たちが求める「人」
私たちは「コミュニケーション」を一番大事に考えています!実務経験や建築の知識など勿論大事なスキルですが、決して1人で仕事が完結するわけではありません。
社内、お客様、プロジェクトチーム、その他色々な「人」がいて、議論してぶつかりながらイイものを作りあげていきます。
だからずっと図面を描くだけの人は求めていません。
私たちと一緒に「成長」していける仲間が欲しい ― 色んな人と関わって、色んなことに興味をもっていける人を探しています。僕たちと一緒に「成長」しませんか??
北川原温建築都市研究所が設計した、大阪・吹田市の「大阪学院大学高等学校新校舎」です。
高大連携の為に大学隣地に移転する高校の新校舎の計画です。建築家は、施設がフラッグシップの役割を担う事を目指し、未来を探求する“船”を想起させる外観を考案しました。そして、特徴的なバルコニーは生徒の交流を促し環境との調停も担います。
大阪学院大学高等学校は大阪府吹田市に位置する大阪学院大学の併設校です。
本プロジェクトは旧校舎の老朽化に伴う耐震改築を兼ねて、大学キャンパスに隣接した敷地に移転して高大連携を図ることが求められました。大学キャンパスとの連携により、少子高齢化社会を見据えた合理的な施設規模が実現されています。また建て替えに際して、教育システムとしても新たに教科センター方式を導入し、次世代教育のための学校計画を目指しました。
新校舎は教室棟と食堂棟から構成されます。
大阪学院大学のフラッグシップとなる新校舎は、多感な時期を過ごす生徒たちが乗り合い未来を探求するための「船」のようなデザインを目指しました。
宇野友明が、2022年6月9日にデルフト大学で行った講演「Architect Freedom」の動画です。日本語で収録されたものに英語字幕がついています。宇野の事務所や手掛けた建築の中で語られています。
(翻訳)
日本の愛知県に生まれた宇野友明は、1990年に名古屋に事務所を開設し、洗練された美意識と構造・素材に対する卓越した感性で、数多くの美しい建築を生み出してきました。住宅建築からプロダクトデザインまで、さまざまなプロジェクトを手がけ、厳選された職人たちと密接に連携し、すべての建築を手作業で作り上げています。12年前には、事務所設立20周年を記念して、西澤豊氏の撮影による写真集『Visible Invisible』を出版。最近では、ポルトガルの出版社AMAGが、このオフィスの特集を組みました。(原文)
Born in Aichi Prefecture, Japan, Tomoaki Uno opened his office in Nagoya in 1990 and has created many beautiful architectures with a refined aesthetic and an exceptional sensitivity to structure and materials. The studio works on a range of projects, from residential architecture to product design, working closely with a carefully selected group of artisans to create all the architecture by hand. Twelve years ago, he published the book Visible Invisible which commemorates the 20th anniversary of the office with a collection of photographs taken by Yutaka Nishizawa. More recently, the Portuguese publisher AMAG dedicated an issue to the work of the office.
建築家による豊かな空間の施工を多数手掛ける「株式会社 栄港建設」の、現場監督(既卒・経験者)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
栄港建設は会社設立以来、建築家のアイデアあふれる豊かな空間を数多く施工してきました。
私たちの建物づくりは、建て主の想いという“カタチのないもの”に、建築家と共に現実の“カタチを与える”ことです。それぞれの建物がその目的や用途ごとに、様々な大きさや形があるのは、建物を建てようと思う気持ちが多様だからです。
私たちは、建築家から託された設計図書を基に、これまで培ってきた技術と経験と私たちの想いを乗せて、みなさまに自信を持ってお渡しできる建物を創っております。
いい家づくりには建て主と建築家、そして施工会社の三者が三位一体となり、深い信頼関係を築けてこそ、既製品とはまったく異なる「オンリーワン」の家づくりが可能となります。必要なものごとを率直に話し、充分にやりとりした上で建てることで、誰にとっても満足のいく家づくりが実現する。そして完成してからも末永くお付き合いが続けていけると信じています。
建物づくりは、決して一人では出来ません。
私たちが求める人物像は、建築やものづくりが好き、人が好き、そして、何事もあきらめず一つ一つ向き合っていく気持ちのある人です。関わるすべての人たちとの和を大切に、チームとして良い建物を創っていける、そんな方を募集します。