松井大佑 / Atelier komaが設計した、福岡・田川市の「light and dark」です。
廃校を改修した施設の飲食部分の計画です。建築家は、施工費や設備等の制約下での“フラッグシップ”的な存在を目指し、既存空間の“薄暗さ”を活かした設計を志向しました。そして、周辺を美しく見せる“黒く包まれた”客席を持つ空間が作られました。施設の公式サイトはこちら。
毎年数百におよぶ廃校施設が生まれている。地域の実情やニーズを汲み、有効活用していくことが求められているが、改修 / 運営には法律をはじめ地方ならではのさまざまな課題がある。本施設も例外ではない。ここではその課題である「集客」「浄化槽」「コスト」に空間で解答しようと試みた。
1期工事では与件であった音楽施設をメインに宿泊機能やワーキングスペースをもった多機能型の交流施設へと改修した。補助金として約2500万円の改修費を得たが、その殆どが用途変更に伴う法整備と求められた音楽用途の空間にあてられた。8割は未改修のまま、おおきな余白を残し開業した。
開業後から4年が経った。余白は音楽フェスや野外映画鑑賞など多目的な会場に利用され、施設は人気ポッドキャスト「コテンラジオ」の収録場所となり、その聖地巡礼として訪れるコアなファンも増えた。イベントや限定的な目的のためであれば集客も増えてきたが、福岡市や北九州市から車で1.5時間ほどの「わざわざ来る」距離にあり公共交通の利便性もよくない。もっと日常的に訪れ滞在できる場所や、地域住民の施設利用も増やしたい。そのような想いが重なってフラッグシップとなる飲食施設の計画がはじまった。