SHARE 長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・世田谷の、築52年の元診療所兼住宅を改修した住宅+ギャラリー+テナントスペース「三軒茶屋の家」
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長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・世田谷の、築52年の元診療所兼住宅を改修した住宅+ギャラリー+テナントスペース「三軒茶屋の家」です。
駅から徒歩3分、比較的大きな二つのビルに挟まれた袋小路がある。 その袋小路を入り、空に向かってぽっかりと開かれたところに築52年になる建物があり、今回それを改修した。もともとその建物は、現住人の祖父の診 療所兼一家の住居として、3代にわたって大事に使われてきた。 今回の建替えにあたり、占有面積を増やしてテナントビルやアパートに建て替えるという選 択も可能だったが、 単に事業性を上げることを目的にするのではなく、「地域に親しまれてきたこの建物をあえて残してそこに新しいアクティビティを生み出すことによって、再び愛される場所に育てよう」という一家の意向のもとに計画は進められた。
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以下、建築家によるテキストです。
三軒茶屋の家
駅から徒歩3分、比較的大きな二つのビルに挟まれた袋小路がある。 その袋小路を入り、空に向かってぽっかりと開かれたところに築52年になる建物があり、今回それを改修した。もともとその建物は、現住人の祖父の診 療所兼一家の住居として、3代にわたって大事に使われてきた。 今回の建替えにあたり、占有面積を増やしてテナントビルやアパートに建て替えるという選 択も可能だったが、 単に事業性を上げることを目的にするのではなく、「地域に親しまれてきたこの建物をあえて残してそこに新しいアクティビティを生み出すことによって、再び愛される場所に育てよう」という一家の意向のもとに計画は進められた。まず、たくさんの友人が訪れる家にすべく、1階の南西の角に住人自身が 営む小さなギャラリーを設け、2階を住居とし、緩やかにつなげる計画を考えた。そのうえで、残りの1階部分を外部に貸し出すテナントとし、住居とギャラリーから生まれてくるアクティビティをさらに外に広げて、街の動きとシンクロできるようにしたいと考えた。
52年前は都心部もスペースに余裕があったため、2階を全部部屋にするのではなく、約半分はおおらかなバルコニーになっており、そこに出るとさらにポコッと空いた感覚を得られる。 そのバルコニーと、そこにつながる土間を介して1階ギャラリーのパブリックなアクティビティを2階のプライベートなアクティビティまで緩やかにつなげ、生活に根ざした賑わいを産むべく計画した。また、築52年の躯体が魅力的でその表情を残したいと考え、インフラ関係をコアに寄せて壁を仕上げ、 外壁側はそのままあらわしとした。中間領域である土間部分の天井はそこにインフラを仕込みプラスターボードに塗装という方法で仕上げ、プライベートゾーンである上がり部分の床にもインフラを仕込んで 床を仕上げ、コアからパブリックゾーンとプライベートゾーンの双方にインフラを通し、生活の場を作った。
■建築概要
題名:三軒茶屋の家
設計:長坂 常/スキーマ建築計画
担当:會田倫久+嶋田光太郎
所在地:東京都世田谷区三軒茶屋
主用途:店舗併用住宅
施工:Jams株式会社
階数:2階
敷地面積:343.684㎡
建築面積:139.880㎡
延床面積:217.465㎡
構造:RC造
竣工:2017年4月
写真:長谷川健太