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アーティスト トム・サックスの、小山登美夫ギャラリーでの展覧会「Smutshow」で公開された作品
アーティスト トム・サックスの、小山登美夫ギャラリーでの展覧会「Smutshow」で公開された作品Whisk / 2018 / Mixed media ©Tom Sachs / Courtesy of Tomio Koyama Gallery

アーティスト トム・サックスの、小山登美夫ギャラリーでの展覧会「Smutshow」で公開された作品です。※こちらの展示の会期は既に終了していますが、東京オペラシティアートギャラリーにて2019年6月23日までトム・サックス展「ティーセレモニー」が開催中です。また関連イベントとして、長編映像プログラム「The Hero’s Journey」「A Space Program」の特別上映と、トム・サックスに茶道を指導したジョニー・フォグによる普段公開していないTea Houseの内部をオープンにした、実際のティーセレモニーも行われます。
アーキテクチャーフォトでは、西澤徹夫による、3つのトム・サックス展のレビュー「Tom Sachs」も掲載しています。
以下はトム・サックスの経歴です。

【トム・サックスについて】

ニューヨークを拠点に活動しているトム・サックス(1966年、ニューヨーク生まれ)は 、 モダニズムやデザインのアイコンから着想を得た作品で知られるアーティストです。サックスはトム・サックススタジオならではの簡素な素材を用いながら、半実用的な立体作品が組み込まれたパラレルワールドを作り上げています。そして、彼や彼のスタジオアシスタントにより、「Nutsy’s」(2001-03年)や「Space Program」(2007、2012、2016-17年)といったインタラクティブなプロジェクトにも展開されています。

サックスの作品は、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館、ホイットニー美術館、J・ポール・ゲティ美術館、ポンピドゥー・センター、サンフランシスコ近代美術館、アストルップ・ファーンリ現代美術館など、世界の数多くの美術館に永久収蔵されています。
主な個展開催場所に、ナッシャー彫刻センター(ダラス、2017-18年)、イエルパ・ブエナ芸術センター(サンフランシスコ、2016-17年)、ノグチ美術館(ニューヨーク、2016年)、ブルックリン美術館(ニューヨーク、2016年)、ザ・コンテンポラリー・オースティン(テキサス、2015年)、パーク・アベニュー・アーモリー(ニューヨーク、2012年)、オルドリッチ現代美術館(コネチカット、2009年)、ガゴシアン・ギャラリー(ロサンゼルス、2007年)、リーバ・ハウス(ニューヨーク、2008年)、プラダ財団(ミラノ、2006年)、ドイツ・グッゲンハイム美術館(ベルリン、2003年)、Bohen Foundation(ニューヨーク、2002年)、サイト・サンタフェ(1999年)などがあります。

2016年の映像作品「A Space Program」(ツァイスガイスト・フィルムズにより公開)では、トム・サックススタジオの活動や哲学の一端と、2012年にニューヨークのパーク・アベニュー・アーモリーで開催した「A Space Program」プロジェクト(協力: Creativ Time *ニューヨークのアートNPO)にまつわる物語を紹介しています。

東京建築士会による「第5回これからの建築士賞」の結果

東京建築士会による「第5回これからの建築士賞」の結果が公開されています

東京建築士会による「第5回これからの建築士賞」の結果が公開されています。審査したのは小野田 泰明、馬場 正尊、藤江 和子、藤村 龍至。

<第5回 これからの建築士賞>
業績名:スマートフォンアプリによる建築検定の展開
候補者名:一般社団法人 東京構造設計事務所協会 建築検定委員会

業績名:海・まち・いとなみの復興デザイン
-気仙沼市内湾地区における まちづくり支援と防潮堤一体型建築の計画・設計-
候補者名:阿部 俊彦、津久井 誠人、岡田 昭人、時岡 壮太

業績名:建築士の職能を拡げる建築士自身からの政策提案
候補者名:公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部常任幹事 相坂 研介

業績名:建築の「成長」をデザインする
「経営」と「働き方」の課題を解決し、建築業界の成長に貢献するコンサルティング会社、フリーランチ
候補者名:吉川 葉月、石井 絵奈梨、皆川 真輝、齊藤 あずさ、春口 滉平、大原 明恵、納見 健悟+株式会社フリーランチ

業績名:森美術館展示のための待庵原寸再現模型制作を通したものづくり教育と建築文化の普及啓発
候補者名:待庵プロジェクト教育チーム/岡田 公彦、大竹 由夏、三原 斉、町田 清之、市川 茂樹、西 直美、松本 宏行、武雄 靖、小林 靖史、飯島 勇、榎本 栄治、金澤 萌、鈴木 光、永島 義教

「安藤忠雄 初期建築原図展 個の自立と対話」が、国立近現代建築資料館で開催

「安藤忠雄 初期建築原図展 個の自立と対話」が、国立近現代建築資料館で開催されます。会期は2019年6月8日~9月23日まで。

 安藤忠雄氏は1941年に大阪に生まれ、独学で建築を学び、69年にアトリエ(安藤忠雄建築研究所)を設立しました。今年でちょうど半世紀になりますが、この間に世界の各地で氏の建築が建てられ、さらに展覧会や講演会が開催され書店には氏に関する本が並んで、今や「世界のANDO」と言われ、世界で最も著名な現代建築家のひとりと評されるに至っています。

 このたび、安藤氏の「初期」建築資料、すなわち1990年頃までの手描きによる建築設計図面とスケッチなどを用いて、「安藤忠雄初期建築原図展」を開催することになりました。「住吉の長屋」(1976)、「小篠邸」(81)、「六甲の集合住宅Ⅰ」(83)、「TIME’SⅠ」(84)、「城戸崎邸」(86)、「水の教会」(88)、「光の教会」(89)などの国内に現存する作品の図面が並びます。

 展覧会のテーマ「個の自立と対話」は、都市・自然・光・歴史風土などとの対話を通して個々人が自らを見いだし、深め、自立するための空間づくりを追い求めた、「初期」の安藤氏が常に抱いていた思い(言い換えれば、基本理念・動機)を表すものです。

 「私は1枚の図面の中に設計者の意思を凝縮させたい」と安藤氏は言います。実際、氏の「空間」に対する思いそのままに、平面図に断面図・透視図・アクソノメトリック図などを重ね合わせて3次元性を高めた精緻で美しい図面がたくさん展示されます。ぜひ、会場に足をお運びください。

写真家・阿野太一の、愛知・瀬戸市での個展「瀬戸 2015」の会場写真
写真家・阿野太一の、愛知・瀬戸市での個展「瀬戸 2015」の会場写真 photo©阿野太一

写真家・阿野太一の、愛知・瀬戸市での個展「瀬戸 2015」の会場写真です。Art Space & Cafe Barrackにて2019年6月30日まで開催されています。詳細は下部に掲載します。

瀬戸・2015 写真 阿野太一

 安土桃山から江戸時代に急速な都市化を迎える瀬戸の中心部は、現在に至るまでその歴史の痕跡を風景の中に見出すことができるが、それは土地の所有が常に彼方/此方を分け続けることで生まれる政治そのものである。
 壁、フェンス、パイロン、唐突に接続され分断される私道、かつてあった建物の痕跡、それを覆い尽くしていく草むら、町並みが脈絡なく駐車場や家庭菜園へと姿を変える。一角に「お天王さん」の祠。その一方で山を切り土留し土地を改変してまで宅地の造成を繰り返す。
 一見すると非常に混沌とした風景であるが、目を凝らすと実に多くのことが読み取れる。大都市では不動産として主に数字として見られることの多い土地が、ここではその比重が入れ替わり生々しく人が生きる/生きたところとして姿をあらわしはじめる。それが瀬戸の風景の面白さなのではないだろうか。
 撮影は2015年のいま頃、ちょうど大金鶏菊が咲いている6月に行った。写真の多くは旧市街地と私が勝手に呼んでいる尾張瀬戸駅を中心とした旧瀬戸村と思われる地域である。その後も継続的に撮影を行っているが、撮り始めた時期の初期衝動的な熱量がよく写真に表れていると感じたので、このBarrackのための構成とした。

佐藤可士和 / SAMURAIによる、滋賀の日清食品関西工場の工場見学施設「NISSIN KANSAI FACTORY」
佐藤可士和 / SAMURAIによる、滋賀の日清食品関西工場の工場見学施設「NISSIN KANSAI FACTORY」 photo©太田拓実
佐藤可士和 / SAMURAIによる、滋賀の日清食品関西工場の工場見学施設「NISSIN KANSAI FACTORY」 photo©太田拓実
佐藤可士和 / SAMURAIによる、滋賀の日清食品関西工場の工場見学施設「NISSIN KANSAI FACTORY」 photo©太田拓実

佐藤可士和 / SAMURAIのクリエイティブディレクションによる、滋賀の日清食品関西工場の工場見学施設「NISSIN KANSAI FACTORY」です。

日清食品関西工場の工場見学施設のクリエイティブディレクション、インテリアデザインを手がけた。

まるでポップアートのような巨大なカップヌードルがアイコニックなエントランスに迎えられ、全長200mにもおよぶ真っ赤な見学通路では、1分間に400食ものスピードで次々とカップヌードルが作られる映像を、生産ラインで発生する音をサンプリング、リミックスしたエレクトロニック・ミュージックと共に40台の大型モニターで視聴することができる。

敷地の広さは甲子園球場2.6個分(10万㎡)、1年間で最大10億食もの製品を生産することが可能な、最新鋭の設備とIoT技術を備えた国内最大級の食品工場の一つである。

また、世界に一つだけのオリジナルのカップヌードルが作れる「マイカップヌードルファクトリー」、来場者に商品パッケージのステッカーを貼ってもらう参加型アートも設置され、体験型工場見学の最新形を提示している。

大阪・泉北ニュータウンでの、大阪府住宅供給公社主催の「ニコイチプロジェクト 団地リノベーションコンペ」が参加者を募集中
大阪・泉北ニュータウンでの、大阪府住宅供給公社主催の「ニコイチプロジェクト 団地リノベーションコンペ」が参加者を募集中

 
大阪・泉北ニュータウンでの、大阪府住宅供給公社主催の「ニコイチプロジェクト 団地リノベーションコンペ」が参加者を募集しています

大阪・泉北ニュータウンでの、大阪府住宅供給公社主催の「ニコイチプロジェクト 団地リノベーションコンペ」が参加者を募集しています。【ap・pr】

 昭和45年に建設された茶山台団地は、高度成長の急速な人口増加による住宅需要へ対応するために開発された泉北ニュータウン内の約1千戸の大規模団地です。現在の泉北ニュータウンはまちびらきから50年以上が経過し、緑豊かな住環境を有するまちとして成長しましたが、社会環境の変化やニーズの多様化により、様々な社会課題を抱えています。茶山台団地も同様に少子高齢化の影響や周辺商業機能の低下など、賑わいやつながりが少なくなっていました。

 そこで、公社はこの団地を「団地再生のリーディングプロジェクト団地」と位置づけ、賑わいやコミュニティの活性化に向けた様々な取組みを進めてきました。集会所の一部を舞台に本を持ち寄り、住民同士のつながりとコミュニティ形成を目的とした『茶山台としょかん』をはじめ、健康増進に向けた『まちかど保健室』、空家を活用して高齢者の買い物支援や食を通じて気軽に集える『やまわけキッチン』など団地の中に多様な場所づくりを行い、賑わいとつながりの再生に取組んでいます。

 とりわけ平成27年度より展開している2戸の住戸を1戸につなげた『2戸1化リノベーション住戸(以下、ニコイチという。)』や『1住戸リノベーション住戸(以下、リノベ45という。)』では、これまで関わっていただきました建築家をはじめとする多くの事業者様により多様なプランが茶山台団地の新しい 価値として生まれてきました。

 一方、泉北ニュータウンでは、「仕事とくらし」や「地域とくらし」がとなりあわせなどの暮らし像を『泉北スタイル』として提案しており、共用スペースを設けた住宅など多様な住まい方も生まれています。
今年度は、これらの多様な価値観と人がつながる住環境として、これまでの団地再生の取組に新たな活力となる人々を呼び込めるような、ルームシェアのプランを新たに求めます。

以下は、募集の概要です。

写真家・山岸剛と、編集者・植田実の対談イベントの内容『東北の風景を「建築写真」に呼び込むこと』

写真家・山岸剛と、編集者・植田実の対談イベントの内容『東北の風景を「建築写真」に呼び込むこと』が、10+1websiteに掲載されています。山岸の写真集『Tohoku Lost, Left, Found』の出版に合わせて行われたもの。

BIGのビャルケ・インゲルスによる、TEDでの最新トーク「Floating cities, the LEGO House and other architectural forms of the future」の動画

BIGのビャルケ・インゲルスによる、TEDでの最新トーク「Floating cities, the LEGO House and other architectural forms of the future」の動画です。こちらは英語版ですが、日本語版が公開され次第、弊サイトでも紹介します。

インタビュー集『アーキテクトプラス “設計周辺”を巻き込む』の発売記念トークイベントが、二子玉川 蔦屋家電で開催
インタビュー集『アーキテクトプラス “設計周辺”を巻き込む』の発売記念トークイベントが、二子玉川 蔦屋家電で開催

 
インタビュー集『アーキテクトプラス “設計周辺”を巻き込む』の発売記念トークイベントが、二子玉川 蔦屋家電で開催されます

インタビュー集『アーキテクトプラス “設計周辺”を巻き込む』の発売記念トークイベントが、二子玉川 蔦屋家電で開催されます。開催日は2019年6月17日。要事前申し込み。

『アーキテクトプラス “設計周辺”を巻き込む』の発売を記念し、トークイベントを実施します。

 ご登壇いただくのは監修者の古澤大輔さん/リライト、岡部修三さん/upsetters architects、山道拓人さん/ツバメアーキテクツ、そしてインタビュイとして本書に登場する酒井康介さん/noiz、蘆田暢人さん/蘆田暢人建築設計事務所、落合正行さん/日本大学理工学部まちづくり工学科 落合研究室、と総勢6人の豪華メンバーです。

 先行き不透明でシビアな社会情勢のなか、消費者の趣向も多岐に渡り、建築企画も一体どういったものを建てたら多くの人に利用されるのか、経営的に成立するのかを含め、建築家が相談を受けることも増えているようです。

 今回のトークイベントでは、そういった企画・リサーチ・コンサルティングといった領域に積極的に関わっている建築家とともに、よりよい設計ができるような環境を整えること、そして多様化する社会にプロジェクトを対応させ、歴史文化やコミュニティに貢献する事業を生み出すなど、建築家が“設計周辺”に職能を広げることへの可能性を探っていきます。

松島潤平建築設計事務所による、東京の一棟全体リノベーションが為されたマンションのモデルルーム「Nock/Mock」
松島潤平建築設計事務所による、東京の一棟全体リノベーションが為されたマンションのモデルルーム「Nock/Mock」 photo©Takuya Furusue
松島潤平建築設計事務所による、東京の一棟全体リノベーションが為されたマンションのモデルルーム「Nock/Mock」 photo©Takuya Furusue

松島潤平建築設計事務所が設計した、東京の一棟全体リノベーションが為されたマンションのモデルルーム「Nock/Mock」です。

室中央にL字の耐力壁が置かれた壁式構造の建物で、
玄関ドアを開けるとまず突き当たりの耐力壁が見えるというつくりであった。
このため部屋の印象は暗く、余儀なく広い一室空間も取れないプランとなる。

そこで3Dモデルで検証を行い、窓と対面する壁に1.69°の角度で鏡を貼り、
斜向かいの耐力壁にも4.87°の角度で鏡を貼ることによって
合わせ鏡の効果で窓外の風景と自然光が玄関ドアまで届くようにした。
虚像ではあるが閉塞感は劇的に解消され、強固な部屋の輪郭がほどけた感覚を与える。

八木敦之 / アトリエMEMEによる、神奈川・川崎市の住宅「houseG」
八木敦之 / アトリエMEMEによる、神奈川・川崎市の住宅「houseG」 photo©下里卓也
八木敦之 / アトリエMEMEによる、神奈川・川崎市の住宅「houseG」 photo©下里卓也

八木敦之 / アトリエMEMEが設計した、神奈川・川崎市の住宅「houseG」です。

2世帯住宅の計画。子供の成長、物の増加、世帯の変化などを見込み、計画には最大限の床面積が求められた。そこで、直交グリッドでプランを組んだ後、各スペースが床面積を取り合うように押し合いへし合いした結果、グリッドが微妙にゆらぐという状態を見立てた。ゆらいだグリッドの間にはふくらみがうまれ、視線や身体はゆらぎに応じて動く。四角四面の空間に親密さがもたらされる。構成・構造・建材・設備、どれも特殊なものはない建築だが、いわば平凡ではない普通さといった類の、静かな喜びに満ちた住宅が立ち上がった。

インタビュー集『アーキテクトプラス “設計周辺”を巻き込む』のプレビュー(1)、山道拓人・千葉元生・西川日満里(ツバメアーキテクツ)と古澤大輔・籾山真人(リライト)
インタビュー集『アーキテクトプラス “設計周辺”を巻き込む』のプレビュー(1)、山道拓人・千葉元生・西川日満里(ツバメアーキテクツ)と古澤大輔・籾山真人(リライト)

ユウブックスから刊行されたインタビュー集『アーキテクトプラス “設計周辺”を巻き込む』をプレビューします。
第一回目は、山道拓人・千葉元生・西川日満里/ツバメアーキテクツのインタビュー「空間をつくる『Design』とプロジェクトをつくる『Lab』の二部門構成でソーシャルテクトニクスを体現する」と、古澤大輔・籾山真人/リライトのインタビュー「ハード(建築)とソフト(仕掛け)を融合させた〝場所づくり〟を実践」の一部を紹介します。

 本書はユウブックス の1作目『リノベーションプラス 拡張する建築家の職能』の続編です。

 「建築家の職能の拡張」を共通のテーマにしながらも、『リノベーションプラス』が「探求と生活の両立」であるならば、今作は「探求の延長にある領域で、フィーについて考える」に編集者の個人的な関心が移ったことも反映されました。

 具体的には設計業務を遂行するうえで、それをより良いものとするために自然と考察し、手掛けることになる領域、つまり建物のソフトの部分に関わってくる「企画」「リサーチ」「コンサルティング」といった、“設計周辺”に積極的に携わることの可能性を探っています。

 取材を通し、ソフト面でも提案した価値に見合う対価を得ること、それがアトリエ系設計事務所の置かれた経営状況をより良い方向に導き、ひいては設計者の地位の向上につながるのではと、建築家の方々には教えていただきました。

 もちろんそれらの領域への進出が仕事を取るための工夫、フィーについての試行錯誤、といった側面だけで行われているわけでは決してありません。
 多くが社会問題を解決し、またよりよい設計ができるような環境を整えたり、多様化する社会にプロジェクトを対応させたり、歴史文化やコミュニティに貢献する事業を生み出すなど、建築家らしい視点でより広く社会に良い影響を与える手法について深く考え、試みられています。
 ちなみに、いわゆる“上流工程”に建築家が関わることの意味とは何か、についても巻頭鼎談では熱く議論が交わされました。

 本書ではこのように、社会と同時に建築界に対し、建築家が“設計周辺”に職能を広げることへの可能性を探っています。

 ぜひご一読いただけましたら幸いです。

桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSによる、京都・南区の印刷工房「POD Print Factory」
桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSによる、京都・南区の印刷工房「POD Print Factory」 photo©阿野太一

桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSが設計した、京都・南区の印刷工房「POD Print Factory」です。桐は、藤本壮介建築設計事務所出身の建築家です。

京都市南区に建つ4階建ての印刷工房。最大幅3.2mのインクジェット出力ができる大型プロッターを始め、さまざまなメディアサイズの出力/加工に対応できる、ものづくりの現場である。

周辺には、大小様々な町工場が建ち並び、その間には戸建ての住宅や大きな畑、ビニールハウス、小屋といった生活スケールも同時に混在していた。そこで、 雑多な周辺環境に対応しながら、小さな壁状のヴォリュームを幾重にも積み上げることで、たくさんのものに囲まれながらも明るく開放的な製作環境を構想した。

八木敦之 / アトリエMEMEによる、千葉・富津市の別荘「villaS」
八木敦之 / アトリエMEMEによる、千葉・富津市の別荘「villaS」 photo©下里卓也

八木敦之 / アトリエMEMEが設計した、千葉・富津市の別荘「villaS」です。八木は、北川原温建築都市研究所出身の建築家です。

山と海の境界線に佇む別荘。正方形の平面に、花弁のように四方に広がる屋根をかぶせる。大地と大海原を感じながら、住人は静かに余白の時を刻む。

藤本寿徳による、RC製のエッジのシャープさが特徴的な住宅の螺旋階段のメイキング動画

藤本寿徳が設計した、RC製のエッジのシャープさが特徴的な住宅の螺旋階段のメイキング動画です。藤本は2016年にも今回の階段につながるデザインの階段を設計しており、その施工方法についてtwitterで議論が巻き起こりました(その後住宅特集に施工についても掲載)。

以下は、荒谷省午が同建築の階段を訪問してのtwitterへの投稿です。1000件以上のいいねが付く等の反響が見られます。

ホンマタカシが撮り下ろした「三井本館」の写真などが公開される展示が開催

ホンマタカシが撮り下ろした「三井本館」の写真などが公開される展示が開催されます。会期は2019年6月8日~7月21日(※6月8日(土)のみ、いずれの会場も 14:00—20:00 ※休展日 6/10、6/12、6/24、6/25、7/8)。

展覧会について

2019年に開館90周年を迎える三井本館は、日本近代建築を代表する重要文化財であり、現代の都市においてはごくあたりまえの存在となった「複合オフィスビル」の先駆けともいえる建築物です。2019年6月8日から7月21日まで行う本展覧会は、その歴史を振り返り、建物としての魅力を現代の視点で切り取るものです。
展覧会は、写真家・ホンマタカシ氏の撮影・監修による写真展示企画を主体に構成されています。ホンマ氏が長年取り組んでいる「カメラオブスキュラ」を用いた写真を含む三井本館の撮り下ろし写真が特大サイズで展示されるほか、 建設当時の様子を収めた貴重なアーカイブもホンマ氏の手で再撮影・編集され、お披露目されます。
展示会場は、合名玄関と呼ばれるオフィスフロアのエントランスと、隣接する日本橋三井タワーのアトリウム。合名玄関は、大理石の重厚なインテリアをはじめとする開館当時の佇まいを残す場所で、展示期間中は、普段は気軽に入れない館内を見学していただけます。

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