森田一弥建築設計事務所が設計した、京都・左京区の資料館「“Lattice-Pod” 朝田善之助記念館」です。施設の見学方法や場所はこちらのページで紹介されています。アーキテクチャーフォトではこの建築の構造体の様子が良くわかる現場写真も特集記事として紹介していました。あわせてご覧ください。
京都市左京区に建設された公益財団法人のための資料館である。創設者である朝田善之助の蔵書など、人権運動に関する資料の収蔵と、一般市民への資料の閲覧機会の提供を目的として建設された。社会的弱者の連帯という財団法人のアイデンティティを、小さくて弱い木材を寄せ集めた「格子」のような軸組を主体構造とすることで、建築的にも表現している。
山林で伐採されても通常は規格外のため流通しない、安価な9センチ角のヒノキ材のみを用いて、最大スパン5.4mの木造二階建ての架構を構成した。材の断面欠損を避けるため、木材どうしの接合にはあえてホゾ加工を行わず、構造用長尺ビスのみを用いて固定している。
長さの短い3~4mのヒノキ材を組み合わせているため多数の継ぎ手が生じるが、木材を何重にも重ねて用いることで継ぎ手の位置を分散させ、構造的な冗長性を高めている。と同時に、積層された大量の木材が生み出す空間の重厚さがこの建築の空間の特徴となることも期待している。