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第8回京都建築賞の入賞作品が発表。最優秀賞は、青木淳・西澤徹夫らによる「京都市美術館」が選出

第8回京都建築賞の入賞作品が発表されています。最優秀賞は、青木淳・西澤徹夫らによる「京都市美術館」が選出されています。深草の工房住宅については、アーキテクチャーフォトで特集記事としても紹介しています。

<京都建築賞>
最優秀賞「京都市美術館」
設計者:青木淳(株式会社青木淳建築計画事務所)、西澤徹夫(西澤徹夫建築事務所)、森本貞一(株式会社松村組)、久保岳(株式会社昭和設計)、中山至(株式会社昭和設計)、西田典弘(株式会社昭和設計)、鳥居久人(株式会社昭和設計)

優秀賞「深草の工房住宅」
設計者:髙橋勝(髙橋勝建築設計事務所一級建築士事務所)

奨励賞「HOSOO FLAGSHIP STORE」
設計者:細尾直久(HOSOO architecture)、高吉輝樹(TT Architects株式会社)

<藤井厚二賞>
「中宇治 yorin」
設計者:山根健太郎(一級建築士事務所エキスポ)、武田憲人(一級建築士事務所エキスポ)、山田央彦(一級建築士事務所エキスポ)

庄司光宏 / UCHIDA SHANGHAIによる、中国・常熟市の、ロボット先端技術等のファクトリー併設研究所「horizontal factory」
庄司光宏 / UCHIDA SHANGHAIによる、中国・常熟市の、ロボット先端技術等のファクトリー併設研究所「horizontal factory」 photo©長谷川健太
庄司光宏 / UCHIDA SHANGHAIによる、中国・常熟市の、ロボット先端技術等のファクトリー併設研究所「horizontal factory」 photo©長谷川健太
庄司光宏 / UCHIDA SHANGHAIによる、中国・常熟市の、ロボット先端技術等のファクトリー併設研究所「horizontal factory」 photo©長谷川健太

庄司光宏 / UCHIDA SHANGHAIが設計した、中国・常熟市の、ロボット先端技術等のファクトリー併設研究所「horizontal factory」です。

与えられた敷地は人工的な1万平米の工場空間。ここにロボット先端技術を中心としたファクトリーとラボが共存する空間を設計するのが常熟市政府からの要求であった。

まず、折り紙のような鉄板のゲートをくぐると機械的な配置のトップライトを持った大空間が広がる。あまりにも無個性な既存空間に対しては外部として扱い、その中に建築を配置していくといった考えで設計を始めた。

建築家によるテキストより
宮川清志 / SESNによる、東京・銀座の、美容クリニック「N BEAUTY CLINIC GINZA」
宮川清志 / SESNによる、東京・銀座の、美容クリニック「N BEAUTY CLINIC GINZA」 photo©見学友宙
宮川清志 / SESNによる、東京・銀座の、美容クリニック「N BEAUTY CLINIC GINZA」 photo©見学友宙
宮川清志 / SESNによる、東京・銀座の、美容クリニック「N BEAUTY CLINIC GINZA」 photo©見学友宙

宮川清志 / SESNが設計した、東京・銀座の、美容クリニック「N BEAUTY CLINIC GINZA」です。

中央区銀座にある美容クリニック、N BEAUTY CLINIC GINZAのデザイン。
曲線や曲面をずらしながら合わる事で、空間に連続性と誘発性を持たせながら自然さを保っています。銀座という場所にローカライズできる様にピンクブロンズをはじめ自然な深みのある色や素材で単調さの中に品格を保つ様に計画しています。

デザイナーによるテキストより
五十嵐太郎による連載・反東京としての地方建築を歩く の11回目「終わらないトリエンナーレとしての名古屋の建築」

五十嵐太郎による連載・反東京としての地方建築を歩く の11回目「終わらないトリエンナーレとしての名古屋の建築」が、wirelesswire.jpに掲載されています。

OMAが設計した、東京・渋谷のミヤシタパーク内の、プラダの新店舗「プラダ MIYASHITA PARK店」の写真

OMAが設計した、東京・渋谷のミヤシタパーク内の、プラダの新店舗「プラダ MIYASHITA PARK店」の写真が8枚、designboomに掲載されています。

石川素樹建築設計事務所による、秋田・横手市の住宅「朝日が丘の家」
石川素樹建築設計事務所による、秋田・横手市の住宅「朝日が丘の家」 photo©ARCHI HATCH
石川素樹建築設計事務所による、秋田・横手市の住宅「朝日が丘の家」 photo©ARCHI HATCH
石川素樹建築設計事務所による、秋田・横手市の住宅「朝日が丘の家」 photo©ARCHI HATCH

石川素樹建築設計事務所が設計した、秋田・横手市の住宅「朝日が丘の家」です。

住宅街の角地にある朝日が丘の家では、日照のために掃き出し窓といった形状で開口部を大きく取ると、除雪車の頻繁な行き来によるガラスの損傷が懸念され、手作業では除雪の大変さが考えられることから、閉じながらも日照を確保する方法を模索することとなった。加えて分離しながらも容易にアクセスできる2世帯住居であることも求められた。

それらを踏まえ、高低差のある敷地形状を使い、低い方を親世帯、高い方を子世帯とし、中心に階段室を据えたスキップフロアとした。踊り場や吹き抜け部を窪ませ大きく開口を設けることで、雪をかわしその場所がサンルームの役割を果たすようにしている。この矩形の中に挿入されたサンルームは、動である中央の階段部と静の室に対し適度な距離感をつくりつつ、接する室に光の陰影による奥行き感とリズミカルな連続性を生み出す緩衝帯となっている。

建築家によるテキストより
「-密閉を避ける-避難所での換気の5つのポイント」(日本建築学会)

「-密閉を避ける-避難所での換気の5つのポイント」という資料を日本建築学会が公開しています。

環境工学委員会 空気環境運営委員会 換気・通風による感染対策WG(長谷川麻子主査(熊本大学))の飯野 由香利 委員(新潟大学)、小林 光 委員(東北大学)、山本 佳嗣 委員(東京工芸大学)は、これまでの研究成果をもとに、避難所において実施できる感染対策としての「換気」の方法をまとめました。災害直後の緊急時であっても、即座に見て分かりやすいよう、佐藤 正章氏(鹿島建設)のご協力によるイラストをふんだんに採り入れています。各自治体の災害対策や、ご家庭や学校での防災教育の一環として、お役立ていただければ幸いです。

Horibe Associates architect’s officeによる、大阪市の住宅「東住吉の家」
Horibe Associates architect’s officeによる、大阪市の住宅「東住吉の家」 photo©笹倉洋平
Horibe Associates architect’s officeによる、大阪市の住宅「東住吉の家」 photo©笹倉洋平
Horibe Associates architect’s officeによる、大阪市の住宅「東住吉の家」 photo©笹倉洋平

Horibe Associates architect’s officeが設計した、大阪市の住宅「東住吉の家」です。

モルタルの壁面に沿ってアプローチを進み玄関へ
先への空間の対比として、仕上げの明度を落とし、天井を低く抑えた玄関を抜けると
3層吹き抜けた明るいリビング空間が広がります。

リビングの大きな気積を回遊するように階段を配置し、この気積を中心として諸室が配されます。

家族の中心に据えられた一つの気積は、それぞれの気配を常に感じさせ安心感をもたらし、回遊する階段は移り変わる視線のシークエンスを生み、日々の生活に変化をもたらします。

建築家によるテキストより
テレビドラマ「名建築で昼食を」の第3回(ビヤホールライオン銀座登場回)が、TVerで9月6日まで無料視聴可能

テレビドラマ「名建築で昼食を」の第3回(ビヤホールライオン銀座登場回)が、TVerで2020年9月6日1:25(終了予定)まで無料視聴可能です。

カフェの開業に向け自宅でカレーの試作品を作っている藤(池田エライザ)と綾子(小川紗良)。そこに千明(田口トモロヲ)から「麦畑でランチしませんか?」とメールが…。
向かったのは現存する日本最古のビヤホール・銀座ライオン。装飾のコンセプトは『豊穣と収穫』。麦の穂を現した柱、ビールの泡をモチーフにした白くて丸い照明、開店当時からのレトロなタイル、、、「乙女建築」に触れ盛り上がる藤と千明。ランチには名物の牛煮込みとビーフカレーを頂く。そこで仕事の話になり、今の仕事をあまり楽しめていない事、つい友人と自分を比べてしまう事など、藤は抱えていた悩みを千明に打ち明ける。

【ap job更新】 国内外の照明デザインを手掛ける「WORKTECHT&Co.」が、グローバルに活躍する建築照明アシスタントデザイナー(新卒歓迎)、広報・PR、CADオペを募集中
【ap job更新】 国内外の照明デザインを手掛ける「WORKTECHT&Co.」が、グローバルに活躍する建築照明アシスタントデザイナー(新卒歓迎)、広報・PR、CADオペを募集中
【ap job更新】 国内外の照明デザインを手掛ける「WORKTECHT&Co.」が、グローバルに活躍する建築照明アシスタントデザイナー(新卒歓迎)、広報・PR、CADオペを募集中ショールーム

国内外の照明デザインを手掛ける「WORKTECHT&Co.」の、グローバルに活躍する建築照明アシスタントデザイナー(新卒歓迎)、広報・PR、CADオペ募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

WORKTECHT&Co.国内外の照明デザインを手がけてきた代表の金田が、1996年に独立して立ち上げた当社。
高いデザイン性はもちろん、建築物の構造を最大限に活かした照明設計の技術力が高い評価を受け、依頼は年々増加しています。
海外の拠点やクリエイターと仕事をする機会もありグローバルに活躍できる環境です。

WORKTECHT&Co.http://www.worktecht.com/

【建築実績】
和光本館、インターコンチネンタル横浜Pier8、ハイアットリージェンシー瀬良垣、
ザ・リッツカールトン京都、日本平ホテル、コンラッド大阪、Galaxy Harajuku etc

この度新たなメンバーをお迎えすることとなりました。

新しいチームのメンバーとして、建築や照明やインテリアやアート、人に興味のある方、
建築照明が好きな方、積極的に人とコミュニケーションをとることができる方、やる気のある方、会社と共に変化、成長をしていける方とご一緒できればとスタッフ一同考えています。

小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、東京・目黒区の集合住宅「不動前の空地」
小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、東京・目黒区の集合住宅「不動前の空地」外観。 photo©Nacasa & Partners Inc.
小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、東京・目黒区の集合住宅「不動前の空地」窓先空地。 photo©Nacasa & Partners Inc.
小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、東京・目黒区の集合住宅「不動前の空地」101リビング。 photo©Nacasa & Partners Inc.

小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSが設計した、東京・目黒区の集合住宅「不動前の空地(ヴォイド)」です。

目黒不動尊の門前にある小さな商店街に面した敷地に計画された5階建ての14戸からなる賃貸集合住宅。
東京都内の、間口が狭く、奥行きの深い敷地に、小さい賃貸住戸を効率よくレイアウトする際に設計者が頭を悩ませるのは、敷地の奥側の住戸の窓先空地の取り方である。
また、前面道路に面している住戸以外は、隣地に面して窓を設けても、隣接する建物の壁が敷地境界まで迫っているため、採光や通風に効果的な開口をとることができず、あまりいい住環境にならないことが多い。
こちらの集合住宅では、このような間口が狭く奥行きの深い都心の敷地で、収益性を高める密度を保持しながら、採光・通風に配慮した快適な住環境を追求した。

建築家によるテキストより

敷地の奥行きが17mあるので、まず敷地の前後2つのヴォリュームに分けて、その間に抜けの空間を作り、そこに各住戸へアプローチする階段を設けた。
また2つのヴォリュームの四隅を切り欠いて、6か所のヴォイドを設け、各住戸に光を取り入れ、快適な内部環境を生み出している。このプロジェクトのように、周辺を敷地際まで建物で囲われた敷地において、特に低層階で隣地側の開口は採光上有効な開口部にできなくなることが多い。建物ヴォリュームの角を切り落とし、ヴォイドを設けて隣地との離隔を取ることで、ヴォイドに面する開口は、建築基準法の採光上も有効な開口となる。この集合住宅の延床面積では、窓先空地幅員に2m必要なため、1Fでは屋外通路が間口の1/4近くを占める。屋外通路はピロティも可能なので、2Fからは敷地境界から50cmの位置まで張り出している。上記のヴォイドのひとつにアプローチの屋外通路をつないで、法規上必要な窓先空地とした。窓先空地は避難経路としての機能に目が行きがちだが、居室の採光と通風の確保も目的としている。

建築家によるテキストより

この集合住宅にはネコとの共生のアイデアが多く取り入れられている。
ワンルームタイプでも2〜3匹までの多頭飼いができるようにして、飼い主が日中不在でも、ネコが寂しがらないようにしている。エアコンには外出先からリモートで操作できるスマートエアコンを採用して、留守番をしているネコの環境を調整できるようにしている。
リビングや寝室にネコ用トイレを置かなくても済むように、換気扇がついた洗面所にネコトイレを2〜3個置けるようにしている。洗面所への扉など、ネコの動線上の扉にはネコ用小扉をつけて、自由に行き来ができるように配慮している。
玄関に迎えに来るネコの脱走を防ぐために、玄関と居室の間には中扉を設けた。外出前には服に着いたネコの毛を取ったり、落ち着いて身支度ができるようになっている。
ネコが勝手に扉を開けてしまわないように、扉の取っ手はレバーハンドルではなく、握り玉にして、引き戸の必要な箇所にも、鍵を設置して、ネコのアクセスをコントロールしている。
6つの「窓先空地」に面した窓辺には、光と風が通り、ネコが2〜3匹ゆったり昼寝できる大きな窓台を設けている。ここは日光浴をしたり、外の景色を眺めたりできる、人間もリラックスできる空間になっている。
高いところが好きなネコのために、窓枠の上などにネコ用ロフトスペースを設け、ホットカーペットやミニ扇風機にためのコンセントも設置されている。

建築家によるテキストより
長坂常 / スキーマ建築計画による、韓国・ソウルの、スポーツウエアブランドSpyderの店舗「Spyder 旗艦店 江南」
長坂常 / スキーマ建築計画による、韓国・ソウルの、スポーツウエアブランドSpyderの店舗「Spyder 旗艦店 江南」 photo©Jiseon Park
長坂常 / スキーマ建築計画による、韓国・ソウルの、スポーツウエアブランドSpyderの店舗「Spyder 旗艦店 江南」 photo©Jiseon Park
長坂常 / スキーマ建築計画による、韓国・ソウルの、スポーツウエアブランドSpyderの店舗「Spyder 旗艦店 江南」 image©スキーマ建築計画
長坂常 / スキーマ建築計画による、韓国・ソウルの、スポーツウエアブランドSpyderの店舗「Spyder 旗艦店 江南」 image©スキーマ建築計画

長坂常 / スキーマ建築計画が設計した、韓国・ソウルの、スポーツウエアブランドSpyderの店舗「Spyder 旗艦店 江南」です。

強いそしてエクスクルッシブな贅沢さと変化し続ける可動性という一見全く異なる性格を兼ね備えた空間を作った。

具体的には赤と黒というSpyderのブランドカラーをオリジナルで製作したタイルでグラデーション化し外壁を構成し、室内の床を凸凹のアンティークの木下地の上に黒いエポキシを流し込み、ここでも黒のグラデーションを展開し贅沢さを演出した。

その上、レールが敷かれ、前後自由に動き、その什器内のディスプレイがまた上下する稼動什器を配置し、可動性をつくり、いつ行ってもそのシーズンの見せ方に合わせ空間が変わるVMDの力が問われるお店を作った。

建築家によるテキストより
ザハ・ハディド・アーキテクツによる、ロシア・モスクワの新駅「クレノヴィ大通り駅2」設計コンペの勝利案
ザハ・ハディド・アーキテクツによる、ロシア・モスクワの新駅「クレノヴィ大通り駅2」設計コンペの勝利案
ザハ・ハディド・アーキテクツによる、ロシア・モスクワの新駅「クレノヴィ大通り駅2」設計コンペの勝利案
ザハ・ハディド・アーキテクツによる、ロシア・モスクワの新駅「クレノヴィ大通り駅2」設計コンペの勝利案

ザハ・ハディド・アーキテクツによる、ロシア・モスクワの新駅「クレノヴィ大通り駅2」設計コンペの勝利案を掲載します。

モスクワの地下鉄は、毎年25億人の乗客を輸送し、1日のピーク利用者数は約1,000万人。利用者は、過去20年間で300万人以上(30%以上)増加しており、人口の増加に(1,250万人に達した)対応するために拡大を続けているそうです。この新駅では、照明と乗客情報システムに新たなイノベーションを取り入れ、直感的なナビゲーションをデザインすることで、モスクワの地下鉄システムのおける次世代の駅を定義しようとしているとの事。
建築の要素である、柱が乗客を誘導する「矢印」として開発されていて、また天井と床の光のラインを統合することにより、照明自体が、道案内などの機能的な役割を果たすことを意図しているのだそう。

赤松佳珠子+大村真也 / CAtの設計で完成した、東京・港区六本木のワークプレイス「ROPPONGI TERRACE」の見学会が開催

赤松佳珠子+大村真也 / CAtの設計で完成した、東京・港区六本木のワークプレイス「ROPPONGI TERRACE」の見学会が開催されます。開催日は2020年9月13日。要事前申込との事です。

この度、赤松佳珠子 + 大村真也 / CAt で 2018 年より設計・監理を務めてまいりました、
「ROPPONGI TERRACE」が、東京都港区六本木に竣工いたしました。

六本木駅に近く、敷地東側には公園という魅力的な立地条件を最大限に活かすため、
全室が公園に開放されたテラスを持つ親自然的な建築です。
特徴的な斜めの天井が公園からの視界を遮りながら、光や風を採り入れた居心地のよいワークプレイスです。

クライアントのご厚意により、下記の通り内覧会を行います。
是非、お越しいただきたくご案内申し上げます。

辻琢磨による連載エッセイ “川の向こう側で建築を学ぶ日々” 第5回「設計事務所を支える番頭ポジション」
辻琢磨による連載エッセイ “川の向こう側で建築を学ぶ日々” 第5回「設計事務所を支える番頭ポジション」

設計事務所を支える番頭ポジション

text:辻琢磨

 
番頭からの学び

前回のエッセイで、壁紙の選定や、渡されたサンプルを持ち帰る話を紹介した際、寺田さん始めスタッフの皆が渡辺さんにたくさん叱られているようなニュアンスの書き方をしてしまい、書いた後に大いに反省した。
特に寺田さんは非常に優秀な番頭で、渡辺事務所の屋台骨を支える存在なので、名誉挽回というか、今回は設計事務所の番頭というポジションについてや、寺田さんの働きぶりから学んだことについて、書いてみたい。

 
渡辺事務所の規模
渡辺事務所のスタッフは僕を除くと、9年目の寺田さん、5年目の増田くん、3年目の岩田くんの3人で、2000㎡を超えるプロジェクトを抱える事務所の体制としては決して大きくない組織規模といえる。つい最近も歯医者さんの建屋や比較的大きな規模の工場兼オフィスが着工し、常に設計と現場監理が動いているような状態だ。

以下の写真はクリックで拡大します

辻琢磨による連載エッセイ “川の向こう側で建築を学ぶ日々” 第5回「設計事務所を支える番頭ポジション」渡辺事務所集合写真、左から増田航平、岩田貴昭、渡辺隆、辻琢磨、寺田尚人。 photo©haruka aoki

そんな中、この1年半の僕の印象だと所長は一日のほとんどをいろんな電話と打ち合わせで終えているので、ほとんどの実作業は(一般的に所長とはそういうものかもしれないが)、このスタッフ3人で回している。大きな物件ほど実施図面や施工図チェックの量は増えていくし、公共案件だとその提出書類も増えていくわけで、とてもじゃないけど3人で回せる仕事量ではないと僕は常々感じている。
でも、つい先日磐田市立病院研修棟が竣工し、継続的に展開するコインランドリーの新築も竣工、ヤマハマリーナ浜名湖のクラブハウスも竣工間近で、働き方改革を推し進めながらも何故だか(語弊がある笑)どんどんと建築が立ち上がっていくのだ。

渡辺さんの一つの特徴は圧倒的な電話の量で、とにかくよく電話で、施主や施工者、構造設計者、行政担当者といった人たちとコミュニケーションをとっている。シビアな話題もあればほのぼのとした話題もあり、とにかく日常的なコミュニケーションの中で様々な問題を事前に(時に事後的にも)回避しプロジェクトを円滑に進め、また同時に恒常的な推進力と大きな指針をプロジェクトに与えているように思う。

 
全員攻撃、全員守備

また、渡辺事務所のスタッフの特徴としてメインの担当を置かないということがある。

僕の知る限り一般的に設計事務所のスタッフは担当物件を抱え、スタートから竣工までメインでプロジェクトの面倒をみることが多いが、この独特な慣習は、前職の竹下設計からの引き継ぎだそうで、とにかく全員ですべてのプロジェクトの進行状況をなんとなく共有しつつ、先輩が後輩に事務所の経験知を伝え、プロジェクトが進んでいく。

例えば、磐田市立病院研修棟では実施設計までは増田さんが主に図面を描き、経験豊富な寺田さんが公共案件ということもあって現場監理を引き継ぎ、民間のヤマハマリーナ浜名湖クラブハウス棟では実施設計までは寺田さんがメインで図面を描き、現場監理を増田くんが病院と入れ替わりで引き継いだ。岩田くんは両方のプロジェクトでCGやサイン計画を担当している。僕も担当は持っておらず、病院でもマリーナでも現場に行かせてもらって仕上げを検討したり、ディテールを考えたりもしている。

このような、フットボールで言えば全員攻撃全員守備のような戦術は、明確な役割分担というよりも、メインで時間をかけるプロジェクトはあるものの、全員が常に事務所の状況をなんとなく共有しているというような状況を作り出している。この状況は例えば先輩から後輩へのノウハウの共有が自然と起こるし、逆に後輩から先輩への質問も生まれやすい。兎にも角にもコミュニケーションの恒常化が、プロジェクトを実現させるための渡辺事務所の一つの鍵になっているように感じている。

 
番頭、寺田さん

とはいえ、上記のようなマネジメント体制を敷けているのは、渡辺さんの日常的なコミュニケーション効果ももちろんだが、寺田さんの番頭としての能力(=以下番頭力)も確実に寄与している。

ここで少し番頭の寺田さんについて紹介しておこう。
磐田市出身で渡辺さんと同じ金沢工業大学を卒業後、設計事務所勤務を経て渡辺事務所に加入した。当時はまだ、今の事務所の一階は渡辺さんの家族も住む自宅として使用されていて、地下の狭い一室が事務所だったそうだ。
事務所黎明期を渡辺さんと共有し、6年前に渡辺事務所のエポックともいえる豊岡中央交流センターをほぼ一人で担当したことで、マネジメント能力が開花した。

スミルハン・ラディックらによる、東京・表参道の、ファッションブランド アレキサンダー・マックイーンの新旗艦店の写真。ラディックらしい展示什器も印象的

スミルハン・ラディックとブランドのクリエイティブディレクターのサラ・バートンによる、東京・表参道の、ファッションブランド アレキサンダー・マックイーンの新旗艦店の写真が49枚、fashionsnap.comに掲載されています。ラディックらしい展示什器も印象的な店舗となっています。

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