天野寛志建築計画事務所が設計した、静岡・浜松市の「まつばこども園」です。
住宅に囲まれた変形敷地に計画されました。建築家は、街並みへの応答と近隣への環境変化を考慮し、道路沿いに高さを抑えた建物を配置して中庭型の園庭を形成しました。そして、庭側に吹き抜けた遊戯室を設けて内外の繋がりを作り出す事も意図されました。
まず、近隣への環境変化が少ないことや中庭形式の園庭が可能になることから園舎は前面道路沿いに配置することとした。そして、高さ6mと吹抜けのある遊戯室兼ランチルームを園舎中央に配置させ、保育室など諸室は遊戯室をぐるりと取り囲む平面構成とした。それにより遊戯室を媒介に、各諸室同士の見通しや気配が感じられることができ、園内にゆとりと一体感をもたらした。
また、多数の樹木、大小3つの砂場、築山、複数の遊具を用いて回遊性や立体性があるよう設えた園庭を遊戯室から強く繋がりを感じられるような開口部とした。それにより内部だけでなく外部空間とも繋がりを感じ、さらなるひろがりを持たせた。この吹抜けと大きな開口部のある遊戯室兼ランチルームは、内外を結びつけるバッファーとなることで内外空間に求心と発散の振幅をもたらす。
外観は、街並みとの関係を考慮して高さを7m台と低く抑えている。そして、屋根を張り出させ、且つ連続窓として水平性を強調することで伸びやかさを生み出させた。また、ボリューム感をやわらげるために外壁の色をスプリットさせ、色合いはシルバー、斑入り白、土色と落着きあるものとしている。内観は、外観同様に水平連続窓やスプリットさせる装飾を展開させ、空間に伸びやかさを生み出させた。そして、部分的に形状や装飾にズレや遊びをもたせて、適度に緊張と緩和のある雰囲気の場に設えている。