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加藤渓一 / スタジオピース+HandiHouse projectによる、東京・日野市の住宅「タープ」
加藤渓一 / スタジオピース+HandiHouse projectによる、東京・日野市の住宅「タープ」 photo©新良太
加藤渓一 / スタジオピース+HandiHouse projectによる、東京・日野市の住宅「タープ」 photo©新良太
加藤渓一 / スタジオピース+HandiHouse projectによる、東京・日野市の住宅「タープ」 photo©新良太

加藤渓一 / スタジオピース+HandiHouse projectが設計した、東京・日野市の住宅「タープ」です。

敷地は多摩の丘陵地。
目の前は電車の車両基地で、伸びやかな眺望が広がる。敷地がかつての丘のままであれば、その傾斜に寝そべり電車を眺める。そしてきっとタープを張る。

タープを張ると瞬時に居場所ができる。鋭角に張れば閉じ、緩めれば開くといった具合に周囲に対しての距離の取り方も自在である。安易に組み立てられ、雨風に耐える強度も持つ。そんな居住性と合理性を持った建築を目指した。

具体的には、切妻屋根から棟木のみを敷地傾斜に合わせ登り梁とする。桁梁は平行のまま。そこに掛かる垂木は徐々に角度をつけHPシェルを形成する。棟木が傾斜しブレースと同様の役割を持たせ軸組自体で安定する架構となるため、垂木は梁の上に載せてビスを打つだけで済む。HPシェルが持つ曲面と相まって、軽やかで柔らかな幕をかけたような天井が実現した。外に出ると、軒先は棟木と逆方向に勾配がつくのでそれに沿わせて樋をつけるだけ。豪雨であっても無理なく雨水を受け流す屋根になる。

建築家によるテキストより
コールハースとAMOディレクターのサミール・バンタルらによる、グッゲンハイム美術館で行われた“田舎”をテーマにした建築展「Countryside, The Future」の会場設営の様子を紹介するタイムラプス動画

レム・コールハースとAMOディレクターのサミール・バンタルらによる、グッゲンハイム美術館で行われた“田舎”をテーマにした建築展「Countryside, The Future」の会場設営の様子を紹介するタイムラプス動画です。なお既に会期は終了しています。展覧会の会場写真はアーキテクチャーフォトでも特集記事として紹介しました。

最も注目を集めたトピックス [期間:2020/11/9-11/15]
最も注目を集めたトピックス [期間:2020/11/9-11/15]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2020/11/9-11/15)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 東日本旅客鉄道+JR東日本建築設計による、神奈川の横浜駅西口駅ビル「JR横浜タワー」
  2. 松本光索 / KOSAKUによる、東京・新宿区の、集合住宅の住戸リノベーション「漂いの家」
  3. 西沢立衛・石上純也・ホンマタカシの対話を収録した記事。妹島和世のドキュメンタリーの話から妹島の建築の作り方等も語られる
  4. “建築と今” / no.0004「中村竜治」
  5. 岸本貴信 / CONTAINER DESIGNによる、愛知・名古屋市の住宅「天白区梅が丘の家」
  6. 篠原明理建築設計事務所 / m-saと望月蓉平による、東京・渋谷区の、ビルのワンフロアを賃貸用の居住空間とするプロジェクト「千駄ヶ谷のリノベーション」
  7. 松本樹 / 愛知工業大学大学院+白石卓央 / 愛媛建築研究所による、愛媛・松山市の、アート事業の交流拠点「ひみつジャナイ基地」
  8. 杉山幸一郎による連載エッセイ “For The Architectural Innocent” 第7回「光の空気層 / 丸い教会」
  9. 鈴木亜生 / ASEI建築設計事務所による、東京・高田馬場のテナントビル「LOAM/高田馬場」
  10. 安藤忠雄が1991年に世田谷区に完成させた住宅「伊東邸」が売り出されています。価格は7億5千万円
  11. VUILDの秋吉浩気が、お菓子メーカーの企画で考案した「ポテロングのおかしのいえ」
  12. 古谷誠章+NASCAによる、徳島・板野郡の、幹線道路沿いの医療施設「こうのINRクリニック」
  13. nevertheless / 佐河雄介建築事務所による、福島・いわき市の住宅「斜材の家」
  14. ズントー事務所でプロジェクトリーダーを務める杉山幸一郎による連載エッセイの最新回「ある1日。」が公開。ズントー事務所でのコロナ禍での働き方を紹介
  15. 望月蓉平と篠原明理建築設計事務所 / m-saによる、茨城・つくば市の美容室「hair salon eto」
  16. 八木敦之 / アトリエMEMEによる、神奈川・横須賀市の、病院内のオーラルケア製品の販売店「ハブラシギャラリー」
  17. 岸本貴信 / CONTAINER DESIGNによる、兵庫・姫路市の住宅「阿成の家」
  18. 長坂常 / スキーマ建築計画
による、神奈川・横浜市の店舗「ブルーボトルコーヒー NEWoMan YOKOHAMA カフェスタンド」
  19. 長坂常 / スキーマ建築計画による、京都市の店舗「ブルーボトルコーヒー京都木屋町カフェ」
  20. 今津康夫 / ninkipen!による、京都市の医療施設「京都御池メディカルクリニック」

安藤忠雄が1991年に世田谷区に完成させた住宅「伊東邸」が売り出されています。価格は7億5千万円

安藤忠雄が1991年に東京・世田谷区に完成させた住宅「伊東邸」が売り出されています。リンク先の不動産サイトに現況写真が17枚掲載されています。価格は7億5千万円との事。こちらのページは、植田実による「伊東邸」に関する論考が掲載されています(図面も掲載されています)

MADが計画を進めている、ロッテルダムの1920年代に建てられた倉庫を改修した移民に関する博物館「FENIX Museum of Migration」。既存建物を突き抜けて外観の特徴にもなる有機的な階段空間が特徴的な建築。2024年の完成を予定
MADが計画を進めている、ロッテルダムの1920年代に建てられた倉庫を改修した移民に関する博物館「FENIX Museum of Migration」。既存建物を突き抜けて外観の特徴にもなる有機的な階段空間が特徴的な建築。2024年の完成を予定 image courtesy of MAD
MADが計画を進めている、ロッテルダムの1920年代に建てられた倉庫を改修した移民に関する博物館「FENIX Museum of Migration」。既存建物を突き抜けて外観の特徴にもなる有機的な階段空間が特徴的な建築。2024年の完成を予定 image courtesy of MAD
MADが計画を進めている、ロッテルダムの1920年代に建てられた倉庫を改修した移民に関する博物館「FENIX Museum of Migration」。既存建物を突き抜けて外観の特徴にもなる有機的な階段空間が特徴的な建築。2024年の完成を予定 image courtesy of MAD
MADが計画を進めている、ロッテルダムの1920年代に建てられた倉庫を改修した移民に関する博物館「FENIX Museum of Migration」。既存建物を突き抜けて外観の特徴にもなる有機的な階段空間が特徴的な建築。2024年の完成を予定 image courtesy of MAD

MADが計画を進めている、オランダ・ロッテルダムの1920年代に建てられた倉庫を改修した移民に関する博物館「FENIX Museum of Migration」。既存建物を突き抜けて外観の特徴にもなる有機的な階段空間が特徴的な建築となっています。

敷地となっている1923年に建てられたThe Fenixの倉庫は、かつては世界最大の倉庫だったそう。カテンドレヒト半島に位置するそのロケーションは、ヨーロッパの歴史において重要な移民の港となってきました。過去100年の間、第二次世界大戦中に破壊され、1940年代から1950年代にかけて何度も修復されるなど、Fenix倉庫はロッテルダムの歴史と絡み合ってきましたのだそう。

MADによるFenix倉庫のリノベーションは、ロッテルダムの歴史と現在を結びつけることを目的としています。MADの創設者であるMa Yansongは、「遠目に見ると、プラットホームと階段が一体化したように見えますが、目の前にあると彫刻作品として存在し、探索へと誘ってくれます。フェニックスが港からの移住というヨーロッパの歴史を目撃したことを意味すると同時に、この街の未来を象徴するものでもあります。」と語ります。

建物の歴史的遺産を保存するために、MADのリノベーションでは、象徴的な緑色のスチール窓とFenix倉庫のコンクリート構造を採用しました。建物の中心部では、ファサードと屋根が取り除かれ、ガラスのカーテンウォールと天井に置き換えられ、柔軟でアクセスしやすい空間を生み出します。

新しい介入は2つの螺旋階段が地上から伸び、最上階で展望台を形成します。スペースを通って異なったリズムで動き、階段は元の倉庫の大規模なスケールを破壊し、より人間スケールおよび親密なスペースを加えるます。階段に使用されているステンレスや木の素材は、倉庫本来のコンクリートやスチールの素材とのコントラストを保ちながら、船に乗ることをイメージさせるとの事。

東日本旅客鉄道+JR東日本建築設計による、神奈川の横浜駅西口駅ビル「JR横浜タワー」
東日本旅客鉄道+JR東日本建築設計による、神奈川の横浜駅西口駅ビル「JR横浜タワー」 photo©ミヤガワ東京
東日本旅客鉄道+JR東日本建築設計による、神奈川の横浜駅西口駅ビル「JR横浜タワー」 photo©ミヤガワ東京
東日本旅客鉄道+JR東日本建築設計による、神奈川の横浜駅西口駅ビル「JR横浜タワー」 photo©ミヤガワ東京

東日本旅客鉄道JR東日本建築設計が設計した、神奈川の横浜駅西口駅ビル「JR横浜タワー」です。本プロジェクトにはその他にも様々な設計者・デザイナーが関わっておりそのクレジットは末尾に掲載します。

横浜駅西口駅ビルの建て替えプロジェクトである。同時に、横浜市により策定された横浜駅周辺のまちづくり計画「エキサイトよこはま22」のリーディングプロジェクトでもある。特定都市再生緊急整備地域に立地するため、都市再生特別措置法に基づき容積や高さの緩和などを受け、延床面積は約10万㎡・高さは約132m、商業施設・事務所・映画館からなる複合施設として計画された。

計画敷地は、駅前広場と線路に挟まれた非常に細長い形状であったが、決して大きくはない広場でも街の広がりが感じられるように、地上60mのスカイラインより上の高層部分は、駅前広場の正面を外した位置に配置した。同時に、商業施設として必要な床面積を確保するために、建物全幅の半分に相当する約13mもの大きなキャンチレバーを、ハットトラスによって線路上空に跳ね出す計画とした。

施設内の商業施設は十分に広いため単体でも成立するが、単にビル内に来館者を囲い込むのではなく、来館者が街全体を楽しみ、街全体を巡るための回遊拠点になることが望ましいと考えた。そのため、合計で十数か所の周辺施設との接続箇所を設け、街との動線的なつながりを高めることとした。中でもアトリウムは、当施設の主要エントランスであり、駅全体の中央コンコースの一部でもある。まさに、駅と街をつなぐ施設の顔となる場所であった。

建築家によるテキストより
今津康夫 / ninkipen!による、京都市の医療施設「京都御池メディカルクリニック」
今津康夫 / ninkipen!による、京都市の医療施設「京都御池メディカルクリニック」 photo©河田弘樹
今津康夫 / ninkipen!による、京都市の医療施設「京都御池メディカルクリニック」 photo©河田弘樹
今津康夫 / ninkipen!による、京都市の医療施設「京都御池メディカルクリニック」 photo©河田弘樹
今津康夫 / ninkipen!による、京都市の医療施設「京都御池メディカルクリニック」 photo©河田弘樹

今津康夫 / ninkipen!が設計した、京都市の医療施設「京都御池メディカルクリニック」です。施設の公式サイトはこちら

京都市役所のほど近く、御池通りに面するクリニックのインテリアデザインである。

東山を一望できる窓からは、清水寺、大文字、八坂神社など京都を代表する名所が点在する景色を見渡すことができる。

何よりも患者がリラックスできる環境を目指し、クリーンルーム以外は石油製品ではなく、檜・栗・石・しっくい・ウールカーペットなど自然素材を多く用い、何度も通院する患者の為に部屋毎に和紙の張り方や色に変化を与え、病室やカウンセリング室など長時間を過ごす部屋を窓側に配置して明るさと眺望を確保した。

市街地の喧騒を足早に通り抜け治療に訪れた人々が、期せずして美しい京都の風景に出会い、心身ともに癒されることを願っている。

建築家によるテキストより
長坂常 / スキーマ建築計画
による、神奈川・横浜市の店舗「ブルーボトルコーヒー NEWoMan YOKOHAMA カフェスタンド」
長坂常 / スキーマ建築計画
による、神奈川・横浜市の店舗「ブルーボトルコーヒー NEWoMan YOKOHAMA カフェスタンド」 photo©太田拓実
長坂常 / スキーマ建築計画
による、神奈川・横浜市の店舗「ブルーボトルコーヒー NEWoMan YOKOHAMA カフェスタンド」 photo©太田拓実
長坂常 / スキーマ建築計画
による、神奈川・横浜市の店舗「ブルーボトルコーヒー NEWoMan YOKOHAMA カフェスタンド」 photo©太田拓実

長坂常 / スキーマ建築計画
が設計した、神奈川・横浜市の店舗「ブルーボトルコーヒー NEWoMan YOKOHAMA カフェスタンド」です。店舗の公式ページはこちら

横浜駅西口NEWoMan1階、バスターミナル側を向いた、細長い25㎡のわずかなスペースの敷地は、目の前を激しく人が行き交う。

店内スペースを一切持たず、テイクアウトのみのスタンド形式だが、内外を間仕切る折れ戸の畳み代が1.2mほどあり、開店時にはそこが人の佇む場所となり、そこにカウンター内で余った体積を利用して、コンディメント台、MD台、そして少し腰掛けられるベンチが内包され、それが飛び出すことでその機能を満たすようになっている。

建築家によるテキストより
長坂常 / スキーマ建築計画による、京都市の店舗「ブルーボトルコーヒー京都木屋町カフェ」
長坂常 / スキーマ建築計画による、京都市の店舗「ブルーボトルコーヒー京都木屋町カフェ」 photo©太田拓実
長坂常 / スキーマ建築計画による、京都市の店舗「ブルーボトルコーヒー京都木屋町カフェ」 photo©太田拓実
長坂常 / スキーマ建築計画による、京都市の店舗「ブルーボトルコーヒー京都木屋町カフェ」 photo©太田拓実

長坂常 / スキーマ建築計画が設計した、京都市の店舗「ブルーボトルコーヒー京都木屋町カフェ」です。店舗の公式ページはこちら。

京都の木屋町高瀬川沿いに1927年に建った元立誠小学校があり、それがホテルやお店など複合施設に全面改修され、そのホテルへのエントランスも兼ねた正面入口付近を借り、この京都3店舗目のブルーボトルコーヒーはある。

改修後の共用部の壁が白く、サッシが黒く、もともと色数を多くつかわない傾向にあるブルーボトルコーヒーの特徴を考えると白黒で構成されることになるが、それはさすがにブルーボトルコーヒーのブランドイメージに沿わないため、高瀬川沿いに建つ桜の木である緑、そしてもともと小学校であったことから黒板の緑を白と黒の間に取り込み、その緑を広く室内に展開することを考えた。

その結果、様々な色の緑が室内に現れ、それに家具も合わせあらゆる緑色の素材を取り込んで構成した。また今回、コーヒーの入れ方講習会などが行える排水設備付きのアイランド式のグリッドワークショップカウンターをデザインし、新たなブルーボトルコーヒーのMDの展開を考えた什器を提案した。

建築家によるテキストより
安藤忠雄への、テレビ朝日による約15分のインタビュー動画「安藤忠雄が語る未来 この世界をどう生きぬくか」

安藤忠雄への、テレビ朝日による約15分のインタビュー動画「安藤忠雄が語る未来 この世界をどう生きぬくか」です。番組公式アカウントがyoutubeにアップしたものです。

日本を代表する建築家、安藤忠雄さん。
世界中で数々の名建築を世に送り出してきました。
今年7月に開館した、「子ども本の森 中之島」は、安藤さんが設計し寄付したことで話題になりました。
児童書から漫画、小説、哲学書など、さまざまなジャンルの書籍、約1万8千冊の本が収蔵されています。
「世界に通用する子どもを育てるため感性を育てたい」という安藤さんの思いが込められているというこの場所で、安藤さんが見る未来について聞きました。
報ステ「未来を人から プロジェクト」のインタビュー完全版です。

杉山幸一郎による連載エッセイ “For The Architectural Innocent” 第7回「光の空気層 / 丸い教会」
杉山幸一郎による連載エッセイ “For The Architectural Innocent” 第7回「光の空気層 / 丸い教会」

 
※このエッセイは、杉山幸一郎個人の見解を記すもので、ピーター・ズントー事務所のオフィシャルブログという位置づけではありません。

 


 
光の空気層 / 丸い教会

text:杉山幸一郎

 
今回は、Caplutta Sogn Benedetg (以下、聖ベネディクト教会)について綴りたいと思います。

以下の写真はクリックで拡大します

杉山幸一郎による連載エッセイ “For The Architectural Innocent” 第7回「光の空気層 / 丸い教会」 photo©杉山幸一郎

ピーターズントーと聞いて、聖ベネディクト教会を思い浮かべた人は多いのではないでしょうか。これまで紹介してきた木造アトリエローマ遺跡のためのシェルターとともに、彼の出世作としてよく知られているプロジェクトです。

建築雑誌 a+u の臨時増刊号ズントー特集の表紙にもなっている、霧がかかった緩やかな傾斜の上に立ちそびえる教会のモノクロ写真。Hans Danuserという彼の友人でもあるアーティストが撮ったものだと聞いています。この写真によって、教会とズントーの名前が世界に知られていったと言っても過言ではありません。


教会はグラウビュンデン州のクール市から電車で1時間ほど西へ移動したところにあるSumvigt-Cumpadialsという駅から、さらに1時間弱歩いたところにあります。(この駅に停車するには、車内にある停車ボタンを押して意志表示しなければ止まってくれません。注意してくださいね)
この辺りはスイスの公用語の一つ、ロマンシュ語が話されている地域で、電車に揺られている時に、周りからそれらしい言葉での会話が聞こえてくるにつれて、目的地に近づいてきたことに気がつきました。

以下の写真はクリックで拡大します

杉山幸一郎による連載エッセイ “For The Architectural Innocent” 第7回「光の空気層 / 丸い教会」 photo©杉山幸一郎

一度も乗り換えることなく、駅に着きます。駅前であっても特にお店があるわけではなく、乗車したのは僕一人でした。このあたりは山に囲まれ、谷に沿って線路がひかれ、小さな集落がポツポツとあります。目的の教会へは、ここから山の上へ向かって登っていきます。

目の前に広がっている緩やかな斜面の牧草地を横切っていくと、車道に突き当たりました。その道に沿って歩いていくのが一番簡単な行き方です。途中で森の中に入っていくハイキングコースもあるのですが、初めて訪れる際は迷うことのないこの車道を歩いていくことをお勧めします。車道といってもローカルな道なので、車の行き来はそう多くありません。

聖ベネディクト教会については、既に数えきれないメディアが取り上げ、出版もされ、そして多くのことが語られています。それだけに、何か新しい発見はないかと、逆にワクワクしながら向かいました。

nevertheless / 佐河雄介建築事務所による、福島・いわき市の住宅「斜材の家」
nevertheless / 佐河雄介建築事務所による、福島・いわき市の住宅「斜材の家」 photo©原田要介
nevertheless / 佐河雄介建築事務所による、福島・いわき市の住宅「斜材の家」 photo©原田要介
nevertheless / 佐河雄介建築事務所による、福島・いわき市の住宅「斜材の家」 photo©原田要介

nevertheless / 佐河雄介建築事務所が設計した、福島・いわき市の住宅「斜材の家」です。佐河はO.F.D.A.associates出身の建築家。

敷地は福島県いわき市、海まで徒歩数分の住宅街。
東北地方に存するが、冬は比較的温暖で、夏は浜風が涼しく、過ごしやすい地域である。
施主は夫婦と子ども1人。近所には施主の両親の家があるため、家族が集まる場所、外遊びが大好きな子どもが遊べるような外部空間をつくることが要望の一つであった。

建築家によるテキストより

そこで建物を北側に寄せ、南側に庭をつくり、広間には開放的な開口部を設け、広間と庭の間に2層分を構造体で囲んだ半外部空間(テラス)をつくった。この空間は、家族の集まる場所で、子どもの遊び場であるとともに、開放的な広間と庭のバッファーゾーンとして位置づけている。2層分の空間を柱と斜材で囲うことで、開放的でありながら、構造体がスクリーンのような役割を果たしている。

建築家によるテキストより

構造は、前述の構造体も含め、外周部を筋交いで固めた真壁とし、内部には適宜間仕切壁を設け大壁とした。
真壁にはクリア塗装のラワン合板を落とし込み、大壁を白いクロス貼りとすることで、全ての部屋が、白い壁と天井、木現しの真壁と勾配天井(屋根)を併存させている。決して大きくはない内部空間に、天井の高さや素材感の幅を持たせることで多様な表情が生まれることに期待した。外観においては、シンメトリーの切妻ファサードの一方を構造現しとし、もう一方を白いサイディングで仕上げている。

建築家によるテキストより
【ap job更新】 照明デザインの会社「合同会社チップス」が、アシスタントデザイナーを募集中
【ap job更新】 照明デザインの会社「合同会社チップス」が、アシスタントデザイナーを募集中
【ap job更新】 照明デザインの会社「合同会社チップス」が、アシスタントデザイナーを募集中外構

照明デザインの会社「合同会社チップス」の、アシスタントデザイナー募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

合同会社チップスは照明デザインの会社です。

照明デザインと言っても関わる空間は様々あり、弊社では住宅のような個人の空間から、オフィスや店舗、駅前広場や公園等の公共空間まで、多種多様な空間に関わっています。

建築的な知識はもちろん必要ですが、柔軟な発想でデザインをしていくことが照明デザインには求められます。チップスでは設計者との協業を大切にして、今ある価値感からもう一歩踏み込んだ新しい価値を生み出すという事を大切にしてデザインを行っております。

既成の考えだけではなく、新しい発想でデザインをすることのできる ’’デザインすること’’ を一緒に楽しめる方をお待ちしております。

岸本貴信 / CONTAINER DESIGNによる、愛知・名古屋市の住宅「天白区梅が丘の家」
岸本貴信 / CONTAINER DESIGNによる、愛知・名古屋市の住宅「天白区梅が丘の家」 photo©冨田英次
岸本貴信 / CONTAINER DESIGNによる、愛知・名古屋市の住宅「天白区梅が丘の家」 photo©冨田英次
岸本貴信 / CONTAINER DESIGNによる、愛知・名古屋市の住宅「天白区梅が丘の家」 photo©冨田英次

岸本貴信 / CONTAINER DESIGNが設計した、愛知・名古屋市の住宅「天白区梅が丘の家」です。

南北に細長く、道路から高低差のある敷地。

道路を行き来する人や車からの視線がズレているため開放的に広々と敷地を活用することができる。

アプローチ横と、リビングから居室へと向かう途中にあるそれぞれの中庭からは南北に吹く風の道を作り、奥深い敷地形状でも家の隅々まで南の心地イイ光を導いてくれる。

中庭を介し、どこにいても明るく家族の気配を感じ、外を楽しめる家。

建築家によるテキストより
VUILDの秋吉浩気が、お菓子メーカーの企画で考案した「ポテロングのおかしのいえ」
VUILDの秋吉浩気が、お菓子メーカーの企画で考案した「ポテロングのおかしのいえ」

VUILDの秋吉浩気が、お菓子メーカー森永製菓の企画で考案した「ポテロングのおかしのいえ」です。
建築とお菓子というテーマで過去を振り返ってみると、2016年に藤本壮介がポテトチップで制作した建築模型がニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵されたことが話題となりました。

「#おうちでおかしのいえ」企画では、様々な職種のプロに森永製菓の菓子を使った「おかしのいえづくり」に挑戦していただき、その作品を順次SNSを中心に公開していきます。

第1弾は、11月11日(水)が“建築の日“にちなみ、いえ作りのプロであり、賞を多数受賞する注目の建築家・秋吉浩気さん(VUILD代表)に木の角材の形に似ているお菓子「ポテロング」だけを使ったいえ作りに挑戦していただきました。斬新で芸術的な「ポテロングのおかしのいえ」をぜひご覧ください。

完成後、秋吉さんは「テーマは接着剤不要の“ねじれポテロングのいえ”」。「螺旋状のタワー形式という古典的な作り方を発展させ、ポテロングで作ることの可能な建築を生み出した。」などと作品への想いを語りました。

リリーステキストより

秋吉のコメントは以下に掲載します。

“建築と今” / no.0004「中村竜治」

「建築と今」は、2007年のサイト開設時より、常に建築の「今」に注目し続けてきたメディアarchitecturephoto®が考案したプロジェクトです。様々な分野の建築関係者の皆さんに、3つの「今」考えていることを伺いご紹介していきます。それは同時代を生きる我々にとって貴重な学びになるのは勿論、アーカイブされていく内容は歴史となりその時代性や社会性をも映す貴重な資料にもなるはずです。

“建築と今” / no.0004「中村竜治」

中村竜治(なかむら りゅうじ)
1972年長野県生まれ。東京藝術大学大学院修士課程修了後、青木淳建築計画事務所勤務を経て、2004年中村竜治建築設計事務所を設立。主な仕事に、へちま(サンフランシスコ近代美術館、ヒューストン美術館収蔵)、とうもろこし畑(東京国立近代美術館「建築はどこにあるの?7つのインスタレーション」)、JINS京都寺町通、神戸市役所1号館1階市民ロビー、Mビル(GRASSA)、FormGALLERYなど。著書に『コントロールされた線とされない線』LIXIL出版。主な受賞に京都建築賞優秀賞など。
URL:https://www.ryujinakamura.com/


今、手掛けている「仕事」を通して考えていることを教えてください。

前橋の商店街再生のプロジェクトに関わりました。

商店街の角地に建つ小さなレストランの設計です。隣の店舗も同じプロジェクトの一貫として、ほぼ同時期に建替が計画され、どんな建物になるか分からないという、少しやりづらい状況で設計が始まりました。

隣を設計する建築家は、建物の裏に庭をつくり、表だけで繋がっている商店街を、その背後の隙間を利用し、「商店街の裏を繋いでいく」という魅力的な案を考えていました。それに対し、完全に寄り添うというよりは、道路から裏庭へ通じる小道を提供しつつも、「裏」という感じを壊さないように、裏庭へは素っ気ない素ぶりをし、付かず離れずの関係としました。裏庭の背景となる以上、表側も含めてごく一般的な建物としてふるまうことを心がけました。

都市やまちづくりの本などで、建物は街の一部としてあることは頭では理解しているつもりでしたが、想像していたのとは異なる感情が沸き起こりました。敷地模型で周囲の建物を淡々と作るときにも似た、ある意味冷めた状況ですが、何故かとても自由で楽しい気分になったのを覚えています。

焦点がずれたことで、感情含め様々なものの重心がずれ、そのぶん自分が設計する建物を軽く自由に扱えるようになったとうことでしょうか。今回の状況は少し特殊ですが、普遍的なことにも思えました。そんな焦点のずれた設計の仕方ついて考えています。

ちなみに、新建築2018年9月号月評で中山英之さんが「非人間的な質」と題してとても興味深い批評を書かれています。合わせて読まれると面白いかもしれません。

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