



五十嵐理人 / IGArchitectsが設計した、東京の「〇」です。
オフィスの1層を多用途に使える場とする計画です。建築家は、“使い方が更新され続ける”与件に対し、“空間の余地”自体を“空間の構成”とする設計を志向しました。そして、スケールレスな“6つのリング”で変化に耐えうる“骨格”を創り出しました。
渋谷のオフィス・ワンフロアの改修の計画。
このプロジェクトで求められたのは、特定の用途に回収されるオフィスではなく、社員の福利厚生、レセプションなど、用途が固定されない複数の振る舞いを受け止める場であった。
打合せを重ねる中で、クライアントがワンフロアの内部に、空間の偏りや居場所のイメージを感覚的に持っていることがわかってきた。
このプロジェクトでは、そうした曖昧な用途や機能を空間として定着させるのではなく、使われ方が更新され続ける空間の余地そのものを空間の構成として立ち上げることを試みている。
内部に潜在する環境の差異や関係性を読み替え、それらを切断するのでも、明確にゾーニングするのでもない、共存のための構成を探った。
フロア内部には、建築的要素から家具的要素までを横断するスケールレスな6つのリングが挿入されている。
これらのリングは、空間を仕切る壁でも、明確な部屋でもなく、人の滞留や視線、行為を緩やかに誘導する存在として配置された。つなぐこと、切り離すこと、包み込むこと、外部へと開くことといった相反する性質を併せ持ちながら、空間に引力と斥力を生み出し、人と空間の関係を更新し続ける。このリング群によって構成されるワンフロアは、明確な中心や周縁を持たず、用途や居方が常に揺れ動く場となる。空間は固定された意味を持たず、単一の用途に回収されることもない。人の行為や状況に応じて関係性が立ち上がり、使われ方がずれたり、重なったりしながら更新され続ける。

