SHARE 佐久間達也空間計画所による、神奈川・横浜の住宅(寝室)「Assembly for the Bedroom」
佐久間達也空間計画所が設計した、神奈川・横浜の住宅(寝室)「Assembly for the Bedroom」です。
一般的に内部空間は床、壁、天井の三種の仕上げ面が90度の角度で折れ線を成して組み立てられている。その折れ線上には廻り縁や巾木が施され境界線があらわされていることが多い。そしてこれら仕上げ面は断熱材や配線、鋼製下地や木下地、躯体といった下地を覆っている。仕上げ面で囲われた空間は三種の面に分節されているともいえるし、そうではなく空間を象るひとつながりのパッケージととらえ直すこともできる。改装ではプランの変更を要望されていたのだか、ここでは既にある天井や壁、床を撤去して新たな天井・壁・床を作る際に、空間の仕切りを変えるだけではなく、天井と壁の関係に別の関係性を与えてみた。天井と壁の入り隅を曲面で連続させると、天井面と壁面の境界線がどこか言い表すことが難しくなる。この天井と壁の区別を曖昧にする操作は局所的に行っているため、曲面の異質さが対比的に際立つことになる。分節のルールのなかに未分節のかたちを混在させ従来の構成原理を崩して、空間に彩りをもたらす。
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以下、建築家によるテキストです。
Assembly for the Bedroom
7階建てのビルの、最上階にある住居の一部を改装する計画である。 クライアントのご家族が亡くなり、住人は60台女性一人となった。個室3室だったところを1室へ合算し、ひとりの女性のための寝室として使うことにするのだが面積は40㎡と寝室としては贅沢な広さとなった。そして各室に分かれていた複数の既存の窓が一つの空間に組み込まれるため、東、南、西の三方角から自然光が入るようになり、光のアッセンブルが生じて季節や時間の移り変わりを感じられるようになった。陰影が刻々と変化し、都市部にありながらも安らぎを感じられる、空中階ならではの採光豊かな空間となった。
一般的に内部空間は床、壁、天井の三種の仕上げ面が90度の角度で折れ線を成して組み立てられている。その折れ線上には廻り縁や巾木が施され境界線があらわされていることが多い。そしてこれら仕上げ面は断熱材や配線、鋼製下地や木下地、躯体といった下地を覆っている。仕上げ面で囲われた空間は三種の面に分節されているともいえるし、そうではなく空間を象るひとつながりのパッケージととらえ直すこともできる。改装ではプランの変更を要望されていたのだか、ここでは既にある天井や壁、床を撤去して新たな天井・壁・床を作る際に、空間の仕切りを変えるだけではなく、天井と壁の関係に別の関係性を与えてみた。天井と壁の入り隅を曲面で連続させると、天井面と壁面の境界線がどこか言い表すことが難しくなる。この天井と壁の区別を曖昧にする操作は局所的に行っているため、曲面の異質さが対比的に際立つことになる。分節のルールのなかに未分節のかたちを混在させ従来の構成原理を崩して、空間に彩りをもたらす。改装では天井や壁の下にある下地やコンクリートの躯体を剥き出しにするといった激しい表現手段もあるが、ここでは穏やかに構築することを志向しており、曲面のある装飾空間から新たな立体感を生成することを目指した。
その結果として自然光を介して未分節な陰影をもつ空間が出現した。
■建築概要
用途:住宅(寝室)
所在地:神奈川県横浜市
延床面積:40m2
工事種別:改装
設計期間:2014年2月~2014年8月
工事期間:2014年9月~2014年11月
設計:佐久間達也空間計画所
施工:松尾工務店
写真:鳥村鋼一