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2023.4.06Thu
2023.4.05Wed
2023.4.07Fri
葛島隆之建築設計事務所による、愛知・安城市の「廊下とアトリエ」。陶芸工房の拡張計画。母家と新設空間の関係に加えて街との繋がりも考慮し、連続的に作業場を配置して高さを持つ屋根で覆う構成を考案。よくある倉庫の様な“控えめさ”と“象徴性”を兼ね備えた在り方も意図
photo©葛島隆之建築設計事務所

SHARE 葛島隆之建築設計事務所による、愛知・安城市の「廊下とアトリエ」。陶芸工房の拡張計画。母家と新設空間の関係に加えて街との繋がりも考慮し、連続的に作業場を配置して高さを持つ屋根で覆う構成を考案。よくある倉庫の様な“控えめさ”と“象徴性”を兼ね備えた在り方も意図

architecture|feature
住宅工房愛知図面あり葛島隆之建材(内装・床)建材(内装・建具)建材(内装・照明)建材(外装・屋根)建材(外装・壁)建材(外構・床)建材(内装・水廻り)建材(外装・建具)小松宏年
葛島隆之建築設計事務所による、愛知・安城市の「廊下とアトリエ」。陶芸工房の拡張計画。母家と新設空間の関係に加えて街との繋がりも考慮し、連続的に作業場を配置して高さを持つ屋根で覆う構成を考案。よくある倉庫の様な“控えめさ”と“象徴性”を兼ね備えた在り方も意図 photo©葛島隆之建築設計事務所
葛島隆之建築設計事務所による、愛知・安城市の「廊下とアトリエ」。陶芸工房の拡張計画。母家と新設空間の関係に加えて街との繋がりも考慮し、連続的に作業場を配置して高さを持つ屋根で覆う構成を考案。よくある倉庫の様な“控えめさ”と“象徴性”を兼ね備えた在り方も意図 photo©葛島隆之建築設計事務所
葛島隆之建築設計事務所による、愛知・安城市の「廊下とアトリエ」。陶芸工房の拡張計画。母家と新設空間の関係に加えて街との繋がりも考慮し、連続的に作業場を配置して高さを持つ屋根で覆う構成を考案。よくある倉庫の様な“控えめさ”と“象徴性”を兼ね備えた在り方も意図 photo©葛島隆之建築設計事務所

葛島隆之建築設計事務所が設計した、愛知・安城市の「廊下とアトリエ」です。
陶芸工房の拡張計画です。建築家は、母家と新設空間の関係に加えて街との繋がりも考慮し、連続的に作業場を配置して高さを持つ屋根で覆う構成を考案しました。また、よくある倉庫の様な“控えめさ”と“象徴性”を兼ね備えた在り方も意図されました。施主である陶芸家の公式サイトはこちら。

愛知県安城市の市街化調整区域に建つ、陶芸家安藤良輔の為のアトリエ。

敷地北側に建つ既存母屋は、南端の一部屋にアトリエを持つ兼用住宅で、本計画では敷地南側の残余部分に増築を行い母屋のアトリエ機能を拡張する計画である。敷地は、前面道路も狭く建て込んでいるが、道路を挟んだ向かい側は遠くまで抜けをもつ。

建築家によるテキストより

建主の要望としては、ガス釜・電気釜・真空撹拌機・ポットミルなどが置けることと、シンクやシャワーブースなどの設備と作業台を設ける事であった。

建築家によるテキストより

母家を含めた作業工程と部屋の並び、更には母屋からまちへのつながりを考慮して、屋根によって半外部空間を取り込んだ機能配置を考えた。
具体的には、母屋アトリエの引き違いサッシを中心軸とした細長い平面の廊下を骨格とする空間構成で、作業部屋(新築)は母屋に近い位置に配置し、使用中に高温となる窯を置く部屋は分棟として外廊下で繋ぐ位置に配置した。陶芸の作業(土・粘土系の作業、石膏系の作業+釉薬の作業、焼成作業)を3つの空間に配し、母屋を含めて連続的に並べた。

建築家によるテキストより

以下の写真はクリックで拡大します

葛島隆之建築設計事務所による、愛知・安城市の「廊下とアトリエ」。陶芸工房の拡張計画。母家と新設空間の関係に加えて街との繋がりも考慮し、連続的に作業場を配置して高さを持つ屋根で覆う構成を考案。よくある倉庫の様な“控えめさ”と“象徴性”を兼ね備えた在り方も意図 photo©葛島隆之建築設計事務所
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葛島隆之建築設計事務所による、愛知・安城市の「廊下とアトリエ」。陶芸工房の拡張計画。母家と新設空間の関係に加えて街との繋がりも考慮し、連続的に作業場を配置して高さを持つ屋根で覆う構成を考案。よくある倉庫の様な“控えめさ”と“象徴性”を兼ね備えた在り方も意図 image©葛島隆之建築設計事務所
葛島隆之建築設計事務所による、愛知・安城市の「廊下とアトリエ」。陶芸工房の拡張計画。母家と新設空間の関係に加えて街との繋がりも考慮し、連続的に作業場を配置して高さを持つ屋根で覆う構成を考案。よくある倉庫の様な“控えめさ”と“象徴性”を兼ね備えた在り方も意図施主の陶芸作品 image©葛島隆之建築設計事務所

以下、建築家によるテキストです。


まちといえの間に小屋を建てる
愛知県安城市の市街化調整区域に建つ、陶芸家安藤良輔の為のアトリエ。

敷地北側に建つ既存母屋は、南端の一部屋にアトリエを持つ兼用住宅で、本計画では敷地南側の残余部分に増築を行い母屋のアトリエ機能を拡張する計画である。敷地は、前面道路も狭く建て込んでいるが、道路を挟んだ向かい側は遠くまで抜けをもつ。

建主の要望としては、ガス釜・電気釜・真空撹拌機・ポットミルなどが置けることと、シンクやシャワーブースなどの設備と作業台を設ける事であった。

母家を含めた作業工程と部屋の並び、更には母屋からまちへのつながりを考慮して、屋根によって半外部空間を取り込んだ機能配置を考えた。
具体的には、母屋アトリエの引き違いサッシを中心軸とした細長い平面の廊下を骨格とする空間構成で、作業部屋(新築)は母屋に近い位置に配置し、使用中に高温となる窯を置く部屋は分棟として外廊下で繋ぐ位置に配置した。陶芸の作業(土・粘土系の作業、石膏系の作業+釉薬の作業、焼成作業)を3つの空間に配し、母屋を含めて連続的に並べた。

このような配置計画により、視線は母屋アトリエ内の作業部屋から廊下を貫通して道路を挟んだ向こうまで抜ける。とても小さな建物の中に、長大なスケールを取り込んだ。窯部屋の前の外廊下は、駐車場までの搬入動線・焼成作業の仮置き場としても機能するだけでなく、地域に開かれた展示空間やワークショップなどのオープンスペースとしても利用できればと考えた。

窯部屋と外廊下を隔てる建具はけんどんで計画した。作業を開始する際に取り外された建具は、外廊下に並ぶコンクリートブロックに納められる事で、隣の住宅からの視線をカットするパーテーションとなり、ハイバックチェアーの背もたれとなる。そして、建築のオープン/クローズが陶芸家の作業の現われとしてまちの風景をつくる。

けんどん建具はシルバーのウレタン塗装として外壁折板との調和を図ると共に、木目を残す仕上げとした。また、ブレースやスプライスプレートなど鉄骨金物はゴールド調の錆止め塗装を施した。これらの仕上げや外壁の折板の凹凸などは、安藤による陶芸作品をモチーフとして建築の要素に取り入れたものである(※ギャラリー末尾の「施主の陶芸作品」を参照)。

住宅地の中に浮かぶ折板屋根は一見すると、この地域に多いカーポートや倉庫のようにも見える。一方で、そのプロポーションと高さは一般的な住宅地にはあまり見られない、ある種の象徴性を持った屋根でもある。建主によるこの地での陶芸作家としての活動を、控えめにそして力強く支える屋根となる事を目指した。まちといえを繋ぐ廊下の下にこのアトリエはある。

家+小屋という選択
中部圏では東京近郊と比べ比較的土地が広い事から家に付属する小屋がよく見られる。カーポートやレジャー用品を収納する物置、農業用倉庫などがそれらにあたる。「廊下とアトリエ」の敷地周辺もそれらが立ち並び、まちの風景の一部を作っている。かつての住宅が、軒先や縁側、土間などがまちとの接点となり道沿いの風景を彩っていたように、小屋がその役目を果たせないだろうか。

以前、「Pergola」という庭づくりの為の小屋の設計依頼を受けた際に建主から言われた言葉を思い出した。メーカーに小屋の計画をお願いした所、セキュリティーや断熱性能などが過度に組み込まれた考え方がふさわしくなかった、との事だ。この事から、融通性のない現代の商品化住宅と外部との接点を強く求めるライフスタイルとの間に大きなギャップを感じた。

「廊下とアトリエ」の母屋は、前面道路から大きくセットバックし、それと似ているだろう商品化住宅である。本計画では単にアトリエとしての機能を満たすというよりは、家として完結した母屋をときほぐし、まちを含む外部との関係性を縫合する事が重要だと考えた。

現代における住宅の在り方として、家そのものについて考えるだけでなく、家+小屋からまちとのつながりについて考える事に可能性を感じている。

■建築概要

題名:廊下とアトリエ

所在地:愛知県安城市

主用途:陶芸工房兼用住宅
設計:葛島隆之建築設計事務所 担当/葛島隆之、西村亮太
構造:小松宏年構造設計事務所 担当/小松宏年


階数:地上1階

構造:鉄骨造
敷地面積:445.14㎡

建築面積:136.33㎡

延床面積:計画部22.25㎡(全体218.51 ㎡)
設計:2020年6月~2022年4月

工事:2022年4月~2022年9月

竣工:2022年9月

写真:葛島隆之建築設計事務所

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外装・屋根屋根

ガルバリウム折板88型

外装・壁外壁

ガルバリウム折板88型

外装・建具窯部屋開口部

木製けんどん建具:製作

内装・床床

コンクリート 金ゴテ仕上げ
タイル 施主製作

内装・建具作業部屋建具

シャワーカーテン:シルバーシート#4000

内装・水廻り作業部屋水廻り

シンク水栓金物:SUS流し台(セイワクリエート)
シャワー水栓金物:オーバーヘッドシャワー(TOTO)

内装・照明作業部屋照明

クリップ照明:製作

外構・床床

コンクリート 金ゴテ仕上げ

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※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません

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2023.04.06 Thu 13:00
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    赤熊宏紀建築設計事務所が設計した、京都・北区の「大宮交通公園 特定公園施設」です。
    民間運営のサイクルパークの管理棟の計画です。建築家は、“公園と地続きにある東屋”を目指し、要求用途の配置で“ヒューマンスケール”で“裏側を持たない”建築を構築しました。また、様々な使われ方を許容する“余地を含んだ”設計も意図されました。施設の公式ページはこちら。

    この「大宮交通公園 特定公園施設」は既存管理棟の建替えであり、その手法として京都市初のPark-PFI制度を活用した事業の一環である。

    大宮交通公園は、京都駅から車で30分程の場所に位置し、昭和44年のモータリゼーション真っ只中に子供たちが交通知識を身に着けるため、ゴーカートに乗れる模擬交通施設を備えた公園であった。主用途が時代にそぐわなくなり、公園施設の老朽化と北消防署が公園の一角への移転に合わせて、民間運営のサイクルパークとして令和3年4月にリニューアルオープンした。

    建築家によるテキストより

    既存管理棟は、10段程度の階段を登ったところに2階建ての矩形で、道路に近接していたこともあり排他的な印象を受ける建築であった。そのこともあり、新しく建てるこの建築は、下記を注力して設計を行っている。

    ①公園施設としてスケール感が逸脱されたものにならないこと
    会議室のボリュームを下屋や半屋外空間及び庇で取り囲むことで全周をヒューマンスケールに落とし込んでいる。これにより、どこか日本家屋のような佇まいも持ち合わせたものとなった。また、下屋の屋根上部に高窓を設け、採光と排煙の確保、暖気の排出の役割を担っている。

    ②公園の中心部に建つため四方すべてが裏とならないこと
    四面に諸室の出入り口があることで人の出入りが生まれ、得てして裏側を助長してしまう室外機等の設備機器は、設備スペース(平面計画的にも全体として不整形にならないようにしている)を設けた上で、木製格子の建具を緩衝材とし、直接視認しにくい構成としている。

    ③利用者への敷居を物理的に低くすること
    床FLをGL+300と低く設定することで、縁側や広縁は幼稚園で採用されるようなスケールとなり、この建築の主たる想定利用者の属性である自転車の乗り方を学ぶ園児がアクセスしやすいだけでなく、来園者が居場所みつけやすくアフォーダンスを誘発するように心がけている。

    建築家によるテキストより

    この公園に相応しい形態を模索する中で、月並みかもしれないが東屋から着想し、公園と地続きにある東屋のような建築を目指した。求められる機能が多いことで、どうしても壁面や出入り口が増えてしまう。それを解決するため、会議室を中心に据えて、東西方向を事務室や公衆トイレ等の諸機能で挟む構成とし、開放性と構造の両立を図っている。

    また、この公園においての主役はこの建築ではないと考え、既存樹木を極力残すこと、建築の存在感を前面に出さないこと、合わせて裏側を持たない建築としての見え方を熟慮し、敷地に対して角度をつけた配置としている。

    建築家によるテキストより
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    2023.04.06 Thu 07:58
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    2023.4.05Wed
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