カンミレが設計した、兵庫の住戸改修「a/normally」です。
長く過ごす住居への新たな動線提案と設備更新の計画、積み重ねた生活が改修後も続く事を目指して移動・収納・建具の機能を兼ねる間仕切りを考案、生活に寄り添うと共に暮らしの時間を部屋の風景に留める事も意図されました。
施主が長年暮らしたマンション一室の改修計画。
主な要望は、ロフトへの行き来がしやすくなるよう、既存の折りたたみ式階段を撤去して上り下りしやすい階段を新たに設けることと、老朽化した設備を更新することの2つだった。改修範囲は必要な箇所に絞り、長年積み重ねた施主の暮らしが改修後も途切れず続く計画を目指した。
改修前、施主は、下層で玄関・洗面所・リビングダイニングの各部屋を仕切る建具を開け放し、くるくると回遊できる生活動線で暮らしていた。施主にとって、ロフトへの階段や建具は、パートナーの滞在時や来客時など、普段の生活が少し変調する時、それに合わせて空間を広げたり仕切ったりするためのものだった。
また、改修前のリビングダイニングは、可愛らしい雑貨の数々、レコードやカセットなど、愛着のつまった多くの物で囲まれていた。それらが雑多に置かれた空間は、施主がこの部屋で積み重ねてきた時間が自ずと伝わってくる魅力があった。
そこで、施主の住み慣れた生活動線や、愛着のつまった物に囲まれた雰囲気を継承しつつ、なるべく空間を狭めない提案として、ロフトに上り下りする際に引き出せる階段、たくさんの雑貨類と階段が一緒に仕舞われる棚、そして必要な時に部屋を仕切ることができる建具が一体となった間仕切りを製作した。
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以下、建築家によるテキストです。
施主が長年暮らしたマンション一室の改修計画。
主な要望は、ロフトへの行き来がしやすくなるよう、既存の折りたたみ式階段を撤去して上り下りしやすい階段を新たに設けることと、老朽化した設備を更新することの2つだった。改修範囲は必要な箇所に絞り、長年積み重ねた施主の暮らしが改修後も途切れず続く計画を目指した。
改修前、施主は、下層で玄関・洗面所・リビングダイニングの各部屋を仕切る建具を開け放し、くるくると回遊できる生活動線で暮らしていた。施主にとって、ロフトへの階段や建具は、パートナーの滞在時や来客時など、普段の生活が少し変調する時、それに合わせて空間を広げたり仕切ったりするためのものだった。
また、改修前のリビングダイニングは、可愛らしい雑貨の数々、レコードやカセットなど、愛着のつまった多くの物で囲まれていた。それらが雑多に置かれた空間は、施主がこの部屋で積み重ねてきた時間が自ずと伝わってくる魅力があった。今回の改修で階段を新設することができるのは、上部が吹き抜けているこのリビングダイニングに限られ、部屋の有効面積がさらに小さくなってしまうことが課題となった。
そこで、施主の住み慣れた生活動線や、愛着のつまった物に囲まれた雰囲気を継承しつつ、なるべく空間を狭めない提案として、ロフトに上り下りする際に引き出せる階段、たくさんの雑貨類と階段が一緒に仕舞われる棚、そして必要な時に部屋を仕切ることができる建具が一体となった間仕切りを製作した。
それは、現在そしてこれからの施主の暮らしに、柔軟に寄り添う間仕切りであると同時に、施主がこの部屋で暮らしてきた長い時間を部屋の風景に留めている。
■建築概要
用途:住宅
種別:改修(部分)
所在:兵庫県
構造:鉄筋コンクリート造(既存)
設計:カンミレ
アクションリサーチ:菅野圭祐
施工:omusubi design / 内田博樹
(大工:木村工務店、電気:穴吹電工、水道:寺坂設備、タイル:大清工業、塗装:高野塗装)
家具設計・製作:大川家具製作所
金物製作:tuareg
協力:樋口侑美(家具製作)
竣工:2021年12月
撮影:岡田和幸