ピーター・ズントー事務所でプロジェクトリーダーを務める杉山幸一郎による連載エッセイの最新回「素直で健康的である、建築。」が、公開されています。また、エッセイが連載されている「ギャラリーときの忘れも」のサイトで、杉山幸一郎によるアートワークが紹介・販売されています。
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アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2020/8/3-8/9)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。
- 川島範久と日本土地建物が、次世代の中規模賃事務所のプロトタイプを目指し完成させた、東京・港区のオフィスビル「REVZO虎ノ門」をレポート
- 伊東豊雄が審査員長を務めた、くまもとアートポリスプロジェクト「立田山憩の森・お祭り広場公衆トイレ」の結果と提案書が公開
- 今津康夫 / ninkipen!による、兵庫・川西市の「鶴之荘保育園」
- 青木淳が自身の設計事務所「青木淳建築計画事務所」を「AS」に改名。品川雅俊をパートナーに迎え、新しい建築の局面を切り開く為の判断とのこと
- 原研哉とLIXILが、共同開発した公共用トイレの便器などの写真
- SNSを中心に話題となっていた、渋谷区の鍵を閉めるとガラスが不透明になるトイレの設計者は“坂茂”
- 川辺直哉建築設計事務所による、東京・豊島区の小規模複合施設「角花」
- 乾久美子らが審査した、徳島の、あらわし木造4階建て集合住宅の設計コンペ「awaもくよんプロジェクト」の結果と提案書が公開
- 隈研吾が、自身の東大での最終講義「コンピューテーショナルデザインとクラフト」を振り返って感想を書いているエッセイ
- 前田圭介 / UIDによる、広島市の住宅「PeacoQ」
- 片山正通 / Wonderwallが設計した、コンクリート壁が特徴的な東京・恵比寿公園の公共トイレが完成。日本財団による「THE TOKYO TOILET」プロジェクトの一環とのこと
- 様々な建築家にも信頼される写真家ゴッティンガムが、法律家・水野祐のサポートを得て制作した契約書についての記事「創造性を高める契約書 〜 写真家ゴッティンガムが示す共同著作のビジョン」が、期間限定で無料公開中
- 坂茂による、東京・渋谷区の公衆トイレ「ザ トウメイ トウキョウ トイレット」の写真
- フォスター+パートナーズによる、タイ・バンコクの、片持ち式キャノピーによってアップル店舗史上初の全面ガラス張りになった、新店舗「Apple Central World」
- 鈴木理考建築都市事務所による、福岡市の住戸「エル・ビル」
- 伊東豊雄の新しい作品集『伊東豊雄 自選作品集: 身体で建築を考える』
- 吉本考臣建築設計事務所による、北海道・札幌市の、既存木造建物の一室を改修した自身の事務所「office M」
- 構造家の木下洋介が「2020年第15回 日本構造デザイン賞」を受賞
- 石黒泰司+和祐里 / アンビエントデザインズによる、広島の介護老人保健施設「計画と雰囲気」
- 向山博 / 向山建築設計事務所による、東京の「江東区の医院併用住宅」
SHARE 隈研吾の建築展をオンライン上に再構築された架空のギャラリーで体験可能にする、クリエイションの未来展「Multiplication」が開催(ファイルダウンロードで閲覧可)
- 日程
- 2020年8月8日(土)–9月30日(水)
上の動画は展覧会の様子を収録したもの。アプリケーションをダウンロードすれば自由に行動可能です。
隈研吾の建築展を、今年9月末に閉廊する LIXILギャラリー(東京)を3Dモデル化しオンライン上に再構築された架空のギャラリーで体験可能にする、クリエイションの未来展 第23回 隈研吾監修「Multiplication」Powered by historia Enterprise、が開催されています。上記リンク先からアプリケーションをダウンロードすることで体験可能です。会期は2020年9月30日まで。
本展について
新型コロナウイルスの感染拡大により、公共空間での人やものとのかかわり方に変化が求められています。「クリエイションの未来展」第23回隈研吾監修企画では、このような状況において、場所や時間にとらわれず多くの人に届けられるオンライン展「Multiplication」を開催いたします。
本展では、今年9月末に閉廊する LIXILギャラリー(東京)を3Dモデル化し、オンライン上に再構築された架空のギャラリーにて隈研吾展を開催します。展示では、ゲームの企画・開発・販売などを行う株式会社ヒストリアのエンタープライズブランドである「ヒストリア・エンタープライズ」と協力し、ゲームエンジンによる新しい3Dの表現を用いて、抽象化された隈氏の建築作品などを体験いただきます。バーチャル空間での建築作品との出会いは、私たちに実際の建築では得られない体感と新しい視座を与えてくれるでしょう。
2014年より各監修者の現在進行形の考えを具現化し提示してきた「クリエイションの未来展」のフィナーレを飾るにふさわしい、隈研吾氏による現在と未来を見据えた建築の新しいデジタル表現にご期待ください。
監修者からのメッセージ
LIXILギャラリーの第23回クリエイションの未来展のプロジェクト。KKAAとしては6回目の作品となる。今秋で閉廊となるギャラリーを3DCGで再構築、過去6回のKKAAの作品のアーカイブ展示とKKAA建築の新しいデジタル表現を試みた。
リアルタイムでレンダリングされるギャラリー内を歩き回る体験から、抽象化され分解されたKKAAの建築が目の前で再構築されるインタラクティブな経験ができることを目指した。
場所と人、過去と現在、虚と実、さまざまな事象が掛け合わされた展示である。隈 研吾


フォスター+パートナーズの設計で完成した、タイ・バンコクの、片持ち式キャノピーによってアップル店舗史上初の全面ガラス張りになった、新店舗「Apple Central World」です。
同店舗は、バンコクの象徴的な交差点であるラチャプラソンの中心部に位置し、片持ち式のツリー状キャノピーの屋根、螺旋階段や、鏡面仕上げのステンレススチールで覆われた円筒形のエレベーターがデザインの特徴となってるとのこと。
Apple Central World’s distinctive architecture is brought to life with the first-ever all-glass design, housed under a cantilevered Tree Canopy roof. Once inside, customers can travel between two levels via a spiral staircase that wraps around a timber core, or riding a unique cylindrical elevator clad in mirror-polished stainless steel. Guests can enter from the ground or upper level, which provides a direct connection to the Skytrain and the city’s largest shopping center. The outdoor plaza offers a place for the community to gather, with benches and large Terminalia trees surrounding the space.
著名建築写真家のイワン・バーンが撮影した、藤本壮介らの設計で2019年に竣工した、フランス・モンペリエの複合ビル「arbre blanc」の写真が5枚、designboomに掲載されています。共同設計者は、ニコラス・レネ・アーキテクツ(nicolas laisné architectes)、ドリーム、OXO・アーキテクツ。
こちらのイワン・バーンの公式サイトでは横スクロールでもっと沢山の写真を見ることができました。
デイビッド・チッパーフィールド、ジョン・ポーソン、アイレス・マテウス、リック・ジョイらが、スペイン・イビザ島に住宅を設計する建築プロジェクト「Sabina」のそれぞれの計画案の画像が8枚、dezeenに掲載されています。プロジェクトの公式サイトはこちら。
『園芸はコミュニティを守る抗議行動だ 「クソでもいいから植えろ」ギャングスタ園芸家がロサンゼルスを変える』という記事が、courrier.jpに掲載されています。
以下は同記事で取り上げられているロン・フィンリーがTEDで行った講演の動画です。


藤森照信が設計・監修した、ファッションブランド・マザーハウスの新店舗が東京・銀座にオープンしています。ここでは写真を紹介します。場所はこちら(Google Map)。また、マザーハウス立川グリーンスプリングス店の設計は、大西麻貴+百田有希 / o+hが手掛けています。
伝統を継承しながら、流行を発信し続ける街・銀座にマザーハウスの新しいお店がオープンします。この新店は、バッグやジュエリー、アパレルなどのレディ-ス商品を中心に取り扱う路面店となります。お店の設計・監修を担当いただいたのは、大胆でユニークな建築で知られる建築家・藤森照信氏です。藤森氏に設計・監修いただくお店は東京・秋葉原にあるマザーハウスのアパレルブランド「e.(イードット)」本店に続いて2店舗目になります。自然素材が取り入れられた有機的な空間で、途上国の職人たちの繊細な手仕事でつくられた商品をご覧いただけます。
SHARE 野老朝雄とnoizによる、LIXILギャラリーのオンライン特別展「CONNECT/DISCONNECT」が開始
- 日程
- 2020年8月8日(土)–9月30日(水)
野老朝雄とnoizによる、LIXILギャラリーのオンライン特別展「CONNECT/DISCONNECT」が開始しています。会期は2020年8月8日~9月30日まで。展覧会の概要はこちらで閲覧可能です(豊田啓介によるテキスト「探索するパターン」も掲載)。
LIXILギャラリー「オンライン特別展について」
LIXILギャラリーは、特別展「CONNECT/DISCONNECT | Asao TOKOLO× noiz」を開催します。
新型コロナウィルスの世界的な感染拡大が続き、公共空間での人やものとのかかわり方に大きな変化が求められています。このような状況に於いてLIXILギャラリーでは、場所や時間に捉われず、より多くの人に届けられるオンライン上でのバーチャルエキシビジョンを開催します。
幾何学の持つ規則性を巧みに操りながら美しいデザインパターンを生み出す野老朝雄(ところあさお)氏と、デザインの可能性を飛躍的に高める「コンピューテーショナルデザイン」をとりいれている建築デザイン事務所 noizがタッグを組み、デジタル技術を駆使した楽しく美しいバーチャルな世界を画面いっぱいに展開します。
野老氏の描く紋様が万華鏡のようにつながり、はじけ、多様に変化する独特の面白さを、その動きと連動し響きあう音楽とともに、ぜひ体感ください。(*LIXILギャラリーは現在も臨時休館しております)【操作方法】画面上でズームイン・アウトが出来ます。是非お試し下さい。

青木淳が自身の設計事務所「青木淳建築計画事務所」を「AS」に改名したとのことです。事務所のチーフを務めていた品川雅俊をパートナーに迎え、新しい建築の局面を切り開く為の判断とのこと。
青木淳は、以前より事務所の運営スタイルをも意識的に設計していた建築家です。
この視点で明確に思い出されるのは、業界ではだれもが知るところとなっていたスタッフが4年で卒業する仕組み。それは常に事務所が新陳代謝していき、新鮮な考え方を取り入れ新しいものを作っていくために考案されたもの(このエピソードはこちらでも読むことができます)。また、トップダウンで計画案を進めていくのではなく、常に担当者と青木が対話する中で提案を発展するスタイルで運営されてきたことも良く知られています。そんな青木淳だからこそ事務所名の改名が意味するところも大きいのではと思います。
こちらが青木が各者に送り、SNS等でも公開しているリリースです。
青木淳建築計画事務所は、このたび、品川雅俊をパートナーに迎えるとともに、社名を「AS」に改めました。
品川は、2008年3月に入所以来、「ルイ・ヴィトン博多天神店」「大宮前体育館」などを担当した後、事務所チーフとして、「京都市美術館」などをまとめてきました。
今後は、青木と品川が両輪となって、若きアソシエーツとともに、新しい建築の局面を切り開いていくつもりです。
ひきつづきどうぞよろしくお願いいたします。
また、アーキテクチャーフォトによる「個人名を事務所に冠する時代の一区切りという意味もあるのでしょうか?」という質問に対し以下のように答えています。
まったく、そのとおりです。
これまで設計した建物もそうですが、この機会に、誰がつくったか、その主体を、特定の個人ではなく、ひとつのニュートラルなただし特定のフレームに帰そうとしています。
ちょうど住宅を設計したとき、そのタイトルを任意のアルファベット1字とするのと同じ考えです。
東京建築士会緊急アンケート調査集計結果「新型コロナウイルスの感染拡大によって、建築士たちにどのような影響があったのか」を、東京建築士会がPDFで公開しています。回答数は684名。
急事態宣言解除後の6月22日~7月6日にかけて、東京建築士会の会員を対象に、新型コロナウイルス感染拡大によって建築士の業務や考えにどのような影響を与えたかを尋ねるアンケート調査を実施。会員数5,793名のうち、684名の回答を集計しました。それによって、建築士の仕事への影響度合いや将来への不安、それぞれに様々な思いがあることが分かりました。



乾久美子らが審査した、徳島の、あらわし木造4階建て集合住宅(県営住宅新浜町団地建替)の設計コンペ「awaもくよんプロジェクト」の結果と提案書が公開されています。以下に情報をまとめます。
令和2年7月8日(水)に、徳島グランヴィリオホテルにおいて開催されました、「awaもくよんプロジェクト設計競技」二次審査において、プレゼンテーションを行った5者の作品を公開しました。
※以下の作品PDFのリンク先は、徳島県が公式にアップロードしたファイルです。
最優秀作品
内野設計・島津臣志建築設計事務所・カワグチテイ建築計画共同企業体
優秀作品
ビーツーエーアーキテクツ・松村建築計画研究所・KAP共同企業体
入賞作品
STUDIO YY一級建築士事務所・AUS設計室共同企業体
入選作品
かたちとことばデザイン舎・三井嶺建築設計事務所共同企業体
入選作品
原建築設計研究所・島田治男建築設計事務所・佐野健太建築設計事務所共同企業体



吉本考臣建築設計事務所が設計と施工も手掛けた、北海道・札幌市の、既存木造建物の一室を改修した自身の事務所「office M」です。
図面等はなるべく描かず即物的に現場で考え、もし失敗したら解体してしまえばいいという姿勢で臨んだので、最初はスタッフとバールを持って壊しては掃除をするという作業の繰り返し。
その中の限られた空間の中で、発見したものをどのように機能やデザインに落とし込むかを考えた。既存の畳、野地板を剥がすと無垢材の床梁(梁背:300)が現れた。
解体を進めていく中で、この床梁に腰をかけ、休憩するスタッフや手伝いに来てくれた学生を見たときに床梁を家具スケールで空間に落とし込むことを考え、空間を十字に走る床梁を家具に置き換え色々な場所を生む装置にした。
床梁にどこでも設置し長時間座れるようにスツールもデザインした。単純に形だけを変化させるのではなくて、そのモノをどう捉え直すか、解釈し直すかということを考えました。


鈴木理考建築都市事務所が設計した、福岡市の住戸「エル・ビル」です。
福岡市内にある、築25年RC造集合住宅の、最上階のワンフロアを全て一新し、建物所有者の新たな住居とした計画。古いものを適宜残しながらの「リノベーション」ではなく、構造躯体は既存資源として利用するものの、施主の要望もあり、環境性能や仕上などの全てを完全に刷新し、「リファイン」した。プランは原型をとどめず、一部は外壁の位置すらも変え、サッシ寸法も全てやり直した。
「/」を 「ほどく」
現代の産業化された建物の多くは、その窓や外壁によって生活環境を密閉し、「建築/自然」「内/外」と明確に分けて、「/」の部分において自然排除的(あるいは他者排除的)に機能している。そのように単純な切断面、あるいは硬い殻のようになってしまっているこの「/」を、複層的で曖昧な存在に「ほどく」ことによって、自然を排除せず、暮らしが何気なく自然の中へ誘われて、楽しくそして豊かにそれらと一体となって生活できる、そのような建築はできないだろうかと考えた。今回はそういったことを大都市の、特に屋外との接触の少ない集合住宅の改修の中で試みた。
坂茂のウェブサイトに、東京・渋谷区の公衆トイレ「ザ トウメイ トウキョウ トイレット」の写真が5枚掲載されています。このトイレは先日記事でも紹介したようにSNSでもその仕組みが非常に話題となっていました。また建築家・クリエーターが渋谷区のトイレを設計する「THE TOKYO TOILET」プロジェクトの一環として完成したものです。
公共のトイレ、特に公園にあるトイレは、入るとき2つの心配なことがある。一つは中が綺麗(クリーン)かどうか、もうひとつは中に誰も隠れていないかどうか。新しい技術で作られた鍵を締めると不透明になるガラスで外壁を作ることで、トイレに入る前に中が綺麗かどうか、誰もいないか確認でき、その2つの心配をなくすことができる。そして夜には、美しい行灯のように公園を照らすトイレとなる。