田中裕之建築設計事務所による、鹿児島・鹿屋市の飲食店「TAKE BAKERY AND CAFE」。コロナ禍による業態変更に伴う改修で、新たなファン獲得の為に施主の提案する“食のストーリー”を可視化すべく、吹抜の新設・動線計画の変更を中心とした設計を行う photo©八代写真事務所
田中裕之建築設計事務所による、鹿児島・鹿屋市の飲食店「TAKE BAKERY AND CAFE」。コロナ禍による業態変更に伴う改修で、新たなファン獲得の為に施主の提案する“食のストーリー”を可視化すべく、吹抜の新設・動線計画の変更を中心とした設計を行う photo©八代写真事務所
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田中裕之建築設計事務所 が設計した、鹿児島・鹿屋市の飲食店「TAKE BAKERY AND CAFE」です。コロナ禍による業態変更に伴う改修で、新たなファン獲得の為に施主の提案する“食のストーリー”を可視化すべく、吹抜の新設・動線計画の変更を中心とした設計が行われました。店舗の公式サイトはこちら 。
鹿児島県鹿屋市にある既存飲食店舗の改修プロジェクトである。
コロナ禍による業態変更に伴うリニューアルであり、クライアントの持つ飲食部門リソースを集約し、再構成した店舗である。
既存店からの地元ファンを引き継ぎ、リニューアル後は地元以外からも新たなファンを獲得すること。
ここでは「食のストーリー」を可視化するため、既存店よりオープンになった厨房内の生産、加工風景をライブ感も含めて楽しんでもらえるような大きな吹き抜けを作った。吹き抜けによって2階や螺旋階段からも厨房が見えるようになり、焼きたてパンの香りまで楽しめるようになった。
クライアントの保有するチーズファクトリーやホテルが隣接してあり、これまでバラバラな計画として建てられていたが、エントランス位置を変えることで人の流れが変わり、ひとまとまりのエリアとその動線計画が新たに生まれた。
また外部からの動線の延長で店内カウンターに並ぶパンやチーズ、デリ、ドリンクなど様々な商品に対し、決済や動線を捌きつつ、螺旋階段をぐるぐると登って2階の飲食スペースにスムーズに流れる動線とすることとした。動線を可視化するためのデザインとして大きな吹き抜けに挿入された曲線、曲面が全体を柔らかく包むような空間となった。
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田中裕之建築設計事務所による、鹿児島・鹿屋市の飲食店「TAKE BAKERY AND CAFE」。コロナ禍による業態変更に伴う改修で、新たなファン獲得の為に施主の提案する“食のストーリー”を可視化すべく、吹抜の新設・動線計画の変更を中心とした設計を行う photo©八代写真事務所
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田中裕之建築設計事務所による、鹿児島・鹿屋市の飲食店「TAKE BAKERY AND CAFE」。コロナ禍による業態変更に伴う改修で、新たなファン獲得の為に施主の提案する“食のストーリー”を可視化すべく、吹抜の新設・動線計画の変更を中心とした設計を行う photo©八代写真事務所
田中裕之建築設計事務所による、鹿児島・鹿屋市の飲食店「TAKE BAKERY AND CAFE」。コロナ禍による業態変更に伴う改修で、新たなファン獲得の為に施主の提案する“食のストーリー”を可視化すべく、吹抜の新設・動線計画の変更を中心とした設計を行う image©田中裕之建築設計事務所
田中裕之建築設計事務所による、鹿児島・鹿屋市の飲食店「TAKE BAKERY AND CAFE」。コロナ禍による業態変更に伴う改修で、新たなファン獲得の為に施主の提案する“食のストーリー”を可視化すべく、吹抜の新設・動線計画の変更を中心とした設計を行う image©田中裕之建築設計事務所
以下、建築家によるテキストです。
循環と食のストーリー
鹿児島県鹿屋市にある既存飲食店舗の改修プロジェクトである。
コロナ禍による業態変更に伴うリニューアルであり、クライアントの持つ飲食部門リソースを集約し、再構成した店舗である。
クライアントは畜産資料の販売を行う鹿児島県鹿屋市の寿商会である。
販売先の農家から自分たちの飼料を食べて育った家畜を精肉・チーズ・ジェラート等の原材料として買い戻す形で仕入れ、畜産農家との間での循環を作り出している。また、寿商会は飼料から生産、加工、消費までを流れを持った「食のストーリー」として提案しており、このレストラン、カフェは販売した飼料がお客さんのところに行き着く最終地点となる。
既存店からの地元ファンを引き継ぎ、リニューアル後は地元以外からも新たなファンを獲得すること。
ここでは「食のストーリー」を可視化するため、既存店よりオープンになった厨房内の生産、加工風景をライブ感も含めて楽しんでもらえるような大きな吹き抜けを作った。吹き抜けによって2階や螺旋階段からも厨房が見えるようになり、焼きたてパンの香りまで楽しめるようになった。
エントランス位置変更と配置
クライアントの保有するチーズファクトリーやホテルが隣接してあり、これまでバラバラな計画として建てられていたが、エントランス位置を変えることで人の流れが変わり、ひとまとまりのエリアとその動線計画が新たに生まれた。
また外部からの動線の延長で店内カウンターに並ぶパンやチーズ、デリ、ドリンクなど様々な商品に対し、決済や動線を捌きつつ、螺旋階段をぐるぐると登って2階の飲食スペースにスムーズに流れる動線とすることとした。動線を可視化するためのデザインとして大きな吹き抜けに挿入された曲線、曲面が全体を柔らかく包むような空間となった。
構造躯体の変更
既存の構造体をできるだけ再利用しつつ大きな吹き抜けを作ったり、屋根のトップライトから1階にダイレクトにそのまま採光を取り入れるように床に開口を作ることで、垂直的方向への意識を伴った空間とすることができた。新規に入れ替えた構造体はシルバーに塗装し、構造的視点でも新旧の対比を明確にした。また吹き抜けに残った既存梁を照明レールの受け材と12面体スピーカーの設置場所として再利用した。
平面的なぐるぐると回る人の動線に対し、垂直的な光の動線と言える2つの要素を骨格として持った明快かつ複雑に絡み合う空間になっている。
■建築概要
名称:TAKE BAKERY AND CAFE
所在地:鹿児島県鹿屋市
用途:飲食店
階数:地上2階
延床面積 320.80m2
事業主:株式会社寿商会
設計・監理:田中裕之建築設計事務所
担当:田中裕之、花塚紘紀、服部あやの、藤城太一
施工:株式会社上之段建設
照明計画:株式会社モデュレックス
家具:コンプレックスユニバーサルファニチャーサプライ
植栽計画:Araheam
グラフィックデザイン:clakdesign
アート(写真):磯畑弘樹
音響設備:sonihouse
設計期間:2020年9~2021年3月
工事期間:2021年3月~2021年7月
写真:八代写真事務所