


北村拓也 / CORRED DESIGN OFFICEが設計した、滋賀・栗東市の「畝の家」です。
昔からの農地と住宅が混在する地域に計画されました。建築家は、風土を取り入れた建築を目指して、畑の“畝”に腰掛ける様子から着想した家具を空間に配置しました。それにより、家族の繋がりを育み街並みとの連続性も意図しました。
滋賀県栗東市の住宅である。
栗東市は農耕を中心に発展した都市であり、計画地の周辺環境は昔からの田畑と住宅とが混在する地域であった。栗東の歴史をまとめた書籍『民誌・綣の歴史と文化』を読むと、栗東の原風景として人々が田畑の畝(うね)に腰掛け、横並びで会話する風景が残っている。このような土地の風土、畝の魅力を取り入れた住宅を設計しようと考えた。
敷地は歪んだ三角形をしており、道路に広く面する角地である。そっと正方形のボリュームを配置して、三角形敷地と建築の間にできる余白を庭や駐車場として有効活用しながら、田畑が残りゆとりが感じられる町並みと調和する計画とした。
内部空間は庭に面して大きな吹き抜け空間をつくり、畝のような伸びゆく家具を配置した。畝は畑の野菜を育てるちょっとした高低差であるが、自然と人々を定着させ、境界をつくり、一体感をつくる。そのような家具は家族のつながりを育て、守り、これからの可能性を拓いていくだろう。畝の家具は窓と絡めて都市に向けて伸びゆき、軸の先の地域の小川や山、町へのつながりも感じさせる。