
SHARE 【ap編集長の建築探索】vol.004 都留理子建築設計スタジオ「中野U」

「ap編集長の建築探索」は、23年の歴史ある建築ウェブメディア「アーキテクチャーフォト」の編集長である後藤連平が、訪問した建築を紹介する連載シリーズです。論考のようなかっちりとした形式ではなく、現地で感じた雰囲気や空気感が伝わるような“ライブ感”のある文体で綴ります。読者の皆様も自身が建築を体験するように読んでいただければ幸いです。
都留理子建築設計スタジオ「中野U」
都留理子建築設計スタジオによる、都内の住宅を拝見した。
都留さんの作品は学生時代から雑誌などで拝見していて、時を経て実作を拝見し、またご挨拶できたことも感無量、、、!
徒歩で住宅に近付いて行くと、開けた隣地側から大きなガラス面が見えて、建築家によるダイナミックなデザインの側面を感じるのだけれど、正面に立ってみると、質感があり可愛らしさも感じるタイルで仕上げられていて、先の印象とは異なる建築の顔が見えて、この建築の二面性を感じた。
内部に入ると、曲線の壁が目に入り全貌は見えない。壁の向こう側に感じる光に導かれるように歩いて行くと、4mを超える吹き抜けのLDKに入り、その住宅ではあまりみないスケール感に驚かされる。
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アート作品も飾られるとのことでギャラリーのような白い空間であるのだけれど、濃紺の曲線の階段が中央に存在していて、これにより空間がグッと引き締まって落ち着きを得ている感覚がある。この家の象徴のような存在にも感じられて、大黒柱ならぬ大黒階段といった存在感で非常に良かった。
この吹き抜け空間が中央にあり、二階、三階の両側に個室や水回りがあるという構成。
平面図も拝見したのだけれど、矩形の外形の中に、曲面の壁があるのだけれど、それが幾何学的に厳格に存在しているというより、様々な要望や与件の中で変形して、それによる多様性を伴って最終系に着地したという感じで、そこには、複雑さや謎めいた感じもあり、読み解き甲斐のある平面になっていた。
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また、個室は3つあるのだけれど、其々が単純な箱ではなく、個性を持った部屋として計画されていて、吹き抜けの残余ではなく、個室にも主体性があるように感じられて非常に良かった、、、!
お施主さん、都留事務所の皆さん、関係者の皆さん、ご竣工おめでとうございます!!!
(訪問日:2025年9月15日)
後藤連平(ごとう れんぺい)
アーキテクチャーフォト編集長
1979年、静岡県磐田市生まれ。2002年京都工芸繊維大学卒業、2004年同大学大学院修了。組織設計事務所と小規模設計事務所で実務を経験した後に、アーキテクチャーフォト株式会社を設立。22年にわたり建築情報の発信を続けており、現在は、建築と社会の関係を視覚化するWebメディア「アーキテクチャーフォト」の運営をメインに活動。著書に『建築家のためのウェブ発信講義』(学芸出版社)など。


