and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 外観、東側の道路から見る。(建築家による解説:竹型枠のコンクリートと、大和貼りの外壁が刻一刻と変化する陰影を刻む。竹型枠の壁が大岩とエントランスを遮景する) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、リビングから開口部越しに庭を見る。(建築家による解説:僅かな角度の変化で無限の表情を見せる「能面」のように、建築全体が環境の変化を可視化する。建築を構成する線が変化を捉え、肌理を持った面が現象を増幅し、建築を自然環境と人を繋ぐセンサーとした) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、リビングからダイニングとキッチンを見る。(建築家による解説:素材の凹凸や線を、単なる視覚的な装飾ではなく、環境の移ろいを捕まえるための「物理的な摩擦」として再定義。線が光を捉え可視化し、肌理のある面が光を滞留させ、刻一刻と変わる影のグラデーションを生み出す) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 北側の庭から開口部越しにダイニングを見る。夜景 photo©Koji Fujii TOREAL
谷口幸平 / and to 建築設計事務所 が設計した、東京の「グリムシングハウス / Glimpsing House」です。
能に魅せられた夫と家族の住居です。建築家は、日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向しました。そして、能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れました。
建築は、閉ざされた器ではなく、世界を感受するための高感度なセンサーであるべきだ。
都市の中で、私たちは自然の移ろいや微小な変化をいつしか見落としている。建築の「線」と「面」を環境の移ろいを捉える「物理的な摩擦」として再定義し、刻一刻と変わる現象を空間に定着させる「見えかくれ」の建築である。
建主は、能の幽玄に魅せられ来日したアメリカ人の夫と、日本人の妻の4人家族。夫婦は、日本空間に宿る奥行きと、自然と隣り合う暮らしを求めた。
敷地は都心の住宅密集地。一帯は北側傾斜の地形で、敷地は隣家より1mほど高い基壇上にある。
隣地の南庭によって開かれた北側の空、そして隣家の緑と連続する北庭を中心に据え、多角的に庭との繋がりをもたせることにした。
建築は庭を抱くコの字型とし、北庭を建築で閉ざす事は避け、周辺に光や風を行き渡らせるように、建築を上部に持ち上げた。そうして現れた軒下空間を庭に露わになる「露庭室」と名付け、内外を緩やかに繋ぐ暮らしの舞台とした。庭を挟んで東西に露庭室と離れの茶室、南は母屋である。
室内は、周辺地形が持つ段差を引き込み、多様な床レベルのランドスケープを形成する。屋根は北側の緑や暮らしに光を導くため4枚に分割し、庭に対する影を抑えつつ、ハイサイドライトで室内に光を導いた。
しかし、住宅地における限られた庭だけでは自然環境のもつ移ろいを得るには物足りない。
そこで、ふたつの「見えかくれ」を試みた。
ひとつは、遮景を用いた「動的な見えかくれ」である。視界が切り替わりながら折れ曲がり、遮景を幾重に繰り返す体験。さらに、能の「序破急」のように体験に緩急をつけるため、天井高さは2,350~7,050mmへと劇的に変容させた。遮景と、スケールの振幅が空間に深い奥行を与える。
ふたつ目は、素材とディテールを用いた現象を定着させる「静的な見えかくれ」である。竹型枠のコンクリートと、大和貼りの外壁が陰影を刻み、漆喰壁が揺れる木漏れ日を映し出す。洗い出しが微細な光を捉え、石の縁側は水鏡のように空と木々を増幅させ、室内へと光を導く。暖炉の揺らめく炎を石面が反転し、竹の編込壁が北庭の採光を補助するように光を室内へ拡散する。午後の光を受ける襖紙は、空間を柔らかな反射光で満たす。
天候や時間、季節によって表情を変える光は、建築の線と面を介して、限られた時間の移ろいを見えかくれさせる。
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and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 鳥瞰、敷地上空より見る。 photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 俯瞰、西側より見下ろす。(建築家による解説:敷地は都心の住宅密集地。一帯は北側傾斜の地形で、敷地は隣家より1mほど高い基壇上にある。隣地の南庭によって開かれた北側の空、そして隣家の緑と連続する北庭を中心に据え、多角的に庭との繋がりをもたせることにした) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 俯瞰、北側より見下ろす。(建築家による解説:建築は庭を抱くコの字型とし、北庭を建築で閉ざす事は避け、周辺に光や風を行き渡らせるように、建築を上部に持ち上げた) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 外観、東側の道路から見る。(建築家による解説:大きく迂回するアプローチの先には大岩が遮景をつくる) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 外観、東側の道路から見る。(建築家による解説:竹型枠のコンクリートと、大和貼りの外壁が刻一刻と変化する陰影を刻む。竹型枠の壁が大岩とエントランスを遮景する) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 外観、東側の道路から見る。(建築家による解説:北側傾斜の坂道に建つ) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 外観、東側の道路より玄関を見る。 photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 外観、壁の詳細(建築家による解説:竹型枠のコンクリートと、大和貼りの外壁が陰影を刻む) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、エントランスホールへの階段側から玄関を見る。(建築家による解説:大和貼の扉が外の気配を見せる。夜間は室内からの灯りが隙間から漏れる) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、玄関側からエントランスホールへの階段を見る。(建築家による解説:漆喰の壁が、階段の先を遮景) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、エントランスホールへの階段から玄関側を見下ろす。(建築家による解説:漆喰のスクリーンが揺れる木漏れ日を映し、洗い出しが微細な光を捉える) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、玄関からエントランスホールへの階段、手摺の詳細(建築家による解説:丸パイプを溶接し、溶接の余盛を竹の節に見立てた手すり) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、階段側からエントランスホールを見る。(建築家による解説:正面の扉の先は露庭室へと続き、庭まで土足で繋がる) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、エントランスホール、ベンチ(建築家による解説:露庭室へと続く踏み石と石縁側。人が座るベンチは木で石縁側と同じ納まり) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、エントランスホールからダイニング側を見る。(建築家による解説:石材を板間のように用いたエントランス。磨き漆喰が微細な光を映し込む) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、ダイニングからリビングを見る。(建築家による解説:遮景に加え、能の「序破急」のように体験に緩急をつけるため、天井高さは2,350〜7,050mmへと劇的に変容させた。遮景と、スケールの振幅が空間に深い奥行を与える) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、リビング(建築家による解説:ハイサイドライトの光は、春秋分から冬至の間だけ室内に光を導き、夏場は光を取り込まない角度とした。冬至には編み込み竹壁まで光が達する) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、左:リビング、右:ダイニング(建築家による解説:石の縁側は水鏡のように空と木々を増幅させ、室内へと光を導く。竹の編込壁が北庭の採光を補助するように光を室内へ拡散。庭木も照葉樹としている) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、リビングから開口部越しに庭を見る。(建築家による解説:僅かな角度の変化で無限の表情を見せる「能面」のように、建築全体が環境の変化を可視化する。建築を構成する線が変化を捉え、肌理を持った面が現象を増幅し、建築を自然環境と人を繋ぐセンサーとした) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 北側の庭から「露庭室」を見る。(建築家による解説:地形の高低差を活かし、壁で閉じる事なく前面道路からプライバシーを確保している) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、「露庭室」(建築家による解説:寝室の直下は軒下空間である露庭室。石の縁側が露庭室から母屋の縁側、リビングから階段へと雁行する。床はダイニングと同じ畳割のタイル) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、「露庭室」(建築家による解説:そうして現れた軒下空間を庭に露わになる「露庭室」と名付け、内外を緩やかに繋ぐ暮らしの舞台とした) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、「露庭室」から北側の庭を見る。(建築家による解説:石の縁側が庭木を映し込む。低木の足元には、大きく孤を描きながら茶室へと続く飛び石。母屋からの視線をマウンドした起伏が飛び石を遮り、露庭室で初めて飛び石の存在に気付く) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 北側の庭から茶室側を見る。(建築家による解説:密集した住宅街の中でも景色をコントロールして遮ることも、自然を感じるための遮景の一つである。露庭室の正面は、はしごから入る茶室) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、リビングからダイニングとキッチンを見る。(建築家による解説:素材の凹凸や線を、単なる視覚的な装飾ではなく、環境の移ろいを捕まえるための「物理的な摩擦」として再定義。線が光を捉え可視化し、肌理のある面が光を滞留させ、刻一刻と変わる影のグラデーションを生み出す) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、左:ダイニング、中央奥:キッチン、右手前:リビング(建築家による解説:天井が低いところは、タイルをカットし、畳割としている) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、キッチン photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、リビングから2階への階段を見る。(建築家による解説:竹のチェアは、建て主がアメリカの母より兄弟で1脚ずつ譲り受けたものをリメイクした) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階から2階への階段(建築家による解説:木に嵌め込んだ手すり子) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 2階、「セカンドリビング」から開口部越しに外部を見る。 photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 2階、「セカンドリビング」から1階への階段側を見る。(建築家による解説:向かって左の壁は隠し扉。襖の奥は TV や、個室へと続く扉が隠されている。午後は襖紙が光を受け、拡散する) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 2階、主寝室(建築家による解説:寝室も自然の移ろいを捉えるための線を増やした設計としている) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 2階、茶室(建築家による解説:梯子が唯一の入口である茶室) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 2階、茶室のインナーテラスから北側の庭を見下ろす。 photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 2階、洗面脱衣室から浴室を見る。 photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 2階、洗面室 photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 外観、壁の詳細(建築家による解説:竹型枠によるコンクリート) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、「露庭室」、石の縁側の詳細(建築家による解説:木々と空を水鏡のように増幅する石面) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、リビング、壁の詳細(建築家による解説:光を拡散させる竹の編み込み壁。竹はケイ素を多く含み、表面のシリカ層が光を反射させ光の移ろいを増大させる) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、リビング、暖炉の詳細(建築家による解説:暖炉は窯で焼かれた緋色を残すタイル。暖炉の石は小口を割肌にし、石の無垢
の質感を残しつつ、火を映し込み揺らぎを増大させるために天端は水磨きとした) photo©Koji Fujii TOREAL
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and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、ダイニングからリビングを見る。夕景 photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階、ダイニングから開口部越しに北側の庭を見る。夜景 photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 北側の庭庭から「露庭室」を見る。夜景(建築家による解説:光に照らされる露庭室は能舞台のようである) photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 北側の庭から開口部越しにダイニングを見る。夜景 photo©Koji Fujii TOREAL
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 1階平面図 image©and to 建築設計事務所
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 2階平面図 image©and to 建築設計事務所
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる 断面パース image©and to 建築設計事務所
and to 建築設計事務所による、東京の「グリムシングハウス」。能に魅せられた夫と家族の住居。日本空間の奥行と自然との暮らしの要望に、遮景を用いた“動的な見え隠れ”と現象を定着する“静的な見え隠れ”を備えた空間を志向。能の“序破急”や“面”と共鳴する建築が現れる ダイアグラム(建築家による解説:庭を挟んで東西に露庭室と離れの茶室、南は母屋である。室内は、周辺地形が持つ段差を引き込み、多様な床レベルのランドスケープを形成する。屋根は北側の緑や暮らしに光を導くため4枚に分割し、庭に対する影を抑えつつ、ハイサイドライトで室内に光を導いた) image©and to 建築設計事務所
以下、建築家によるテキストです。
建築は、閉ざされた器ではなく、世界を感受するための高感度なセンサーであるべきだ。
都市の中で、私たちは自然の移ろいや微小な変化をいつしか見落としている。建築の「線」と「面」を環境の移ろいを捉える「物理的な摩擦」として再定義し、刻一刻と変わる現象を空間に定着させる「見えかくれ」の建築である。
建主は、能の幽玄に魅せられ来日したアメリカ人の夫と、日本人の妻の4人家族。夫婦は、日本空間に宿る奥行きと、自然と隣り合う暮らしを求めた。
敷地は都心の住宅密集地。一帯は北側傾斜の地形で、敷地は隣家より1mほど高い基壇上にある。
隣地の南庭によって開かれた北側の空、そして隣家の緑と連続する北庭を中心に据え、多角的に庭との繋がりをもたせることにした。
建築は庭を抱くコの字型とし、北庭を建築で閉ざす事は避け、周辺に光や風を行き渡らせるように、建築を上部に持ち上げた。そうして現れた軒下空間を庭に露わになる「露庭室」と名付け、内外を緩やかに繋ぐ暮らしの舞台とした。庭を挟んで東西に露庭室と離れの茶室、南は母屋である。
室内は、周辺地形が持つ段差を引き込み、多様な床レベルのランドスケープを形成する。屋根は北側の緑や暮らしに光を導くため4枚に分割し、庭に対する影を抑えつつ、ハイサイドライトで室内に光を導いた。
しかし、住宅地における限られた庭だけでは自然環境のもつ移ろいを得るには物足りない。
そこで、ふたつの「見えかくれ」を試みた。
ひとつは、遮景を用いた「動的な見えかくれ」である。視界が切り替わりながら折れ曲がり、遮景を幾重に繰り返す体験。さらに、能の「序破急」のように体験に緩急をつけるため、天井高さは2,350~7,050mmへと劇的に変容させた。遮景と、スケールの振幅が空間に深い奥行を与える。
ふたつ目は、素材とディテールを用いた現象を定着させる「静的な見えかくれ」である。竹型枠のコンクリートと、大和貼りの外壁が陰影を刻み、漆喰壁が揺れる木漏れ日を映し出す。洗い出しが微細な光を捉え、石の縁側は水鏡のように空と木々を増幅させ、室内へと光を導く。暖炉の揺らめく炎を石面が反転し、竹の編込壁が北庭の採光を補助するように光を室内へ拡散する。午後の光を受ける襖紙は、空間を柔らかな反射光で満たす。
天候や時間、季節によって表情を変える光は、建築の線と面を介して、限られた時間の移ろいを見えかくれさせる。
素材の凹凸や線を、単なる視覚的な装飾ではなく、環境の移ろいを捕まえるための「物理的な摩擦」として再定義。光を滑らせてしまう無機質な面ではなく、肌理のある面が光を滞留させ、刻一刻と変わる影のグラデーションを生み出す。これは、僅かな角度の変化で無限の表情を見せる「能面」そのものであり、建築全体が環境の変化を可視化する能面として機能する。
建築を構成する線が変化を捉え、肌理を持った面が現象を増幅し、建築を自然環境と人を繋ぐセンサーとした。その場所ごとの様相に応えながら相互関係を築くことで、刻一刻と変化する都市では見落としてしまうほどの移ろいを捉え、世界の解像度をあげる事を試みた。
■建築概要
題名:グリムシングハウス / Glimpsing House
所在地:東京都
主用途:住宅
設計:and to 建築設計事務所 担当/谷口幸平、前田哲利(元所員)、北沢迅、澤田真由美
構造:井上健一構造設計事務所 担当/井上健一
設備:ZO設計室 担当/布施安隆、高橋彩
施工:山菱工務店 担当/今井和也、深草洋三
照明:大光電機
オーダー家具:リネアタラーラ 担当/水谷洋子、金亮太(キッチン)
コンプレックス 担当/木村ユタカ(ソファ)
平鍛治 担当/小原歩(サイン・梯子)
外構・造園:DAISHIZEN 担当/鈴木俊、遠藤菜那
主体構造・構法:木造在来工法
階数:地下1階 地上2階
軒高:8,426mm
最高の高さ:6,945mm
敷地面積:269.23㎡
建築面積:160.12㎡(建蔽率59.47% 許容60%)
延床面積:321.90㎡(建蔽率89.92% 許容150%)
地下:79.82㎡
1階:112.00㎡
2階:130.08㎡
設計期間:2023年3月~2024年7月
工事期間:2024年7月~2025年8月
写真:Koji Fujii / TOREAL