SHARE 加藤渓一 / スタジオピース+HandiHouse projectによる、東京・日野市の住宅「タープ」
加藤渓一 / スタジオピース+HandiHouse projectが設計した、東京・日野市の住宅「タープ」です。
敷地は多摩の丘陵地。
目の前は電車の車両基地で、伸びやかな眺望が広がる。敷地がかつての丘のままであれば、その傾斜に寝そべり電車を眺める。そしてきっとタープを張る。タープを張ると瞬時に居場所ができる。鋭角に張れば閉じ、緩めれば開くといった具合に周囲に対しての距離の取り方も自在である。安易に組み立てられ、雨風に耐える強度も持つ。そんな居住性と合理性を持った建築を目指した。
具体的には、切妻屋根から棟木のみを敷地傾斜に合わせ登り梁とする。桁梁は平行のまま。そこに掛かる垂木は徐々に角度をつけHPシェルを形成する。棟木が傾斜しブレースと同様の役割を持たせ軸組自体で安定する架構となるため、垂木は梁の上に載せてビスを打つだけで済む。HPシェルが持つ曲面と相まって、軽やかで柔らかな幕をかけたような天井が実現した。外に出ると、軒先は棟木と逆方向に勾配がつくのでそれに沿わせて樋をつけるだけ。豪雨であっても無理なく雨水を受け流す屋根になる。
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以下、建築家によるテキストです。
家型をくずし、強さと柔らかさを獲得する
敷地は多摩の丘陵地。
目の前は電車の車両基地で、伸びやかな眺望が広がる。敷地がかつての丘のままであれば、その傾斜に寝そべり電車を眺める。そしてきっとタープを張る。
タープを張ると瞬時に居場所ができる。鋭角に張れば閉じ、緩めれば開くといった具合に周囲に対しての距離の取り方も自在である。安易に組み立てられ、雨風に耐える強度も持つ。そんな居住性と合理性を持った建築を目指した。
具体的には、切妻屋根から棟木のみを敷地傾斜に合わせ登り梁とする。桁梁は平行のまま。そこに掛かる垂木は徐々に角度をつけHPシェルを形成する。棟木が傾斜しブレースと同様の役割を持たせ軸組自体で安定する架構となるため、垂木は梁の上に載せてビスを打つだけで済む。HPシェルが持つ曲面と相まって、軽やかで柔らかな幕をかけたような天井が実現した。外に出ると、軒先は棟木と逆方向に勾配がつくのでそれに沿わせて樋をつけるだけ。豪雨であっても無理なく雨水を受け流す屋根になる。
床は4つのレベルの平場を作り、山道のように階段でひと続きにつなげる。そこに緩やかな角度の屋根がかかれば、気積が大きくのびやかな団欒に相応しい場となる。逆にきつくなれば、周囲から離れ親密な暗がりに身を隠せる。平場が刻々と変わる屋根の角度や距離と関係を作ることで、おおらかなワンルーム空間でありながら、様々な生活行為を受け止めるられる質を持った空間が連続して現れる。
自然の中に「場」を見つけ、タープをかけることで人間の「居場所」となる。強くも柔らかい屋根が暮らしに相応しい環境をつかまえた。
■建築概要
作品名:タープ
設計:加藤渓一 / スタジオピース一級建築士事務所+HandiHouse project
構造設計:井上健一 / 井上健一構造設計事務所
施工:工藤順一 / ごぼう設計工房
所在地:東京都日野市
竣工:2020年2月
用途:住宅
主体構造:木造
敷地面積:187.08m2
建築面積:76.54m2
延床面積:104.75m2
撮影:新良太
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外装・屋根 | 屋根 | アスファルトシングル葺き リッジウェイ(旭ファイバーグラス株式会社) |
外装・壁 | 外壁 | |
外装・建具 | 開口部 | 樹脂サッシ APW330 / エピソードNEO(YKK AP) |
内装・床 | 床 | 杉無垢フローリング材 t15(有限会社小川耕太郎∞百合子社)+ウッドロングエコ(有限会社小川耕太郎∞百合子社)+蜜蝋ワックス(リボス) |
内装・床 | 洗面床 | |
内装・床 | 書斎床 | MDF合板 t5.5+オスモカラー フロアカラー ナチュラル(オスモ&エーデル) |
内装・壁 | 玄関腰壁 | PB t12.5+ソイルペイント ヒラリ(株式会社KSAG) |
内装・壁 | 書斎壁 | MDF合板 t5.5+オスモカラー フロアカラー ナチュラル(オスモ&エーデル) |
内装・キッチン | キッチン | シナランバー 木口テープ貼り+オスモカラー カントリーカラー白(オスモ&エーデル) [設計者による施工] |
内装・家具 | 家具 | ラワンランバー 木口テープ貼り+ワトコオイル ミディアムウォルナット(北三株式会社) [設計者による施工] |
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