SHARE 青木淳の会場構成による、ポーラ美術館での展覧会「丸山直文 水を蹴る─仙石原─」。美術館のある“地域”と“水”が主題の絵画を展示。外部の世界と内部の絵画を媒介する“くうき”を作る為に、重ねた布が生み出す“モアレ”を水面に見立てた空間を考案。光と揺らぎで内側から鑑賞者を誘い込む
- 日程
- 2023年1月28日(土)–7月2日(日)
青木淳の会場構成による、神奈川の、ポーラ美術館での展覧会「丸山直文 水を蹴る─仙石原─」です。
美術館のある“地域”を描いた新作を含む、“水”が主題の絵画を展示する計画です。建築家は、外部の世界と内部に展示される絵画を媒介する“くうき”を作る為に、重ねた布が生み出す“モアレ”を水面に見立てた空間を考案しました。光と揺らぎで内側から鑑賞者を誘い込む様な状況が生まれています。
会期は、2023年1月28日~7月2日。展覧会の公式ページはこちら。
本展では、当館の位置する箱根・仙石原の地をテーマに、周囲に広がる豊かな森の取材から生まれた新作2点、ならびに初公開作品2点を含む6点の作品を、建築家・青木淳による特別な空間の中でご覧いただけます。
展覧会の会場構成は、丸山と親交の深い建築家・青木淳が担当しました。
青木は、丸山の絵画からインスピレーションを得て、重ね合わせた布によるモアレを水面に見立てた空間を構想しました。
壁一面を覆いつくす半透明の布は、展示空間に水面の反射のような光と、やわらかな揺らぎを生み出し、ギャラリーの内側から私たちを誘い込むかのようです。
作家にとって初の試みとなる建築家との協働を通じて、丸山作品の新たな魅力に迫ります。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家と作家によるテキストです。
青木淳による「会場構成について」
地面が液体としての水を含んでいる。
木々がそれを吸い上げ、葉っぱから、気体としての水を放散している。
放散された水、つまり水蒸気が、空気に満ちている。
水が媒体となって、土、木、葉、空気の垣根を溶かし、魍魎となる。
林、森。
とはいえ、仙石原の魍魎は混沌ではない。
滲み合いながらも、揺らぎながらも、くっきりとして明るい。
丸山さんの絵画は、水の上に成り立っている。
流れる水面ではない。
綿布に含まれ蓄えられた、そこからわずかに放散する水と、
測りあえる色と形。
丸山さんが、仙石原をテーマとして新作を描く、と言う。
その絵画を仙石原で展示する、と言う。
私に託されたのは、
外に広がる仙石原の明澄な混沌と、内に掛けられる丸山さんの玲瓏とを、
媒介する空気をつくりだすこと。
丸山直文による「水を蹴る―仙石原―」
私たちはどこに立っているのか
雨上がりの道、水たまりに私の視線は吸い寄せられる
そこには木々や空、街並みが映っている
足下だけが映っていない
私はどこに居るのか
二つの相似の世界
水を蹴る
水面は揺れ、二つの世界が混じりあう
その繋がれた場所に私たちは立っている
絵画が生まれる
─────────
わたしは制作する時、床にカンヴァス(綿布)を置いてそこに水を張り、その上に画像を映すように描き始めます。ですが描かれた像は介在された水により安定せず、揺らぎ、滲み広がっていきます。
変化に富む水の存在は様々なことを考える上でのメタファーとして、わたしを刺激します。それは、雨になり、雪になり、氷にもなり、霧にもなる。
仙石原は昔、カルデラ湖の一部でした。仙石原の豊かな森の中を歩いていると水の気配を感じ取ることができます。
私たちの居る世界とは、多くの見えないヴェールの内に在るのではないかと思うのです。古く仙石原を満たしていた水は知らず知らずに今と溶けあい、私たちを包み込みます。
■展覧会概要
HIRAKU Project Vol.14
丸山直文「水を蹴るー仙石原ー」
会場:ポーラ美術館
所在地:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
会期:2023年1月28日(土)~7月2日(日)
開館時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:会期中無休 ※悪天候による臨時休館あり
会場構成:青木淳
協力:シュウゴアーツ
企画協力:AS、安東陽子デザイン、株式会社岡安泉照明設計事務所
主催:公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館
入館料:大人¥1,800 / シニア割引(65歳以上)¥1,600 / 大学・高校生¥1,300
中学生以下無料 / 障害者手帳をお持ちのご本人及び付添者(1名まで)¥1,000
※すべて税込 団体割引あり