テレビ番組“情熱大陸”が、建築家でイチバンセンを主宰する川西康之を特集します。鉄道車両や駅舎などのデザインも手掛けています。放送日は、2024年4月14日。リンク先に予告動画も掲載されています。アーキテクチャーフォトでは川西の作品をこれまでに二作品紹介しています。
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中村拓志&NAP建築設計事務所が設計した、埼玉・所沢市の「狭山樹林葬地」です。
霊園内に計画された墓地です。建築家は、地域の自然環境を背景とした“循環の死生観”のもとに、森に還った故人を偲び“対話できる”ような建築を志向しました。そして、放物面として設計された礼拝所は60m先にある森からの音を祈る人に届けます。
管理休憩棟と礼拝堂に続く三部作の一つとして、狭山湖畔霊園内に計画された墓地である。
東京都民の水がめと呼ばれる多摩湖・狭山湖の水源を涵養する森が滋養した水に人は生かされ、死後はこの森の大地に還る。そのような循環の死生観のもと、祈りの対象を森に見出した。元々立っていたクスノキと森を墓標とし、森を遥拝することで、森に還った故人を偲び、対話できるような建築を目指した。
中心には高さ1mの緑の小さな丘状の墓所と、祈りやお参りのための礼拝所を60m先の森に向け配置した。礼拝用のベンチに腰を下ろすと、緑の丘が構内道路や墓地を隠し、森と直接繋がって見える。屋根でも壁でもある放物面が、祈る人を背後からくるむ。
御影石のベンチの座面は、座る位置を特定して頭の中心が放物面の焦点にくるよう削り出されている。建築が遠方からやってくる弱い波長や音を一点へと集めるパラボラアンテナの役割を果たし、座ると突然、遠方の森の枝葉の擦れる音や鳥や虫たちの鳴き声が覚醒したように聞こえ出す。それはとても個人的な体験である。森のささやきが座った人にだけ届き、語りかけた言葉は森へ響くだろう。
アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2024/4/1-4/7)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。
- 隈研吾建築都市設計事務所による、クリスチャン・ディオールの新店舗が、麻布台ヒルズにオープン
- 石上純也建築設計事務所による、韓国・大邱広域市寿城区の、橋設計コンペ「Suseongmot Lake Bridge(Skywalk) Development」の勝利案
- 石上純也による“水庭”が鑑賞できる宿泊施設「那須 無垢の音」が、2024年4月1日に開業
- 安藤忠雄が設計して、熊本県に寄贈した「こども本の森 熊本」が、2024年4月8日に開館
- 倉林貴彦+富永大毅+藤間弥恵による、東京の「稲城のペアハウス」。農業にも携わる施主の為の住宅。梨畑の中に住宅が入り混じる環境に対し、かつての“農家の屋敷”の様な“構えの大きな屋根”を持つ建築を志向。9尺ベースの“合理的な架構”を最初に想定して費用を抑え質も確保
- 中村浩士建築設計事務所による、埼玉・越谷市の「うどん屋『もり豊』」。過去の名残で水田が残る地域。のどかな環境を活かした在り方を目指し、隣地に合わせた配置と平面で“田んぼの稲を存分に眺められる”建築を考案。90角の杉材を300本吊ったルーバーは“巨大な暖簾”をイメージ
- 藤田雄介+寺澤宏亮 / Camp Designによる、東京の住戸改修「公園上の家」。公園に面した集合住宅の中での計画。風景を取込み“開放感”を得られる空間を求め、収納を兼ねた腰壁と建具の組合わせで領域を仕切る構成を考案。掃出し窓に障子を設けて“落ち着いた”室内環境にも転換可能とする
- 山下貴成建築設計事務所による、埼玉・新座市の「森のクリニック」。小児専門の歯科医院。緑の生い茂る土地という与件に対し、敷地内の木々と“緩やかに混ざり合う”建築を志向。折れ曲がり連続する屋根は、内部では“部屋の分節を希薄”にして外部では“周囲の家並み”と呼応する
- VUILDによる、東京・小金井市の「学ぶ、学び舎」。次世代の学びを促す為の教育施設。教材にもなる“実験的な”存在を目指し、“5軸CNC加工機”で“3次元切削”した型枠で作る大スパンの建築を考案。利用者自身が拡張していく“オープンエンド”な場として作る
- 橋本雅尊建築設計事務所による、広島・福山市の「道上のデイサービス」。三面接道の角地に建つ児童福祉施設。街との関係性を深める在り方を求め、特徴的な開口部を備えた外観で“福祉施設としての質を特徴付ける”設計を志向。分棟的な構成で周囲との規模感の調整と用途の強さの緩和も意図
- ヘルツォーグ&ド・ムーロンによる、カタールの「ルサイル博物館」。地域の文化的な核を目指す施設。“都市をひとつの建物に収めた”建築として構想され、周辺環境に応じた荒々しい“土地の一部”の様な外観が特徴。最上階には4つの歴史的建築を抽象化した展示空間も備える
- ファラによる、ポルトガル・ポルトの集合住宅「housing with pink chimneys」。四層の“少し歪んだ箱”の様なヴォリュームの建築。“明白さを避ける”階段から始まり、内部空間は蛇行する階段と住戸面積の“多数の不気味な交差”から形成。外観は大理石のラインとドットのパターンで覆われる
- 伯耆原洋太 / HAMS and, Studioと風間健による、東京の住戸改修「切断の諸相05『A Round and Around』」。改修済みの空間を部分的に再改修。愛着のある“物に囲まれた生活”の要望に、外壁のR形状から着想した“円環の本棚”でリビングを包み込む構成を考案。既存仕上げを“地形”と捉えて様々な“様相”を積極的に受容
- 石飛亮 / WANKARASHINによる、長崎・福江島のシェアスペース「knit.」。“無いものは作る”精神を持つ人々が多い地域での計画。用途と建築形式が“画一的”な街の状況に対し、島民の多様性に応える“包括的”な建築を志向。既存の形状を活かした“長いカウンター”が貫通する空間を考案
- 古谷デザイン建築設計事務所による、プリズミックギャラリーでの建築展「親密な建築を目指して」。“みどり”のデザインも手掛ける建築家の展覧会。人々が愛着を持ち“場所の風景となる建築”を目指して活動。代表作や進行中のプロジェクト等の模型や図面を公開する内容
- 齋藤弦と酒井禅道による、神奈川・足柄下郡の週末住宅「湯河原の擁壁」。雛壇状の造成地での計画。敷地と呼応する“独自の建築の形式”を求め、土木と建築のスケールを調停する“擁壁に擬態した構造体”を“背骨”とする建築を考案。軽やかな“木架構の屋根”で地形に寄添う住空間も作る
- ダービット・ビーランダーによる、金で出来ているのに、段ボール製にしか見えないブレスレットシリーズ「cardboard」の写真
- 山口誠デザインによる、東京・台東区の、オフィスビル「MONOSPINAL」。ゲーム制作会社の本社。従業員の“集中力”と“リラックス”のバランス確保を目指し、環境要素も向上をさせる“斜壁”を持つ建築を考案。小スケールの素材を集積をさせる仕上げで“あらたな風景”を作る
- 谷口弘和設計室による、京都の「八幡の二世帯住宅」。雛壇状の高低差のある土地での計画。場の可能性を引き出す在り方を目指し、“敷地と住宅が一体”となる“建ち方”の設計を志向。基礎の接地面積を減らして“ひと繋がりの庭”が“立体的に巻き付く”様な建築を造る
- 隈研吾とアシックスのコラボスニーカー「Archisite ORU」が公開。和紙の様な透け感のテキスタイル“ダイニーマ”をアッパーに用いる
古谷デザイン建築設計事務所による、プリズミックギャラリーでの建築展「親密な建築を目指して」です。
“みどり”のデザインも手掛ける建築家の展覧会です。人々が愛着を持ち“場所の風景となる建築”を目指して活動しています。本展は、代表作や進行中のプロジェクト等の模型や図面を公開する内容となっています。
展示の開催期間は2024年4月27日まで(期間中休廊日あり)。入場無料です。展覧会の公式ページはこちら。
テーマの「親密な」は我々のものづくりの中で大事なキーワードとなっております。
建築の専門家でなくても多くの建築に触れる方々が愛着を持ちその場所の風景となっていく建築を目指したいと常日頃考えております。
当展示会ではそれらの意図が伝わるよう弊社のこれまでの歩みや代表作品の展示、近作および進行中プロジェクトなど20点の模型、および関連図面や写真、みどりの空間工作所が手がけた多くの作品群を一挙に全部見せする趣です。
VUILDが設計した、東京・小金井市の「学ぶ、学び舎 ─ 東京学芸大学HIVE棟」です。
次世代の学びを促す為の教育施設です。建築家は、教材にもなる“実験的な”存在を目指し、“5軸CNC加工機”で“3次元切削”した型枠で作る大スパンの建築を考案しました。また、利用者自身が拡張していく“オープンエンド”な場として作られました。
次世代の学びを探求するプロジェクトとして建設された教育インキュベーション施設である。
CLTを型枠にした鉄筋コンクリート造を構造とする。CNC加工された葉脈状梁やパネルをコンクリートの型枠として使用し、仕上げを兼ねた「打ち込み型枠」として残す。これを主要構造体として機能させ、建築として使用した前例のない構造物である。
曲面の幾何学的なアルゴリズムによりCADモデルを自動生成し、それを補助線として5軸CNC加工のCAMのパスを作成し、自社で木製型枠を切削する、という通常の意匠設計および構造設計の枠を超えたシステムを構築した。
建物内にはこの型枠を加工したCNC加工機が設置され、先端製造技術を誰でも体験することができる開放的な施設として活用される予定であり、必要な空間や場を、利用者が都度拡張していくというオープンエンドな建築となっている。そのため、初期条件として大屋根と機械だけがある状態から始まる。
設計の課題として、次世代の新しい公教育を実装する場としての役割を持たせつつ、完成形のない、拡張可能な空間としての開放的な空間を作り出すというものがあった。また、学習材となりうる「教材として」のエクストリームでエクスペリメンタルな建築が求められた。
そこで5軸CNC加工機による3次元切削を用いた大スパンの空間を作り出すとした。最大240mm厚のCLTパネルから切り出せることを条件とし、全体形状と切り出しの都合の間でシミュレーションを繰り返し、最適化の試行錯誤が重ねられた。
場所によっては単純化を用い、あくまで施工を念頭に置いたデザインプロセスとなっている。
陶芸家と建築家の二つの顔を持つ“奈良祐希”が主宰する「株式会社EARTHEN」の、設計スタッフ(経験者・既卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
陶芸家・建築家 奈良祐希主宰の「株式会社EARTHEN」が設計スタッフ(経験者・既卒)募集中
金沢を拠点にする株式会社EARTHENは、プロジェクトに携わる設計スタッフを1~2名程度募集します。EARTHENは金沢市郊外の自然豊かな場所でものづくり工房と連動するオフィスです。
陶芸と建築。
親和性がありながらも今まで交わることがなかった2つの芸術と工学を等価に考え、土に纏わる「社」をフィロソフィーに、従来の概念を超えた新しい建築、デザインイメージの創出を目指しています。パリ、ミラノ、台湾、日本を中心に世界各地で新築(住宅別荘、店舗、宿泊施設等)、リノベーション、展示会場構成、インスタレーション、パブリックアート、家具デザイン等のプロジェクトが現在進行中です。
2021年に陶芸家 奈良祐希がEARTHENを創業、2022年に法人化しました。弊社のデビュー作「Node Kanazawa」は現時点で、第33回AACA賞芦原義信新人賞、第5回日本建築設計学会賞、第30回いしかわ景観大賞、第46回金沢都市美文化賞等を受賞しています。
「土」に纏わる様々な事象を捉え直すことで、建築と工芸の可能性を広げる社会的な取り組みに共感し、共創チームに加わってくれる設計スタッフを募集します。
山下貴成+カン ヨンア / 山下貴成建築設計事務所が設計した、埼玉・新座市の「森のクリニック」です。
小児専門の歯科医院の計画です。建築家は、緑の生い茂る土地という与件に対し、敷地内の木々と“緩やかに混ざり合う”建築を志向しました。また、折れ曲がり連続する屋根は、内部では“部屋の分節を希薄”にして外部では“周囲の家並み”と呼応します。
埼玉県新座市にたつ、小児を専門とする歯科医院の計画である。
敷地は古くからケヤキが生い茂る緑豊かな環境にあり、クライアントが暮らす歯科医院兼住宅と隣にある両親の住まいは広い庭を共有するようにたっていた。
新たにたつアネックスでは庭に対して壁をバラバラと配置し、住まいへのプライバシーに配慮しながら敷地内の自然環境を引き込み、緑の庭と緩やかに混ざり合う建物を考えた。
屋根は折板効果により桁行方向で最大13mのスパンを飛ばし、折れ方向での断続的な一体感が診療時における子どもたちの不安を和らげる。屋根の山と谷の高さは場所ごとに変化して起伏による曖昧な領域をつくり、内外を横断して部屋の分節を希薄なものにしている。
商業空間を中心に設立20年を越え、“心が動く”場づくりを実践する「Jamo Associates」の、インテリアデザイナー(経験者・既卒・2024年新卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
ジャモアソシエイツはインテリアデザイナー高橋紀人とインテリアスタイリストの神林千夏により2000年に設立されました。
家具の制作、ディスプレイ、リテイルストア、レストラン、オフィス、ホテルの設計までプロジェクトは多岐に渡ります。
生活の中で見過ごされたり、無意識のうちに忘れさられてしまうような部分に光を当てることを大切にしながら、多くのプロジェクトを創造し続けています。
商業空間を中心に20年間、小さいものから大きいものまで様々なジャンルに関わる空間づくりを続けております。
衣食住すべてに関われる面白い仕事、楽しい会社です。一緒に人の心を動かす空間作りをする仲間を募集しています。
中村浩士建築設計事務所 / 中村工務店が設計した、埼玉・越谷市の「うどん屋『もり豊』」です。
過去の名残で水田が残る地域での計画です。建築家は、のどかな環境を活かした在り方を目指し、隣地に合わせた配置と平面で“田んぼの稲を存分に眺められる”建築を考案しました。また、90角の杉材を300本吊ったルーバーは“巨大な暖簾”をイメージして作られました。店舗の公式サイトはこちら。
敷地は埼玉県越谷市レイクタウン付近の住宅地。
過去の名残で田んぼが残る場所にある。そんな場所に建つうどん屋の新築計画。隣地は田んぼで、建設地も元々は田んぼ。
まず初めに田んぼの長閑な環境を活かすべく設計をスタートした。
建物の配置と平面計画を隣地の田んぼの土地の長方形の形状に併せて短辺は4550mm、長辺を27mと細長い建物形状とした。
田んぼ越しの建物の風景を見ての通り、建物内部からはうどんを食べながら田んぼの稲を存分に眺めることが出来る。南から北に吹く風は建物内部を通り北側の田んぼに抜けていく。風で揺れる稲もまたこの土地に吹く心地よい風を表現している。
建物の外周部には断面が90mm角、長さが3mの杉材を300本程吊ってルーバーの役割を果たしているが、実はこの吊り柱は巨大な暖簾をイメージしている。
吊り柱で造った暖簾で客を招き入れ、建物内部に入ると外部からの印象とはまた違った開放的な空間があり目の前には稲があり、そこで店主が造ったこだわりのうどんと天麩羅を食べ、そしてビールを飲んで寛ぐことができるうどん屋が出来たと思う。あえて畏まらずにラフに仕上げた砂利の駐車場から誰もが気軽に木造の暖簾をくぐり、店内に入れば客の賑わいがコンクリートの床で反響し、木造の香りと架構で囲われた空間の目の前には田んぼがある。
近所の爺さんと婆さん達の楽しむ声がうるさく聞こえるくらいの雰囲気が丁度良い。
藤田雄介+寺澤宏亮 / Camp Designが設計した、東京の住戸改修「公園上の家」です。
公園に面した集合住宅の中での計画です。建築家は、風景を取込み“開放感”を得られる空間を求め、収納を兼ねた腰壁と建具の組合わせで領域を仕切る構成を考案しました。また、掃出し窓に障子を設けて“落ち着いた”室内環境にも転換可能としています。
都心部の広い公園に面した場所に建つ、集合住宅の一室の改修である。
既存建物自体は少し古く、団地に近い建物だった。この場所の特徴である、眼下に広がる公園や都市の風景を庭のように取り込みながら、小さな居場所の連なりをいかにしてつくれるかを考えた。
クライアントは若い夫婦で、60㎡程のスペースの中にキッチン・ダイニング・ソファースペースのあるリビング・寝室・それぞれのワークスペースを設けたいという要望があった。
また、台形の間取りの中央に梁せい600近い大梁が通っているため、部屋が分断されていた。そのため、大梁を軸に左右にスペースを設けて、南面側にはキッチン・ダイニングやリビングを、東面側には寝室・それぞれのワークスペースを設けることにした。
加えて、公園に面していることの開放感を感じられるように、収納棚を組み込んだ腰壁で領域を仕切り、閉じる必要がある場所には障子や框戸を設けている。また、南面の掃き出し窓に面して障子を設けており、閉じたときには落ち着いた室内環境を楽しめるようにしている。
これらの障子は、框と桟の寸法を統一した「吉村障子」の写しである。寝室とリビングの間は、荒組の両面組子として表裏が出来ないようにした。また、南面の掃き出し窓に面したものは壁引き込みにしている。
安藤忠雄が設計して、熊本県に寄贈した「こども本の森 熊本」が、2024年4月8日に開館します。
「こども本の森」は、活字離れが進む子どもたちに、本の楽しさ、豊かさを知ってもらおうと始まったプロジェクトで、現在全国に三ヶ所あり、熊本県の本施設は四ヶ所目となり、また九州エリアで初めて設置された施設です。施設の公式サイトはこちら。
こちらは、安藤によるメッセージです。
安藤忠雄によるメッセージ
「こども本の森」は、活字離れが進む子どもたちに、本の楽しさ、豊かさを知ってもらおうと始まったプロジェクトです。コンセプトは官民一体で取り組む、今を生きる大人から未来を担う子どもたちへの贈り物です。
建物を計画する上でいつも大切に考えているのは、子どもたちが「自由」を感じられる場所に、という点です。どんな本を選んでも、どこで読んでもいい。外に持って出ても構わない。「敷地全体が閲覧室」のイメージです。管理の問題など考えると難しい所もありますが、その点、熊本は、県立図書館との一体的な運営が可能な立地で、かつ隣には美しい自然公園が広がるという好条件。とても理想的な形で「自由」を表現することが出来ました。「熊本から世界へと羽ばたく子どもを育てたい。」プロジェクトに関わったすべての人が、この想いを共有していたからこそ、実現したのだと思っています。
人間は、刺激的な出会いを求めて旅に出ますが、ページをめくるほどに新しい世界が広がる、本もまた心の旅です。そこで得る感動は、常識にとらわれることなく、自分の頭で考え行動できるというような、「生きていく力」の肥やしとなるものです。施設を訪れた子どもたち一人一人に、人生を豊かにする大切な一冊との出会いが訪れることを期待しています。
施設の利用方法と拡大できる写真を以下に掲載します
元RADの川勝真一が、京都市に「建築センター」を開設する為のクラウドファウンディングを実施しています。詳細はリンク先のREADY FORのサイトでどうぞ。
▼そもそも「建築センター」ってなに?
建築文化にアクセスするための玄関口
日本には建築を専門とする民間のギャラリーや、国が設置した建築専門の資料館は存在しますが、 建築センターというものはありません。なので聞き慣れないかたも多いかもしれませんが、芸術センター、アートセンターの建築バージョンだと思っていただけるとわかりやすいのかもしれません。
ちなみにアートセンターと美術館の違いは一般的に収蔵品(コレクション)を持たないこと、また展示や作品販売だけでなく市民との多様な接点をつくろうとする点です。ただし、豊富なアーカイブを持つ建築センターもあれば、コレクションを持たない建築博物館も存在します。
わたしは仕事や旅行で海外に行くと、その都市の建築センターや建築博物館を訪問することにしています。そこでは都市の成り立ちや、ローカルでしか分からないような建築について学ぶことができ、さらに見るべき建築や場所、そのとき開催中の建築イベントを知ることができます。建築センターは、その都市が耕してきた建築文化にアクセスするための玄関口、あるいは都市・建築の案内カウンターのような場所なのです。
倉林貴彦建築設計事務所と富永大毅+藤間弥恵 / TATTAが設計した、東京の「稲城のペアハウス」です。
農業にも携わる施主の為の住宅です。建築家は、梨畑の中に住宅が入り混じる環境に対し、かつての“農家の屋敷”の様な“構えの大きな屋根”を持つ建築を志向しました。また、9尺ベースの“合理的な架構”を最初に想定して費用を抑え質も確保しました。
梨園を営む兼業農家のための、1階に親世帯、2階に子世帯の9人が暮らす二世帯住宅である。
東京都心部から電車で30分の距離にありながら、背の低い梨畑が広がる豊かな環境が住宅や集合住宅と入り混じっている。この場所に建つ住宅は、かつて屋根裏(小屋組み)で養蚕が行われていた農家の屋敷のような、構えの大きな屋根をつくることが相応しいように思った。
軒先の高さを2.2mに抑え、梨の木の高さと同じような低い軒先が水平に伸びる2階建てだが、平入り切妻屋根の平屋のような外形とし、2階は周囲の梨畑の上に浮いた大きな屋根に包まれたような空間となった。
1階は建物西側の祖母の暮らす古い母屋から、柿の木や松の木を残した東側の前庭を繋ぐように東西に開く構成とし、居間と寝室の間に玄関や水回り、納戸が挟まる。東側の深い軒下はちょっとした作業や外での食事の場になり、軒裏からは2階の様子が垣間見える。2階は矩勾配屋根を支える方杖の付いた柱と小屋組みが1間半ピッチで反復される中に、5人家族の居場所を陣取った。
周辺の住宅や道路からのプライバシーは確保しつつも、小屋組みの中での居住性を考え農家の突き上げ屋根に習った開口を設けていき、夕日を屋根の中に溜め込む屋根窓や、柿の木に手が届いたり、遠くのロープウェーを眺めたりできる窓先のテラスとなる。堂々とした農家的な構えでありながら、周囲の環境に内側と外側から丁寧に呼応することで柔らかい佇まいとなった。
石上純也建築設計事務所による、韓国・大邱(テグ)広域市寿城(スソン)区の、橋設計コンペティション「Suseongmot Lake Bridge(Skywalk) Development」の勝利案です。
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