SHARE 堤庸策 / arbol+藤田剛 / TODOによる、神戸の多目的スペース「公共施設オープン・リノベーション KIITO」
all photos©下村康典
堤庸策 / arbol+藤田剛 / TODOによる、神戸の多目的スペース「公共施設オープン・リノベーション KIITO」です。
総務省が主催した「公共施設オープン・リノベーション マッチングコンペティション」で採択され、実現したプロジェクト。自治体がリノベーションを希望する公共施設の情報を登録、クリエイターが自治体と共同でコンペに応募するというものだった。リノベーションの内容だけでなく、事業内容や運営体制、地域に対してどのように貢献できるか、などについても提案することが求められた。
※以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
公共施設オープン・リノベーション KIITO
総務省が主催した「公共施設オープン・リノベーション マッチングコンペティション」で採択され、実現したプロジェクト。自治体がリノベーションを希望する公共施設の情報を登録、クリエイターが自治体と共同でコンペに応募するというものだった。リノベーションの内容だけでなく、事業内容や運営体制、地域に対してどのように貢献できるか、などについても提案することが求められた。
内部空間の白い楕円のフレームを組み合わせたディスプレイ什器は「繭」をイメージしたもの。「KIITO」がもともと、1927年に輸出生糸の品質検査を行う神戸市生糸検査所として建てられた建物であることを踏まえたデザインだ。“繭”が空間内に点在する様子は日本庭園や枯山水をイメージさせる。「KIITO」が元から持つ床や壁の力強く、荒々しいディテールの中で、繊細なフレームの細いラインが浮遊感と透明感を演出し、作品が鮮明にフォーカスされる。ニュートラルなデザインで、ショップでは気軽に購入できる価格のものから前衛的なもの、熟練の作家による一点ものまで幅広い製品が違和感なく並べられる。ギャラリーも、若手から熟練作家のアート作品まで幅広いジャンルがそれぞれに引き立つように並べられる。
同じく繭をデザインコンセプトにした照明が柔らかい光で空間を照らす。
繭は生命を育むものの象徴だ。繭からとられた糸が美しい生糸や絹織物に生まれ変わるように、神戸港を通じて日本に、そして世界に日本のデザインの美を送り届ける施設となる。
■建築概要
〈施設概要 KIITO〉
名 称:デザイン・クリエイティブセンター神戸
所在地:651-0082 神戸市中央区小野浜町1-4
構 造:旧館:鉄筋コンクリート造 新館:鉄筋鉄骨コンクリート造 地上4階建
敷地面積:8,601㎡
延床面積:旧館:3,489㎡ 新館:10,290㎡
施工年:旧館:1927年 新館:1932年
用途:デザインやアートにまつわるゼミ、レクチャー、展示、イベントを開催するほか、貸ホール、貸ギャラリー、貸会議室、クリエイティブラボ(オフィス入居)スペースなど
〈概要 リノベーション〉
床面積:606.43㎡
工事種別:リノベーション
工事期間:2016年1月?2016年3月
設計・施工:arbol 堤庸策 + TODO 藤田剛
構造設計:一級建築士事務所ステラジアン 原田順三
照明計画・製作:ニューライトポタリー 永冨裕幸
什器・製作:LOOP various metal art 花里政信
竣工写真ディスプレイ:Archipelago 小菅庸喜
撮影:下村康典
クライアント:神戸市
運営:民間会社
プロデュース:KIPcorporation 西田浩子