



「ap Masterpiece」は、世界中に存在する名作と言える建築を、アーキテクチャーフォトのウェブサイト上で紹介するシリーズです。
OMAとLMNによる、アメリカの「シアトル中央図書館」(2004年)です。
こちらは建築家によるテキストです(翻訳:アーキテクチャーフォト / 原文は末尾に掲載)
図書館が一方では公共空間の縮小から、もう一方ではデジタル化からの脅威にさらされていると見なされている時に、シアトル中央図書館は、あらゆるメディアによる知識の循環のための市民的空間と、増え続ける物理的コレクションのための革新的な整理システム「ブックス・スパイラル」をつくりだしています。図書館のさまざまなプログラムは、5つのプラットフォームと4つの流動的な「中間」プランが直感的に配置されており、それらが一体となって建物特有の多面体的な形状を形作り、その形状が都市に対して、優雅さと論理性の両方において堅牢であるという、刺激的な建築を提供しています。
OMAの目標は、図書館をもはや書物のみに特化した機関としてではなく、新旧あらゆる有力なメディアが平等かつ明確に提示される情報の保管所として再定義することです。どこからでも情報にアクセスできる時代において、図書館を不可欠な存在にするのは、メディアの同時性と(より重要なのは)その内容に対するキュレーションなのです。
私たちの最初の作業は、図書館の制御不能に見えるプログラムとメディアの拡散を「くしでとかす」ように整理し、統合することでした。私たちは5つの「安定した」プログラム群(駐車場、職員、会議、ブックス・スパイラル、本部)を特定し、それらを重なり合うプラットフォーム上に配置し、4つの「不安定な」プログラム群(子ども、リビングルーム、ミキシング・チャンバー、閲覧室)を中間領域に配置しました。各エリアは建築的に定義されており、それぞれの用途に特化した機能が備えられており、多様な大きさ、柔軟性、動線、カラーパレット、構造が備えられています。
3番目のフロアの中央に位置するミキシング・チャンバーは、司書と利用者の交流が最も活発に行われるエリアであり、専門的かつ学際的な支援という、重要でありながらしばしば見過ごされがちなニーズを満たすために構成された、情報の取引フロアです。司書は利用者を、カテゴリー間の共存が有機的なあり方に近づくように構成された、連続する棚のスロープ「ブックス・スパイラル」へと案内します。各カテゴリーは他との関係に応じて進化し、スパイラル上で多かれ少なかれ空間を占めますが、従来の図書館設計を悩ませてきたセクション内の断絶を決して生じさせることはありません。シアトル中央図書館の開館時点で、スパイラルには6,233台の書架が設置されており、78万冊の書籍を収蔵していましたが、将来的には書架を追加することなく、最大145万冊までの増加に対応可能です。










