SHARE 三井嶺建築設計事務所による、神奈川・逗子市の住宅「逗子の家『森の図書館』」
三井嶺建築設計事務所が設計した、神奈川・逗子市の住宅「逗子の家『森の図書館』」です。
急峻な小山の麓に建つ、数万冊の蔵書を納める図書館のような住まい。
「図書館」の片隅に「司書」として住む場所があればよいとの要望だった。ゆえにリビング・ダイニングといった室名の部屋はない。住宅として必要な寝室・キッチンなどの他は全て閲覧室と書架に充てている。
本に集中できるよう、”透明”に替わり意識に溶ける構成要素を考えた。
1. 緑色の壁と小さな景色。
森の記号としての緑色をメインに、意識に溶け込む色を配した。山や空を印象的に切り取る窓による小さな景色は、色のついた壁へと拡張され、壁の存在は薄れる。2. 時間軸を混在させる本棚。
博物館から貸与を受けたもので、あえて残した傷やラベルが時間の厚みをもたらし、意識にストレスなく馴染む。3. わずかにむくりをつけた三次元曲面の屋根。
山から覆いかぶさる木々の枝をモチーフに、小さな木材を敷き重ねた。山の勾配に合わせるように緩やかなカーブを描きつつ、短手にもほんのりとむくりをつけた3次元シェルの構造が閲覧室を柔らかく包み込む。さらに中央部にスリットを切り、隙間を押し広げるようにして光をわずかに取り込んでいる。木が束となった構造は、スリットを切られたことで量塊の重々しさが薄れ、移ろう光を受けることで木漏れ日の降る森の木々へと再び還元される。窓は少なく物理的には閉じた空間ではあるが、透明であるよりも建築の存在は意識に溶け、本の中の世界へと思いを馳せることができる。
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■建築概要
所在地:神奈川県逗子市
用途:専用住宅
設計:三井嶺建築設計事務所
構造設計:坂田涼太郎構造設計事務所
施工:大同工業
敷地条件:第一種低層住居専用地域/法22条指定区域
什器:九州大学歴史的什器保存活用プロジェクト
構造 / 規模:地下RC造、地上木造
敷地面積:196.87m2
建築面積:73.65m2
延床面積:147.88m2
竣工:2019年12月
撮影:筒口直弘(芸術新潮)
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
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外装・壁 | 外壁1 | ジョリパッド |
外装・壁 | 外壁2 | ガルバリウム鋼板 縦ハゼ |
外装・壁 | 外壁3 | レッドシダー 羽目板張り |
外装・壁 | 外壁4 | レッドシダー シングル葺 WP 共栄木材 |
外装・屋根 | 屋根1 | ガルバリウム鋼板 縦ハゼ |
外装・屋根 | 屋根2 | |
内装・床 | 玄関床 | コンクリート金ゴテ押え 表面強化剤 |
内装・床 | 居室床 | |
内装・壁 | 居室壁 | AEP塗装 |
内装・天井 | 居室天井 | AEP塗装 |
内装・床 | 水回り床1 | |
内装・床 | 水回り床2 | |
内装・天井 | 閲覧室天井 | 杉集成垂木梁 現し |
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