SHARE 下田直彦+正木知子 / カナバカリズによる、東京・千代田区の「末広町のオフィス」
下田直彦+正木知子 / カナバカリズが設計した、東京・千代田区の「末広町のオフィス」です。
敷地は秋葉原に近いオフィスビル群の中、施主が所有するビルの一部をオフィス兼サロンとして使いたいという要望であった。普段は一人での利用が想定されるが、スタッフや友人との利用、サロン、シェアオフィスなどの利用も想定した、いわば“どうとでもなる”かなりフレキシブルな空間が求められた。
そこで、このオフィス全体の活動を“秘密基地”のようなものとして見立て、既存躯体内に活動の拠り所となる強堅なフレームを挿入することにした。オフィスビル群の骨格を連想させる直交フレームが貫入することで、ここでの活動をより活発に刺激することを意図している。
結果、当初はこのフレームに少し戸惑っていた施主もすぐに身体を順化させた。床梁の上で友人と談笑したり、柱間にプロジェクタで映像を投影したり、床梁間に床板を渡して座敷にしようと構想したりと、このフレームとの関わりを日々楽しみながら模索しているようである。
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以下、建築家によるテキストです。
敷地は秋葉原に近いオフィスビル群の中、施主が所有するビルの一部をオフィス兼サロンとして使いたいという要望であった。普段は一人での利用が想定されるが、スタッフや友人との利用、サロン、シェアオフィスなどの利用も想定した、いわば“どうとでもなる”かなりフレキシブルな空間が求められた。
そこで、このオフィス全体の活動を“秘密基地”のようなものとして見立て、既存躯体内に活動の拠り所となる強堅なフレームを挿入することにした。オフィスビル群の骨格を連想させる直交フレームが貫入することで、ここでの活動をより活発に刺激することを意図している。
結果、当初はこのフレームに少し戸惑っていた施主もすぐに身体を順化させた。床梁の上で友人と談笑したり、柱間にプロジェクタで映像を投影したり、床梁間に床板を渡して座敷にしようと構想したりと、このフレームとの関わりを日々楽しみながら模索しているようである。
都心の、いわゆるコンクリートジャングルの中にできたこの場が、子どもたちが秘密基地をつくる雑木林のように創造性を刺激する場として使われていくことを期待している。
カタチについて
建築のフォルム(形式)のみを記述したいと考えた。
そのため新規に設けたのは柱-梁のみで、それらに付随し絡まるようにベンチの座面やデスクの天板などが取付いていくような構成となっている。また同時に、凡庸な手法で記述することに留意しつつ、新規の柱-梁は、既存躯体との微妙なズレや過密な柱スパンなどから、すぐにフェイクであることが分かるように細部や寸法を検討した。
フェイク(虚構)はリアル(現実)を否応なく俯瞰させる作用があり、その作用が観者に働きかけることを企図している。客体的現実を記述することはできないが、その外形をなぞることができれば、その記述できない何かを伝えることができるかもしれない。主体的(あるいは創造的)に生きるにはまず“よく見て考える”ことが端緒になるだろうから、そのための手掛かりとして、フォルム(形式)とフェイク(虚構)を応用することにした。
■建築概要
設計:下田直彦 + 正木知子 / カナバカリズ
施工:イー・ワークス株式会社
所在地:東京都千代田区
主要用途:オフィス
階数:地上4階建(3〜4階部分)
面積:3階 37.00㎡ 4階 29.50㎡
竣工年月:2020年3月
写真:永井杏奈
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
内装・床 | 床 | 樹脂モルタル+アクアカラー(アシュフォードジャパン) |
内装・柱 | 柱-梁型 | 合板(一部PB)+UP |
内装・壁 | 壁 | 既存 |
内装・天井 | 天井 | 既存 |
内装・造作家具 | 家具 | ナラ集成材 |
内装・造作家具 | 本棚 | ラワンランバー+ボイル油 |
外構・植栽 | テラス植栽 |
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