SHARE 古城龍児 / Studio MOUNによる、福岡・久留米市の店舗「sushi/teppan銀の桃」
古城龍児 / Studio MOUNが設計した、福岡・久留米市の店舗「sushi/teppan銀の桃」です。
福岡県久留米市の繁華街を抜けた通りにできたsushi/teppan銀の桃は、肉寿司と鉄板焼きの店である。
建物は葉 祥栄 氏が設計した2Fに住宅をもち1Fに数店舗のテナントが入った建物であり、中庭の一番奧のテナントである。
当初事務所であった計画地は幾度かのテナントの変更を繰り返し今回、飲食店として新たに完成することとなった。
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以下、建築家によるテキストです。
福岡県久留米市の繁華街を抜けた通りにできたsushi/teppan銀の桃は、肉寿司と鉄板焼きの店である。
建物は葉 祥栄 氏が設計した2Fに住宅をもち1Fに数店舗のテナントが入った建物であり、中庭の一番奧のテナントである。
当初事務所であった計画地は幾度かのテナントの変更を繰り返し今回、飲食店として新たに完成することとなった。
現場調査を終えて久留米の街、人、感覚がどのような地域なのであろうかと、施主と共にいくつかの店舗で飲み歩いた中、立ち寄ったラーメン屋では陽気に酒が進んだOLが隣の席に腰掛け、虚ろな目で一言「ちょうだいっ‼︎」するとコップに注いだ僕のビールを一気に飲み干したのである。
当初は驚きを隠せなかったが、確実に久留米の街の楽しさに引き込まれたのはこんな瞬間だったかと思う。
このような体験から始まった久留米でのプロジェクトでは、落ち着いた雰囲気の中、皆で食事を笑いながら楽しんで欲しいという施主の要望と共に、地域性を踏まえ、「食卓」が一つのテーマとなった。
和食と鉄板焼き二人の料理人とお客さんが一つの食卓を共有し、料理人やお客さん同士の偶発的な会話が生まれ楽しめる食空間を目指した。
外観は通りから一つ入り込んだ中庭に面したテナントの為、ファサードには賑やかな食卓を背景に暖簾を採用し食欲を引き立てる三色の暖簾を染色家による自然染色で表現している。
当初から敷き込まれていた中庭から内部に連続する床の唐津石は、丁寧に部分的に補修を施し、磨きをかけそのまま利用し、当初天井が貼ってあったであろう天井部分は躯体の内部空間容積を最大限活かす為、塗装されていた梁は研磨し、元のコンクリート梁を露出し、天井のラインを限界まで引き上げてより深い奥行きを持たせている。
内部空間は食卓が引き立つよう鉄紺色で構成し、奥行き1200mm長さ約9000mmのテーブルを設置し、食卓を浮かび上がらせている。
また、調理場の一部ともなっているテーブルに700mm×2700mmの鉄板を設置し鮨店の付け台を取り込みスチールの鉄板で表現している。
また、夜の街に置いて繁華街のネオンは煌々と明るく、ふと路地に入れば、その照度が抑えられ怪しさや色気を含んだ月明かりを感じることがある。
その街の様相をスポットとして随所に取り込み、外部の亜鉛メッキの看板や製作した照明によりトイレや廊下には月光を意図した照明を設置することで夜の町との繋がりを意識している。
■建築概要
店舗名:sushi/teppan銀の桃
場所:福岡県久留米市六ツ門20-6
設計:Studio MOUN 古城龍児
施工:立石弟ガラス
グラフィック:かぶとむし 井形寛
暖簾染色:染織工芸舎 田祥 田中 祥允
造形作家:Jackalope studio 藤瀬大喜
写真:石井紀久、一部 Studio MOUN
用途:鉄板焼き店
延床面積:73.00㎡
完成:2019年4月