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以下、建築家によるテキストです。

「lightflakes for Star Micronics」はスター精密株式会社の本社エントランスに設計した常設のインスタレーションです。

このフロシェクトは、電子機器・工作機械・精密部品のグローバル企業であるスター精密のコーポレートステートメント「小さな技術で大きな世界を作る」を、薄く精巧な「lightflakes」を秩序立てて組むことで細やかに光を拾い上げ、大きな光のオブジェを作り上げることで体現しています。

lightflakesとは光の再構築をコンセプトにデザインしたアートピースです。
直径40mm、薄さ0.3mm のレンズを細工した繊細なパーツlightflakesを室内に精緻に組上げると、光はレンズの効果で幾重に 透過、反射し、風景と共に複製され具象していきます。

展示場所やテーマ、用途に合わせて自由に造形可能で、環境と形の相互作用により、ふたつとない光の彫刻が現れるのが特徴です。光に形を与え彫刻へと再構築することで、わずかな光の変化をも知覚でき、日常で見過ごしがちな環境の変化へ意識を向ける機会を作ります。

エントランスロビーに吊り下げられた2体のスクリーン状のオブジェは、レンズである 53,900枚のlightflakesを水平鉛直に組み合わすことで構築しており、エントランス正面の壁に投影されている映像の反射光と、ガラスファサードから室内に入る自然光を受け、形の無かった光は再構築して空間を演出します。

光と余白の関係を重要に考え、外からの自然光を最大限に受けることを意図した2体のオブジェが作り出す空間は、見る位置によって様々な光景を生み出します。幅7755mm、高さ3000mmの一方のオブジェは、エントランス奥にあるアーカイブスペースへ向けて配置することで動線を促し、空間にアクティビティと奥行き感を与えます。

lightflakesは壁に投影される雄大な自然、動植物、同社の精密部品、加工技術の映像の反射光を1枚1枚反復して映すと同時に、 時と気候と共に移りゆく自然光とリンクしながら屋外の環境を柔らかく取り込み、室内の様相を静かに変化させる光の彫刻へと織り成します。

このインスタレーションはアートとしてのコンセプトはそのままに、クライアントのコーポレートステートメントをアートピースの特徴と融合して形象化し、空間の環境に合わせて形状と配置を設計することで、唯一無二の光景と体験をエントランスに創り出します。

■作品概要

タイトル：lightflakes for Star Micronics
サイズ：W7755mm × D110 × H3000、W2680 × D110 × H3000
所在地：スター精密本社エントランス
完成：2020年2月
設計制作：YUJI OKITSU / 沖津雄司、山﨑絵里
クライアント：スター精密株式会社
プロデュース：株式会社ムラヤマ
壁面映像：株式会社CNインターボイス
写真：山根朋子、YUJI OKITSU
映像：山根朋子（本編）、YUJI OKITSU（メイキング）
音楽：畠山京太

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