
建築家でありアトリエ・ワンのパートナーを務める玉井洋一は、日常の中にひっそりと存在する建築物に注目しSNSに投稿してきた。それは、誰に頼まれたわけでもなく、半ばライフワーク的に続けられてきた。一見すると写真と短い文章が掲載される何気ない投稿であるが、そこには、観察し、解釈し、文章化し他者に伝える、という建築家に求められる技術が凝縮されている。本連載ではそのアーカイブの中から、アーキテクチャーフォトがセレクトした投稿を玉井がリライトしたものを掲載する。何気ない風景から気づきを引き出し意味づける玉井の姿勢は、建築に関わる誰にとっても学びとなるはずだ。
(アーキテクチャーフォト編集部)
タイヤ花壇

娘のお迎えで保育園に行った時に見つけた花壇。
まだ家に帰りたくない園児たちが無造作に置かれた花壇の間を走り抜けるのを眺めていて、不意にそれがタイヤを鉢に見立てた花壇であることに気づいた。花壇に対してどことなく違和感をもっていたのだが、横にあった同じくタイヤでつくられた遊具がその気づきを促してくれたのかもしれない。
花壇の黒い表面は、元々タイヤであったことを隠すように色鮮やかなペンキで塗装されていたが、独特のひび割れ模様が古い絵画のような趣で何とも言えない味わいがあった。
一旦目の前にある花壇がタイヤであると認識されるとこれまであった違和感は消える。
そして、タイヤが持っている特性が花壇としてどのように引き出されて利用されたのか?といった異なるモノ同士の見えなかった関係性に対する興味へと繋がる。
タイヤは中空の輪っかだから切れ目を入れてひっくり返せば鉢植えのような形になる。
タイヤは角がなく柔らかいので、ぶつかっても痛くないし割れることはない。
タイヤは真ん中が空洞だから雨が降ったり花に水やりをしても排水は問題ない。
タイヤは人が運べる重さだからイベント時の移動も簡単そうだ。
などなど。
















