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Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、東京の住宅「Todoroki House in Valley」
Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、東京の住宅「Todoroki House in Valley」 photo©Yuna Yagi
Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、東京の住宅「Todoroki House in Valley」 photo©Yuna Yagi
Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、東京の住宅「Todoroki House in Valley」 photo©Yuna Yagi
Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、東京の住宅「Todoroki House in Valley」 photo©Yuna Yagi

Atelier Tsuyoshi Tane Architectsが設計した、東京の住宅「Todoroki House in Valley」です。

等々力渓谷は風の谷である。

深い森の中の渓谷は、湧き水が出るなど地盤面の湿度は高く、上空では常に谷間からの風が吹き抜ける都会の森である。
この渓谷の環境的特性である「DRY」と「WET」に着目し、世界中の湿地帯と乾燥地帯にある原始住居の研究を行った。

「DRY」と「WET」という相反する環境的特性が生み出した建築の形式は、気候という外的要素と生活という内的要素から成り立ち、そのまったく異質な環境から生まれた建築をひとつに接合することで、どの時代のどの地域にも属さないような建築をつくろうとした。

一方で敷地周辺は住宅が過密に建て込まれ、区画整備された都会の分譲地である。しかし、本来この場所は渓谷の深い森で覆われていたため、失われた森を取り戻すように、建築をつくりながら再び森をつくることは可能かと考え始めた。

大きな森に覆われながら、地面の中に埋もれる原始的な居心地、空間が立体化され積み重なっていく都市的な複雑さと、それらすべてが渾然一体となり、家も植物も森も生活も生きとし生けるものすべてが生き生きと暮らせるような東京の未来の家を目指した。

建築家によるテキストより
二俣公一 / ケース・リアルによる、佐賀市の、空港ターミナルビル内の土産店「sagair」
二俣公一 / ケース・リアルによる、佐賀市の、空港ターミナルビル内の土産店「sagair」 photo©水崎浩志
二俣公一 / ケース・リアルによる、佐賀市の、空港ターミナルビル内の土産店「sagair」 photo©水崎浩志
二俣公一 / ケース・リアルによる、佐賀市の、空港ターミナルビル内の土産店「sagair」 photo©水崎浩志

二俣公一 / ケース・リアルが設計した、佐賀市の、九州佐賀国際空港ターミナルビル内の土産店「sagair」です。店舗の公式サイトはこちら

九州佐賀国際空港ターミナルビルのリニューアルに伴いオープンした、スーベニアショップ「sagair(サガエアー)」の内装計画。

建築家によるテキストより

ショップには、菓子や日本酒、陶磁器、伝統工芸品等の佐賀ならではの商品をはじめ、旅に関する道具やオリジナルグッズなど多種多様なアイテムが並ぶ。
このショップは旅行客はもちろん、空港や空港近隣にある公園を利用する地元住民など、様々な人々が一つの空間に集い、空港自体が一つの目的地となることを目指していた。そのため計画では、空間がこれら多様なアイテムの受け皿になると共に、空港がもともと持つ高揚感や非日常の延長にあるような場所が求められた。

建築家によるテキストより

私たちはまずはじめに、空間全体を本棚のような密度感のある什器で構成することを考えた。人は本棚がずらりと並ぶ図書館のような空間に身を置くとき、目当ての本にたどり着くまで、それを発見し選び取ることの楽しさを感じることができる。

建築家によるテキストより
Atelier Tsuyoshi Tane Architects+NTTファシリティーズ+スターツCAMによる、青森の「弘前れんが倉庫美術館」
Atelier Tsuyoshi Tane Architects+NTTファシリティーズ+スターツCAMによる、青森の「弘前れんが倉庫美術館」 photo©Daici Ano
Atelier Tsuyoshi Tane Architects+NTTファシリティーズ+スターツCAMによる、青森の「弘前れんが倉庫美術館」 photo©Daici Ano
Atelier Tsuyoshi Tane Architects+NTTファシリティーズ+スターツCAMによる、青森の「弘前れんが倉庫美術館」 photo©Daici Ano
Atelier Tsuyoshi Tane Architects+NTTファシリティーズ+スターツCAMによる、青森の「弘前れんが倉庫美術館」 photo©Daici Ano

Atelier Tsuyoshi Tane ArchitectsNTTファシリティーズ(ミュージアム棟設計統括)+スターツCAM(カフェ・ショップ棟設計統括)による、青森の「弘前れんが倉庫美術館」です。施設の公式サイトはこちら。また本建築は2021年度フランス国外建築賞グランプリ(AFEX Grand Prix)を受賞しています

明治時代に建てられた弘前の煉瓦倉庫を改修し現代アートの美術館をつくるプロジェクトである。
弘前市吉野町の煉瓦倉庫群は、日本で初めて大々的にシードル(りんご酒)工場として長年この街の風景を支えてきた。厳しい雪国の中で、独自に煉瓦を開発してつくった煉瓦倉庫群は増築や改築を繰り返しながら、そのほとんどはすでに解体され時代とともに失われた。

国内では近代文化遺産を保存だけでなく、現代文化として積極的に活用するような事例はまだ数少なく、大半は「古さ」を理由に取り壊される。国内では煉瓦造りによる建築は二度とつくられることのない貴重な建築の系譜であり、壊してはならない文化遺産でもある。一方、古い建物の改修とは直すことが目的ではない。建物の歴史性や再現不可能性を検証し、その建築の尊厳と可能性を知ることから設計が始まる。

この煉瓦建築の「記憶の継承」を目的としていくために、あらゆる場所で煉瓦を多用し尽くして改修を行う現代煉瓦建築とした。また屋根は日本初のシードル工場にちなんでチタンによる「シードル・ゴールド」にすることにより新たな文化施設として未来の風景を映し出す。内部空間においては、倉庫がもつ大らかな空間を最大限活かすように、既存の床を抜き、耐震補強を行いながら、サイトスペシフィックとタイムスペシフィックをコンセプトとした現代アートと対峙する空間をつくった。

建築家によるテキストより
小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、和歌山・紀美野町の、樹木葬墓所「GOSHIKIDAI FOREST CEMETERY」
小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、和歌山・紀美野町の、樹木葬墓所「GOSHIKIDAI FOREST CEMETERY」 photo©小山光
小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、和歌山・紀美野町の、樹木葬墓所「GOSHIKIDAI FOREST CEMETERY」 photo©小山光
小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、和歌山・紀美野町の、樹木葬墓所「GOSHIKIDAI FOREST CEMETERY」 photo©小山光

小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSが設計した、和歌山・紀美野町の、樹木葬墓所「GOSHIKIDAI FOREST CEMETERY」です。

和歌山市内から車で東に向かい約30分、大阪府との県境にも近い紀伊山系の北端の豊かな自然に包まれた五色台メモリアルパークの樹木葬墓所。

樹木葬は、遺骨の周辺にある樹木を墓標として故人を弔う方法で、既存の自然樹林地全体を墓地としたものや、埋葬の際に植林していく里山型もあるが、日本では公園の中の花壇状の墓地の中央にシンボルとなる樹木を植え、その周辺の区画に遺骨を埋葬する方法が一般的である。

建築家によるテキストより

五色台メモリアルパークでは、前面に景色が広がる霊園の北側のエリアが計画地として選ばれた。
元々この霊園と隣の火葬場の敷地は山の森林を切り開いてできたものだが、この計画ではその森林を部分的に再生して、その中を散策ができる遊歩道を作った。木漏れ日の中のゆるやかな小径を散策しながら故人を偲び、語らうことができる。

建築家によるテキストより

前面の道路には、散策路へのメインアプローチと、水場やバケツ置きがあるサービスエリア、合祀のモニュメントが面している。
散策路は川のように蛇行して、半島状になった部分と島状の部分を作り、納骨棺を設置できる長さを生み出している。
北側の島と半島の部分は家族用の納骨棺、南側は個人用として納骨棺の代わりに自然に還る和紙で作られた骨壺を埋葬するようになっている。

建築家によるテキストより
岸和郎の、進行中のプロジェクトまでを含む回顧展「時間の真実」が、京都で開催。現代のモダニストとして京都と向き合い建築を作り続けた約40年を振り返る
岸和郎の、進行中のプロジェクトまでを含む回顧展「時間の真実」が、京都で開催。現代のモダニストとして京都と向き合い建築を作り続けた約40年を振り返る

岸和郎の、進行中のプロジェクトまでを含む回顧展「時間の真実」が、京都の京都工芸繊維大学美術工芸資料館で開催されます。会期は2021年6月21日~2021年9月11日まで。現代のモダニストとして京都と向き合い建築を作り続けた約40年を振り返る展覧会となっています。

このたび建築家である岸和郎の1981年から現在まで、さらに進行中の仕事までを含め、図面、ドローイング、模型、映像など建築家としての約40年の作品資料、写真、書籍などを京都工芸繊維大学美術工芸資料館、附属図書館がアーカイブとして受入れてくださることとなりましたので、寄贈前に同会場にて皆様にご披露する形で行うものです。

関西における近代の建築文化に多大なる貢献をした村野藤吾のアーカイブを所蔵する美術工芸資料館が、現代の、しかも存命の建築家の資料として受入れてくださることは建築家の名誉だと考えています。

展覧会では岸の仕事と営為をまとめて概観すると共に、同時に同大学附属図書館ではこれまでの発表作品の掲載雑誌、書籍、作品集なども展示いたします。

リリーステキストより
【ap job更新】 志高く楽しく働ける環境作りに取り組む「古谷デザイン建築設計事務所」が、設計スタッフを募集中
【ap job更新】 志高く楽しく働ける環境作りに取り組む「古谷デザイン建築設計事務所」が、設計スタッフを募集中
【ap job更新】 志高く楽しく働ける環境作りに取り組む「古谷デザイン建築設計事務所」が、設計スタッフを募集中深大寺ガーデン

志高く楽しく働ける環境作りに取り組む「古谷デザイン建築設計事務所」の、【募集職種】募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

古谷デザイン建築設計事務所では、建築設計、インテリアデザイン、ランドスケープデザインのスタッフを募集しています。
現在事務所スタッフは総勢9名で大小様々25のプロジェクトに取り組んでいます。

コロナ禍となり住み替えのニーズや開発機運の高まりから仕事量が増え、志を共にする方との出会いを期待しています。
仕事のご依頼は多岐にわたります。

個人のご自宅、別荘の新築設計から集合住宅や複合の商業施設の設計。
関西のオフィスビル改修、北陸の酒蔵の設計、海外の厩舎。古民家の改修や様々なビルディングタイプの意匠監修業務などです。
これらの設計監理業務に加えて弊社の強みである造園・ランドスケープ案件の設計施工及びスタッフの強みを生かしたインテリアコーディネート業務や企画提案業務など幅広く執り行っております。

できれば社会経験を積まれた方の応募が望ましいですが、一定のセンス、気力、体力、やる気をあわせ持った若い方も是非ご応募ください。
指導は厳しいですが、確実に成長していただけるとお約束いたします。

■代表者メッセージ
これは自慢ですが、とても活躍されているデザイナーさんやお客さん、お付き合いしている工務店の社長さんに「古谷さんのところは雰囲気いいよね」「スタッフの方たちが素敵だよね」と言われる機会を多く頂戴しています。日中の大半の時間をともにする仲間ですから、良くも悪くも家族付きあいのようなかたちを意識しているからかもしれません。
面白いプロジェクトが多く、毎日が創造性に溢れていて、なんて恵まれているのかと思います。スタッフにも、大変ながらもこの楽しさを共有してほしいといつも思っています。

南アフリカのカウンタースペースが完成させた、2021年のサーペンタイン・パヴィリオン。ロンドンにおける過去のコミュニティ空間を参照し問題を顕在化させつつ新たな集いの場となるパヴィリオンを構築
南アフリカのカウンタースペースが完成させた、2021年のサーペンタイン・パヴィリオン。ロンドンにおける過去のコミュニティ空間を参照し問題を顕在化させつつ新たな集いの場となるパヴィリオンを構築Serpentine Pavilion 2021 designed by Counterspace, Exterior View ©Counterspace Photo: Iwan Baan
南アフリカのカウンタースペースが完成させた、2021年のサーペンタイン・パヴィリオン。ロンドンにおける過去のコミュニティ空間を参照し問題を顕在化させつつ新たな集いの場となるパヴィリオンを構築Serpentine Pavilion 2021 designed by Counterspace, Interior View ©Counterspace Photo: Iwan Baan
南アフリカのカウンタースペースが完成させた、2021年のサーペンタイン・パヴィリオン。ロンドンにおける過去のコミュニティ空間を参照し問題を顕在化させつつ新たな集いの場となるパヴィリオンを構築Serpentine Pavilion 2021 designed by Counterspace, Interior View ©Counterspace Photo: Iwan Baan

南アフリカ・ヨハネスブルグを拠点とするカウンタースペースが完成させた、2021年のサーペンタイン・パヴィリオンです。イギリス・ロンドンにおける過去のコミュニティ空間を参照し、問題を顕在化させつつ新たな集いの場となるパヴィリオンを構築しています。カウンタースペースはヨハネスブルグを拠点とする女性3人組の建築設計事務所で、ディレクターも務めたスマイヤ・ヴァリーは、最年少でのサーペンタイン・パヴィリオン設計者とのこと。また、本来ならばこのパヴィリオンは2020年に実現される予定でしたが、コロナ禍により2021年に延期されていました。また、このパヴィリオンは、伊東豊雄(2002年)、SANAA(2009年)、藤本壮介(2013年)、石上純也(2019年)と日本人建築家も多数手がけています(こちらに歴代の設計者のリストがあります)。

こちらはリリーステキストの翻訳

第20回サーペンタイン・パヴィリオンは、ヨハネスブルグを拠点に活動するカウンタースペースが設計し、スマイヤ・ヴァリー(Sumayya Vally)がディレクターを務め、2021年6月11日にオープンします。TIME100 Next Listの受賞者であるヴァリーは、国際的に有名なこの建築プログラムの依頼を受けた最年少の建築家です。

(ご注意:パヴィリオンは2021年6月14日(月)は閉鎖されます。)

パヴィリオンのデザインは、ブリクストン、ホクストン、タワーハムレット、エジウェアロード、バーキング&ダゲナム、ペッカムなど、ディアスポラや異文化コミュニティにとって重要なロンドンのいくつかの地区にある、過去と現在の出会いの場、組織化された場、帰属意識に基づいています。このパヴィリオンは、街中のインフォーマルなコミュニティスペースが歴史的に抹殺され、不足していることに対応して、時を経てコミュニティを維持し、現在も維持している既存の場所や抹殺された場所を参照し、敬意を表しています。例えば、ファズル・モスクやイースト・ロンドン・モスクのような市内で最初に建てられたモスクや、ハックニーのCenterpriseのような協力的な書店達、ダルストン・レーンのフォーエースクラブ(Four Aces Club)、マングローブレストラン(The Mangrove restaurant)、ノッティングヒルカーニバル(Notting Hill Carnival)のような娯楽や文化の場などが挙げられます。パヴィリオンの形態は、親密さの尺度が異なる建築物の要素を抽象化し、重ね合わせ、つなぎ合わせた結果であり、ロンドンの形をケンジントンガーデンのパヴィリオン構造に変換したものです。これらの形が出会うことで、パヴィリオン内に新たな集いの場が生まれるのです。

パヴィリオンは、再生されたスチール、コルク、木材をマイクロセメントで覆って作られています。様々なテクスチャー、ピンクやブラウンの色調は、ロンドンの建築物から直接引き出されたもので、光の質の変化を参考にしています。

このプロジェクトでは、パヴィリオンのデザインに影響を与えたパートナー団体に、4つの「パビリオンのかけら」が設置されました。フィンズベリー・パークにある英国初の黒人向け出版・書店「New Beacon Books」、ノッティング・ヒルにある多目的会場兼コミュニティセンター「The Tabernacle」、デプトフォードにあるアートセンター「The Albany」、バーキング・アンド・ダゲナムのヴァレンス図書館にある新しい「Becontree Forever Arts and Culture Hub」(英国最大の公団住宅団地の100周年を記念して今年設立された)などです。これらのフラグメントは、これらの組織の日常業務をサポートすると同時に、長年サポートしてきた地域コミュニティの集まりを可能にし、敬意を表しています。建築を分散させて多くの声を取り入れるジェスチャーである「断片」は、パビリオンが設計された基本概念を都市に広げています。

パヴィリオンは、設立以来、サーペンタインのライブプログラムの拠点として定着しています。今年のパヴィリオンでは、アイン・ベイリーやジェイ・バーナードなどのアーティストの作品をフィーチャーした、特別に依頼されたサウンドプログラム「Listening to the City」が開催され、来場者はロンドンの厳選された地域のストーリーやサウンドに触れることができます。デザインプロセスは、より公平で持続可能かつ想像力に富んだ組織構造を考えることにも及び、ロンドンのコミュニティで活動するアーティストを支援する助成金およびフェローシッププログラム「Support Structures for Support Structures」を創設しました。

カウンタースペースのスマイヤ・ヴァリーは、このデザインについて次のように述べています。
「私の活動、そしてこのパヴィリオンは、アイデンティティ、コミュニティ、帰属、集いといったテーマに関心を持ち、さまざまな歴史を持つ複数の多様な声を増幅し、コラボレーションすることを中心にしています。この1年は、これらのテーマにはっきりと焦点を当て、このパヴィリオンに不可欠なコミュニティの驚くべき寛大さを振り返ることができました。その結果、パヴィリオンの物理的な寿命を超えて、その期間、規模、範囲を拡大するいくつかのイニシアチブが生まれました。孤立した時代にあって、これらの取り組みは、パヴィリオンの持続的なコラボレーションへの意図を深めています。」

サーペンタイン・アーティスティック・ディレクターのハンス・ウルリッヒ・オブリストとCEOのベッティナ・コレクは、顧問のデイヴィッド・アジャイ卿、レスリー・ロッコ教授、デイヴィッド・グローバーとともに、サーペンタイン・チームのジュリー・バーネル(建設・建物部門責任者)とプロジェクトのキュレーターであるナタリア・グラボフスカと共に、今年の建築家を選定しました。

木村日出夫+木村淳子 / STUDIO RAKKORA ARCHITECTSによる、京都の住宅「長岡京の家」
木村日出夫+木村淳子 / STUDIO RAKKORA ARCHITECTSによる、京都の住宅「長岡京の家」 photo©林口哲也
木村日出夫+木村淳子 / STUDIO RAKKORA ARCHITECTSによる、京都の住宅「長岡京の家」 photo©林口哲也
木村日出夫+木村淳子 / STUDIO RAKKORA ARCHITECTSによる、京都の住宅「長岡京の家」 photo©林口哲也

木村日出夫+木村淳子 / STUDIO RAKKORA ARCHITECTSが設計した、京都の住宅「長岡京の家」です。また2021年6月12日・13日に行われれるSTUDIO RAKKORA ARCHITECTSによる京都での内覧会の情報も末尾に掲載します。

敷地は1960年代に開発された住宅地にあり、近年住宅の老朽化や高齢化に伴い、新しい住宅の建設が周辺でも多くなっている。人工的に開発された住宅地の中で、周辺環境から住宅を設計するための拠り所を見つけ出すことは難しい。
そこで、クライアントからの「豊かな光環境」「愛犬を中心とした住まい」「おおらかな家族のつながり」という要望をもとに、建築内部のつくり方から住宅を考え、出来上がる建築の持つ空気感を周辺環境へ還元することができないかと考えた。

建築家によるテキストより

エントランスとなる大きな土間スペースは、犬の居場所を兼ねており、吹抜を通じて1,2階が連続しているため、常に愛犬の気配や、他の家族の気配を感じることができるとともに、建物全体に光の効果を引き出すための重要な空間要素となっている。

土間スペースを介して連続するヴォイド部分は、住宅の南北を縦断し、1階を2世帯が共に食事をしたりくつろいだりするリビング・ダイニング、2階を子世帯がアトリエのように使える自由な場所とした。

建築家によるテキストより
河部圭佑建築設計事務所による「くしゃくしゃ構造の『洞窟』」
河部圭佑建築設計事務所による「くしゃくしゃ構造の『洞窟』」 photo©三浦知也 photo courtesy of 名古屋市文化施策推進体制準備委員会
河部圭佑建築設計事務所による「くしゃくしゃ構造の『洞窟』」 photo©三浦知也 photo courtesy of 名古屋市文化施策推進体制準備委員会

河部圭佑建築設計事務所が設計した「くしゃくしゃ構造の『洞窟』」です。

鉄筋コンクリート造の中層ビル内に制作した空間作品である。プログラムとしては、ヴァイオリン独奏と映像投影によるパフォーマンスが行われたが、詳しくは後述する。

建築家によるテキストより

場所は名古屋市中区錦2丁目で、戦後は繊維問屋街として栄えた。町の成立ちは、江戸時代に徳川家康が名古屋城を築城した際の城下町を原形としており、大戦下に一度焼け野原になったが、戦災復興都市計画では道路幅員を拡張しながらもかつての町割りが再生された。

今回、空間作品を挿入した中層ビルも、間口が狭く奥行きの深い、いわゆる「うなぎの寝床」状の町割りが建物の平面形となっている。木造から鉄筋コンクリート造へ建材や工法の近代化を経て建設された6階建のビルは、エレベーターと階段という垂直動線を道路側に設けているため、1階部分の間口は更に狭くなり、奥に行けば少し大きな空間が広がるという空間形式を持つ。一方、1階の天井高は4mと高い。このビルと同じような成立ち・形式の建物は、かつての城下町エリア内に多く散見され、地域のタイポロジーとなっているが、近年にあっては、その歴史的・文化的価値や空間的特徴を背景に、愛知県主催の芸術祭の主要舞台にもなっている。

制作した空間作品は、1階の奥に広まった場所に配置しているため、道路からは狭い間口を通して、作品の一部分が切り取られるようにして見える。建物の奥へ入って行くにつれて作品の全貌が現れてくる。すなわち、この空間作品は、上述した町の歴史や空間形式との関係性の上に成り立っていると言える。

建築家によるテキストより

ここでは、シート状のものを一度くしゃくしゃにしてから広げ、ランダムな皺によってある程度形状を固めるという実験的な構造・工法を試みている。展示空間の床面積と同じ巨大なサイズの厚手の紙を、10人くらいの人手で一気に圧縮する。動線や視線の抜け、音響的な効果、スクリーンとしての機能性を考えながら、形状を調整し広げる。一部は床に着地し、一部は天井から吊り下がることで内部空間を保持する構造物である。空間そのものがギュッと凝縮したような、情熱的なエネルギーが集まったような空間を目指した。

建築家によるテキストより
黒川紀章の「中銀カプセルタワービル」の解体予定を受けクラウドファンディングが開催中。カプセルユニットを移動閲覧できる形式で保存する為の資金を募る
黒川紀章の「中銀カプセルタワービル」の解体予定を受けクラウドファンディングが開催中。カプセルユニットを移動閲覧できる形式で保存する為の資金を募る photo courtesy of 中銀カプセルタワービルA606プロジェクト
黒川紀章の「中銀カプセルタワービル」の解体予定を受けクラウドファンディングが開催中。カプセルユニットを移動閲覧できる形式で保存する為の資金を募る photo courtesy of 中銀カプセルタワービルA606プロジェクト

黒川紀章が1972年に完成させた、メタボリズム思想の代表的建築「中銀カプセルタワービル」の解体予定を受けクラウドファンディングが開催されています。カプセルユニットを移動閲覧できる形式で保存する為の資金を募っています。プロジェクトを行っている「中銀カプセルタワービルA606プロジェクト」の代表はいしまるあきこです。

解体される中銀カプセルタワービル。「3つの保存」に取り組みます。

残念ながら、2022年3月以降に中銀カプセルタワービルの解体が予定されています。解体にあたって、私たちは「3つの保存」に取り組み、未来にカプセルをシェアしていきたいと考えています。

1. 記録保存  中銀カプセルタワービルの全戸調査による記録保存
2. カプセル保存 カプセル躯体とオリジナルパーツの保存
3. シェア保存  動くモバイル・カプセルとして多くの方とシェアして残す

1. 記録保存
中銀カプセルタワービル全戸の学術的調査(実測調査、写真撮影、Theta撮影、ドローン撮影など)をおこない、解体されたら消えてしまう中銀カプセルタワービルのさいごの姿を、記録を残すことで後世に伝えます。

調査にあたって、大月敏雄先生(東京大学教授)にご指導頂き、志岐祐一氏(株式会社日東設計事務所)、渡邉義孝氏(一級建築士事務所 風組・渡邉設計室)、大月研究室ら有志の方々に無償ボランティアでご協力頂きます。特にアスベスト環境下の作業は、アスベスト作業員等の講習を受けたA606代表のいしまるあきこ(石丸彰子)と副代表のみでおこないます。

2. カプセル保存
A606オーナーである中銀カプセルタワービルの「買い受け企業」から譲り受けるカプセルユニットと、取り外す予定のカプセルのオリジナル家具・機器類を、のちに組み合わせることでカプセルのオリジナルを保存します。オリジナルパーツが消えてしまう前に救って、再度オリジナルのカプセルユニットと組み合わせます。

3. シェア保存
「使うことで残す」ことを実践してきた私たちは、使い続けながらより多くの方とカプセルをシェアしていけるようにします。

カプセルを動かせるようにすることで、たとえば、建築学科のある大学や美術館・博物館に移動して、多くの方とオリジナルのカプセルユニットをシェアできるような仕組みをつくっていきたいと考えています。どこかに移築保存するやり方もあるとは思いますが、私たちはカプセルを移動できるようにすることがふさわしいと考えました。動くカプセルは黒川紀章氏の「カプセルは、ホモ・モーベンス(=動民)のための建築である」、「動く建築」の思想の実現でもあるからです。

以下に「中銀カプセルタワービル」の写真を掲載します。

服部大祐による連載エッセイ“Territory of Imagination” 第2回「メンドリジオでの学びとSchenk Hattoriでの近作」
服部大祐による連載エッセイ“Territory of Imagination” 第2回「メンドリジオでの学びとSchenk Hattoriでの近作」

メンドリジオでの学びとSchenk Hattoriでの近作

text:服部大祐

 
2008年に大学を卒業した後、イタリア国境にほど近いスイスのメンドリジオという田舎街に留学しました。
当初は3年程で帰るつもりでいましたが、気がつくとちょうど10年ヨーロッパで生活をしていました。その間にベルギーで事務所を始めたこともあり、日本に帰国してからも頻繁にあちらに行く生活が続いていたのですが、去年はコロナ禍の影響で再三渡航が中止となり、本当に久しぶりに1年中日本国内に居る年となりました。
こんな状況で当時のことを回想すると、割と最近のことだったはずなのに、なんだか随分昔の出来事だったような気がしてきます。そういうわけで、今回のエッセイでは、薄れゆく記憶が完全に消える前に僕が通っていたメンドリジオ建築アカデミーについて、そしてコロナ禍で進めていたプロジェクトについて書きたいと思います。

 
アトリエ・サージソン

僕がメンドリジオに留学を決めた理由はごくシンプルで、様々な国の第一線で活躍している建築家が何人もこの学校で教鞭を執っていたからです。「ここしかない」と思いポートフォリオを送り、周囲の助力もあり無事入学が認められました。メンドリジオはイタリア語圏に位置するので、授業は当然イタリア語で行われます。ちんぷんかんぷんな講義はほどほどに、文字通り四六時中アトリエ(※日本でいう設計製図課題)での作業に没頭する毎日を送りました。

そこまで集中出来たのは、メンドリジオが何の娯楽もない田舎街だったことや、家族のサポートを受けて留学させて貰っている気負いなどもあったとは思いますが、何よりも、本当に設計課題が面白かったからだと回想します。アトリエは選択制で、各アトリエ課題はそれぞれ建築家である教授の個性を思い切り反映した内容になっており、アトリエが変われば考え方も、アウトプットの形式も、評価の基準もまるで変わります。なので、毎学期新鮮な気持ちで取り組むことが出来るのです。
教授の個性は様々ですが、ヴァレリオ・オルジャッティの言う「アイデア」や、クイントス・ミラーの言う「参照」「メモリー」などについては、既に様々なメディアでも言及されている話なので、ここではサージソン・ベイツを共同主宰するジョナタン・サージソンについて少し説明します。
ロンドンとチューリッヒを拠点に活動している設計事務所サージソン・ベイツは、作品集も多く出版され、最近ではヨーロッパを中心に数々の巨大コンペで勝利しています。しかしその割には日本で取り上げられる頻度は少なく知名度も今ひとつのように感じます。思うにその理由は、彼らの作品が一見すると「地味」だから。

ザハ・ハディド・アーキテクツが、ハイパーループ・イタリアと提携し、未来の交通手段をデザイン

ザハ・ハディド・アーキテクツが、ハイパーループ・イタリア(Hyperloop Italia)と提携し、未来の交通手段をデザインします。動画と画像を掲載します。日本では、妹島和世が西武鉄道の特急車両「Laview」を手掛けるなどの事例があります。

こちらはリリーステキストの翻訳

ザハ・ハディド・アーキテクツ(ZHA)は、ハイパーループ・イタリアと、第4次産業革命の流れの中で交通の世界の転換点となる次なる段階の作品を共同でデザインする契約を締結しました。(ローマ-ミラノ-ロンドン、2021年6月1日)

ハイパーループ®は、超高速で乗客を安全に、経済的に、そして持続的に輸送します。再生可能エネルギーのみで駆動する受動的な磁気浮上技術を用いたハイパーループ®は、摩擦を最小限に抑えるために低圧のチューブを通して乗客や貨物のカプセルを推進し、従来の公共交通機関に必要なエネルギーのほんの一部しか必要としません。
再生可能エネルギーとエネルギー回収ブレーキシステムを組み合わせることで、ハイパーループのインフラは、消費するエネルギーよりも多くのエネルギーを生み出すことができます。気温がコントロールされた乗客用カプセルは、密閉されたチューブの中を移動し、外部環境の影響を受けません。

ザハ・ハディド・アーキテクツとハイパーループ・イタリアのパートナーシップは、ローマのMAXXI美術館や2012年ロンドンオリンピックのアクアティクスセンターなど、市民や文化のための建築物を30年間にわたって手がけてきたザハ・ハディド・アーキテクツの経験を引き継ぐものです。また、ザハ・ハディド・アーキテクツは、オーストリアの登山鉄道フンガーブルグ・ノルトパーク、ナポリ・アフラゴラ高速鉄道駅、北京大興国際空港、リヤド新地下鉄システムのKAFDインターチェンジ駅など、世界各地で受賞歴のある交通インフラを建設してきたほか、アブダビのランドマーク的存在であるシェイク・ザイード橋や、台北近郊で建設中の丹江橋なども手がけています。

ザハ・ハディド・アーキテクツの代表であるパトリック・シューマッハは次のように述べています。
「私たちは、ハイパーループ・イタリアとのコラボレーションを楽しみにしています。変革をもたらす建築、エンジニアリング、都市計画を、最も効率的で持続可能な交通ネットワークと結びつけることで、都市におけるアクセス性、接続性、福祉を大幅に向上させることができます。我々はハイパーループ・イタリアの学際的なアプローチを共有しています。このアプローチでは、デザインや運営技術の革新と、環境に配慮した材料や建設方法の進歩を組み合わせることで、空間的に独創的で、構造的に効率が良く、環境的に持続可能な、未来に強いプロジェクトを提供することができます。」

ハイパーループ・イタリアの創設者兼CEOであり、Hyperloop Transportation Technologies(HyperloopTT)の共同創設者でもあるビバップ・グリスタ(Bibop Gresta)は次のように述べています。
「今回の合意は、ハイパーループ・イタリアと第4次産業革命の発展に向けた新たな一歩となります。これは、ハイパーループ®技術の開発に携わる世界最高の人材を集めるためにハイパーループ・イタリアが先月開始したHyperloop Partnership Programの成功を裏付けるものです。ザハ・ハディド・アーキテクツは、ハイパーループ・イタリアが卓越した建築デザインを推進する上で、最適なパートナーであると確信しています。ザハ・ハディド・アーキテクツの数十年にわたる市民生活や交通インフラに関するグローバルな経験は、ハイパーループ・イタリアの交通ハブが直感的に操作でき、持続可能で、都市のコンテクストに完全に統合されたものであることを保証するために不可欠です。私たちは、リサイクル率の高い新世代の環境に優しい素材を使って、世界で最もアクセスしやすく、便利で安全な交通システムを構築することを約束します。」

ハイパーループ・イタリアのChief Revenue OfficerであるAndrea Minerdoは以下のように同意します。
「数ヶ月にわたる詳細な評価の結果、我々はイタリア半島におけるハイパーループ・イタリア・プロジェクトのほとんどを決定づけるパートナーシップを確立し、最速かつ最も効率的な輸送技術でコミュニティをつなぐことになりました。」

ザハ・ハディド・アーキテクツのディレクター、フィリッポ・イノチェンティ(Filippo Innocenti)は次のように述べています。
「私たちのデザインは、環境とすべてのコミュニティに配慮しながら、未来を見据えています」
また、ザハ・ハディド・アーキテクツのプロジェクト・アーキテクトであるジャン・ルカ・バローネ(Gian Luca Barone)は次のように述べます。
「ザハ・ハディド・アーキテクツは世界中で有名な建築物を建設してきましたが、イタリア人である私たちは、ハイパーループ・イタリアと提携し、21世紀の交通システムをイタリアの人々に提供できることを特に誇りに思っています。」

小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、神奈川・横浜市の「関内の集合住宅(ZOOM Yokohama Kannai)」
小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、神奈川・横浜市の「関内の集合住宅(ZOOM Yokohama Kannai)」 photo©矢野紀行写真事務所
小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、神奈川・横浜市の「関内の集合住宅(ZOOM Yokohama Kannai)」 photo©矢野紀行写真事務所
小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、神奈川・横浜市の「関内の集合住宅(ZOOM Yokohama Kannai)」 photo©矢野紀行写真事務所

小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSが設計した、神奈川・横浜市の「関内の集合住宅(ZOOM Yokohama Kannai)」です。

関内駅から徒歩3分の横浜文化体育館前の交差点に面する角地に計画された集合住宅。

この敷地には元々、「不老町2丁目第一共同ビル」という宮内建築設計による小さな県公社共同ビルが建っていた。交差点を挟んで反対側には横浜文化会館のPFI再整備事業としてメインアリーナの工事が進められており、近くの教育文化センター跡地には関東学院大学のキャンパスも建設されていて、エリア全体が大きく様変わりしてきている。

このプロジェクトでも既存が4階建てだったが、11階建てのマンションとして計画され、22-25m2程度の小さめの面積の住戸が集まる投資用の賃貸住宅として分譲される。アリーナの正面に位置することもあり、建物全体をファサードでアピールする事も求められた。

建築家によるテキストより

大規模集合住宅では、各住戸からの効率の良い避難のため、隔て壁を蹴破って避難ハッチを共有できる様に住戸の前面に連続するバルコニーを設けている。しかしながらファサードの意匠としてはバルコニーを前提としなければならず、特に小さな住戸が並ぶこの集合住宅では、隔て壁が2.9m毎に必要になるため、ファサードでも住戸の小ささがことさらに強調されてしまう。

また、オーナーが一棟丸ごと所有する小規模な集合住宅であれば、バルコニーを無くしても、空調の室外機はまとめて屋上に設置できるが、分譲集合住宅の場合、空調機は個々の管理になるため、室外機置き場としてもバルコニーは必要である。香港の高層集合住宅のように、室外機を壁面の架台に設置する事も可能だが、やはりメンテナンス時の安全性を考えるとバルコニーが望ましい。

建築家によるテキストより

このプロジェクトでは、各階のスラブを前面まで持ち出して水平ラインを印象付ける事で、近隣の防火帯建物に馴染ませる様にしている。また、バルコニーで小さな住戸ユニットが強調されず、ファサードを大きな面として表現しつつも、内部から感じる開放感を確保するために、これらの水平スラブの間に縦糸の様に薄いコンクリートパネルを配置した。

隔て壁部分には住戸区画を兼ねた奥行きの深いパネル、それ以外の部分にも様々な奥行きのパネルをランダムに設置する事で、戸境を目立たせないようにしつつ、ファサード全体をリズミカルな面として表現した。角地のコーナー部分にある住戸の妻壁や、棟内にある機械式駐車場を囲む低層部の壁にも、バルコニー前面と同様のパネルを回すことで、ファサードを水平に連続させている。

建築家によるテキストより
宮城島崇人による、富山・南砺市の、ゲストハウス使用も視野に入れた既存住宅の改修「民家と城端」。周辺環境を鼓舞する建築を意図しそれを伝える‟環境写真”も紹介
宮城島崇人による、富山・南砺市の、ゲストハウス使用も視野に入れた既存住宅の改修「民家と城端」。周辺環境を鼓舞する建築を意図しそれを伝える‟環境写真”も紹介 photo©竹内吉彦
宮城島崇人による、富山・南砺市の、ゲストハウス使用も視野に入れた既存住宅の改修「民家と城端」。周辺環境を鼓舞する建築を意図しそれを伝える‟環境写真”も紹介 photo©竹内吉彦
宮城島崇人による、富山・南砺市の、ゲストハウス使用も視野に入れた既存住宅の改修「民家と城端」。周辺環境を鼓舞する建築を意図しそれを伝える‟環境写真”も紹介 photo©竹内吉彦

宮城島崇人建築設計事務所が設計した、富山・南砺市の、ゲストハウス使用も視野に入れた既存住宅の改修「民家と城端」です。
また宮城島が自身のテーマとして‟周辺環境を鼓舞する建築”を掲げており、本建築と周辺環境の関わりの様子を伝える事を意図した‟環境写真”も紹介します。

善徳寺の門前町として栄え、歴史的な町並みの面影を残す南砺市城端エリアに移住を決めた若い夫婦は、将来的にゲストハウスを営むことを視野にいれ、築50年ほどの民家を購入した。窓が多い無断熱の民家はそれなりに傷みがあったので、新たな生活が始められるよう、2階はそのままに、1階部分の断熱・耐震改修を通して、夫婦の生活空間とゲストハウスの共用部分をつくることが求められた。

建築家によるテキストより

城端駅から民家へ至る道のりは印象的であった。町家の並ぶ通りを抜けて坂道を登り、美しい木彫が目を引く善徳寺山門を過ぎて、細い路地を下ってゆくと、趣のある家屋や絹織物工場、川の水面が次々と目に飛び込み、ふと遠く山並みまで視線が抜ける。変化に富むこのシークエンスと地続きであるような建築をつくろうと考えた。

建築家によるテキストより

限られたコストのなかで効果的に断熱・耐震改修するため、外壁にはできるだけ手をつけず、室内側から改修する方針とした。生活の跡が染みついた内装をやりかえ、風景に溶け込んでいたトタン外壁の佇まいを活かす。断熱性の乏しい既存アルミサッシは、同じサイズの‟出窓”に置き換える。出窓化することで、ガラス面積を絞ることができ、既存外壁との取り合いもシンプルになる。三角形の平面形状をした出窓は、さまざまな角度をもって周辺の環境に向き合い、内部空間を押し広げる。

その結果、アプローチを向いたショーケース、旧市街地を望むベッドのヘッドボード、庭の小道と連続したダイニングのベンチ、遠くに山並みが見える縁側といった具合に、新しい機能が周辺環境とのかかわりあいのなかに発見された。これらは、無味乾燥な機能ではなく、歓びや快適さを伴った、‟この場所ならではのやり方”である。出窓は杉の下見板で覆った。経年変化したトタンの外壁に、真新しい杉板貼りの出窓が踊る、異なる時間を含んだダイナミックな外観となった。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/5/31-6/6]
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/5/31-6/6]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2021/5/31-6/6)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 大西麻貴+百田有希 / o+hが、島根県・邑南町の「道の駅瑞穂」設計プロポーザルで第一候補者に選定
  2. 遠藤克彦建築研究所が設計した、東京・大田区の住宅「系の家」。意匠・構造・設備の統合による‟持続と更新”を意識した建築
  3. 青木淳に、建築を志した出来事・建築の面白さ・進行中のプロジェクト等について聞いている動画。自身の事務所で収録され作品の背景のエピソードも語られる
  4. ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート1)
  5. 伊達翔+後藤周平による、兵庫・神戸市の住宅「公園に暮らす家」
  6. 隈研吾による、東京・調布市の「桐朋学園宗次ホール」の写真
  7. Atelier Tsuyoshi Tane Architectsによる、フランス・パリの「レストラン・メゾン」
  8. 西沢大良・乾久美子・藤村龍至による鼎談「ウイルス・都市・住宅──変革の今、建築と人がもつべき想像力」
  9. ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示「ふるまいの連鎖:エレメントの軌跡」。門脇耕三のキュレーションで、長坂常・岩瀬諒子・木内俊克・砂山太一・元木大輔が、日本の木造住宅の材を再構築した作品を制作
  10. アアルトの建築展「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」をフォトレポート。世田谷美術館で開催され、原寸大での展示も多数展開
  11. 村上智也 / BENDSによる、大阪市の「いづる保育園 うつぼ」
  12. ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート2)
  13. ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート4)
  14. ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021の、各国パヴィリオンのテーマと会場写真。合計350枚以上の豊富な写真で紹介(パート3)
  15. スノヘッタが新設部分のデザインを手掛け、シャティヨン・アーキテクツが修復と再開発を担当した、パリの「カルナバレ博物館」。17世紀に完成した建築の原形を尊重した上で現代に合わせアップデート
  16. 隈研吾のデザイン監修による、チタンの表面に木の質感を表現した、ルーバー建材が発売へ
  17. 堤由匡建築設計工作室による、中国・雲南省の、既存古民家を改修し増築した宿泊施設「青普麗江白沙文化行館」
  18. へザウィック・スタジオがニューヨークに完成させた水上の公園「リトル・アイランド」。彫刻的なプランターが連なり緑豊かな場を形成する同施設を豊富な写真と図面等で紹介
  19. 中西正佳によるラタンチェア「IDENTITY」と、その制作過程を綴ったエッセイ「畑違いの建築士が、インドネシア工場に乗り込み量産家具を実現するまで」
  20. 能作淳平建築設計事務所による、東京・日本橋の、既存倉庫を改修したオフィス「101 BASE」をレポート。建て込んだ中でのカーテンウォールが周辺環境を内部に取り込む

【ap job更新】 意匠性と事業性を同時に実現し顧客からも高い評価を得る「(株)キー・オペレーション一級建築士事務所」が、Revitが使える設計スタッフ(正社員)を募集中
【ap job更新】 意匠性と事業性を同時に実現し顧客からも高い評価を得る「(株)キー・オペレーション一級建築士事務所」が、Revitが使える設計スタッフ(正社員)を募集中
【ap job更新】 意匠性と事業性を同時に実現し顧客からも高い評価を得る「(株)キー・オペレーション一級建築士事務所」が、Revitが使える設計スタッフ(正社員)を募集中関内の集合住宅

意匠性と事業性を同時に実現し顧客からも高い評価を得る「(株)キー・オペレーション一級建築士事務所」の、Revitが使える設計スタッフ(正社員)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

株式会社キー・オペレーション一級建築士事務所では、Revitが使える設計スタッフを募集しています。

代表の小山光は、デビッド・チッパーフィールド・アーキテクツなどのイギリスの建築設計事務所で7年ほど実務経験を積んで、イギリスの建築家の資格を取得しました。2003年からZara Japanの店舗開発部長としてZaraの店舗開発に関わり、2005年にキー・オペレーションを設立しました。

海外ブランドのプロジェクトマネジメントをメインに業務を進めてきましたが、ここ数年は設計案件の割合が8割を超え、分譲マンション、賃貸集合住宅、テナントビル、飲食店、映画館、事務所ビル、個人住宅から霊園まで多様なプロジェクトを手掛けています。

商業施設や集合住宅に求められる事業性を丁寧に追求しながら、高い意匠性を実現していることで、顧客からの高い評価を得て、新規物件獲得につながっています。

入社された皆さんには建築の意匠性と同時に事業性を念頭においた設計業務に取り組むことで、設計者としてだけでなく、将来的に経営者としても役立つスキルを身に着けていただけるのではないかと考えています。

事務所は学芸大学の商店街に面した駅から徒歩3分のビルにあり、ランチがおいしいお店も近くにたくさんあります。事務所のメンバーは7人で規模も小さく、アットホームな雰囲気です。メンバー同士のコミュニケーションを大切にし、自由に提案ができる充実した職場環境を目指しています。

建築の設計に熱意をお持ちの方と一緒にお仕事が出来ればと思っております。

【受賞歴】
2020「ZOOM戸越銀座」German Design Awards 2020 WINNER 受賞
2018「神田テラス」German Design Award2019 Special Mention受賞
2018「神田テラス」Blueprint Awards 2018-Commended
2018「神田テラス」 A+ Awards2018 +Facades People’s Choice 受賞
2016「猪名川霊園倉庫棟」Good Design 賞受賞
2015「テラスビル・ヒルトップビル」Good Design 賞受賞
2014「小町ビル」Good Design 賞受賞
2012「yotsuyatenera」RIBA (英国王立建築家協会) 国際賞受賞
2012「yotsuyatenera」ARCHITIZER A+AWARDS 2013 受賞
2011「ReNOA元住吉」Good Design 賞受賞
その他多数

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