2021年のプリツカー賞を受賞した、ラカトン&ヴァッサルの受賞セレモニー動画が2021年9月14日に公開されました。彼らの代表作を紹介すると共に、世界各地から審査員の建築家らや、フランス大統領までがコメントを寄せています。通常時は世界各地の歴史的な建築物が授賞式の会場に選ばれ行われますが、今回は2回目の映像セレモニーとなったとの事。
アーキテクチャーフォトでは、彼らの受賞発表時に代表作品をまとめて紹介しています。
こちらは動画の公開にあたってのリリーステキストの翻訳です
プリツカー建築賞は、2021年の受賞者であるアンヌ・ラカトン氏とジャン・フィリップ・ヴァッサル氏を称える特別な授賞式ビデオを発表します。このビデオは、2021年9月14日(火)午前10時(日本時間)に公開され、ウェブサイトpritzkerprize.comやソーシャルメディアチャンネルで視聴することができます。
プリツカー賞を受賞したヴァッサル氏は述べています。
「私たちは、建築の歴史の中で、居住することの問題が本質的なテーマとなる時期にいます。私たちは、気候との積極的でオープンな関係の中で、空間を通して自由な条件を構築し、何も取り壊さずに既存のものから始めることでこれを実現します。これが私たちの仕事の本質です。」
ラカトン氏は続けます。
「解体は短期的な解決策であり、簡単な決断であり、都市生成の方法でもあります。リサイクルの手段にもなっています。しかし、解体は不可逆的なものであります。あらゆる解体は、膨大な量の情報、知識、層、素材、記憶を破壊します。人生は確立し、成長するのに長い時間を要します。」
アンデス山脈からロッキー山脈まで、都市から海まで、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカのプライベートな空間からパブリックな空間まで、世界中の場所から遠隔操作で撮影された式典の講演者たち。鑑賞者は、ラカトンとヴァッサルの建築作品の中から、「決して取り壊さない」という建築家のこだわりを示している、現代アートのためのギャラリーや公共のインスタレーション、地域プログラムを備えたウォーターフロントビル「Frac Grand Large-Hauts-de-France(フランス・ダンケルク)」の屋上や、2012年に機能性を最大限に高め、既存のものを再利用した建築家による改装により、ヨーロッパ最大の現代アートの中心地となった「ペレ・ド・トーキョー(フランス・パリ)」などを訪れます。
この賞を後援するハイアット財団の会長であるトム・プリツカー氏は述べています。
「彼らの建築作品の多くは、私たちが生きている時代に警鐘を鳴らしています。私たちが奉仕するように求められているのは、周辺部や限界部への奉仕です。ラカトン氏とヴァッサル氏が、私たちの最も優れたガイドの一人であることは間違いありません。彼らは何十年にもわたって、思いやりと美意識をもって、住宅を提供する人々の福祉と心の豊かさに貢献してきました。」
審査委員長のアレハンドロ・アラヴェナ氏は述べます。
「このような気取らない建築言語が、彼らの建物があらかじめ定義された機能ではなく、予想外の機能を促す理由なのかもしれません」
「謙虚であることは恥ずかしがり屋であることを意味しません。繊細な操作には、むしろ大胆で自信に満ちた性格が必要です。これこそが、ラカトン氏とヴァッサル氏の建築が達成できた最も繊細なバランスのひとつであり、建築環境に対する慎重かつ率直なアプローチなのかもしれません。」