
奥野崇建築設計事務所が設計した、愛媛・今治の「真言宗光林寺 位牌堂」です。
今治市玉川町の山の中。
1316年の歴史を誇る寺院で、位牌堂をつくるという現代的な取組。
寺院施設一連の再計画第一歩目となる本計画のテーマは、現代の素材を使って「これからの寺院をつくる」ということ。鉄骨造でつくられる本体に、袴のように約800本の桧の化粧垂木を掛けわたし、そこにランダムにガラスを嵌め込みます。訪れた方々が気持ちを静められる、光の回廊をつくる。光の色は周囲の豊かな自然によって、一年の中で移ろい変化していきます。仏教の考え方である、諸行無常を建築的に表現したものです。
また、袴部分は鉄骨の本体部分を守る役割も担います。時に強風雨もふきあれる本敷地。使用される素材は一般流通しているものを対象としており、技術的に特別な工法を用いることなく、地元の職人にてメンテナンスしていけるよう。
長持ちする建物とするために、部材や屋根葺材の取り替え可能な袴部分は重要です。大切な人を想い、建築を前に手を合わせる。
天に昇る光の粒が、人々の心の拠り所になればと願います。