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最も注目を集めたトピックス [期間:2021/4/12-4/18]
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/4/12-4/18]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2021/4/12-4/18)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 妹島和世による、2021年の東京大学入学式での祝辞の全文
  2. 平田晃久が、群馬の「太田西複合拠点公共施設」設計プロポで最優秀者に特定。提案書も公開
  3. 今西伴仁 / Atelier tomatoによる、高知・四万十市の、商店街の旧銀行跡地に建つ複合施設「shimanto + terrace はれのば」。地元民間有志が街の為に事業主となり建設
  4. 三井嶺建築設計事務所による、神奈川・逗子市の住宅「逗子の家『森の図書館』」
  5. チームラボアーキテクツによる、千葉・流山市の保育園「キッズラボ南流山園」
  6. 「妹島和世氏が手掛けた日本女子大学・目白キャンパス 正式オープン」(建設通信新聞DEGITAL)
  7. デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツによる、兵庫・川辺郡の「猪名川霊園礼拝堂・休憩棟」
  8. 井原正揮+井原佳代 / ihrmkによる、東京・港区の集合住宅「はつせ三田」
  9. オラファー・エリアソンによる、バイエラー財団での展覧会「LIFE」の会場写真。レンゾ・ピアノ設計の美術館のガラスを取り除き内外を繋く作品を発表
  10. 宮崎浩+プランツアソシエイツの設計で完成した「長野県立美術館」の動画。林昌二建築の建替えや谷口吉生建築に隣接する事でも注目
  11. 北村直也建築設計事務所による、岐阜市の「岐阜ビルの2階のリノベーション」
  12. 杉山幸一郎による連載エッセイ “For The Architectural Innocent” 第9回「与条件を立てる / 素材絵画」
  13. ネリ&フーによる、韓国・ソウルの、ファッションブランドMCMの旗艦店「MCM HAUS」。既存の5階建の建物等を改修
  14. 白井晟一の建築展「白井晟一 入門」が、自身が設計した渋谷区立松濤美術館で開催
  15. TOTO通信の2021年春号「特集:建築家のもうひとつの仕事」のオンライン版が公開。寳神尚史・藤田雄介・菅原大輔・小泉誠に設計ではない仕事の話を聞く
  16. ル・コルビュジエが1952年に完成させた、フランス・マルセイユの集合住宅「ユニテ・ダビタシオン」の現在をとらえた写真
  17. 武保学 / きりんによる、三重・伊賀市の店舗「場所を見守る土産物店」
  18. 杉本博司と榊田倫之による新素材研究所のモノグラフ『Old Is New 新素材研究所の仕事』をプレビュー
  19. 川原達也+エレン・クリスティナ・クラウゼ / KAWAHARA KRAUSE ARCHITECTSによる、ベルリン建築ギャラリーでの自身の個展「EQUIVOCAL」。会場構成も自身の作品として構想
  20. 黒川紀章が1972年に完成させた「カプセルハウスK」を保存・公開するプロジェクトが発足。2021年5月の公開を予定

オラファー・エリアソンによる、バイエラー財団での展覧会「LIFE」の会場写真。レンゾ・ピアノ設計の美術館のガラスを取り除き内外を繋く作品を発表
オラファー・エリアソンによる、バイエラー財団での展覧会「LIFE」の会場写真。レンゾ・ピアノ設計の美術館のガラスを取り除き内外を繋く作品を発表Installation view, Fondation Beyeler, Riehen/Basel, 2021 Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 2021 Olafur Eliasson Photo: Mark Niedermann
オラファー・エリアソンによる、バイエラー財団での展覧会「LIFE」の会場写真。レンゾ・ピアノ設計の美術館のガラスを取り除き内外を繋く作品を発表Installation view, Fondation Beyeler, Riehen/Basel, 2021 Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 2021 Olafur Eliasson Photo: Mark Niedermann
オラファー・エリアソンによる、バイエラー財団での展覧会「LIFE」の会場写真。レンゾ・ピアノ設計の美術館のガラスを取り除き内外を繋く作品を発表Installation view, Fondation Beyeler, Riehen/Basel, 2021 Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 2021 Olafur Eliasson Photo:Pati Grabowicz
オラファー・エリアソンによる、バイエラー財団での展覧会「LIFE」の会場写真。レンゾ・ピアノ設計の美術館のガラスを取り除き内外を繋く作品を発表Installation view, Fondation Beyeler, Riehen/Basel, 2021 Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles © 2021 Olafur Eliasson Photo: Mark Niedermann

アーティストのオラファー・エリアソンによる、バイエラー財団での展覧会「LIFE」の会場写真です。レンゾ・ピアノが設計して1997に完成したスイス・バーゼルの美術館のガラスを取り除き内外を繋く作品を発表しています。会期は2021年7月まで(詳細な日程は決まっていないようです)。展覧会の公式サイトはこちらで、特殊なライブカメラで会場の様子も閲覧できます。

こちらは、アーティストによるステートメントを抜粋して翻訳したものです

ここ数年、生命を人間中心の視点ではなく、広く生物中心の視点で考える取り組みに興味を持つようになりました。展覧会を見ていると、名詞を動詞に変えたり、人間がきちんと想像できる範囲を超えた視点に気づくために、例えば、「to tree」にしてみたりしています。想像してみてください。

人間の生命は、他の哺乳類と同様に、吸って吐いて、酸素に依存しています。人類学者のナターシャ・マイヤーズやティモシー・チョイの言葉を借りれば、人生とは「共謀すること」でもあると言えます。私たちは、木と、人と、そして地球と共謀しています。

私たちの生活は、周囲の環境や、ローカルなコンテクストをはるかに超えた構造やシステムと密接に絡み合っていることを認識すると、私たちは誰もが脆弱であり、完全にコントロールできるわけではないということを学ぶのではないでしょうか。私たちは、不確実で結果がはっきりしない状況の中で行動し、交流しています。

人類学者のアンナ・L・ツェンの言葉です。
「かつては、災難は恵まれない人の運命のように思われていました。今では、私たちの生活は、たとえ今のところポケットの中が潤っていても、すべて不安定であるように思えます。」

私の作品「ライフ」、そしてバイエラー財団は、周囲の公園や都市の景観、そして地球と絡み合っており、そこで出会うすべてのものや人々を通して命を吹き込まれています。

私は1990年代初頭にアーティストとして活動を始めて以来、知覚とそれを形成する認知的・文化的条件に興味を持ってきました。「ライフ」は、あなたが能動的に出会うことで、あなたの知覚を通して生きてくるのです。来場者がこの展覧会に対する認識や理解を形成する可能性があるため、作品には教訓的なテキストや説明的なテキストを添えないことにしました。「ライフ」に対する限定される視点を共有しないことは、私にとって重要なことなのです。作品の制作とその継続についての私の考えや、作品のインスピレーションの源については、ここで見つけられるでしょう。同時に、来場者が作品に期待や記憶、考えや感情を持ち込んでくれることを歓迎します。

「ライフ」は、未来の風景のモデルを提示します。それはホスピタリティです。数年前、バイエラー財団のディレクターであるサム・ケラー氏と私が初めて展覧会について話し合ったとき、私は「みんなを展覧会に招待しよう」と考えました。惑星の植物やさまざまな種を招待しよう。単にドアを開けるだけではなく、施設から外部を遮断する構造的な境界線を取り除くことにしました。バイエラー財団と、美術館を建設した建築家のレンゾ・ピアノに感謝しています。私を信頼して、慎重かつ思いやりを持って、建物からガラスのファサードを取り除いてもらいました。

私は美術館とともに、いわば作品の管理を放棄し、人間や非人間の訪問者、植物、微生物、天候、気候など、通常の美術館が懸命に排除しようとしているさまざまな要素に作品を委ねているのです。そうではなく、すべての人、すべてのものを迎え入れようとしているのです。

妹島和世による、2021年の東京大学入学式での祝辞の全文
妹島和世による、2021年の東京大学入学式での祝辞の全文建築家の妹島和世。 photo©architecturephoto

妹島和世による、2021年の東京大学入学式での祝辞の全文を紹介します。

こちらの内容は関係者・関係機関からの了承の上、こちらのページより転載するものです


令和3年度東京大学学部入学式 祝辞

 
皆さま、東京大学へのご入学おめでとうございます。このような栄えある場所で、皆様にご祝辞を申し上げる機会をいただきましたことをとても光栄に思います。この機会に私がこの場で何をお話しできるかを考えました。大学に入学されてこれから専門の道を歩まれる皆さまに、私が専門の道で経験してきたことを少しお話しさせていただきたいと思います。

私がお伝えしたいことは、まず一つは、専門的に考えてゆくことは、意外に専門以外の他の分野のことも考えることになっていくものだな、ということです。それから2つ目は、他分野の専門家とのコラボレーションの重要性です。そして3つ目は、自身の専門の研究を深めてゆくことは結局、その専門領域内にとどまらないで、私たちの世界全体を考えることになっていく、ということです。これらは、おそらく、いずれの専門分野にもあてはまるのではないかと思います。

自分の事で恐縮ですが、自分の経験から話させていただきます。私は日本女子大学を卒業し、6年ほど設計事務所で働いて、その後1人で設計事務所をはじめました。最初に設計したものは、50平米ほどの、小さな週末住宅でした。小さな住宅であっても、週末に自然の中でのびのび時間を過ごせるようにと考え、野原の中に家具がぱらぱらと並び、それら一つ一つにテントをかけて繋いでいくようなイメージから、建築を考え始めました。つまり、堅牢な箱のような建築の中にいろいろな場所がある、というのではなく、身の回りの小さな場所が繋がっていって、柔らかな全体が出来上がる、というやり方です。小さな単位が次々と繋がっていくアイデアなので、敷地が広ければどこまでも広がってゆきます。いろいろな居場所がつながってどんどん大きくなると、それは街のようなものにもなる、と考えました。その週末住宅は、個人のための小さな建物でしたが、私はその小さな建物の設計を通して、街のありようをも同時にイメージしていたようにも思います。

北村直也建築設計事務所による、岐阜市の「岐阜ビルの2階のリノベーション」
北村直也建築設計事務所による、岐阜市の「岐阜ビルの2階のリノベーション」 photo©miyashita design office 担当/加瀬秋彦
北村直也建築設計事務所による、岐阜市の「岐阜ビルの2階のリノベーション」 photo©miyashita design office 担当/加瀬秋彦
北村直也建築設計事務所による、岐阜市の「岐阜ビルの2階のリノベーション」 photo©miyashita design office 担当/加瀬秋彦

北村直也建築設計事務所が設計した、岐阜市の「岐阜ビルの2階のリノベーション」です。一階部分も北村の設計によってレンタルスペースとして生まれ変わっており、そちらは「岐阜ビル」という作品名で特集記事として紹介しています。
また、2021年4月18日に本建築の内覧会・レセプションが行われます。こちらの情報も末尾に掲載します。

岐阜県岐阜市の商店街から少し離れた場所にあるオフィスビルのリノベーション計画である。
既存は築40年ほどのRC造の4階建て、奥行きの深い敷地に突当り庭のある建物である。竣工時は証券会社のオフィスとして竣工し、平成17年には花屋として利用され用途も変わり改修・補修工事を重ね、この度の計画では2階に新しくテナントスペースを作ることとなった。

2階の計画スペースは南北に長い130m2のワンルームとなっていて、南は街路樹のある歩道、奥は庭に面している。スケルトンにした内装はそのままで十分魅力的な空間であった。
しかし地方都市でのテナントスペースを考えたときに、広々としたワンルームでは中々借り手がつかず、また細かく分割すると空間の魅力が失われてしまうような気がした。
そこで南北の光の性質の違いが主役になるような、ざっくりと3つの空間に分ける計画とした。

建築家によるテキストより
今西伴仁 / Atelier tomatoによる、高知・四万十市の、商店街の旧銀行跡地に建つ複合施設「shimanto + terrace はれのば」。地元民間有志が街の為に事業主となり建設
今西伴仁 / Atelier tomatoによる、高知・四万十市の、商店街の旧銀行跡地に建つ複合施設「shimanto + terrace はれのば」。地元民間有志が街の為に事業主となり建設 photo©中村政弘
今西伴仁 / Atelier tomatoによる、高知・四万十市の、商店街の旧銀行跡地に建つ複合施設「shimanto + terrace はれのば」。地元民間有志が街の為に事業主となり建設 photo©中村政弘
今西伴仁 / Atelier tomatoによる、高知・四万十市の、商店街の旧銀行跡地に建つ複合施設「shimanto + terrace はれのば」。地元民間有志が街の為に事業主となり建設 photo©中村政弘
今西伴仁 / Atelier tomatoによる、高知・四万十市の、商店街の旧銀行跡地に建つ複合施設「shimanto + terrace はれのば」。地元民間有志が街の為に事業主となり建設 photo©中村政弘

今西伴仁 / Atelier tomatoが設計した、高知・四万十市の、商店街の旧銀行跡地に建つ複合施設「shimanto + terrace はれのば」です。地元民間有志が街の為に事業主となり建設された施設です。施設の公式サイトはこちら

このプロジェクトは商店街一角の旧銀行跡地が民間の地権者から中心市街地の活性化に役立ててほしいと土地と建物が市へ寄贈された事から始まりました。

市は集客拠点施設の実施主体となる事業者をプロポーザルにより公募し、地元民間有志5人がまちづくり会社を設立し公募に応募、採択されました。初期投資は補助金を活用するものの役員5人の給料、配当はなく、必要経費を除く利益は全てイベントや施設整備などに再投資するという個人の利益を投げ打って街のためにと立ち上がりました。

この地域に生まれ育った設計者の一人としてそんな役員5人の強い想いに同調する形でこのプロジェクトに参加しました。

建築家によるテキストより

地域住民を対象にアンケートを実施し、カフェ、テナント(4店舗)、広場、公衆トイレで施設を構成していく事が決められました。
「屋根の上を利用できたら楽しそう」ある時施主が言いました。これは収益重視の言葉ではなく「人が集まる楽しい場所を作るには」この問いに正面からぶつかり出てきた言葉です。

そんな要素を拾い上げ、ヒアリング、検討を重ねていく中で建ぺい率40%、施設の内部空間に対して屋上テラスや広場に抜けるアプローチ等の外部空間の割合も40%となって立ち現れてきました。

建築家によるテキストより
【ap job更新】 “自然と人を繋ぐ”を表現する「ADX」が、設計スタッフ・プロジェクトマネージャー(共に実務経験者)を募集中
【ap job更新】 “自然と人を繋ぐ”を表現する「ADX」が、設計スタッフ・プロジェクトマネージャー(共に実務経験者)を募集中
【ap job更新】 “自然と人を繋ぐ”を表現する「ADX」が、設計スタッフ・プロジェクトマネージャー(共に実務経験者)を募集中五浦の家

“自然と人を繋ぐ”を表現する「ADX」の、設計スタッフ・プロジェクトマネージャー(共に実務経験者)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

「自然と人を繋ぐ」

ADXでは、更なる挑戦や事業拡充につき、設計スタッフ・プロジェクトマネージャーを若干名募集いたします。

ADXは安齋好太郎率いる建築チーム。
「自然と人を繋ぐ」を理念とし、福島県を代表する名山・安達太良山の麓に構えたHead Officeと東京・日本橋にあるTokyo Officeとの2拠点で活動しています。

美しい自然で培われたセンスを元に設計・施工・プロダクト開発を自社で行い、ホテル、オフィス、住宅、公園など多岐に渡るプロジェクトを手がけています。デザインから施工までを一貫して手がけ、「自分たちで設計したものは自分たちで作る」スタイルだからこそ、建築工法や建材、さらにはエネルギー計画まで、様々な分野の新しい技術と情報を日々アップデートし、豊かな自然と共存する未来の建築の可能性に挑み続けます。

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■日本全国で「自然と人を繋ぐ」多種多様なプロジェクト
自然立地キャビン、都市型の公園、中高層木造ビル、オフグリット住宅、山小屋、ワイナリー&オーベルジュなど、日本全国で魅力的なプロジェクトが進行しています。木や種子、虫や石など自然物から着想するクリエイティビティと、施工やメンテナンス視点でのリアリスティックな思考の両方を発揮いただき、多方面に渡る業務を経験できます。

SANU (セカンドホームサブスクリプション) 
 https://sa-nu.com/share
SOIL(コワーキングスペース・ホテル)  
 http://www.soilis.co/

過去事例や受賞歴などはホームページ https://adx.jp をご覧ください。

TOTO通信の2021年春号「特集:建築家のもうひとつの仕事」のオンライン版が公開。寳神尚史・藤田雄介・菅原大輔・小泉誠に設計ではない仕事の話を聞く

TOTO通信の2021年春号「特集:建築家のもうひとつの仕事」のオンライン版が公開されています。寳神尚史藤田雄介菅原大輔小泉誠に設計ではない方の仕事について話を聞いています。寳神には不動産ディベロッパーの側面、藤田には、建具ブランド展開の側面、菅原にはコミュニティカフェ運営の側面、小泉には物販店舗の運営の側面がある事で知られています。

建築家が、建築設計以外の仕事にチャレンジすることが増えてきた。
たとえば、家具や建具を別の建築家向けに販売したり、設計事務所にカフェを併設して街との接点を生んだり。
あるいは、土地と建物に自らお金を出し、オーナーを兼ねて商業施設や集合住宅を設計することもある。
これらは、設計業を存続していくための経営上のサバイバルの方策でもあるが、設計のクリエイティビティを外部から刺激する動力としても働くのではないか。
建築家たちの「もうひとつの仕事」を紹介する。

井原正揮+井原佳代 / ihrmkによる、東京・港区の集合住宅「はつせ三田」
井原正揮+井原佳代 / ihrmkによる、東京・港区の集合住宅「はつせ三田」 photo©稲継泰介
井原正揮+井原佳代 / ihrmkによる、東京・港区の集合住宅「はつせ三田」 photo©稲継泰介
井原正揮+井原佳代 / ihrmkによる、東京・港区の集合住宅「はつせ三田」 photo©稲継泰介

井原正揮+井原佳代 / ihrmkが設計した、東京・港区の集合住宅「はつせ三田」です。

オーナー住戸付き賃貸住宅というのは一般的に、最上階にオーナーが住み下階を賃貸住戸としたりするものだが、再開発で引越しを余儀なくされた一家のために、「オーナー住戸」に皆で住むのではなく、将来の家族構成や社会の変化に耐えられるような新たな住まいを提案することとした。

全部屋賃貸住戸という形をとり、家族はそれぞれの住戸を「個室」として選んで住む。
全ての住戸は階数や住戸間のヒエラルキーを作らず、全て異なるプランとすることで時間に対する柔軟さを(家族構成の変化に応じて建物内を移り住んでいく)、専有部/共有部間を閉じるでも開くでもなく、破線状のエッジとすることで身体に対する適度な距離感を(今までの住まいと同じ感覚でそれぞれの気配を感じる)、それぞれ併せ持った「大きな家」である。

建築家によるテキストより
H・アルキテクトスが、2021年4月にバーバード大学の主催で行った講演「Where the Invisible Becomes Visible」の動画

スペイン・バルセロナを拠点とするH・アルキテクトスが、2021年4月12日にバーバード大学の主催で行った講演「Where the Invisible Becomes Visible」の動画です。

H ARQUITECTES is an architecture studio founded in 2000 by David Lorente, Josep Ricart, Xavier Ros and Roger Tudó. They combine their professional activity teaching in the ETSAV-UPC, ETSAB-UPC and Harvard GSD.

Their works have received several national and international awards, including the European Award for Architectural Heritage Intervention 2019; shortlisted EU Mies Van der Rohe Award 2019, 2017; MAPEI sustainable building 2017; Brick Award 2016; Ugo Rivolta 2015; Public Prize FAD 2015; Shortlisted FAD Award in 2015, 2012, 2009; Fritz Höger Preis 2014; Sacyr Award 2012; Hise Award 2012; Enor Award 2011; SAIE Award 2011.

宮崎浩+プランツアソシエイツの設計で完成した「長野県立美術館」の動画。林昌二建築の建替えや谷口吉生建築に隣接する事でも注目

宮崎浩+プランツアソシエイツの設計で完成した「長野県立美術館」の動画です。日建設計の林昌二が設計した建築の建替えであったことや、谷口吉生が設計した「東山魁夷館」に隣接する事でも注目されていました。2021年4月15日にオープンしました。施設の公式サイトはこちら
また、長野県のサイトには竣工写真が12枚掲載されています。こちらのPDFでは簡易的な平面図を閲覧することもできます

以下は、美術館公式の紹介テキスト。

当館は1966年「長野県信濃美術館」として開館。50数年にわたり、長野県民らに愛されてきました。開館以来50数年を経て、全面改築。2021年4月「長野県立美術館」と名称も新たに生まれ変わりました。新たな本館の建物は、「ランドスケープ・ミュージアム」のコンセプトのもと、城山公園周辺の美しい景色と調和しつつ、その屋上からは国宝善光寺本堂を望む、みごとな眺めをお楽しみいただけます。
館内は充実した展示スペースのほか、無料で楽しめるゾーンも多く、老若男女、誰もが気軽に訪ねられる、公園のように自由な、まさに「開かれた美術館」をお楽しみください。

平田晃久が、群馬の「太田西複合拠点公共施設」設計プロポで最優秀者に特定。提案書も公開
平田晃久が、群馬の「太田西複合拠点公共施設」設計プロポで最優秀者に特定。提案書も公開 image courtesy of 平田晃久建築設計事務所

平田晃久建築設計事務所が、群馬の「太田西複合拠点公共施設」設計プロポーザルで最優秀者に特定されています。また提案書もPDFで公開されています。次点者は、新居千秋都市建築設計でした。

令和3年3月19日(金)に、技術提案書を提出した業者からプレゼンテーション及びヒアリングを実施し、その後、選定委員5名により厳正な審査を行った結果、以下のとおりとなりました。

川原達也+エレン・クリスティナ・クラウゼ / KAWAHARA KRAUSE ARCHITECTSによる、ベルリン建築ギャラリーでの自身の個展「EQUIVOCAL」。会場構成も自身の作品として構想
川原達也+エレン・クリスティナ・クラウゼ / KAWAHARA KRAUSE ARCHITECTSによる、ベルリン建築ギャラリーでの自身の個展「EQUIVOCAL」。会場構成も自身の作品として構想 photo©KAWAHARA KRAUSE ARCHITECTS
川原達也+エレン・クリスティナ・クラウゼ / KAWAHARA KRAUSE ARCHITECTSによる、ベルリン建築ギャラリーでの自身の個展「EQUIVOCAL」。会場構成も自身の作品として構想 photo©KAWAHARA KRAUSE ARCHITECTS
川原達也+エレン・クリスティナ・クラウゼ / KAWAHARA KRAUSE ARCHITECTSによる、ベルリン建築ギャラリーでの自身の個展「EQUIVOCAL」。会場構成も自身の作品として構想 photo©KAWAHARA KRAUSE ARCHITECTS

川原達也+エレン・クリスティナ・クラウゼ / KAWAHARA KRAUSE ARCHITECTSによる、ベルリン建築ギャラリーでの自身の個展「EQUIVOCAL」です。会場構成も自身の作品として構想されています。会期は2021年4月24日まで。展覧会の公式ページはこちら

EQUIVOCALと名付けたこの展覧会は,われわれの最初の10年の活動を振り返る現在ベルリンで開催中の個展となります.

EQUIVOCALとは,「幾つもの意味にとれる」とか「多義的」などと訳されますが,これはコーリン・ロウがその著作で頻繁に使うことばです.彼の批評の多くは,目で見てわかること(感覚)と,理解してわかること(知性)との重層的な,ときに対立的な関係を踏まえての観察に拠っていますが,われわれのタイトルの意味も彼の用法にならっています.

建築家によるテキストより

展覧会にはこれまでのプロジェクトから大小さまざまなスタディモデルのみを持ち込み,またギャラリースペース全体を使ったインスタレーションもあわせて制作しました.三角錐をさかさまにした各モジュールは,梱包材として使われる紙のバンドを薄くそいだものを転用しています.コンセプトモデルに見られるようなモジュールの立体は,紙バンドの線が作る面を通して現れ,これらモジュールを互いに回転させながら配置したインスタレーションは単純な長方形のギャラリースペースにたくさんのプリーツ(ひだ,折り目)を作り出します.

建築家によるテキストより
白井晟一の建築展「白井晟一 入門」が、自身が設計した渋谷区立松濤美術館で開催

白井晟一の建築展「白井晟一 入門」が、自身が設計して1980年に完成した渋谷区立松濤美術館で開催されます。第一部の会期は2021年10月23日~12月12日。第二部の会期は2022年1月4日~1月30日。

白井晟一(1905-83)は、戦後日本において独自の存在感を放った建築家です。京都に生まれ、ドイツで哲学を学んだ後に独学で建築の道に進み、大衆社会へと突き進む時代状況に警鐘を鳴らすかのような、重厚な作品群を発表しつづけました。
本展の第1部では、全国にいまなお残る白井建築を中心に、初期の木造住宅から後期の記念碑的建築までを紹介。これまであまり触れられることのなかったその人的・文化的ネットワークにも注目し、新たな白井晟一像を探ります。
第2部では、白井晟一晩年の代表作である松濤美術館を開館当初の状態に近づける、「建物公開」を行います。通常、展示室に設営されているさまざまな壁面パネルが取り外されることで、限られた条件の下に白井が創造した、光や空間の広がりを感じることができます。また、ヨーロッパやアジア各地から集められた愛蔵の調度品も展示。白井晟一のオリジナルな美術館構想を体験的に明らかにします。

『建築家ビャルケ・インゲルス氏:「快楽主義的持続可能性」を語る』(Bloomberg)

『建築家ビャルケ・インゲルス氏:「快楽主義的持続可能性」を語る』という動画が、Bloombergに掲載されています。BIGが設計した屋上がスキー場になっている発電施設と、その背景にある思想について語っています。日本語字幕付。

以下の動画はyoutubeにアップされた英語字幕版。

デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツによる、兵庫・川辺郡の「猪名川霊園礼拝堂・休憩棟」
デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツによる、兵庫・川辺郡の「猪名川霊園礼拝堂・休憩棟」 photo©Keiko Sasaoka
デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツによる、兵庫・川辺郡の「猪名川霊園礼拝堂・休憩棟」 photo©Keiko Sasaoka
デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツによる、兵庫・川辺郡の「猪名川霊園礼拝堂・休憩棟」 photo©Keiko Sasaoka

デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツによる、兵庫・川辺郡の「猪名川霊園礼拝堂・休憩棟」です。
同事務所は基本設計・デザイン監修を手掛けています。詳細なクレジットは末尾を参考ください。

こちらは建築家によるテキストの翻訳

猪名川霊園は、大阪から北へ約40km離れた兵庫県にある北摂山系の険しい場所に位置しています。墓地は段々畑のようになっていて、一番高い場所にある神社へと続く記念碑的な階段で二分されています。そして、この階段がプロジェクト全体の軸となっています。

ヴィジターセンターとチャペルは、外の世界と内の静かな空間との間の顕著な境界として設計されています。中央の階段に沿って、神社と対をなすように、ビジターセンターとチャペルは中庭を囲むように配置されています。来訪者は、南東側の階段状のファサードに設けられた中央の広いフレーム付きの開口部につながる外部プラットフォームからこの空間にアプローチします。

プログラムは単一の傾斜した屋根面の下に形式的に配置されており、エントランスから神社までのヴューラインに沿っています。ヴィジターセンターの部屋は中庭に面していますが、隠れ家的なチャペルは独立しています。チャペルへは、外から直接アクセスするか、庭から緩やかなスロープを上って、独立した廊下を通って行くことができます。暖房と人工照明を最小限に抑えた、飾り気のない静かな部屋は無宗派の瞑想空間として、純粋な形で提供されています。両側の庭園からの間接的な日差しを頼りに、チャペルを訪れる人々は静寂に包まれ、日照時間の変化や季節の葉の変化などの自然の指標を通して、本質的な時間のリズムに意識がむけられます。すべての庭園の植栽は、日本の牧草地や森林の色調や質感からインスピレーションを得ています。厳選された草、低木、野草が注意深く配置されています。

中庭の対角線上にあるのがヴィジターセンターです。屋根の下端にある2つの大きな部屋は、家族の集まりや記念日に利用できます。ヴィジターラウンジは、休憩や食事ができるカジュアルなエリアです。メモリアルルームは、布に和紙を貼ったプリーツカーテンで3つの小部屋に分けることができ、儀式の後の正式な食事の場となっています。

床、壁、屋根は純粋な建築要素として形成されており、同じ土のような赤色のコンクリートを使用しています。内部の床や地面はホーニング仕上げ、通路の壁や屋根はサンドブラスト仕上げとなっており、全体的にモノリシックな外観となっています。このプロジェクトのために特別にデザインされた家具は、シンプルでカジュアルな塗装が施された木製の椅子、ベンチ、テーブルで構成されており、機会に応じて配置を変えることができます。

敷地の両端を結ぶ軸線に沿って、山頂から建物に向かって階段の途中に水が流れるようになっています。階段の下側、チャペルの近くに差し掛かると、水の流れは緩やかになり、溜まりとなって樋に集められ、敷地の下に新たに設けられた地下水路を通って近くの運河へと流れていくようになっています。

ネリ&フーによる、韓国・ソウルの、ファッションブランドMCMの旗艦店「MCM HAUS」。既存の5階建の建物等を改修
ネリ&フーによる、韓国・ソウルの、ファッションブランドMCMの旗艦店「MCM HAUS」。既存の5階建の建物等を改修 photo©Dirk Weiblen
ネリ&フーによる、韓国・ソウルの、ファッションブランドMCMの旗艦店「MCM HAUS」。既存の5階建の建物等を改修 photo©Dirk Weiblen

ネリ&フーによる、韓国・ソウルの、ファッションブランドMCMの旗艦店「MCM HAUS」です。既存の5階建ての建物と付属の駐車場タワーを改修した建築です。店舗の場所はこちら

以下、建築家によるテキストの翻訳

プロジェクトの概要は、ソウルの高級地区である江南(カンナム)にあるMCMの新しい旗艦店として、既存の5階建ての建物と付属の駐車場タワーを改修することでした。ネリ&フーは、MCMの強いブランドストーリーとドイツのルーツを考慮し、ブランドの伝統へのこだわり、クラフトマンシップとディテールへのこだわりに忠実でありながら、デジタル時代の進歩を祝福するMCMの姿勢を体現するような旗艦店のデザインを目指しました。
ネリ&フーは、新しい旗艦店のデザインコンセプトとして、製造業における実験的な試みと、クラフトマンシップや伝統的な芸術を融合させたバウハウスの動きにインスピレーションを得ました。 新店舗は、江南地区の単なる建築物としてではなく、MCMブランドの新たな「家」としての役割を果たすべきであると考えました。
つまり、工業、グラフィック、家具、インテリアデザイン、建築など、バウハウスの芸術的媒体の総体を体現する家でなければならないのです。

バウハウスの精神は、旗艦店の新しい金属製のファサードに表現されており、建物は重厚なコンクリートの土台の上に、厳選された窓の開口部を持つ骨董品箱のようになっています。 既存の建物は2つの独立したファサードとして構成されていましたが、主な課題は容積率を維持しつつ、1つの建物として認識されるような新しいファサードを作ることでした。 新しいファサードを支えるために、追加の構造補強が必要となりました。
新しいファサードは、駐車場タワーと店舗エリアの間の不規則なスラブエッジのギャップを埋めるために直線化され、単一の塊を形成しています。 クライアントの限られた予算と4ヶ月という工期を考えると、ファサードのソリューションは、経済的な手段で最大限の視覚的インパクトを与える必要がありました。 北向きのファサードに対応して、自然光をできるだけ多く反射させるためにブロンズ色の金属を選択し、400mmの深さの窓を設けて、レリーフと影を導入しました。この大きな開口部は、視覚的に、商品や内部の活動をフレーム化するのにも役立っています。ブロンズ色の金属メッシュは、大きな開口部を覆うようにヴェールをかけ、ファサードに奥行きとテクスチャーのレイヤーを与えています。頑丈なコンクリートの台座は、歩行者のスケールに合わせたストリートスケープの存在感を示し、視覚的に商品のための専用のショーウィンドウを提供しています。

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