SHARE 越膳博明 / 乃村工藝社による、東京・港区の店舗「トレーディングポスト青山本店」
越膳博明 / 乃村工藝社が設計した、東京・港区の店舗「トレーディングポスト青山本店」です。店舗の公式サイトはこちら。
トレーディングポストは、1984年に「日本に知られていない海外の優れた靴を紹介するセレクトショップ」をコンセプトにスタート。「レザーシューズを履く文化を日本に定着させる」「時代と共に進化する革製品の今を積極的にご紹介する」提案型セレクトショップである。
旧青山店は、2003年にオープンしその後、本店機能として青山本店として位置づけられ、各地での同ブランドの展開を行っている。また2013年に10周年全面リニューアルを手掛け、トータル17年の歳月を経て移転が計画され今回の地に新たな青山本店としてこの地にたどり着いている。
東京北青山に位置するRC造であるこの建物がファサード2層分のガラススクリーンで覆う計画とした。
通り沿いからの見え方や昼と夜の見え方に配慮するべきと考えたからだ。
特にユーザーアプローチである外部から内部への繋がりを意識したファサードを計画している点で外部のガラススクリーンの内側で構成されたレンガスクリーンがファサードでの同店の顔作りの機能も果たしながら、緩やかに店内へ繋がりそのまま内装造作へと昇華され、革靴を陳列する什器造作となっているのが特徴でもある。本来であれば通りから見えるのは、革靴であり商品を陳列した什器であるが、この場所の空間づくりでは、そういった物販店特有のショップの見え方を変え、1階に大きな白く長い天板のバーカウンターが照明の反射でスタッフの表情を明るくさせ、接客の姿や一見、革靴店とは判断しにくい点を外部へあえて発信し、世界観の印象付けを試みている。
またファサードでは、大きく掲げがちなサインも極力排除し、特徴的なレンガスクリーンのファサードが通りからのアイキャッチになることを主としている。
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以下、デザイナーによるテキストです。
トレーディングポストは、1984年に「日本に知られていない海外の優れた靴を紹介するセレクトショップ」をコンセプトにスタート。「レザーシューズを履く文化を日本に定着させる」「時代と共に進化する革製品の今を積極的にご紹介する」提案型セレクトショップである。
旧青山店は、2003年にオープンしその後、本店機能として青山本店として位置づけられ、各地での同ブランドの展開を行っている。また2013年に10周年全面リニューアルを手掛け、トータル17年の歳月を経て移転が計画され今回の地に新たな青山本店としてこの地にたどり着いている。
移転の計画と合わせ本店としての在り方、顧客接点を再定義し、空間で行われるコミュニケーションの在り方から議論を行った。店舗ごとに空間コンセプトは異なるが本案件では「shoe cellar」を空間コンセプトに掲げている。
「shoe cellar」は「wine cellar」から紐づけられた造語である。「wine cellar」は、品質を保つだけでなくアロマ、風味、複雑さを向上させる目的であったりもするが、「shoe cellar」では、革製品を取り扱う同店が掲げるコンセプトやスタッフが顧客に対して行う所作(セールスなど)、革の匂いや海外の優れた靴を取り扱うスタッフの姿がワインの取り扱い方と酷似しているのではないかという点から新たに位置づけを行った。
東京北青山に位置するRC造であるこの建物がファサード2層分のガラススクリーンで覆う計画とした。
通り沿いからの見え方や昼と夜の見え方に配慮するべきと考えたからだ。
特にユーザーアプローチである外部から内部への繋がりを意識したファサードを計画している点で外部のガラススクリーンの内側で構成されたレンガスクリーンがファサードでの同店の顔作りの機能も果たしながら、緩やかに店内へ繋がりそのまま内装造作へと昇華され、革靴を陳列する什器造作となっているのが特徴でもある。
本来であれば通りから見えるのは、革靴であり商品を陳列した什器であるが、この場所の空間づくりでは、そういった物販店特有のショップの見え方を変え、1階に大きな白く長い天板のバーカウンターが照明の反射でスタッフの表情を明るくさせ、接客の姿や一見、革靴店とは判断しにくい点を外部へあえて発信し、世界観の印象付けを試みている。
またファサードでは、大きく掲げがちなサインも極力排除し、特徴的なレンガスクリーンのファサードが通りからのアイキャッチになることを主としている。
1階では、建築自体の持ち味であるRC化粧打放しを天井と壁で活かしながら、レンガを用いている。
これはコンクリートとレンガの硬度が革(革靴)の柔らかさとの融和が図れるのではないかと考えたからである。もしくは硬度のコントラストがそれぞれの魅力を引き出し合えるシンプルな対峙構成としている。
壁と天井は覆いがちだが空間構成にレンガスクリーンを用いる事で空間の設えと圧迫感の無い、外部からの空気の流れを感じれるような空間構成も特徴である。
特注家具は、丸太から切り出されたソファー、フロアスタンドが特徴的で、革靴に見劣りしないオリジナルデザインが空間に鎮座している。照明計画では、最低限の台数で器具を導入し、空間に配されたレンガスクリーンに最大限味わいを持たせている。
2階へ上ると35周年モデルの革靴のデザインから着想した空間が顧客を迎える。
黒の革の表層から赤の内部構成が魅力的であり、空間に置き換える事でその魅力を同時に伝えたかったからである。
ファサードから見える2階の姿は、35周年モデルの革靴から見える赤を魅せる感覚的なモノであり、外部からも体感出来るのではないかと考えている。
また各ブランドのイベントなども計画出来る様、サービスを可視化した空間利用が出来る事も1階とは異なることが特徴的なフロアである。
特注照明は、三連一体構成の円形ペンダントを計画し、形状からなる空間への柔らかさを施し、やわらかな光のラインを設えている。
ブランドが掲げる「本当に良い靴」を販売する為のストーリーを空間で可視化し、コミュニティが人と人で繋がり合い、同社の本店機能の軸として各店へも受け継がれればと考えている。
■建築概要
クライアント:株式会社プレステージシューズ
店舗名:トレーディングポスト青山本店
店舗所在地:東京都港区北青山3−5−2 PVB AOYAMA 1F/2F
テナント床面積:122.86㎡ / 61.52㎡(1階) 61.34㎡ (2階)
設計者名:越膳博明 / 株式会社乃村工藝社
設計協力:夛田亜美
施工:乃村工藝社 小松一広
特注レンガ:織部製陶
特注レンガスクリーン施工:東京ブリック社
照明計画:モデュレックス 長谷川優
特注家具:ブルークインス 松浦裕三
特注照明:オールウェイズ 福地賢二
オープン:2020年7月18日
写真:河野政人 / ナカサ&パートナーズ
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
内装・床 | 1階床 | |
内装・壁 | 1階壁 | 特注レンガ w340×d95×h50, w270×d95×h50(織部製陶) |
内装・壁 | 1階壁1 | 下地、構造用鋼管42.7Φ t3.5 目地スペーサーEPDM 乾式レンガスクリーン TB-DC工法(東京ブリック社) |
内装・壁 | 1階壁2 | PBt12.5mm クロス貼り:HYPER NATURE NT-2-21 墨 SUMI(ニート) |
内装・天井 | 1階天井 | RC化粧打放し※既存のまま |
内装・造作家具 | 1階カウンター天板 | |
内装・造作家具 | 1階カウンター腰 | |
内装・照明 | 1階照明 | ModuleX 100 Spotlight(ModuleX) |
内装・床 | 2階床 | タイルカーペット貼り 500mm×500mm:モードスタイルブリュッセルツイード(川島織物セルコン) |
内装・壁 | 2階壁1 | 特注レンガ w340×d95×h50, w270×d95×h50(織部製陶) |
内装・壁 | 2階壁2 | PBt12.5mm クロス貼り:HYPER NATURE NT-2-21 墨 SUMI(ニート) |
内装・天井 | 2階天井 | RC化粧打放し※既存のまま |
内装・照明 | 2階照明 | ModuleX 100 Spotlight(ModuleX) |
内装・造作家具 | 2階造作壁面 | マーチンデール40000 (ナショナルインテリア) |
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