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小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、神奈川・横浜市の「関内の集合住宅(ZOOM Yokohama Kannai)」
小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、神奈川・横浜市の「関内の集合住宅(ZOOM Yokohama Kannai)」 photo©矢野紀行写真事務所
小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、神奈川・横浜市の「関内の集合住宅(ZOOM Yokohama Kannai)」 photo©矢野紀行写真事務所
小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、神奈川・横浜市の「関内の集合住宅(ZOOM Yokohama Kannai)」 photo©矢野紀行写真事務所

小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSが設計した、神奈川・横浜市の「関内の集合住宅(ZOOM Yokohama Kannai)」です。

関内駅から徒歩3分の横浜文化体育館前の交差点に面する角地に計画された集合住宅。

この敷地には元々、「不老町2丁目第一共同ビル」という宮内建築設計による小さな県公社共同ビルが建っていた。交差点を挟んで反対側には横浜文化会館のPFI再整備事業としてメインアリーナの工事が進められており、近くの教育文化センター跡地には関東学院大学のキャンパスも建設されていて、エリア全体が大きく様変わりしてきている。

このプロジェクトでも既存が4階建てだったが、11階建てのマンションとして計画され、22-25m2程度の小さめの面積の住戸が集まる投資用の賃貸住宅として分譲される。アリーナの正面に位置することもあり、建物全体をファサードでアピールする事も求められた。

建築家によるテキストより

大規模集合住宅では、各住戸からの効率の良い避難のため、隔て壁を蹴破って避難ハッチを共有できる様に住戸の前面に連続するバルコニーを設けている。しかしながらファサードの意匠としてはバルコニーを前提としなければならず、特に小さな住戸が並ぶこの集合住宅では、隔て壁が2.9m毎に必要になるため、ファサードでも住戸の小ささがことさらに強調されてしまう。

また、オーナーが一棟丸ごと所有する小規模な集合住宅であれば、バルコニーを無くしても、空調の室外機はまとめて屋上に設置できるが、分譲集合住宅の場合、空調機は個々の管理になるため、室外機置き場としてもバルコニーは必要である。香港の高層集合住宅のように、室外機を壁面の架台に設置する事も可能だが、やはりメンテナンス時の安全性を考えるとバルコニーが望ましい。

建築家によるテキストより

このプロジェクトでは、各階のスラブを前面まで持ち出して水平ラインを印象付ける事で、近隣の防火帯建物に馴染ませる様にしている。また、バルコニーで小さな住戸ユニットが強調されず、ファサードを大きな面として表現しつつも、内部から感じる開放感を確保するために、これらの水平スラブの間に縦糸の様に薄いコンクリートパネルを配置した。

隔て壁部分には住戸区画を兼ねた奥行きの深いパネル、それ以外の部分にも様々な奥行きのパネルをランダムに設置する事で、戸境を目立たせないようにしつつ、ファサード全体をリズミカルな面として表現した。角地のコーナー部分にある住戸の妻壁や、棟内にある機械式駐車場を囲む低層部の壁にも、バルコニー前面と同様のパネルを回すことで、ファサードを水平に連続させている。

建築家によるテキストより
宮城島崇人による、富山・南砺市の、ゲストハウス使用も視野に入れた既存住宅の改修「民家と城端」。周辺環境を鼓舞する建築を意図しそれを伝える‟環境写真”も紹介
宮城島崇人による、富山・南砺市の、ゲストハウス使用も視野に入れた既存住宅の改修「民家と城端」。周辺環境を鼓舞する建築を意図しそれを伝える‟環境写真”も紹介 photo©竹内吉彦
宮城島崇人による、富山・南砺市の、ゲストハウス使用も視野に入れた既存住宅の改修「民家と城端」。周辺環境を鼓舞する建築を意図しそれを伝える‟環境写真”も紹介 photo©竹内吉彦
宮城島崇人による、富山・南砺市の、ゲストハウス使用も視野に入れた既存住宅の改修「民家と城端」。周辺環境を鼓舞する建築を意図しそれを伝える‟環境写真”も紹介 photo©竹内吉彦

宮城島崇人建築設計事務所が設計した、富山・南砺市の、ゲストハウス使用も視野に入れた既存住宅の改修「民家と城端」です。
また宮城島が自身のテーマとして‟周辺環境を鼓舞する建築”を掲げており、本建築と周辺環境の関わりの様子を伝える事を意図した‟環境写真”も紹介します。

善徳寺の門前町として栄え、歴史的な町並みの面影を残す南砺市城端エリアに移住を決めた若い夫婦は、将来的にゲストハウスを営むことを視野にいれ、築50年ほどの民家を購入した。窓が多い無断熱の民家はそれなりに傷みがあったので、新たな生活が始められるよう、2階はそのままに、1階部分の断熱・耐震改修を通して、夫婦の生活空間とゲストハウスの共用部分をつくることが求められた。

建築家によるテキストより

城端駅から民家へ至る道のりは印象的であった。町家の並ぶ通りを抜けて坂道を登り、美しい木彫が目を引く善徳寺山門を過ぎて、細い路地を下ってゆくと、趣のある家屋や絹織物工場、川の水面が次々と目に飛び込み、ふと遠く山並みまで視線が抜ける。変化に富むこのシークエンスと地続きであるような建築をつくろうと考えた。

建築家によるテキストより

限られたコストのなかで効果的に断熱・耐震改修するため、外壁にはできるだけ手をつけず、室内側から改修する方針とした。生活の跡が染みついた内装をやりかえ、風景に溶け込んでいたトタン外壁の佇まいを活かす。断熱性の乏しい既存アルミサッシは、同じサイズの‟出窓”に置き換える。出窓化することで、ガラス面積を絞ることができ、既存外壁との取り合いもシンプルになる。三角形の平面形状をした出窓は、さまざまな角度をもって周辺の環境に向き合い、内部空間を押し広げる。

その結果、アプローチを向いたショーケース、旧市街地を望むベッドのヘッドボード、庭の小道と連続したダイニングのベンチ、遠くに山並みが見える縁側といった具合に、新しい機能が周辺環境とのかかわりあいのなかに発見された。これらは、無味乾燥な機能ではなく、歓びや快適さを伴った、‟この場所ならではのやり方”である。出窓は杉の下見板で覆った。経年変化したトタンの外壁に、真新しい杉板貼りの出窓が踊る、異なる時間を含んだダイナミックな外観となった。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/5/31-6/6]
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/5/31-6/6]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2021/5/31-6/6)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 大西麻貴+百田有希 / o+hが、島根県・邑南町の「道の駅瑞穂」設計プロポーザルで第一候補者に選定
  2. 遠藤克彦建築研究所が設計した、東京・大田区の住宅「系の家」。意匠・構造・設備の統合による‟持続と更新”を意識した建築
  3. 青木淳に、建築を志した出来事・建築の面白さ・進行中のプロジェクト等について聞いている動画。自身の事務所で収録され作品の背景のエピソードも語られる
  4. ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート1)
  5. 伊達翔+後藤周平による、兵庫・神戸市の住宅「公園に暮らす家」
  6. 隈研吾による、東京・調布市の「桐朋学園宗次ホール」の写真
  7. Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、フランス・パリの「レストラン・メゾン」
  8. 西沢大良・乾久美子・藤村龍至による鼎談「ウイルス・都市・住宅──変革の今、建築と人がもつべき想像力」
  9. ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示「ふるまいの連鎖:エレメントの軌跡」。門脇耕三のキュレーションで、長坂常・岩瀬諒子・木内俊克・砂山太一・元木大輔が、日本の木造住宅の材を再構築した作品を制作
  10. アアルトの建築展「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」をフォトレポート。世田谷美術館で開催され、原寸大での展示も多数展開
  11. 村上智也 / BENDSによる、大阪市の「いづる保育園 うつぼ」
  12. ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート2)
  13. ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート4)
  14. ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート3)
  15. スノヘッタが新設部分のデザインを手掛け、シャティヨン・アーキテクツが修復と再開発を担当した、パリの「カルナバレ博物館」。17世紀に完成した建築の原形を尊重した上で現代に合わせアップデート
  16. 隈研吾のデザイン監修による、チタンの表面に木の質感を表現した、ルーバー建材が発売へ
  17. 堤由匡建築設計工作室による、中国・雲南省の、既存古民家を改修し増築した宿泊施設「青普麗江白沙文化行館」
  18. へザウィック・スタジオがニューヨークに完成させた水上の公園「リトル・アイランド」。彫刻的なプランターが連なり緑豊かな場を形成する同施設を豊富な写真と図面等で紹介
  19. 中西正佳によるラタンチェア「IDENTITY」と、その制作過程を綴ったエッセイ「畑違いの建築士が、インドネシア工場に乗り込み量産家具を実現するまで」
  20. 能作淳平建築設計事務所による、東京・日本橋の、既存倉庫を改修したオフィス「101 BASE」をレポート。建て込んだ中でのカーテンウォールが周辺環境を内部に取り込む

【ap job更新】 意匠性と事業性を同時に実現し顧客からも高い評価を得る「(株)キー・オペレーション一級建築士事務所」が、Revitが使える設計スタッフ(正社員)を募集中
【ap job更新】 意匠性と事業性を同時に実現し顧客からも高い評価を得る「(株)キー・オペレーション一級建築士事務所」が、Revitが使える設計スタッフ(正社員)を募集中
【ap job更新】 意匠性と事業性を同時に実現し顧客からも高い評価を得る「(株)キー・オペレーション一級建築士事務所」が、Revitが使える設計スタッフ(正社員)を募集中関内の集合住宅

意匠性と事業性を同時に実現し顧客からも高い評価を得る「(株)キー・オペレーション一級建築士事務所」の、Revitが使える設計スタッフ(正社員)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

株式会社キー・オペレーション一級建築士事務所では、Revitが使える設計スタッフを募集しています。

代表の小山光は、デビッド・チッパーフィールド・アーキテクツなどのイギリスの建築設計事務所で7年ほど実務経験を積んで、イギリスの建築家の資格を取得しました。2003年からZara Japanの店舗開発部長としてZaraの店舗開発に関わり、2005年にキー・オペレーションを設立しました。

海外ブランドのプロジェクトマネジメントをメインに業務を進めてきましたが、ここ数年は設計案件の割合が8割を超え、分譲マンション、賃貸集合住宅、テナントビル、飲食店、映画館、事務所ビル、個人住宅から霊園まで多様なプロジェクトを手掛けています。

商業施設や集合住宅に求められる事業性を丁寧に追求しながら、高い意匠性を実現していることで、顧客からの高い評価を得て、新規物件獲得につながっています。

入社された皆さんには建築の意匠性と同時に事業性を念頭においた設計業務に取り組むことで、設計者としてだけでなく、将来的に経営者としても役立つスキルを身に着けていただけるのではないかと考えています。

事務所は学芸大学の商店街に面した駅から徒歩3分のビルにあり、ランチがおいしいお店も近くにたくさんあります。事務所のメンバーは7人で規模も小さく、アットホームな雰囲気です。メンバー同士のコミュニケーションを大切にし、自由に提案ができる充実した職場環境を目指しています。

建築の設計に熱意をお持ちの方と一緒にお仕事が出来ればと思っております。

【受賞歴】
2020「ZOOM戸越銀座」German Design Awards 2020 WINNER 受賞
2018「神田テラス」German Design Award2019 Special Mention受賞
2018「神田テラス」Blueprint Awards 2018-Commended
2018「神田テラス」 A+ Awards2018 +Facades People’s Choice 受賞
2016「猪名川霊園倉庫棟」Good Design 賞受賞
2015「テラスビル・ヒルトップビル」Good Design 賞受賞
2014「小町ビル」Good Design 賞受賞
2012「yotsuyatenera」RIBA (英国王立建築家協会) 国際賞受賞
2012「yotsuyatenera」ARCHITIZER A+AWARDS 2013 受賞
2011「ReNOA元住吉」Good Design 賞受賞
その他多数

スタジオ・バロッツィ・ヴェイガの設計で完成した、レイヴンズボーン大学ロンドンの新校舎の写真。アルミニウムで覆われた外観が特徴的

スタジオ・バロッツィ・ヴェイガの設計で完成した、レイヴンズボーン大学ロンドンの新校舎の写真が15枚、dezeenに掲載されています。

【ap job更新】 長崎の離島“壱岐島”を拠点とし、地域の可能性を示す「LIGHTHOUSE設計」が、設計スタッフを募集中
【ap job更新】 長崎の離島“壱岐島”を拠点とし、地域の可能性を示す「LIGHTHOUSE設計」が、設計スタッフを募集中
【ap job更新】 長崎の離島“壱岐島”を拠点とし、地域の可能性を示す「LIGHTHOUSE設計」が、設計スタッフを募集中空き家改修WS

長崎の離島“壱岐島”を拠点とし、地域の可能性を示す「LIGHTHOUSE設計」の、設計スタッフ募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

わたしたち、LIGHTHOUSE設計の拠点は、長崎県の離島壱岐島。ミッションは、この地方の可能性(経済・文化・生活・教育、、、様々な面で)を示すこと。

仕事は建築物単体の設計だけでなく、この地方に深く関わり、問題をみつけ、本当に必要なものを抽出すること。
そこから新しい価値を発見していくことです。
また、わたしたちは仲間と共に「たちまち」www.tachimachi.netという活動を行っています。
この活動を通して空き家や子どもの環境といった様々な問題に向かい合い、できることから行動しています。

壱岐島は島とはいっても福岡市内から高速船で1時間。美しい海と美味しい食材があり、サーフィンや釣りを楽しんだり、都市とは違う時間がながれています。
このコロナ禍のなか、静かな環境でシンプルな生活を楽しむことができる方の応募をお待ちしています。

中山英之への、会場構成した展示「モネ―光のなか」の技術的側面と設計意図について聞いているインタビュー

中山英之への、会場構成した展示「モネ―光のなか」の技術的側面と設計意図について聞いているインタビューが、美術展ナビに掲載されています。アーキテクチャーフォトでは展覧会公式の会場写真と中山による解説を特集記事として掲載しています。展覧会は箱根のポーラ美術館で2021年3月30日まで開催中

Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、フランス・パリの「レストラン・メゾン」
Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、フランス・パリの「レストラン・メゾン」 photo©Takuji Shimmura
Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、フランス・パリの「レストラン・メゾン」 photo©Takuji Shimmura
Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、フランス・パリの「レストラン・メゾン」 photo©Takuji Shimmura

Atelier Tsuyoshi Tane Architectsが設計した、フランス・パリの「レストラン・メゾン」です。店舗の公式サイトはこちら

パリ11区の古くからあるワインカーヴをレストランに改装するプロジェクト。フランスのガストロノミー界に衝撃を与えた「クラウン・バー」でシェフを務めた渥美壮太氏が腕を振るう店の名前は「メゾン」。フランス語で<家>を意味し、訪れたゲストを家に招いたような温かい雰囲気で出迎えるというコンセプトが込められている。

建築家によるテキストより

1階へ入るとまず、大きなソファが置かれたゆったりと寛げるラウンジがあり、まるで家で過ごすかのように、ゆっくりとした時間を楽しめる。階段を上がると、オリジナルのガラス屋根から差し込む自然光に照らされたオープンキッチン。そのほど近くにはカウンターだけでなく、20人でシェアできる長さ8mのターブルドットを配し、自宅の食卓を囲むような温かい空間が広がる。

建築家によるテキストより

レストラン全体を印象付ける温かい土色は、メゾンがフランスの大地から生まれた食材を使った料理でゲストをもてなすことを意味し、それは床や壁のマテリアルを選ぶ際にテラコッタを採用することにも繋がった。南仏、ボルドー、フォンテンブローなどフランス各地から集められたリサイクルされたテラコッタは床と壁合わせて22,000枚、赤みの強いものや茶色のものとひとつひとつがそれぞれ豊かな表情や歴史を持つ、濃淡も色調も様々だ。

建築家によるテキストより
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の企画展「How will we live together?」をキュレーションしたハーシム・サルキースへのインタビュー動画

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の「How will we live together?」をキュレーションしたハーシム・サルキースへのインタビュー動画です。タイトルは「Architecture Is A Medium That Can Make A Difference(建築は変化をもたらす媒体である)」です。企画展の様子はアーキテクチャーフォトでも特集記事として紹介しています。

オラファー・エリアソンによる、バイエラー財団での展覧会「LIFE」の夜間公開の様子を紹介する動画

アーティストのオラファー・エリアソンによる、スイス・バーゼルのバイエラー財団での展覧会「LIFE」の夜間公開の様子を紹介する動画です。制作はVernissageTVです。会期は2021年7月まで(詳細な日程は決まっていないようです)。

以下に、展覧会の画像と、オラファーによるテキストの翻訳を掲載します。より多くの写真やテキストは、アーキテクチャーフォトの特集ページに掲載しています。

ここ数年、生命を人間中心の視点ではなく、広く生物中心の視点で考える取り組みに興味を持つようになりました。展覧会を見ていると、名詞を動詞に変えたり、人間がきちんと想像できる範囲を超えた視点に気づくために、例えば、「to tree」にしてみたりしています。想像してみてください。

人間の生命は、他の哺乳類と同様に、吸って吐いて、酸素に依存しています。人類学者のナターシャ・マイヤーズやティモシー・チョイの言葉を借りれば、人生とは「共謀すること」でもあると言えます。私たちは、木と、人と、そして地球と共謀しています。

私たちの生活は、周囲の環境や、ローカルなコンテクストをはるかに超えた構造やシステムと密接に絡み合っていることを認識すると、私たちは誰もが脆弱であり、完全にコントロールできるわけではないということを学ぶのではないでしょうか。私たちは、不確実で結果がはっきりしない状況の中で行動し、交流しています。

人類学者のアンナ・L・ツェンの言葉です。
「かつては、災難は恵まれない人の運命のように思われていました。今では、私たちの生活は、たとえ今のところポケットの中が潤っていても、すべて不安定であるように思えます。」

私の作品「ライフ」、そしてバイエラー財団は、周囲の公園や都市の景観、そして地球と絡み合っており、そこで出会うすべてのものや人々を通して命を吹き込まれています。

隈研吾による、東京・調布市の「桐朋学園宗次ホール」の写真

隈研吾建築都市設計事務所のウェブサイトに、東京・調布市の「桐朋学園宗次ホール」の写真が10枚掲載されています。

日本を代表する音楽大学、桐朋学園音楽部門キャンパスに建つ「木」の音楽ホール。
ヒノキと杉のハイブリットのCLTパネルによる折板構造の木造建築であり、そのCLTがそのままホールの内装材、反射板としても用いられている。
すなわち、建物全体が巨大な木の楽器として設計することに挑戦し、桐朋学園にふさわしい最高の音環境が実現した。
外観は楽器の弦に着想を得た木製ルーバーでリズミカルに覆い、楽器そのもののような、響く建築を創造した。

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の企画展「How will we live together?」の会場写真。世界の46カ国から112名が参加
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の企画展「How will we live together?」の会場写真。世界の46カ国から112名が参加ELEMENTA Chileans and Mapuche, Building places to get to know each other (KÜNÜ), Building places to parley (KOYAÜ-WE) photo©Marco Zorzanello courtesy: La Biennale di Venezia
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の企画展「How will we live together?」の会場写真。世界の46カ国から112名が参加Dogma The Opposite Shore. The suburban settlement from private property to co-operative living, 2016–2019 photo©Francesco Galli courtesy: La Biennale di Venezia
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の企画展「How will we live together?」の会場写真。世界の46カ国から112名が参加Kei Kaihoh Architects Melting Landscape, 2021 photo©Francesco Galli courtesy: La Biennale di Venezia

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の企画展「How will we live together?」の会場写真です。日本からは建築家の海法圭が出展しています。出典作家のリストはこちらで閲覧できます。現時点で写真が公開されていない作品もあり、全てを網羅出来ていないことをご了承ください。

こちらはキュレーターのハーシム・サルキース(Hashim Sarkis)によるステートメントの翻訳

どうやって一緒に暮らすか?(How will we live together?)
2021年ビエンナーレ建築展のテーマ

私たちは新しい空間的な接触(spatial contract)を必要としています。政治的な隔たりが広がり、経済的な不平等が拡大している中で、私たちが寛大に共に生きることができる空間を建築家に求めます。

・個人化が進んでいるにもかかわらず、デジタルとリアルの空間を超えて、お互いに、そして他の種とつながりたいと願っている人間としての「共に」。
・より多様で尊厳のある居住空間を求める新しい世帯としての「共に」
・エクイティ、インクルージョン、空間的アイデンティティーを求める新興コミュニティとしての「共に」
・政治的な境界線を越えて、新しい関係の地理を想像する「共に」
・危機に直面している地球は、私たち全員が生き続けるためにグローバルな行動を必要としており、その為に「共に」

第17回ヴィエンナーレ国際建築展の参加者は、アーティスト、建築家、エンジニア、職人だけでなく、政治家、ジャーナリスト、社会科学者、一般市民など、他の職業や構成員と協力しています。つまり、2021年の建築展は、建築家が空間的な接触の友好的な締結者であり、管理者であるという重要な役割を主張しているのです。

それと並行して、本展では、建築はその物質的、空間的、文化的な特異性において、私たちが共に生きる方法にインスピレーションを与えるものであると主張します。その意味で、参加者の皆様には、メインテーマの中で、建築的にユニークな側面を強調していただきたいと思います。

こちらはリリーステキストの一部の翻訳

この国際展覧会には、46カ国から112名の参加者があり、アフリカ、ラテンアメリカ、アジアからの参加者が増えており、女性の参加者も多くなっています。展覧会は5つのスケールで構成されており、3つはアルセナーレに、2つは中央パビリオンに展示されています。それらは「多様な生物の中で」「新しい家庭として」「新たなコミュニティとして」「国境を越えて」「ひとつの地球として」とテーマづけられています。

この展覧会の一部は「How will we play together? 」と題され、子供の遊びに特化したプロジェクトを設計した5人の国際的な参加建築家による作品が、フォルテ・マルゲーラに展示され、一般公開されています。

また、今回はコンペ以外の参加作品もあります。
Station + Co-Habitatsは、世界中の大学の研究者(AAスクール、ベイルート・アメリカン大学、バートレット、コロンビア大学、クーパーユニオン、スイス連邦工科大学チューリッヒ校、エチオピア建築工科大、ハーバード大学、香港大学、ベニスのIuav大学、KITカールスルーエ、KUルーベン、ライス大学、MITの研究グループのコンソーシアムであるベニスラボ)によって開発された相対的なケーススタディによる5つのスケールの研究です。イスラエル人アーティスト、ミハエル・ロブナーの中央パビリオンへの特別参加、スタジオ・アザー・スペース(オラファー・エリアソンとセバスチャン・ベーマンが代表)による、参加者全員が参加する「Future Assembly」の展示、スポーツをテーマにしたジャルディーニの屋外インスタレーション「How will we play sport together?」また、ヴスラット財団によるスペシャルイベントでは、アルセナーレでジュゼッペ・ペノーネのインスタレーションが展示されます。

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート4)
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート4)USAパヴィリオン。 photo©Francesco Galli Courtesy: La Biennale di Venezia
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート4)スペイン・パヴィリオン。 photo©Francesco Galli Courtesy: La Biennale di Venezia
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート4)トルコ・パヴィリオン。 photo©Andrea Avezzù Courtesy: La Biennale di Venezia

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真を、350枚以上の豊富な写真で紹介紹介します。こちらの記事は「パート4」となります。
※現時点で写真が公開されていないパヴィリオンについては、テーマのみの紹介となっています。公開され次第、追掲載する予定です。

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート3)
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート3)ノルディック・カントリーズ・パヴィリオン。 photo©Francesco Galli Courtesy: La Biennale di Venezia
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート3)メキシコ・パヴィリオン。 photo©Andrea Avezzù Courtesy: La Biennale di Venezia
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート3)フィリピン・パヴィリオン。 photo©Andrea Avezzù Courtesy: La Biennale di Venezia

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真を、350枚以上の豊富な写真で紹介紹介します。こちらの記事は「パート3」となります。
※現時点で写真が公開されていないパヴィリオンについては、テーマのみの紹介となっています。公開され次第、追掲載する予定です。

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート2)
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート2)フィンランド・パヴィリオン。 photo©Francesco Galli Courtesy: La Biennale di Venezia
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート2)ドイツ・パヴィリオン。 photo©Francesco Galli Courtesy: La Biennale di Venezia
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート2)日本・パヴィリオン。 photo©Francesco Galli Courtesy: La Biennale di Venezia

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真を、350枚以上の豊富な写真で紹介紹介します。こちらの記事は「パート2」となります。
※現時点で写真が公開されていないパヴィリオンについては、テーマのみの紹介となっています。公開され次第、追掲載する予定です。

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート1)
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート1)ベルギー・パヴィリオン。 photo©Francesco Galli Courtesy: La Biennale di Venezia
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート1)チリ・パヴィリオン。 photo©Andrea Avezzù Courtesy: La Biennale di Venezia
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート1)クロアチア・パヴィリオン。 photo©Andrea Avezzù Courtesy: La Biennale di Venezia

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真を、合計350枚以上の豊富な写真で紹介紹介します。こちらの記事は「パート1」となります。
※現時点で写真が公開されていないパヴィリオンについては、テーマのみの紹介となっています。公開され次第、追掲載する予定です。

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