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坂茂が、大分県立美術館での自身の建築展の為に、ネットを使って遠隔地から収録したギャラリートークの動画

坂茂が、大分県立美術館での自身の建築展「仮設住宅から美術館まで」の為に、ネットを使って遠隔地から収録したギャラリートークの動画です。展示会場の様子も同時紹介されています。

大分県立美術館で開催する「坂茂建築展-仮設住宅から美術館まで」のギャラリートークを坂 茂氏自らが行いました。ぜひ、ご覧ください。
「坂茂建築展-仮設住宅から美術館まで」(大分県立美術館、2020年5月11日(月)~7月5日(日))

武田清明建築設計事務所による、長野・茅野市の「6つの小さな離れの家」
武田清明建築設計事務所による、長野・茅野市の「6つの小さな離れの家」 photo©masaki hamada(kkpo)
武田清明建築設計事務所による、長野・茅野市の「6つの小さな離れの家」 photo©masaki hamada(kkpo)
武田清明建築設計事務所による、長野・茅野市の「6つの小さな離れの家」 photo©masaki hamada(kkpo)

武田清明建築設計事務所による、長野・茅野市の「6つの小さな離れの家」です。

戦前から引き継がれてきたある一軒の家があった。

ここ長野県茅野市では、周囲の山々から湧き出る小川が住宅街に毛細血管のように張り巡り、夏涼やかな一方、冬足が凍るような寒さが地面に染み渡る。この厳しい地域特有の気候条件は、この場所に住む人々に様々な「生きる知恵」をもたらしてきたはずだ。

敷地内には、母屋のほか、防空壕、井戸、むろなどの「地下世界」が長年使われずに眠っていた。
その世界に潜り込むと、人為的な空間にも関わらず、何か洞窟や洞穴のような体感があり、現代ではありえない「人工的な野生環境」みたいな場所に自分が身を置いていることに気が付く。
年中一定温度を保つ地中熱が、その独特の温熱環境を内部にもたらしているのだ。

かつてここの住人は、この「地下世界」と「地上世界」を上下に行き来し、その深さや広さによって微妙に異なる温熱環境を使い分けながら、極寒のこの地域で生き抜いてきたのだろう。まさにここは、人間と環境の格闘の痕跡のような場所なのだ。

「建てる」だけでなく「掘る」ことで築かれたこのランドスケープを「新しい敷地」としてとらえ、野生あふれる先代の生活の上に、未来の生活を重層させた「歴史の地層」のような家ができないだろうか。

まずはその「新しい敷地」を開拓することから始めた。

建築家によるテキストより
【ap job更新】 アトリエ系設計事務所の施工を多く手掛ける「栄伸建設」が、意匠設計・施工管理・積算・不動産のスタッフ(正社員)を募集中
【ap job更新】 アトリエ系設計事務所の施工を多く手掛ける「栄伸建設」が、意匠設計・施工管理・積算・不動産のスタッフ(正社員)を募集中
【ap job更新】 アトリエ系設計事務所の施工を多く手掛ける「栄伸建設」が、意匠設計・施工管理・積算・不動産のスタッフ(正社員)を募集中青木弘司 + AAOAA 「相模原の家」外観

アトリエ系設計事務所の施工を多く手掛ける「栄伸建設」の、意匠設計・施工管理・積算・不動産のスタッフ(正社員)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

■栄伸建設とは…
栄伸建設は、東京の吉祥寺近くの武蔵境を拠点に、多くの建築家の設計ビジョンを施工することで、技術力を培ってきた総合建設会社です。

独創的でありながら機能的、かつ類まれな唯一無二の洗練された、建築家が計画する建築空間を実現することに挑み続け、技術の際(キワ)に臆することなく、日々精進し、技術力の向上と継承に努めてきました。
建築物は普遍的ではない、人がくらし成長していくように、建築物も変化し成長していきます。時と共に古くなるのではなく、時と共に輝きをまし、生き生きと成長し続ける建築物であれるように、感性と知識と技術を磨き続けます。技術屋集団として、質の高い建築とは何か、生産性を高めるとはどういうことか、そして技術力を追求することこそが将来の営業力と信じ、約50年近く活動して参りました。

「木と鉄とコンクリートの融合」をコンセプトにしており、それぞれの構造形式と、それら混構造の設計と施工を学ぶことができる施工会社です。設計と施工が一堂に会し早い段階から知恵を出し合う事により、より良い創造が生まれます。

施工管理志望の方には、著名な建築家の先生の作品を手掛けられる事が、貴重な経験となりますし、設計希望の方には、意匠系の様々な建築家の設計に触れられ、なおかつ施工や、予算に強くなれるという機械に恵まれます。施工側から見ることにより、広い見地で建築物を見る力をつけられます。不動産希望の方には、建築と不動産の狭間をなくした、両方の知識を持った新しいプロデュース力を期待します。

近年では、不動産的企画・自社設計・自ら運営するプロジェクトを強化すべく、これからの新しい栄伸建設を支えて頂く社員(意匠設計スタッフ・施工管理スタッフ)を募集いたします。

能力や技術は、仕事をしながら習得して頂ければ結構です。総合的な技術者を目指して、ぜひ一緒に仕事をしましょう。資格取得支援制度もあります。

Web → https://www.eishin-kensetsu.co.jp/

毎年恒例の協力会とのBBQや、ボーリング大会、などイベントもあり社員間の交流に役立っています。休日は、コンサートやツーリングなど、各自趣味を楽しんでいます。地元の夏祭りやマルシェなど各種イベントの、お手伝いもします。もちろん、代休を取得できます。

■施工させて頂いた代表的な建築家(敬称略)
青木弘司、石井秀樹、泉幸甫、奥野公章、甲村健一、近藤正隆、富永哲史、新関謙一郎、彦根明、丸山保博他多数

宮城島崇人建築設計事務所による、北海道・札幌市の住宅「山裾の家」
宮城島崇人建築設計事務所による、北海道・札幌市の住宅「山裾の家」 photo©阿野太一

宮城島崇人建築設計事務所が設計した、北海道・札幌市の住宅「山裾の家」です。

札幌市の郊外住宅地に建つ住宅である。敷地は町並みが見通せるT字路の突き当たりにあり、反対側に手稲山を望む、山の裾野に位置する。そこで、緩やかに傾斜する地形を活かし、山の眺望を得つつ北海道の厳しい環境の中でも周辺環境を豊かに感じられる建築を目指した。

建築家によるテキストより
建築家・山﨑健太郎が、北欧建築を独自の視点と経験で捉え、それを手書きスケッチと共に綴った連載「心のこもった居場所を探る旅」が開始。第一回目は「ストックホルム図書館の本棚」を紹介。
建築家・山﨑健太郎が、北欧建築を独自の視点と経験で捉え、それを手書きスケッチと共に綴った連載「心のこもった居場所を探る旅」が開始。第一回目は「ストックホルム図書館の本棚」を紹介。 image courtesy of YAMAZAKI KENTARO DESIGN WORKSHOP Co.,Ltd.

建築家・山﨑健太郎が、北欧建築を独自の視点と経験で捉え、それを手書きスケッチと共に綴った連載「心のこもった居場所を探る旅」が、MODERN LIVINGのウェブサイトで開始しています。【ap・pr】

建築が人に与える力は、優れた絵画や彫刻や音楽に比べて控えめなものです。しかし、建築空間が人々に働きかけるその力は持続的で絶え間なく、それ故、長い時間の中で、その影響はとても大きいものになります。名作をつくった偉大な建築家は、控えめだけど、人のための居場所に心を込めているはずです。建築家の山﨑健太郎さんが、壮大なアイデアを小さな設えの中に見つけ、その意図を辿ります。

山﨑健太郎 建築家 / 山﨑健太郎デザインワークショップ代表取締役

現在、工学院大学、東京理科大学、早稲田大学非常勤講師。明治大学、法政大学兼任講師。

沖縄の地域住民と一緒に琉球石灰岩を積んで建設した「糸満漁民食堂」で日本建築学会作品選集新人賞受賞。斜面を活かした階段状の「はくすい保育園」でドイツのiF DESIGN AWARD金賞受賞。昨年は視覚障害者の支援施設「ビジョンパーク」で世界三大アワードの一つInternational Design Excellence Awards銅賞受賞など、国内外多数のアワードを受賞。刺激的な建築であることよりも、子供から高齢者まで様々な人々に受け入られ、人生の一部となっていくような建築を目指している。

武田清明建築設計事務所による、東京・世田谷区の住宅「5つの小さな擁壁」
武田清明建築設計事務所による、東京・世田谷区の住宅「5つの小さな擁壁」 photo©masaki hamada(kkpo)

武田清明建築設計事務所が設計した、東京・世田谷区の住宅「5つの小さな擁壁」です。

どんな住宅でも大地に接して建っている。ただ、それを実感できる生活空間というものはほとんどない。そもそも、人工の建築の「均質さ」と自然の大地の「複雑さ」の間には、大きな解像度のギャップがある。それを更地や造成によって無理やり均質化し、「大地」を「土地」へと変換することで、建築計画は自由さを獲得している。この前提条件を疑うことから、現代の建築がはらむ均質性を打ち破る手がかりを見つけ出すことができるのではないだろうか。人間にはつくりえない大地の不雑さや多様さ、その解像度に寄り添うように建築や空間をつくることができれば、発見的で創造的な生活というものが生み出せるかもしれない。

険しい地形の中腹にある世田谷の住宅街。そこに若い夫婦と子供4人の家族が新居を考えていた。周辺宅地のほとんどは、巨大なコンクリート壁で造成された均質な土地の上に家を建てる形式をとっていた。一方この計画地では、造成のお膳立てがなく高低差3.5mの荒々しい傾斜をもった大地が広がっていた。

そこで、大地をリノベーションすることから始めることにした。地形を活かすように小規模の掘削をたくさん行う。そこに生み出されたまばらな土の高さに合わせ、擁壁をその場所ごとに考える。すると、自然と人工の合作のような「5つの小さな擁壁」が建ち現れた。

建築家によるテキストより
建築界の登竜門として知られる「SDレビュー」が、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、2020年の開催を中止に

建築界の登竜門として知られる「SDレビュー」が、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、2020年の開催を中止にすることを発表しています。

山家明 / マウンテンハウスアーキテクツによる、東京・目黒の住宅「HOUSE in HIMONYA」
山家明 / マウンテンハウスアーキテクツによる、東京・目黒の住宅「HOUSE in HIMONYA」 photo©山田薫
山家明 / マウンテンハウスアーキテクツによる、東京・目黒の住宅「HOUSE in HIMONYA」 photo©山田薫

山家明 / マウンテンハウスアーキテクツが設計した、東京・目黒の住宅「HOUSE in HIMONYA」です。

敷地は、接道が2m以下で建築基準法43条にかかる再建築不可の土地であり、同条ただし書きを適用し、許可を得るため、建築に際しては、様々な条件をクリアする必要があった。
外観はシンプルなものとし、周辺には、木々が豊かな神社や公園が多く、四方を住宅に囲まれていながらも、その緑を感じ、明るく開放的な室内空間となるよう求められた。

ボリュームを最大限に取りながら、平面は長手を南北にとった、長方形のシンプルな形状とした。
切妻の屋根を南上がりに傾け、三角の頂側窓を設けることで、奥まで光を取り込むとともに、トップライトを設けることで、室内全体に風の流れができるように計画した。

建築家によるテキストより
隈研吾の建築が6つある高知・梼原町に「隈研吾の小さなミュージアム」が設立。公式サイトではインタビュー動画なども閲覧可能

隈研吾の建築が6つある高知・梼原町に「隈研吾の小さなミュージアム」が設立されていて、公式サイトではインタビュー動画なども閲覧可能です。こちらによれば、開館は2020年5月11日に延期されているとこのこと(その後の情報は不明なので、直接ご確認ください)。サイトのドメインを見る限り梼原町が運営しているようです。

世界的建築家・隈研吾 木造建築の物語はこの小さな町からはじまりました。

高知県梼原町にある古い芝居小屋ゆすはら座と出逢った隈研吾。
そこから隈研吾氏と梼原町との長い交流が続き、その縁がきっかけで多くの隈研吾作品が梼原町には存在します。
梼原町内5箇所6つの隈研吾作品が集まる、世界でも類をみない梼原町は町全体がミュージアムと言えます。
木橋ギャラリーの一画にある「隈研吾の小さなミュージアム」を拠点に隈研吾作品に触れる梼原町の町歩きをお楽しみください。

以下に、youtubeにも公開されている同ミュージアム制作の5つの動画を掲載します。

隈研吾が、新型コロナウイルスと建築・都市について関して語っている動画(20/4/23放送分)

隈研吾が、新型コロナウイルスと建築・都市について関して語っている動画です。テレビ東京で2020年4月23日に放送されたものがyoutubeでも公開されました。

4月23日(木)放送 各界で活躍する人によるリレーメッセージ「コロナに思う」。今夜は東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の設計を手掛けた建築家の隈研吾さんです。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにこれまで大都市に集まろうとしてきた私たちの生活が大きく変わるといいます。

フランスと日本を拠点とする2M26が、京都の築100年の長屋を改修した、生活の機能を筒状のスペースに収納することで、空間の多目的な使用を可能にした住宅「2m26 Kyoto House」の写真と図面

フランスと日本(京都・広島)を拠点とする2M26が、京都の築100年の長屋を改修した、生活の機能を筒状のスペースに収納することで、空間の多目的な使用を可能にした住宅「2m26 Kyoto House」の写真と図面が26枚、archdailyに掲載されています。彼らのウェブサイトの作品ページではその他の建築の写真も閲覧可能です。

彼らのプロフィールは以下。

2m26 について

「2m26」は住まいに関する10年の研究と実績を元に ブランドとして2015年に設立。
デザインと構造の双方から「2m26」はより良い住まいのためのツールを提供/手作りでしかも経済的、そして贅沢/ オーダーメイドで作られたオリジナルな作品/無垢材、自然系木材保護塗料仕上げも可能、環境を考え/シンプルで、美しく実用的。

代表者:
メラニー・エレスバク/アーティスト/建築家
セバスチャン・ルノー/アーティスト/建築家

ブランド名「2m26」の由来 :
人間が腕を伸ばして立ったその高さが約2m26。この「2m26」はル・コルビュジエの「モデュロール」に由来しており、人体と黄金比に基づいた一つの「基準寸法」と考えられています。ル・コルビュジエのグループは、ウィトルウィウス、ミケランジェロやレオナルド・ダ・ヴィンチなどの過去の芸術家も使っていた黄金比に関する数々の研究をもとに、この「モデュロール」を作り上げました。
「この比率言語は悪を困難に、善を容易ならしめる」アインシュタイン。

清水建設が、新型コロナウイルスで中断していた工事を対策をしたうえで、5/7から順次再開へ

清水建設が、新型コロナウイルスで中断していた工事を対策をしたうえで、2020年5月7日から順次再開するとのことです。

政府は,今般,新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言の期限を,令和2年5月31日まで延長することを決定しました。

当社は,新型コロナウイルス感染の影響が長期化することを念頭に,これまでどおり社員・作業員の生命・安全を最優先事項として感染拡大防止対策を一層強化・徹底すると共に,建設業における雇用の確保など経済活動の維持のために工事を進めることも重要であると判断しました。

5月7日以降,国土交通省のガイドライン及び当社が設定した安全ルールを満たす管理体制が整った作業所から,ご関係の皆様と協議の上,順次,工事を再開してまいります。

皆様にはご理解とご協力の程、お願い申し上げます。

中島弘陽による、富山・魚津市の、既存長屋を改修した事務所・店舗・住居「明るさの家」
中島弘陽による、富山・魚津市の、既存長屋を改修した事務所・店舗・住居「明るさの家」 photo©鶴見哲也
中島弘陽による、富山・魚津市の、既存長屋を改修した事務所・店舗・住居「明るさの家」 photo©鶴見哲也

中島弘陽による、富山・魚津市の、既存長屋を改修した事務所・店舗・住居「明るさの家」です。建築内のネイルサロンのページはこちら

私の祖父が住んでいた長屋を、父の経営する税理士事務所・妹が主催するネイルサロン・兼住居とする、複合用途のリノベーション計画である。

事務所・店舗・住居という3つの機能ごとに空間と来客動線を分ける必要がある一方、それぞれを完全に独立させようとすると、決して広くはない建坪の中で出入口が3つになり、それぞれの空間も貧弱になることが懸念された。そこで、既存建物前面を一部撤去したうえで架構して空間を付加し、エントランスホールを設けてそこから3つの動線が分岐していく建物構成とした。

前面に付加された空間は大きな吹き抜けとなっており、半透明の外壁から降り注ぐやわらかい明るさで満たされている。この明るさという現象を介して各機能が間接的に結びつく形にすることで、建築全体の空間体験を豊かにしようと考えた。

建築家によるテキストより
増田信吾と大坪克亘に、建築を学び始めた頃のエピソードを通して、現在の設計に対する「本当に必要か?」というスタンスを解明しようするインタビュー

増田信吾と大坪克亘に、建築を学び始めた頃のエピソードを通して、現在の設計に対する「本当に必要か?」というスタンスを解明しようするインタビューが、ソトコトに掲載されています。

ユルゲン・マイヤー・Hとアレクサンダー・エルマンによる、ロシア・モスクワの、緑化した屋根と有機形状の平面によって風景と建築を連続させようと試みた住宅「Residence n. n」の写真と図面

ユルゲン・マイヤー・Hとアレクサンダー・エルマン・アーキテクチャー&デザイン(Alexander Erman Architecture & Design)が設計した、ロシア・モスクワの、緑化した屋根と有機形状の平面によって風景と建築を連続させようと試みた住宅「Residence n. n」の写真と図面が25枚、archdailyに掲載されています。

辻琢磨による連載エッセイ “川の向こう側で建築を学ぶ日々” 第3回「設計事務所の公共性のつくりかた」
辻琢磨による連載エッセイ “川の向こう側で建築を学ぶ日々” 第3回「設計事務所の公共性のつくりかた」

設計事務所の公共性のつくりかた

text:辻琢磨

 
非常勤職員として渡辺隆建築設計事務所に勤め始めて早くも1年が過ぎた。
このエッセイも3回目になる。ここまで概ね週1-2のペースで働き続け、403、この春特任講師に着任した名古屋造形大、個人の仕事、子育てをなんとかバランスを保ちながら並行して進めている。今回は、社会に対しての設計事務所の見せ方について書きたいと思う。

 
加入後の一年を振り返って

つい先日一年間の勤務を終えて渡辺さんと面談をしたのだが、僕の方はここまで特になんの不満もなく、例えば勤務日は日数さえ満たせば比較的自由に入れさせてもらえているし、子供の急な発熱での欠勤も振替で許容してくれることもあり、僕としては有り難い限りである。一方、渡辺さんにここまでの僕の印象を聞くと、
「当初はガッツリ図面を引いたり現場に行ったりともっと修行的な側面が大きいかなと思っていたけど、むしろこちらが辻くんから学ぶことが多い」
という言葉を貰った。

例えばプロジェクトの打ち合わせでの重要な判断の際にスポットで相談を受けたり、渡辺さんのボスとしての悩みを共有したりという、これまでの自分の建築家としての立場を発揮する機会も自然と増えている。同時にお茶汲みをしたり電話も取り、図面を描くわけで、時間時間で自分の役回りが目まぐるしく変化するという感じで働いている。

 
新型コロナウィルス禍への対応

そういうタイミングで新型コロナウィルス禍がやってきた。
このまま行くと、渡辺事務所に非常勤職員として勤める予定の3年の内、半分くらいがwithコロナで進んでいきそうだ。

未知のウィルスCOVID-19をめぐる状況は刻一刻と変化していて、建築家としてというよりもまず人間としてどう行動すべきかが問われているように感じる。

報道やSNSからの情報をみると、首都圏ないし特定警戒都道府県と感染者数がそこまで伸びていない地方都市の状況(磐田市は2020年5月3日時点で感染者数ゼロ、浜松市は2020年5月3日時点で陽性が7名、内5名は退院)にはかなりの温度差があるように感じられる。実際、東京の知人に話を聞くとほぼすべての人が在宅ワークに切り替え、スーパー以外の外出を極力控え、保育園も休園しているとのことで日常を過ごすだけでも相当なストレスを感じるような生活を強いられているのではないかと推察する。

一方、静岡県西部地域では緊急事態宣言によって外出自粛要請や飲食店の休業要請(5月3日時点で浜松市、磐田市ともに4月25日から5月7日まで)も出されたり大きな公園は閉場しているものの、車社会も手伝ってか休日のホームセンターは盛況(入場制限あり)で、スーパー、河川敷には人が集まり、日常生活を過ごす分にはそこまでのストレスは感じていない(少なくとも僕は)。

僕個人としては手洗いうがい、公共交通機関の利用を控える、三密を避ける、といった行動変容は実施しているものの、保育園は通常通り預けている(預けられるだけ有り難い)し、渡辺事務所や403へも基本的には出社している(公共交通機関は利用せず自家用車移動のみとした)ように、最低限の自粛に留めているというのが現状だ。

渡辺事務所でも当然対応は進めてきたが最初の対外的な情報発信は4月17日で、極めて迅速な対応と発信ということではなかったといえる。しかしそれまでに何もしてこなかったというわけでは当然なく、様々な情報を仕入れ、様子を見ながら業務を進めていた。

まず、七都府県への緊急事態宣言が発令される直前の4月14日にスタッフへのヒアリングがあり、スタッフ間の家庭事情を考慮し意思疎通を図った。その上で、

・出社帰社時のアルコール消毒
・こまめな手洗い
・ドアノブや社用車は朝除菌シートで拭く
・メーカーの飛び込み営業は玄関で対応する(アポ取りの打ち合わせは社内で)
・毎朝検温し所内メールで共有

が所内ルールとして決められた。

その後緊急事態宣言は4月16日に全国に拡大され、それを受けて4月17日に、4月18日から5月6日まで、各スタッフが交代で週2日在宅で勤務を行うこと(僕はコミュニケーションが多い役回りということもあって基本は出社している)を発信したのだった。

また、Webによるミーティングも導入し、Skype・Zoom・Teamsにて対応しつつ、在宅のスタッフとは勤務中はずっとオンライン接続して、いつでもコミュニケーションが取れる状態にしている。※5月1日には、緊急事態宣言の延長報道を受けて、交代在宅制の5月31日までの延長と市外からの来客用のテラス席導入を追加した。

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