




妹島和世+西沢立衛 / SANAAによる、台湾・台中の「Taichung Green Museumbrary」です。
広大な公園内の美術館と図書館の複合施設です。建築家は、気軽に関われる“開かれた建築”として、メタルメッシュで覆われた量塊を持上げて地上レベルを開放した建築を考案しました。また、二つの用途を組合せて多面的な学びの空間の創出も意図されました。
こちらはリリーステキストです(抄訳:アーキテクチャーフォト / 原文は末尾に掲載)
台湾の画期的な新たな文化的ランドマーク、プリツカー賞受賞建築家SANAAが設計したTaichung Green Museumbraryが、20か国以上から70名を超えるアーティストによる大規模展覧会とともに開館
・プリツカー賞および2025年RIBAロイヤル・ゴールド・メダルを受賞した日本の建築家SANAAによるこれまでで最大の文化プロジェクトであり、67ヘクタールの緑地公園内にある8つの相互に連結したヴォリュームを含んでいます。
・新たに開館する台中美術館(Taichung Art Museum)が、台湾のアーティスト、マイケル・リン(Michael Lin)と韓国のアーティスト、ヘグ・ヤン(Haegue Yang)によるパブリックスペース・コミッションを公開します
・台中美術館の開館記念展「A Call of All Beings」には、20か国以上から70名を超えるアーティストが参加しています
2025年における台湾で最も重要な文化的開発とされるTaichung Green Museumbraryが、台湾第2の都市である台中にて、2025年12月13日(土)、市長をはじめ各地から訪れる要人、美術館館長、キュレーター、アーティストらが出席する開会式の後、正式に一般公開されます。この新たな国際的文化拠点は、都市型の美術館と市の中央図書館を統合した台湾初の施設であり、芸術機関の新たなモデルを提示しています。
台中の67ヘクタールにおよぶセントラルパーク内に位置するTaichung Green Museumbraryは、新設された台中美術館と台中公共図書館(Taichung Public Library)を併設する施設です。この壮観な美術館と図書館から成る複合施設は、2010年プリツカー賞受賞者である妹島和世と西沢立衛が率いる日本の著名な建築チームSANAAと、台湾のRicky Liu & Associates Architects + Plannersとの国際的な協働によって設計されました。この建物の延べ床面積は57,996㎡におよび、SANAAにとって台湾で初の公共建築であると同時に、これまでで最大の文化的プロジェクトでもあります。この設計は、透明性と流動性というSANAAの特徴的なテーマを反映しており、ガラスと金属で覆われた大小さまざまな8つの連結されたボリュームから成り、それら全体が純白のエキスパンドメタル製カーテンファサードに包まれています。
台中美術館(TcAM)は、2025年12月13日から2026年4月12日まで、台湾、ルーマニア/韓国、アメリカからなる国際的なキュレーター・チームが企画した開館記念展「A Call of All Beings: See you tomorrow, same time, same place」で開幕します。この展覧会には20か国以上から70名を超えるアーティストが参加し、地域の視点とグローバルな洞察が融合されています。同館はまた、ヘグ・ヤンとマイケル・リンによる初のTcAMパブリックスペース・アート・コミッションを公開し、国際的な対話に取り組むことで、現代美術における文化的な力としての地位を確立します。
台中美術館館長のイーシン・ライ(Yi-Hsin Lai)は、次のように述べました。「台中美術館と台中公共図書館、そして公園との統合は、環境、文化、人々、そして都市についての私たちの思考を活性化させました。開館記念展と特別なコミッションを通じて、私たちは世代や文化を超えた芸術的対話を融合させるだけでなく、美術館が都市とその住民の日常生活に入り込み、創造性と想像力を喚起するという可能性を実現することにも努めています。私たちは、訪れる人々がそれぞれに特別な思い出や体験を生み出せる、温かく迎え入れる空間となることを楽しみにしています」
台中市政府文化局局長のジャジュン・チェン(Jia-Jun Chen)は、次のように述べました。「Taichung Green Museumbraryの完成は、台中市による継続的な文化投資における重要な節目となります。これは、台中市の先進的な文化政策とイノベーションへの取り組みを象徴するものです。私たちは、近隣から遠方まであらゆる来訪者が楽しめる、この並外れて親しみやすい建築の傑作を台中市に贈ってくれたSANAAに深く感謝しています」
建築
台湾第2の都市である台中市(人口280万人)に位置するTaichung Green Museumbraryは、2004年に閉鎖された旧軍用空港の跡地に整備された、254ヘクタールのスイナン経済貿易地区内にある67ヘクタールのセントラルパークの北端に立地しています。SANAAの設計は、「公園の中の図書館、森の中の美術館」というTaichung Green Museumbraryの理念を体現しており、空間的な特徴としては以下の点が挙げられます。
境界のない、包摂的な空間
この施設は、美術館と図書館の従来の境界を取り払い、展示と読書が交わる、開かれた包摂的な環境を創出しています。台中公共図書館には、100万点を超える紙の書籍とデジタル資料が所蔵されています。
屋外の屋上庭園
屋外の屋上庭園カルチャー・フォレストは、セントラルパークの豊かな緑と都市のスカイラインを一望できる絶好の展望スポットを来訪者に提供します。セントラルパークという特有の立地を称えることを意図して設計されたこの屋上庭園は、美術館や図書館を訪れる人々が、この特有の景観に屋上から浸ることを促しています。
透明性と開放性
外装は二重構造のファサードとなっており、内側には高性能な低放射ガラスまたは金属パネル、外側にはアルミ製のエキスパンドメタルメッシュが用いられています。この銀白色のヴェールは、建物に軽やかさと透明感を与えています。建築ヴォリュームは持ち上げられており、公園の風や自然光が自由に通り抜けられるようにすることで、建物とその周囲とのつながりを高めています。地上階に設けられた日陰の広場により、近隣地域からもセントラルパーク側からも、あらゆる方向から建物へアクセスできるようになっており、開かれた魅力的な公共空間を生み出しています。
SANAAのパートナーである妹島和世と西沢立衛は、次のように述べました。「私たちは、多くの人々が気軽に関わることのできる開かれた建物をつくることを常に願ってきました。美術を通じた視覚的な学びを提供する美術館であれ、文学を通じた教育を提供する図書館であれ、この二つを組み合わせて新たな多面的な学びの空間を創出することこそが、この建物の主要な特徴の一つであると私たちは考えています。私たちは、人々にとって学びと交流をつなぐ場所をつくるために、これら二つの存在をどのようにやわらかく結びつけるかを慎重に考えてきました。」









