SHARE 成瀬・猪熊建築設計事務所による、東京の住宅「スプリットハウス」
all phtotos©西川公朗
成瀬・猪熊建築設計事務所が設計した、東京の住宅「スプリットハウス」です。
この住宅は、1階と2階を切り離し、間に360°開口部の中間層を設けた建築である。
敷地は東京某所、木造住宅が密集する地域の旗竿敷地。採光とプライバシーの両立が極めて困難な状況を打開し、明るく広がりのある空間を獲得するため、この構成を採用した。
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以下、建築家によるテキストです。
スプリットハウス
この住宅は、1階と2階を切り離し、間に360°開口部の中間層を設けた建築である。
敷地は東京某所、木造住宅が密集する地域の旗竿敷地。採光とプライバシーの両立が極めて困難な状況を打開し、明るく広がりのある空間を獲得するため、この構成を採用した。
1階はキッチン・ダイニング・ソファスペース・共用書斎・和室など、共用の用途を集めた広々とした空間、2階は収納のない小さな個室と、動線を兼ねた納戸による空間である。個室を最小化し、ベッド以外のすべての用途を共用化することで、個室の利用者を入れ替えやすくし、家族構成の変化に柔軟に対応出来る冗長性を与えた。
構造壁が一切なくなった中間層には、複数のブレースを設けることで、水平力に対応した。結果的に、広々とした1階は枝のようなブレース混じりの構造から光が降り注ぎ、小さな空間が連続する2階は小さな部屋の中に柱が貫く、全体として森のような建築となった。
1階と2階を切り離すことだけを目的にするならば、柱もブレースも無い方が純粋だ。しかし今回は、あえて木造の構造体を見せることで、広いリビングにヒューマンスケールを与え、構造材・素材として木の存在感を味わうことができる空間を作り出した。抽象的な空間構成のみを建築化するのではなく、即物的なモノの存在感を、空間構成に統合する試みである。
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■建築概要
建築設計:成瀬・猪熊建築設計事務所 / 成瀬 友梨、猪熊 純、石川 佳世子(元所員)、大田 聡(元所員)
構造設計:鈴木啓/ASA 担当 木村 洋介
設備設計:ジーエヌ設備計画 /五木田 正和、成田 奈保子
施工:北沢建設株式会社